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ジャンヌ「はい、お弁当です!お姉ちゃん、お手製ですよ!召し上がれ!」
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ジャンヌ「もう、制服が曲がってますよ?ワイルドなのはよろしいですが節度をですね…」
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「大丈夫です。お姉ちゃんは一緒ですよ。ずっと、ずっと──」
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じゃんぬ「……妹だったっけ、私…?」
リッカ「なんだこの門!?すげぇデケェぞ!?」
グドーシ「脚立があれば良いのですが…」
マシュ「ありましたよ!通り抜けフープが!」
「「でかした!!」」
じゃんぬ「…あれ?そもそもじゃんぬって二人いたんだっけ…?」
「む。どうやら無事に入ってこれたようだな。改めて見事な高跳びだったよ、リッカ。世界の危機という研磨剤が君という原石を磨き上げた…と言うと、少々複雑な気持ちだがね」
ニヒルに笑い、静まり返る学園にて待っていたのは我等のオカンにして正義の味方(真)(この場合は弱きを助け強きを挫く事。偽の場合は天秤に救うべき命を掛け少ない方を殺すちょっとヒネた理念)のエミヤがリッカ達を迎え入れる。そしてその傍らには、学生服を着こなす可憐な蓮の如き少女。しかし制服の袖は出しっぱであり前はガン開けの不良ムーブ。リッカらの心強い味方──
「エミヤ!カーマ!一緒だったんだ!」
「はい、リッカさんにグドーシさん!私とエミヤさんは楽園からこの優しさとその他が混ざった世界よりサルベージする為に派遣された正真正銘のあなたのサーヴァントですよっ。愛の女神です。愛の女神です!」
「楽園?派遣…?」
「何、君達でいう夢の使者だよ。我々は乙女の夢を脅かす悪党を成敗しにやってきた…言うなれば、正義の味方さ。……(じーーん)」
(臆面なくかつての夢を語れて感動してる…)
(流石は絶対退去しなさそうな英霊ランキングナンバーワンのエミヤ殿。というか正義の味方の概念ゆがみ過ぎなきらいがありますからなぁ)
そんなこんなな挨拶を交わし、エミヤとカーマが調査の名目で得た情報をリッカらに提供する。頭に?マークが乱立しているじゃんぬとマシュにはリッカがやんわりと対処を行う。これは乙女の夢見るイメージ、やましいことは何もない、イイネ?と説き伏せる。
「マシュ君が見ていた妄想…正確には深層心理の願望が彼女の持つ聖杯、そして霊基に眠るギャラハッド卿と共鳴した結果、マシュの願望を叶える為の疑似英霊…いや、贋作英霊とも呼べるギャラハマスクが誕生し、いくらかの歪みを孕んだ微小特異点へと姿を変えた」
「そしてリッカさんとグドーシさんはそんな恥ずかしな妄想を元に戻すべく、マシュさんの中のギャラハッドさんの要請を受けて先んじてやってきた。これで合っていますか?」
「ほぼ相違なく。まぁ、巻き込まれた手際は大変スピーディーであり、報告の一つも出来なかったのは大変申し訳無く。来てくださり本当に助かりました、御二方」
いち早く危機を察し、素早く対処と増援を送ってくれる楽園の手際の良さにグドーシは感嘆と胸をなでおろす。何も知らぬ漂流者と、万全の態勢でバックアップが滞り無い攻略班では安定性がまるで違うのだから。
「君達が直接的な手段で危機に合うとは想定していなかったよ。魔術師としては異端極まり、人間としては極限に至った我等がマスター、そして」
「そして私の誘惑にも物ともせずに悟りを開き輪廻の輪より外れだらけまくった姿で高みの見物決め込む覚者を宿す人徳を持つエクストラクラス、セイヴァーのグドーシさん!ふふふ、愛の女神花丸太鼓判を押す私のベストカップルが負ける筈が無いんですから…!」
「ははは、愛憎と祝福が備わった評価大変嬉しくござるよカーマ殿、エミヤ殿。──しかし、この景色はマシュ殿の描くやさしい世界とはいささか毛色が違いますな」
見通す、夜の学園。生徒達の声と喧騒で賑わっていた朝とはまるで違う、足音すら吸い込まれそうな不気味の空間。話し声すら聞こえない漆黒の静寂は、マシュが思い描く世界の暖かさなど微塵も感じられない。
「流石は覚者を宿す者の眼力だ。調査の結果──マシュの願望に、ギャラハ仮面の干渉があった事が推測されているのだよ、グドーシ君」
「ギャラハ?」
「?兄さんとお名前が一緒…?」
「わぁあなんでもないなんでもない!ど、どういうこと!?」
「ザックリ言ってしまうとですね。ギャラハ仮面とマシュさんの願望は根底のところで『解釈違い』を起こしているんです。グドーシさんなら解ってもらえる筈です。原作者と読者の解釈が乖離した作品の言い様のない気持ち悪さ…作者が一人のキャラクターにんほってしまい作品ごとめちゃくちゃにしてしまう事の罪深さ…!」
それを聞き、グドーシは静かに指を三本立て一本指を折った。これはグドーシ流『仏の顔も三度まで』ルールである。彼の数少ない現世の未練の一つ、カルチャー知識。許せぬものの一つに制作側の暴走があるのだ。(なお一日経つとカウントリセットされる)
「ここからはメタな話になるんで、リッカさんに二人を任せるとして…先に攻略した名探偵マシュ、次回予告と大分違いましたよね?アレは本来、シグルドさんが殺された!犯人は何ンヒルデさんなんです!?というツッコミ待ちのギャグだったんです。しかし実態は…」
「…ワルキューレの完璧ゆえの苦悩、感情という禁断の果実を食らった事の罪罰。リッカ殿とマシュ殿の尽力でなんとかなりましたが…」
確かに違和感はあった。あの事件の当初、マシュは困惑しきりであったし、リッカの叱咤なくば解決できたかすら怪しい。それはマシュ殿が凝り性だったのやも、と推測はしたのだが…
「そしてこの学園だ。シンジすらさく…妹と仲良くし、垣根を越えて世界を救う王道な世界観のベースでありながら、マシュ嬢を取り巻く環境はあまりにも重い。ヘヴィというやつだ」
「普通、リッカさん程の大人気ポジションは自分を置くはずなんです。誰もがイメージする最高の自分…それがスポットの当たらないバックダンサーや日陰者だなんて人はあんまりいませんもの」
「むぅ…悲愴感…」
「私は清掃員、カーマ君は占い師として学園に馴染み触れてみたが、生き別れの兄を持ちデミサーヴァントという『負のご都合主義』を持っていたのはマシュ嬢だけだ。他は誰もが大なり小なり軋轢はあれど、さっぱりとした良好な関係と立場であることを確認済だ」
「つまりどういうことなのかというと、マシュさんはリッカさんと『仲良し王道バディ』を望んでいるのに対して、ギャラハマスクは『曇ったマシュがリッカさんという光に照らされるのマジ尊い』というイメージの齟齬を起こしているんです。些細なようでかなり厄介ですよ、これ要するに救われるならどれだけ曇ってもヨシ!って事なんですから」
カーマとエミヤの推論に、グドーシは静かに頷いた。その推論は、目の前に広がる黒き学園を見てみれば一目瞭然というものだからだ。
「となると、この夜の学園にもギャラハマスクが考える『曇らせ』が待っているものだと?」
「我々はそう考えている。実はマシュ嬢とリッカ君がフラグを建てるまでは、夜の学園には入れなかったのだからね」
「いくら優しい世界と言っても、それは甘い夢への監禁のようなもの。そこから出さないなんて何よりマシュさんが許さない筈です。…多分」
「そこは言い切ってよろしいかと。リッカ殿への依存を止め、自立したがゆえの天然栽培。今更無菌室で幸せを感じるマシュ殿はおりませぬ故に」
ならばこそ、この夜の学園に待つ『曇らせ』に辿り着かなくてはならない。新たなる舞台、そして優しい世界から歩き出すために。
「マシュ嬢のイメージ『学校の怪談』に則ったステージ…我々も協力し、なんとしても突破しよう。力を借りれるかね、グドーシ君」
「無論にござるよ。未だ涅槃に微睡むは早し。苦界と呼ばれる蓮の彩りの世界にて、リッカ殿の旅路は続いておられるのですから」
頷き合うグドーシ、エミヤ、カーマ。なんとしても、マシュの夢とリッカの未来を解き放つ。此処に、強力な学校の怪談バスターズが結成されたのだった──。
リッカ「あ、お話終わった!?あ、大丈夫だよ言わなくて。目さえ見れれば大体解るから!──よーし!マシュの曇らせの要因を取り除きに行こう!」
カーマ(…カジノのディーラーとかをやってみてもらいたいですねリッカさん…)
マシュ「よ、よくわかりませんが…皆さんと一緒ならきっと大丈夫です!やります!」
エミヤ「その意気だ。大丈夫、我々は味方だ。では早速、学校の多々不思議を解決しよう」
リッカ「多々不思議!?」
じゃんぬ「……」
グドーシ「どうなされた、じゃんぬ殿?」
じゃんぬ「…ちょっとホラーな事言っていいかしら」
エミヤ「構わんよ」
じゃんぬ「私に…『お姉ちゃん』なんていたっけ?」
一同「「「「「えっ…」」」」」
怪異 存在しないお姉ちゃん
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