オルガマリー「ケイオス・カルデアメンバー…ニャルをリーダーとした派遣、制圧部隊を編成しています。フィリアを宇宙パトロールに出し、なんとしても先んじて確保しましょう」
ギル「それで芽を潰せればよし。──しかしその騒動がビーストのものであるならば、人理を巡る戦いは確約されていような」
オルガマリー「…終末の獣は、Ⅰの獣が顕現した時連鎖的に現れる…でしたね」
ギル「然り。可能な限りの手は打つが、起きた際の備えも執り行うは必然よ。──ロマンを地球の龍脈へと向かわせ、マルドゥークに最果ての塔を担わせる。6月より始まる夏の催しの3ヶ月…ここが正念場だぞ、マリー」
オルガマリー「大丈夫です。汎人類史は…私達は負けません」
ギル「断言するか。解りきっているが敢えて聞こう。根拠はなんだ?」
マリー「あなた方と、皆です」
ギル「フ。まさに愚問よな。さて、その為にも我等が龍には廃棄物の処理など完遂してもらわねばな──」
「…で、縁談の件はひとまず保留。それぞれの目指す未来や明日を話し合うところから初めて一先ず落着…って事でいいのかな?今回のお話は」
先の激動を終え、無事に自宅へと帰還したグドーシ、そしてリッカ。獅子王、ギャラハッド、マシュ、ランスロット、そして藤丸の抱えた問題のアシストという形で、一先ずの終着をリッカはグドーシに問う。
「悪意ある黒幕がいた訳でなし、誤解が解けたという点では振り出しに戻っただけなのやもしれませぬ。しかし社会は心が映し出すもの、作り上げるもの。意志が把握できたなら、すれ違いの仲違いは起こり得ないでしょう」
獅子王…アルトリアは一見は普段と変わらず会社を運用するトップであるがその態度と方針を軟化させ、業務提携や社員達のサミットなどに積極的に力を入れるように変革を起こし始めた。圧倒的な業績とミス一つない完璧なワンマン会社から、後進を活かすようになったのだ。一番の変化は、けして外さなかった獅子の面を外した事だろうか。それにより騎士達の業務成績が跳ね上がったとかなんとか。
「ランスロット、凄い思い切った事をしたよね〜。まさか藤丸君を育てるために立場を一旦投げるなんて!」
ランスロットは今回の浅薄さを恥じ、責任を取る形で円卓の席を離反。出向という形で独自の支店で1から始める心積もりの様だ。そしてそこには、マシュと立香の姿もある。二人はランスロットのノウハウを学び、ラウンドナイツ・コンツェルンに入社し成果を残す事を条件に家族ぐるみで付き合っている。最低でもランスロットの後釜になるまでは、性的な交際を許す気は無いようだ。極めて高い目標だが、立香はマシュとギャラハッドの期待を裏切るわけにはいかないと懸命に困難に挑んでいる。きっと、その願いを忘れなければ大丈夫だろう。初志貫徹はハッピーエンドの条件だからだ。
「ギャラハッド殿は、獅子王殿の築いた全てを次代に、そして末長く残す為に邁進を始めたとの事。数多いる騎士達の頂点に立つ…彼自身の手腕と、覚悟が問われますな」
ギャラハッドは獅子王…母の築いた会社が一代きりで潰えぬように、自身が全てを受け継ぐための研鑽と奮起を開始した。具体的には、業務成績の首位とピクトカンパニーの撃滅。彼女が安心して世界を変えるための舞台に立てるように進み始めたのだ。円卓の騎士達を乗り越え一位になるとは並大抵の努力では叶わないだろうが、きっと彼は成し遂げるだろう。獅子に厳しく、優しく育てられた彼ならばきっと。
「セイヴァーズの皆は、引き続き全世界を混乱に陥れる組織やテロリスト、ギャングやマフィアを人知れず撃滅する作業に戻るんだって。…最後までお手伝いしたかったなぁ…」
先のピクトカンパニーの襲撃を始めとしたテロリズムや紛争、そして裏社会の腐敗。それら全てを撲滅するという理想…命題を掲げ、これからもセイヴァーズは戦い続けるのだと響達から聞いた時は、夢として醒めるのが惜しいとすら感じた。人知れず戦う正義の味方…それは最高の、卒業後の進路でもあったからだ。
「ねぇグドーシ!もしホントに卒業して居場所が無かったらさ、二人でセイヴァーズを立ち上げてみない!?法で手に負えない様な社会悪とか、裏社会の闇に立ち向かう組織とかさ!」
「ダメでござるよ。リッカ殿にその様な修羅の道を勧める訳には参りませぬ。例え天性の人助けの才覚を持っていたとしても、才覚で未来を決めてはならぬのです」
そっかー、としょんぼりするリッカ。…グドーシの珍しい諫言には、続きが勿論ある。
「我々はいずれ、この星を飛び出し果て無き宇宙に飛び出すではありませぬか。その夢と景色をリッカ殿に諦めさせるなどとてもとても。そなたには、三千大千世界の向こう側…釈迦の掌より先の未来を見てほしいのでござりまする。それが、拙者の未練な故」
そう、いずれ御機嫌王と姫、そして楽園は庭たる星を飛び出し、誰も見たことのない星の大海を漕ぎ出す。リッカがそれに付いていくかどうかはまだ未知数だが、組織を立ち上げて根を下ろしてしまえば、少なからず迷うかもしれない。星に、ソラよりも素晴らしいものを見出すか。それとも翼をソラに広げるか。選択の自由は、彼女にあってほしいのだとグドーシは言う。それが、自身の未練だと。
「ん。そっか!まだ進路を決めるのは勿体ないか!そだよね、もしかしたら地球に私の番はいないかもしれないし!そしたらもう、スペース婚活しか無いよね!花婿探して、銀河中心殴り込み艦隊ってね!」
「ははは、スケールの大きさは相も変わらずで何より。ご安心くだされリッカ殿。太陽系人として、拙者がとこしえに傍におります故」
「うん!その時は宇宙の果ての景色、一緒に見ようね!…ん?」
その時、3枚の画像が送られてくる。一枚の画像は、セイヴァーズ達と別れる前に一緒に撮った写真だ。オルガマリーが送ってきてくれたものである。リッカを中心に、戦い抜いた仲間達が華やかに笑顔を浮かべている。
「…夢のような関係、って言うけどさ。目を覚ましたあとも続く関係って…いいよね」
「まさしく。幸せとは、そこに在ると気付くものなのですから。そして、もう一枚は…」
もう一枚は…獅子王から送られたものだ。ラウンドナイツ・コンツェルンが誇る円卓の騎士達と、玉座に鎮座する荘厳な一枚。そしてもう一枚は…
「──良かったね。藤丸君。マシュ。ギャラハッド」
ギャラハッドとマシュ、藤丸が三人で笑う一枚に、リッカは顔を綻ばせる。奪い合う三角関係でなく、仲間として、隣人として、友としての関係を築いた…今回の騒動への、最高の報酬であった。
「えぇ、本当に。…心残りと言えば、カーマ殿やじゃんぬ殿と出逢えなかった事ですな。実に悲しく、惜しい事です」
「それは確かに!でもほら、敵じゃなかっただけ感謝しなくちゃって事で!後は黒幕の、ギャラハ仮面を倒すだけ──」
リッカが口にした、その時だった。世界の景色が、黒く澱み、歪みだす。
【──黒幕。人は自分に都合の悪い事が起こると、それを何者かが行ったと定義しがちです。虚無の怪獣を相手取りながら、その考えを捨てきらないとは…】
「!」
【いいでしょう。このギャラハマスクが…あなた達を美しい芸術にして差し上げましょう!さぁ、来るのです!計らずとも私への道を拓いたリッカさん!マシュの曇らせの筈が──『獅子王トゥルールート』を開拓した何処までも思い通りにいかないリッカさんと決着をつけてあげましょう──!!】
その、くぐもった合成音声めいた言葉と共に──闇に吸い込まれるリッカ。
「リッカ殿、手をこちらに。ご安心めされよ」
「ん、うん!」
伸ばされた手をしっかりと掴み、グドーシとリッカは最後の地へと向かう。ギャラハマスクがいるとされる空間に。
「──今の…」
その言動に引っ掛かりを覚えながら、リッカは渦中へと飛び込んでいくのであった──。
昏き空間
グドーシ「ここは…」
ギャラハマスク【ここは、藤丸リッカさんの言うなれば【廃棄口】と言った所でしょうか。人類悪の力の根源であるアジ・ダハーカ…それらが喰らう人類の悪性、濾過されていない魔力の源。そして、契約した英霊達の業や悪夢を引き受ける龍の寝蔵。マシュ・キリエライトの中にいるギャラハッドが受け止め、引き受け続けている…老廃物のようなものです】
グドーシ「──成程、読めましたぞ。何故マシュ殿が知らぬ藤丸殿や皆様の事を把握していたのか。それはリッカ殿と契約したサーヴァントの皆様を通じて、この廃棄口から再現していたのですな。カーマ殿や、じゃんぬ殿から」
リッカ「─どうしてそんな、悪趣味な事をするの?ギャラハマスク」
その言葉に、闇より現れしフルフェイスアーマーを纏う黒き影が現れる。
【決まっています。──ここで、あなたの苦悶の顔が見たいからですよ。リッカさん】
それこそが、今回の騒動の元凶…ギャラハッドの贋作、ギャラハ仮面。二人は遂に、相対する──。
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