人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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リッカ「今日は大神発売十五周年!あまこーが天孫降臨してくれた日なんだよ皆!」

あまこー「ワフ!」

「ありがとう、アマママ…あなたのぽかぽかさは、私の心の一番深い所の闇を晴らしてくれました。(モフ)」
「ワフゥ…(さすり)」

「これからも、皆をずっとポカポカ照らしてね。大好きだよ、皆の慈しいお母さん。あっ…モフモフ…」
「ワゥン…(ぺとり)」

リッカ「ファッ──(シュワァ)」

ライダー50周年、ティガ25周年共々、おめでとうございます!

〜本編〜


ギャラハッド『彼が最終目標…ギャラハマスク。今回の騒動の黒幕だ、二人共!』

リッカ「フルアーマーの騎士…カッコいいかも…!」

ギャラハマスク【私が黒幕?それは違いますよギャラハッドさん。私はただ、場を用意しただけです。今回の事件を歪めたのは…あなたです、リッカさん】

リッカ「…私?」

【この場所は、あなたの心の内が溜めた澱み。私はこの場所を利用し、マシュの望むがままに世界を作り変えたに過ぎません。この澱みきった力が、マシュの清廉な願いを、おぞましいものに変えてしまった…】

リッカ「…つまり?」

【つまり!その答えはただ一つ…!藤丸リッカさん!あなたがマシュと契約したばっかりに…!マシュの願いは歪んでしまったんです!あなたが悪いんです!あなたの責任です!あなたが全ての元凶なんです!全て、あなたがやったことなんですよ!どうですか!曇ってしまったでしょう!】

グドーシ「なんと…」

リッカ「!…」

ギャラハマスク【あ、あれっ?ど、どうしました?】

リッカ「続けて?」

【あ、は、はい…】

「リッカ殿…?」


真相〜風邪を引いた時に見る夢のようなチープさで〜

「成程。つまり私が、私の生い立ちと魔力…そこから出されるカルマ的なアレがマシュの細やかな願いを歪めてしまったと。それは全部、私のせいでそうなったと言いたい訳だね?あなたは」

 

無限が如くに湧き上がる漆黒の廃棄物、残骸達。契約ラインを通して示される英雄達の負の面や負担、そして業といった良くないものが熟成され溜まった淀み。それがマシュの心に漏れ出し、彼女の心の願いを歪めたと告げるギャラハマスクの言葉に頷くリッカ。ギャラハマスクは我が意を得たりと捲し立てる。

 

【そうです!人は都合の悪い事が起きると誰かが何かを行っていると考えるもの、あなたはいつものように【倒すべき誰か】を求めていた!しかしそんな者はどこにもいはしない…なぜなら!マシュに悪夢を見せているのは他でもない!あなたなのですから!】

 

「あちゃー…まぁそんなにクリーンなエネルギーって訳でもないからね私の力。こうして解決可能な範疇に収まってるのはギャラハッドのお陰かな」

 

【あなたのせい、あなたが傍にいるからマシュの願いは澱んでしまった!さぁ、その事実を以てあなたの最高の苦悶の顔、を…あれ…?】

 

最愛の後輩を、自身が知らず知らずに汚していた。彼女の願いを踏み躙っていた。藤丸立香…平行世界の彼女の心を完璧にへし折るシミュレータを行ったギャラハマスクは、しかしリッカの平然とした態度に面食らう。彼女、微塵も衝撃を受けていないように見受けられるが故だ。

 

【な、何故動揺も、慟哭もしないんです!?後輩が、あなたのマシュがあんなに苦しんだんですよ!?心苦しいとは思わないんですか!?】

 

「確かに辛い想いをさせちゃったのは申し訳ないし、埋め合わせはするつもりだよ。だからこそいつまでもこんな悪夢にいられないし、現実のマシュをスパンキングして叩き起こして説明しなくちゃいけないでしょ?」

 

【あ、あなたの本質はこんな黒く、汚く、醜いものなんです!あなたは世界を救うと言っていますが、どの口でそんな事を言うのです!こんな、汚泥のような心象で!】

 

「まぁ確かに見れたものじゃないかもだけど…でも、確かにこれは私の一部だから。今更私に目を逸らしたいものなんて無いよ。汚くて、醜くて、愚かなのが人間だもん。──そんな私を可愛いとか、素敵とか、価値があると言ってくれる沢山の人がいるって知ってるから」

 

最早リッカは、何を告げられても微塵も揺らがない。かつての弱音すら吐けなかった頃とはまるで違う。彼女の心には、確かに輝く光が宿っているのだ。

 

【そ、そんな…有り得ない…!自分だけはともかく、相手にこんな醜い世界を見せて平気だなんて…!】

 

「美徳や小綺麗な一面だけを見て付き合う関係ではないと言うことにござる。我等は清濁併せ呑むからこそ人。闇は人を眠りに誘い、癒やす一面がある様に…この闇を力に変え、リッカ殿は今日まで戦い抜いて来られたのです。即ち──」

 

「私にとって、この風景は汚濁でも忌避する側面でもなんでもない。世界を救う為の力!私の希望なんだよ!ギャラハマスク!!」

 

はっきりと叩き返し、自らの自己を魅せるリッカ。彼女はもう一人ではない。自分を受け入れ、励まし、激励してくれる皆がいる。かけがえのない存在に満ちている。

 

【そんな…こんな筈じゃ…!こ、こうなったらあなたを、直接敗北させるという形で曇らせる!自らの信じた力に呑み込まれ果ててしまいなさい!】

 

ギャラハマスクの号令に答え、脈動を始める廃棄口の汚濁達。しかし──彼女の一部であり、力の源であるものが彼女の不都合になる筈も無く。

 

【おーおー、皆様らお揃いで。いやしかしなんだって私の寝床でドンパチしてるの?とびきりの悪夢の部類じゃねここ】

『私が…リッカがいつまでも汚濁で蠢く蜥蜴と思っていたなら大間違い。あなたの額面通りの苦難なんて、今更すぎて小腹も満たない』

 

当然、その力の中核であるアンリマユ、そしてアジーカ・ウォフ・マナフも姿を現す。迂闊で残念な事に、瞬く間にリッカの全力を発揮するお膳立てを整えてしまった形となるギャラハマスク。

 

「グドーシ!二人共!行くよ!さっさと脱出して、私達の現実に戻ろう!マシュを起こして、お詫びのスイーツ奢らなきゃ!」

 

「はは、承知。ならば拙者も、小指一つ分の本気を開帳致しましょうぞ」

 

瞬間、周囲に蠢いていた邪気、怨念、汚泥が瞬く間に照らされ、吹き晴らされる。グドーシの背後に浮かび上がる超巨大曼荼羅…彼の宝具である『転輪聖王』が発動し、虚ろなるものでしかない淀みを全て浄化…或いは濾過させたのだ。全人類は皆仏陀。ならばこそ、あらゆる悩みはグドーシに還る。何故なら、今のグドーシこそが休暇中のブッダであるのだから。

 

【おー、綺麗にしてくれちゃってー!良かったな私、これで突然黒歴史思い出して足パタパタしなくて済むな!】

 

「アレ原因アンリマユだったの!?流石はこの世全ての悪…全人類に消えないトラウマを刻んでいた…!」

 

【こ、こんなあっけなく…!?わ、私の用意したプランでは、こんな展開は…!】

 

『規格に収まる様な物差しで、私を図ったのが間違いでしかない。──さっきの言葉の意味を教える。今の私は、泥に塗れた邪龍じゃない』

 

その言葉と同時に、アジーカから虹色の魔力が溢れ出す。それは彼女、そしてアンリマユ、グドーシを包みリッカを頭に乗せる形で顕現する。

 

『数多の美徳が、愛が、私達を羽ばたかせた。今の私達は、希望と至尊の空を飛ぶ龍。美徳こそが翼であり鱗。愛と勇気こそが爪、夢と希望こそが牙であり身体。闇を受け止め力へと変える、人理を臨み輝く龍。その名も──』

 

「アジ・ダハーカ!ウォフ・マナフ!!」

 

言われた…頭にリッカを乗せ、しょんぼりするアジーカだが、その威容は圧倒的であった。アヴェンジャー、そしてセイヴァーという超級のエクストラクラスを一時的に取り込み、覚醒顕現した彼女の普段振るう人類悪…否、人類愛の完全開放。金色の瞳、虹色の龍鱗に覆われし二足歩行の体に、6対12枚翼を有する超巨大龍真体を顕現させ、深海の底の様であった廃棄口は、今や雲海を遥か見下ろす蒼穹の天空へと姿を変えている。グドーシとアンリマユを取り込んだ最強形態の威容の前に、ギャラハマスクは海の角砂糖が如くのスケールの違いへと貶められる。

 

【こ、こ…これが…藤丸リッカの…全力だと言うのですか…!?】

 

最早戦うという次元にすらいない、人類を救い、守護する人類愛の龍の顕現にギャラハマスクの戦意は完全に砕かれる。

 

【まーセイヴァーとアヴェンジャーなんてレアなクラス喰ったらこうなるって事だわな。さーて、怖いもの見たさなおバカかちゃんに本気の解らせってヤツを見せちゃうぜぇー?】

 

そして、ウォフ・マナフは口を開ける。口の部分に収束するは虹色の最高純度の真エーテルにして、どのような絶望、悪夢すらも消し飛ばす運命力の発露──プレシャスパワー。それらを超絶圧縮し指向性を持たせたブレスの形で解き放つ、最終極限咆哮宝具。敵を滅する──否、浄化する最終昇華ドラゴンブレス。

 

『リッカ殿。熱く必殺技名を叫ぶでござるよ。かつてのように自虐では無いものを』

『ノット・プリティー・ブラスターとか…無い。自虐にしてもセンスが…無い。誠に遺憾』

【だから正式名称はアトロシアスディザスターだって言ってるじゃん!】

 

「解った!解ったから行くよ!えーと、じゃあ…!」

 

リッカの呼称と共に放たれる、その一撃。彼女によって付けられしその真名は──

 

「『万象擁護す至尊の福音(スプリマイティアス・ブラスター)』────!!!!」

 

全ての力と願いを集結した、至尊の咆哮。星を包み、未来を目指す標…或いは、天の川が如き虹色の咆哮螺旋エネルギーがギャラハマスクへと叩き付けられ──

 

【な、何も出来ずに…!そんなぁあーーー!!】

 

哀れ、望んだ結末も表情も何一つ見ることも叶わず──ギャラハマスクは遥か彼方へ吹き飛ばされるのであった──。

 




ギャラハマスク【………(ピクピク)】

ギャラハッド『何がしたかったのかすら解らないほどの完敗だな、ギャラハマスク。真意を今こそ話してもら──』

リッカ「アキレウスリスペクトのノータイム・スゴイシツレイ・オメーン剥がし!!」

ギャラハマスク【あぁあ!?】

アンリマユ【容赦ねぇ…おぉ!?】

リッカ「やっぱり…あなただったんだね。マシュ」

マシュ(褐色)【う、うぅ…正確にはマシュそのものじゃありません…【先輩を夢中にさせたい】という願いが聖杯に汲まれ起動し、リッカさんの廃棄口の淀みを力にしマシュの夢に干渉した贋作英霊です…】

ギャラハッド『やはり黒幕は君だったんだな。何故こんな事を?』

【だ、だって…!先輩を独り占めにしたかったんです!それぐらいしか、マシュの心に悪と呼べる感情は無くて…リッカさんの廃棄口の魔力を触媒に出来なくて…だから私は、苦難やくもらせといった概念を廃棄口で勉強し、展開して己を保っていたんです…!】

グドーシ「…それでは今までの世界は、マシュ殿の願いとギャラハマスクとしての霊基を保つためのものだと」

【はい…マシュの夢を弄って、先輩が夢中になるような世界にしたつもりだったんです…】

リッカ「なんでマシュの顔に?」

【そ、それは…【こんな大掛かりの迷惑をかけた黒幕の正体は、なんとマシュだった!後輩が最悪の敵となる!】…という最悪のシチュエーションで、リッカさんを曇らせたくて…】

リッカ「成程。じゃあ評価させてもらうね!」

ギャラハマスク【はい!】

「この馬鹿ァ!!!!!!!」
【はぶぁあぁあぁあ!!?】

アジーカ『凄いビンタ…』
アンリマユ【すげぇ勢いで飛んでったなぁ】

ギャラハマスク【あふっ、あふぅ、あぁあ…ごめんなさい…!ごめんなさいぃい…!でも、でも皆ずるいじゃないですか…!羨ましいじゃないですか…!私は、マシュはヒロインなのに…!幻想郷でも、最近も全然お呼びがかからなくてぇ…ぐすっ、ひうぅ…】

グドーシ(曇らせ+尊厳破壊とは…やりますな、リッカ殿にギャラハマスク殿…)

【マシュだって…私だって…自分だけのイベントが欲しかったんですよぉ…!ヒェえぇ~ん…!】

リッカ「──ギャラハマスク。ううん、マシュ」
【あ…】

アンリマユ【博愛固めだ…】

リッカ「いつでも、マシュの為に時間を作るよ。いつでも…あなただけのリッカになってあげるから」
【!…先輩…】
「マシュ…」

【先輩…!】
「マシュ!」

【先輩!】
「マシュ!」

【先輩!!】(ガシッ)
「マシュ!!」(ひしっ)

ギャラハッド『…!世界が補整されていく。マシュの夢が、覚めるようだ』

グドーシ「どうやらギャラハマスク…マシュ殿の願いが受け入れられる事が、クリア条件だったのですな」

リッカの胸の中で、消滅するマシュ。リッカは、空を見上げる。

「…現実で待ってて。時間はかけないから」

そこには…幸せそうな満面の笑みを浮かべたマシュが、ハートマークの中で笑っていた──

アジーカ『…なにこれ』

夢の中の事態は今、収束する──。

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