人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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カルデアホテル・VIPルー厶

ギル「ほう、これが夏の催しで使われるカジノの土台か。悪くはない催しではないか」

騎士王「そうでしょう。私の持つ大広間を展開し、作り上げる予定です。完成の暁には、プリンセス専用の初心者向けカジノルームを用意いたします」

──なな、なんと畏れ多い!?目覚めたら何故にVIPルームへ!?えぇ!?

フォウ(寝耳にVIPルームとは…たまげたなぁ…)

騎士王「いくら善意とはいえ、突然の招牌には訳があります。御機嫌王、あなたには礼を尽くさなくてはなりません」

ギル「なんだ、いきなり畏まりおって。楽園の二位に在る貴様がこれ以上なんの礼を尽くすというのだ?」

騎士王「…やはり、嬉しいものなのです。王として貫いた道を、ああして肯定してもらえるのは」

ギル「!…もしや見ていたな?」

騎士王「二位ですので、把握はしますとも。…かつての聖杯問答では散々な評価でありましたが、プリンセスを有するあなたの裁定は違った。正直、私も驚いたのです。私の王道は、皆の胸に息づくものだという観点は」

──騎士王…

「貴方の評価は王として、資格よりも、聖剣の輝きよりも、民達の称賛よりも嬉しかった。『騎士道は今の世に正しく在る』と、太鼓判を押してくださったのですから。この席は…その、返礼です。今日は私が、とびきりの美酒を開けましょう。プリンセスやキャスパリーグと、召し上がってください」

ギル「──そういう事なら、受けてやろう。精々甲斐甲斐しくもてなしてみせろよ?」

「お任せください。私は、獅子の他にもう一つの獣の顔を持っていますから──」



マシュ「すやぁ…せんぱい…」

リッカ「寝すぎィ!!!」

マシュ「ひゃあぁあ!?先輩!?」

リッカ「マシュ!デートするよ!!支度するんだよあくしなよ!」

「デート!?」

「今日はマシュだけのリッカになるんだよ!(迫真)というわけで40秒で支度しな!プランはあるからね!ハリーハリー!!」

マシュ「は、はいぃ!?」


アンリマユ【そこはかとなく真夏の香りがすんなぁ…】
ギャラハマスク【あ、あの、何故私を消さずに…?】
アジーカ『シールダー変化用のエサに』
ギャラハマスク【ひぃ!?】
アンリマユ【仲良くやろうぜ、ごみ溜仲間としてよぉ!】
アジーカ『例えがきたない』
ギャラハマスク【ひぃい…最後に曇るのは私でしたぁ…!】



後輩デート!イケメンと化した先輩

「えっ!?今日はスイーツいっぱい食べていいんですか!?」

 

リッカに叩き起こされ先程までおねむだったマシュ、スイーツじゃんぬにて叫ぶ。ニコニコのリッカによる食べ放題していいよの言葉に喜色満面の笑みを浮かべる。

 

「今日はじゃんぬに頼んで貸し切りにしてもらったからね。おかわりも…おかわりもいいよ。たくさんお食べ…お尻とお胸に栄養をお蓄えしなさい…」

 

「先輩…!ありがとうございます!とうとう、とうとう気付いてくださったのですね!やっぱりマシュが…マシュ・キリエライトがオンリーワンなのだと!!」

 

そうそう、イキリなすびってこういう事よな安堵とそこまで調子に乗ってもナンバーワンは名乗らない妙な義理堅さというか奥ゆかしさに苦笑しながら、マシュにじゃんぬ特製のスイーツを食べさせていくリッカ。

 

「おいひい、おいひいれふ。むぐむぐ」

 

「良かったねマシュ。リスみたいになってて絵面面白いよマシュ…良かったね…」

 

そんなマシュを見ながら、じゃんぬ特製ドリンクをいただくリッカ。そう、今はマシュの為だけに時間を使うと決めており、これはほんの一環であり始まりでしかないのだ。

 

(見なさいリッカ。あんな幸せそうに食べてるの久しぶりよ。あの娘、身体を絞って先輩にほめてもらいましゅーって張り切ってトレーニングしてたんだから)

 

(おぉ、マシュ…マシュにかぎっては少しお肉が乗るくらいが丁度いいんだよマシュ…)

 

最近、纏まった時間を取れずに紛争していた中でもじゃんぬはマシュを見続けていた。どれだけ自身との絆が深まろうとも、マシュがリッカにとってどんな相手かは、はっきりと解っている。だからこそ…じゃんぬは決して、マシュを無下に扱わない。

 

(でもほら、私と違ってあいつは感受性がおこちゃまだし?ガツンと言ってあげた方が響くはずよリッカ。ゆるゆるになってる心、思いっきり殴りつけてやんなさいな)

(うん、勿論だよ!ありがとう、じゃんぬ!)

 

じゃんぬの後押しを受け、もむもむとスイーツを堪能するマシュに向き直るリッカ。

 

(勝手に思っているだけの愛なんて、伝わらないもんね。はっきりと口にして、言葉にしなきゃ)

 

そう、かのギャラハ仮面はうっかりリッカの力の一端に触れやや迷走はしたが、あの吐露は間違いなく本心だろう。マシュの心の中には、先輩…自分と一緒にいたいと思ってくれている側面が確かにある。そしてそれは、自分自身も同じだ。

 

しかし、それに甘えて普段の意思疎通を蔑ろにするのも誤っている。この世に繋がれない心が無いように、何もせずとも離れない心もきっとない。繋いだ絆や想いが無くならないよう、離れないように人は心と言葉を尽くすのだから。

 

「ねぇ、マシュ。最初に会った頃の事、覚えてる?」

 

「はい!あの時は私が瓦礫にサンドイッチされ、魔術師の皆さんの負の側面食べ放題だった先輩のアジーカさんが覚醒寸前だったとお聞きしました!間一髪ギャラハッドさんが抑え込んでくださったお陰で私達は人類救済の最適解たる御機嫌王と未だ無銘であった姫様をお招き致しました!その時の王様の第一声は「や、我が知りたい」で誰も彼もが予想外な痛快無比の旅の始まりで──」

 

あいつ旅の振り返りになると早口になるよな。それほどに彼女の心や人格、人生においてとてつもなく眩しく、輝かしいものであることは容易に受け取れる。

 

「あの時は王様、お姫様、私、先輩だけだった特異点攻略も、今では頼もしいスタッフさんやオルガマリー所長、綺羅星の様なサーヴァントの皆さん、何よりAチームの皆さん(一人欠員)と世界を救う為の旅を進んでいます!この状況、奇跡と言わずなんと言いましょう!本当に、素晴らしい事ですね!先輩!」

 

そんな仲間達と共に歩むこと、そして何よりも先輩である自分と歩んでいける。親愛と祝福が自分に向けられていることを感じながら、リッカは返答する。

 

「うん、その通りだよ。この旅路の中で、私が得たものは数え切れない。正直絆をレベルで可視化できるとしたら、マシュより絆が高い人は一人や二人じゃ利かないと思うんだ」

 

「そうでしょうそうでしょう!──ええっ!?」

 

「最後まで聞く!」

 

はひっ!と姿勢を正すマシュに向き直り、リッカは言葉にする。日頃は伝えない、その素直な感謝の想いを。彼女がもう、曇り迷走する事のないように。

 

「でも、さっきマシュが言ったように…この物語の始まりは私と、ギルと姫様とマシュなんだよ。例えどれだけ時間が経っても、どれだけ仲良しな相手が増えてもそれは絶対に変わらない。マシュはそれくらい、私にとっての特別なんだって事を忘れないで」

 

じゃんぬが腕組み、静かに頷く。それだけは、彼女だけにしか許されない特権であり唯一無二の思い出であり、記憶であるのだ。自身らはどれだけ歩もうと、その始まりの記憶を覆す事だけは叶わない。それだけは、決して侵せない不可侵の思い出なのだから。

 

「いつでも帰れる場所がある。だから私は離れていられる。──それは全ての疵、全ての怨恨を癒す我等が故郷…でしょ?私にとって帰るべき白亜のお城はいつだって…あなたなんだよ。マシュ」

 

「…先輩…」

 

「これからも私は、皆の当たり前の明日や未来を護る為に駆け抜けるし、誰よりも先に行くつもり。その旅路の中でまた、寂しい想いや辛い時間を過ごさせちゃうかもしれないけど、これだけは忘れないでほしいんだ」

 

マシュの目を隠している髪を上げ、両眼を真っ直ぐ見つめる。マシュの目には、リッカの目に映る自分の姿が見える程に両者の距離が近い。

 

「あ、ぁあ…ぁ、先輩が、こんな、こんな近くに…」

 

「ふふっ。──私にとってのマシュは、あなた一人だけ。誰にも渡さないし、奪わせない。約束だよ、マシュ。だからマシュも…」

 

そう、自分ばかりがしてあげるのはパートナーとは言えない。きっちり、しっかりと弱さを見せ、支え合う事こそが大切なのだから。

 

「危なっかしい私の事、ちゃんと護ってね。信じてるよ。私の…私だけのシールダーさん」

 

そしてそのまま──額へ唇を触れさせる。デコチュー、というやつだ。マシュへの偽りない気持ちを、確かに伝える。

 

(リッカ!!それ後で私にも!ほっぺにお願い!!)

(オッケィ!…あれ?)

 

「あ、あぁ───あぁあぁあぁあぁあぁあぁ───」

 

リッカからしてみればなんてことのない、スキンシップからのコミュニケーションであるのだが。

 

「ま、ましゅ、ましゅましゅ、デコチュー、先輩と私とましゅましゅ…私が先輩にキス…私がキス、私もキス…私が先輩とキス…」

 

(大丈夫?なんだか知らない記憶溢れ出してないかしらコイツ)

 

「お、おーいなすび?マシュ?大丈夫ー?正気に戻ってー?」

 

蒸気MAXな機械のようにガタガタと震え始めるマシュ。ただ事ではない気配を感じ取り、介抱に走るリッカとじゃんぬであったが──

 

「ま───」

 

「「ま?」」

 

「ましゅー・ほぷきんす!!!(バタン)」

 

「「魔女狩り将軍!?」」

 

哀れセイレムにて単に邪魔だからとニャルに窓に窓にされてしまった某ホプキンスおじさんの名前を叫び、顔を真っ赤にしてブッ倒れるマシュ。幸せと恥じらいと喜びが、キャパオーバーし防ぎきれなかった結果である。

 

「マシュ!?おーい!?マシュー!?」

 

「…そっとしておきましょう。また夢の中よこれは」

 

「えへへ、えへへ…マシュは…あなたのシールダーです…しぇんぱい…えへへへへ…」

 

これから夢の通りにスポットを巡る前に幸せキャパオーバーで倒れてしまう栄養過剰摂取なすび。しかしその表情はとても幸せそうに笑みを浮かべていたのであった──。




カーマ「命拾いしましたねマシュさん…これ以上異経典を見せられていたら力を解放してマーラになっていたかもしれませんでした…」

グドーシ「どれほどの力を開放してしまうところだったのか気になりますが、マシュ殿はこれで寂しさを感じる機会が減っていけばよろしいのですが、それはこれから次第でありましょう」

ジーク「きっと大丈夫だ。始まりの約束というものは忘れない誓いとなって胸に灯る。彼女達が彼女達でいる限り、これからもずっと」

オルガマリー「まぁ、少なくとも見落としはしないわ。マシュはわかりやすいもの、そういうところ」

ギャラハッド『…。最早君達の旅路の果ては誰にも読めない。だからこそ、君達の歩む旅路を見届けたいと願っている。彼女達を見届けたいと思う。今回の騒動は、そういった想いを受けた部分もあるのだろう』

グドーシ「ギャラハッド殿…」

『共に、これからも歩もう。今を生きる、彼女らの人生の行末を見届けよう。それが私の──変わらぬ願いだ』

「同じく。──見届けましょう。皆様の、絢爛の旅路を。いつまでも──」


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『マシュ 尊死』
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