人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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シオン「こちらが、ニャルさんの活動の報告書になります。お目通しを」

ギル「うむ、御苦労であった。ヤツもガス抜きが必要であろうからな。邪神としての、な」

──下に、『インテリア職員目指す!』と書いてありますね?

フォウ(止めろぉ!?)

シオン「彼、止める際にはどうするべきなんでしょうか?」

ギル「こやつを使え」

カービィ「ポヨイ!」

シオン「カービィくん?」



カービィ「ポヨォオーイ!!(ヒュゴォオォオォオッ!!!)」

ニャル【アッ!!この吸い込み…!強いッ!!ボボボボ!!助けて!ボッ!ボボッ!!助けてぇー!!】

(ヒュゴォオォオォオッ!!!)

【この吸い込み!ビッグバンだから!強いッ!!ボボボボボボッ!!ナイアッ!エキドナ!マイサンッ!部員ッ!!ボボボボボボボボボボボボ!!】



ギル「この様に、誘惑も幻惑も効かぬ真の星の勇者は邪神をものともせん。後は魔を断つ剣で仕留めよ」

──自分が滅ぼした世界の十倍世界を救ったと言っていました!凄いですカービィさん!

シオン「あっ、無敵じゃないんですね!?」

ギル「無論だ。そしてヤツは戦っても強い」



カービィ「スーパーッ!ソォオォオーードッ!!!」

ニャル【ギャアァアァアァアァアァーーーッ!!!】




ギル「このように、邪神相手の切り札よ」

シオン「すごぉい…」


地獄界曼荼羅・平安京〜陰陽合一──轟雷一閃・劫火絢爛──
大宴会前夜祭!そして──


「夏の催しは最低3ヶ月はやるらしいぞ!」

「水着!キャンプ!冒険お宝肝試し!」

「レースもやるって噂だ!今のうちに種銭用意しとかなきゃな!」

「サバフェスも開催だってよ!!楽園の夏は忘れられなくなりそうだよなぁ!!」

 

楽園、管制室。此度ばかりは特異点反応も異常も見受けられないこの平穏にて、日々の活力となるイベントの催しに浮足立つ職員達。楽園の夏は一味違う。それはもう忘れられない規模になることを信じ職員一同は浮かぶ程に浮足立っていたのである。

 

「全く何かねこのらんちき騒ぎは!世界の未来を一手に担う楽園カルデアとあろうものがなんと弛んでいるお姿か!いやまぁ楽しみなのは解るけどねレースとか!ほら所長!君からも何か言ってあげなさいよ!」

 

「皆!!」

 

「「「「「「!!」」」」」」

 

一同が、オルガマリーの一喝に余さず整列する。どれだけ緩んでいようと、所長の言葉と信頼に勝る事象はない。絶対の絆と規律が、楽園を支えるのだ。

 

(頼もしい…本当に頼もしいよ我等が所長は。まさにロードの貫禄…太っちょ副所長たる私も見習わなくてはねぇ…)

 

「ギルからの勅令よ!今回イベントに参加する職員達に遊楽費用10億円が一人一人に振り込まれる事になったわ!口座番号を提出か小切手にサインするように!!」

 

「「「「「「うぉおぉおぉおぉお大盤振る舞い来たぁーーーーーッ!!!!!」」」」」」

 

「そんな事が許されるのかねーーー!!?」

 

軽く宝くじ一等数回分をキャッシュ配布する驚天動地の太っ腹ぶりに、オルガマリーを初め職員の士気は極限にまで高まるのであった──。

 

 

「ほ、本当に…本当に私の手に十億の小切手が…!!これを稼ぐ為に一般人はどれほど人生を費やさねばならないというのかのレベルの超絶大金をこんなにも…あっさり…!!」

 

「ちなみにお金は貯金でもよろしいそうです」

 

「フォウ!フォウフォーウ!(跪け!崇め奉れ!君達は今ラッキービーストの前にいるのだ!)」

 

「「「「「「ありがとうございます!ありがとうございますラッキービースト様!御機嫌王!英雄姫!!」」」」」」

 

配りにやってきたフォウに全員が最敬礼する異様な光景を前に愕然と震えるゴルドルフに、部員製フジオカブレンドのオリジナルコーヒーをドリップするオルガマリー。彼女は九割をリッカ達の将来資金に回すことにしているので、使う金は1億だけである。問題ない、カジノで増やすまでであると所長は邪悪に微笑んでいた。

 

「ゴルドルフ副所長はレースに出るのですか?今回のイベントは時間軸と空間を弄る為、並列でイベントを堪能できます。皆が満足したなら9月に進みますので遊び放題ですよ」

 

「怖い!こんなに本気な遊びをする楽園が非常に怖い!時間軸と空間を弄るってなに!?毎日が日曜日なの!?」

 

「ギルは毎日が金曜日がいいと仰っていました。ゴージャスなので」

 

一昔前のオルガマリーならばテンパり、卒倒していただろうが今や彼女はゴージャスに調教されたカルデア所長。今更非日常や非常識などで揺らぐはずもなく。

 

「ありがとう、ありがとう。美味しい珈琲になって、ありがとう、ありがとう…」

 

このように豆に語りかけドリップを続けている。いつか日本に赴き、フジオカ印の珈琲豆を購入するのが夢であるという。

 

「む、むぅ…これでは私も示しがつかんではないかね…仕方ない、ホムンクルス達に正式に分配して、余ったお金はへそくりに回しつつ愛車のオーバーホール資産にするか…」

 

『夏休みは休暇を頂きます メイド一同』

 

「もう遊び休みを申請したよこのホムンクルス達!仕事早い!いや遊び早いかな!?どっちでもいいか!」

 

そんなこんなで、今は5月の25日程。全ての仕事を終わらせた後はいよいよ最大限愉悦巡りである。今年の夏を忘れられないようにする為に、一丸となる時だ。そして、そんな中でも奮闘する者達もいる。

 

「はぁ、はぁ…死ぬかと思ったぁ…」

「ただいま戻りました〜♪バモラムーチョー♪」

 

サンバ服に着替えたシバニャンに、疲労困憊のロマン。彼らは彼等にしか出来ない、特殊な任務を請負いその一段落として帰ってきたのである。

 

「はい所長コンビ、こちらお土産です♪一緒にサンバしましょー♪」

 

「ありがとう。どう、ロマニ。地球の地脈の掌握は順調?」

 

「えぇ、なんとか。この調子で行けば、10月には一段落付くと思います。地球の魔力の流れを、楽園で掌握できる様になりますよ」

 

「ろ、ロマニ君。どういう事かね?それは例の…人理金箔とかいう作戦の準備かな?」

 

ゴルドルフの問いに頷くロマン。これは彼…ソロモン王たる彼にしか出来ない、驚天動地の大仕掛けなのだ。

 

「空想樹の養育の栄養は、地球の地脈から引き上げた魔力というデータが出ました。ですからこれを阻害、遅延させる為に先んじて地球の地脈を僕が掌握して、魔力の流れを全部コントロールしちゃおうかなという作戦です。流石に楽園で座って掌握!…は無理だったので、こうして地脈の大きい地点に赴いて、指輪一つ一つに結びつけての繰り返し…遠方出張ですよ。まぁ、寂しくなんてありませんが!」

「はーい♥ギルギル様が気を遣って私をお付きに選んでくださり実質ふたりきりの世界旅行となっておりまーす♪凄かったですねぇ…グランドキャニオンの夕陽にラスベガスの夜景っ!はぁあ…そして隣には、愛する殿方…♥♥♥」

 

「最近コーヒーが甘い味しかしないのよね…味覚が狂ったかしら…」

 

「原因はここにいる二人だよ全く!…だがまぁ、君たちはようやく巡り会い籍を入れられた尊いカップルだ。無粋な事は言わんよ。置き引きや強盗にはホント、気をつけ給えよ?」

 

彼もまた、空気は読める不死鳥である。彼等が色に惚けてばかりの存在でない事は理解している。そしてこれは、必要な事なのだ。

 

「人理金箔…人の世界に一時的に黄金の幕を被せる言わばゴージャス流『人理漂白』…三ヶ月間、完全に人里は外界から遮断される除草アスファルト工事…本当に可能かどうかは断言できんが…」

 

「不安ですか?」

 

「…私は一般人の感性を捨てきれん。とてもではないが全人類の命運を背負う作戦の全容などは合点が行く気がせん。出来るのは、諸君らの作戦の成功の無事を祈ることと、責任を負うことのみだ」

 

そう、人類の命運と文明、すべてを守護するための戦いの布石。失敗したら無論人類の終焉だ。そして、三ヶ月間はどうしても人類の…地球圏の活動は停止する。それほどの事を行わんとする決意の壮絶さを、一般人である自身は背負えない。

 

「失敗した時や辛い時は、私のせいにしてくれ。副所長が止めてくれたら、とか、副所長がゴーサインを出したと。そういう、吐きどころがあるとないとで──」

 

「大丈夫、成功しますよ。副所長」

 

その弱気を、オルガマリーは断言し遮る。彼女は、信じているのだ。

 

「皆がいます。私がいます。応援してくれる皆も。人類の可能性は無限大なのですから、ここで終わるはずがありません」

 

「オルガマリー君…」

 

「一般的な観点は大事ですが、卑屈にならないよういきましょう。世界は、私達を中心に回っていますから」

 

「そう考えた方が楽しい!だろ?愛弟子♪」

 

人理金箔の提案者、ダ・ヴィンチがオルガマリーの水着のデザインを持ち現れる。彼女らは、信じているのだ。自分たちを、可能性を。

 

「僕も昔は、どうせうまく行かないと予防線を張っていました。ですが…薄く浅くの付き合いは楽だけど、やっぱり寂しいものです。だから…」

 

「…あぁ、そうだな。私もいつまでも恐がってもいられぬだろうしな。副所長だしな」

 

ゴルドルフはロマンに、右手を差し出す。決意と激励の握手だ。

 

「頼むぞ、ロマニ・アーキマン。我等でなんとしても、未来を掴もう」

 

「えぇ!頑張りましょう!皆と過ごす明日の為に!」

 

最早、白々しく同調する八方美人のアーキマンはいない。未来を掴む決意を固めた人として、魔術王として、伴侶持つ男としてその手を握りしめ硬く握手を交わす──。




ムニエル「ん?…こ、これは!?」

オルガマリー「どうしたの?」

はやて「特異点反応や!誰やこんなタイミングに!!」

橘「やはりそういう事か」

突如発生した特異点反応、そして──

安倍晴明『それは間違いない、アルターエゴ・リンボの仕業だ。人理金箔が起きる寸前のタイミングで仕掛けてきたのだろう』

ゴルドルフ「誰かね!?」

美少女占い師型ヒューマギア『こんにちは、メイって呼んでね。私が説明させてもらうよ』

ダ・ヴィンチちゃん「なんだか素体をにとりちゃんと作ったら取り憑いちゃってさー!」

ゴルドルフ「何しとるのかねー!?」

夏休み前の期末テストの如く、事態は風雲急を告げる──。

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