人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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先の1500話発言はミスでした、申し訳ありません!でも、確実に辿り着いてみせます!

紫式部「清少納言…草の庵殿に話をつけていただければ、必ず一泊の宿を用意していただけるでしょう。晴明様の口添えがあればまず確実かと」

メイ「そうだったそうだった。香子と彼女は同じ時代だったな。なら問題ない。丁度あつらえ向きに向こうからやってきてくれたしな」

オルガマリー「歌人同士の繋がりがあったという事かしら?」

紫式部「あぁ、いえ…そういう訳ではなく。今風に言うなら、彼女はその、『陽キャ』なので。お話のうまが合うかと思い…」

オルガマリー「ではそのように指示をしましょうか。…でも、油断は禁物ね」

ムニエル「えっ?」

「天覧武者…四天王に頼光さんを足しても5人。残るは誰かと考えたら…ね」

メイ「それはきっと、いずれわかるともさ。では──」

ダ・ヴィンチちゃん「おや、何をする気かな?」

メイ「逆探知を少々」


立てば貴人、座ればをかし、未来を経ればいとエモし

「なぎこ?なぎこさんと仰られました?つまり…」

 

「お、知ってるかリッカ。この方は清少納言。紛れもなく押しも押されぬ貴人の御方よ。しかし斯様な夜更けに一体何用で牛車を動かされたのか?」

 

清少納言。平安にて人生を送りし日本を代表する文化人。その名を冠する着物の方が、牛車より現れ声をかける。その身は間違いなく高貴の身分、段蔵と3匹のお供は平伏し頭を下げる。

 

「あはは、何気取っちゃってんのさ金ちゃん。なんだなんだ、女の子たくさん侍らせて夜遊びとか頼光母上泣いちゃうぞー?」

 

(((軽っ!)))

 

しかし、その言動は非常に気安く、そして軽い。偉丈夫金時を金ちゃんと言ってのけ、事も無さげに話してみせる。その振る舞い、着物で隠せぬ陽キャの気あり。

 

「清少納言と言えば、平安時代の歌人。一条帝の妃たる中宮定子様に仕えたとされる御方」

 

「おー?なんか珍しげな話するじゃん。昔宮中にいた?…いや無いか。その橙髪の子がちびっこくらいの話でしょうに」

 

(何歳なんだろうかこの御方)

(女の歳を詮索しない!デリカシー無いお供ね!)

 

「年齢の話は清少納…清子さんにはダメな!結構若作りで本当の歳は…」

「せいっ!」

「いてっ!」

 

その気安さは、まるで面倒をよく見てくれる近場の家の姉が如く。金時とどつき漫才をやって見せる次第であるほどだ。

 

「そこの皆は見慣れない姿だね。金時の友達かな?昔馴染みの付き合いで女の子の免疫なさげだけど、いい子だから仲良くしてやってよ」

 

「親しいのですか?御二方は」

 

「あー、まぁな。山から降りて不慣れな俺の面倒を見てくれた縁があってよ。世話になった御方なのさ」

 

「ふふん、そうだよ白頭巾。清子さんは面倒見がいいんだよねー。で、どしたの?迷子って訳でもないでしょ?」

 

「レイシフトしたはよろしいのですが、先にサーヴァント同士の戦いがあり、なんとか鬼を撃退し金時殿と合流した後にこれからを話し合っていたんですよ」

 

((主!?))

 

桃子、飾り気ない事実陳列。噛まずに伝達出来たと胸を張る古今無双の神秘の化身。無論清子殿、ぽかんと開口

 

(桃子直球すぎィ!?カルナさんとはまた違ったドストレートだよ!?ほら清子さんぽかんとしてるぅ!)

 

(ぽかーん)

 

『主、悪い事は言わないから対話はリッカちゃんに任せましょ?主はリッカちゃんの守り刀としているんだから、ね?』

 

「あの、そのですね!時空旅行を行い適応したは良いのですが寝過ごす宿が無いという事なのです!」

 

「じくーりょこー?何それ、新しい菓子の銘菓か何か?」

 

(なすびぃ!!)

 

「ま、まぁアレだ!このおなごの大所帯、月に見守られ野宿なんぞさせるにゃまずい。いや俺が護るから安全なんだが風邪は引く!しかもさみぃ!だから寝る場所を探していたってわけだな!」

 

金時、なんとか軌道修正。なぎこさんも合点が行ったように笑顔を浮かべる。

 

「なんだぁ、家出の最中ってわけね!いいでしょいいでしょ、それなら良き場所を知っています!」

 

「本当ですか!宮殿内裏でしょうか?リッカねぇが居を構える場所と言えば」

 

「寝床に帝さんのお膝を使うとか凄いこと考える桃太郎がいるらしい…」

 

「まぁまぁ、とりあえずついといで!ほら御者!牛車動かす!」

 

清子に急かされ、牛車が動き出す。どうやら清子は、自分達の面倒を見てくれるようだ。一同は彼女を信頼する事にて合致する。

 

『GI的に間違いなく味方である。金時殿と親しい間柄、悪党では不可能だと進言』

『渡りに船、地獄に仏、ニビジムにポッポ。主、リッカ様。あの愉快な方に付いて参るが得策かと』

『うら若い女の子がいっぱいいるのに野宿とかナンセンスよねぇ。拠点確保の為にも、行くべきだと思うわ』

 

「──うん、ならついて行って見ようか!いい?兄ぃ」

 

「勿論だぜ。飯食って寝なきゃ力も入らねぇしやる気も出ねぇ。何処かは知らんが、行ってみようや!」

 

そして一同は歩みだす。牛車を追い、清子の示す良き宿たる場所へと…

 

 

「何故ゆえに…私は牛車の中に…?」

 

本来ならやんごとなき貴人しか入れぬ筈の牛車に、金時と桃子、マシュの直訴により入ることとなったリッカ。周囲に金時、桃子、マシュに段蔵、三匹のお供の完璧な防御にて運ばれるという贅沢な扱いに、思わず縮こまるリッカ。当然ながら、自身の立場は一般市民クラスであるので、牛車に乗る資格を有しているなどと自惚れられる筈も無く。

 

『グランドマスターズの筆頭らしい扱いじゃないかリッカちゃん!役得だよ役得!』

 

(くっ、ロマンの善意の笑顔が嬉しい!清子さんに触れたら無礼討ちワンチャンあるというやばめなピンチなのに!?)

 

『そこなら道満…いいや、リンボに面倒な聞き耳を立てられる心配もない。我々カルデア組の通信が歩きながらできる効率的な処置さ』

 

ロマン、晴明の言葉にまぁ、そういう事ならと縮こまるリッカ。牛車初めて?力抜きなよーと清子に頬をふにふにされながら会議を行う。

 

『今回の聖杯戦争…リンボの狙いは空想樹の養育と開花だろう。ロマン殿、カルデアスタッフと話し合いそう結論を出した。要するに英霊という膨大なエネルギー、平安京という術式、特異点という器を使って新たな異聞帯、ロストベルトを養育する腹積もりだな』

 

『聖杯も恐らくリンボが持っている筈だ。聖杯の魔力リソースがあれば、空想樹の起動や維持も容易だろうからね』

 

(はっきり断定するね。情報戦で大事なのは根拠、ソースだけど…)

 

『あぁ、それなら確かな情報だよ。出処はリンボ本人さ。ロマン殿と逆探知し、大体のあらましは掴み取った』

 

吹き出すリッカ。この陰陽師、元凶から情報ぶっこ抜いてる…!その術の腕前と淡々とした最適解への手段行使にひたすら呆れるやら、驚くやらである。

 

『音声記録がこちら』

 

【おのれ晴明…!拙僧が用意せし数多無数の阻害占術に秘術に呪術!事も無げに台無しにしてくれるとはァァァ!!しかし!しかししかし!ムキになって張り合うは賢くない、賢くありませぬぞ拙僧…この場は!あえて!晴明を無視する!!あやつの仕掛けた術式に、あえて!何も!行わぬ!そう!『好きの反対は無関心』!!拙僧は晴明など、眼中に無し!!】

 

『まぁ私は道満殿は嫌いじゃないからこうやってアンテナ伸ばすのだが』

 

【全く晴明の事など意識してはおらぬが、我が愛しき藤丸リッカと絆を結びし兄、そして母!それら生前なる平安京!それらに招かれしリッカ殿は満面喜色にてございましょう…壊しがいがある程に!この平安京を異聞帯にし、かの愛するものらが異聞帯として牙を剥くその事実!かの少女への痛快な意趣返しとなりましょう!拙僧だけの空想樹、拙僧だけの異聞帯…生贄は、そなたこそ相応しい…!晴明などまるで意識してはおらぬ!断じて!】

 

『こうやって晴明憎しで穏やかじゃない状態だから、付け入るスキはいくらでもあるよリッカちゃん。落ち着いて対処していこうね』

 

「うん。…あなただけの異聞帯、か」

 

リッカからしてみれば、リンボの考案した行為は絶対に実現させるつもりはない。いつものように、いつも以上に解決する覚悟は決めている。迷うまでもない。平安乱す悪鬼外道、斬り捨てるに躊躇いなし。

 

しかし、それは恨みや憎悪でなく。平安京に生きる人々、其処から繋がる歴史の全てを護るために悪を討つ。敵討ちは二の次、三の次。母と子の世を護ると、二振りの刀に誓う。それはリンボの声を聞いても、最早揺らぎはしない。

 

『うん、いい平静だ。なら私も、リンボを徹底的に虚仮にできるというもの。ではまず、リッカちゃん』

 

リッカにそっと耳打ちする晴明。彼女、いや…彼曰く。

 

『リンボが考えたこの聖杯戦争、見るも無惨に荒らしてやろうじゃないか──』

 

道満と自分の間に違いは一つ。楽園の敵か味方かの差異だけと語る陰陽師は、天使の様な顔で微笑んだ──。

 

「何話してるのさー?」

 

清子はよく解っていなかった。




清子「よぅしついたついた!此処がかの女性の御屋敷だい!」

桃子「おぉ…リッカねぇが寝泊まりするに相応しき御屋敷」
マシュ「やんごとないです!」

清子「でしょ?いま巷で話題の源氏の物語!その作者!紫式部ちゃんのお屋敷でーす!」

リッカ「あそっか!香子ちゃんと同年代だったっけ!」

清子「お、何々親しい感じ?」

「あ、その…大ファンで!」

段蔵「驚きました。お知り合いでしたか」

清子「いや全然知らんし」

金時「知らねぇのかよ!?」

メイ『問題ない。私が説明しよう。何を隠そう、彼女に術を教えたのは私でね。晴明本人が説明すれば信じざるを得ない筈だ』

ゴッフ『こういう時サーヴァントって楽だよね…』

清子「流石に初対面訪問はまずかったかな?じゃあ、『草の庵』がよろしく言ってたって伝えておいてよ。まず伝わるから!じゃあ私の家あっちだからさ!またねー!おやすみー!」

イヌヌワン『嵐の様に去っていった…』
アンク『自由な方ね。案外現代に被れたら面白いかも』

メイ『よし、では早速行くとしようか。ロマン殿』
ロマン『行くのはともかく、話をややこしくはしないでね…?』

そうして、メイもまたレイシフトにて平安京に来たる。香子…紫式部への助力を仰ぐために──

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