リッカがそれを起こすには…
楽園に来て美味しいご飯と毎日8時間の睡眠、適度なギリシャ式運動を一年間続ける。
産みの親を殺す
グドーシと再会する
生きていて良かったと自分を肯定する
人類最悪のマスターとして世界を救う
事により、イラストのスタイルとなります!女神の祝福はこれらを全部無視して最終形態にしてくれます!
みんなも立香をリッカに進化させよう!
〜閑話休題〜
道長「帝!」
一条天皇「ん、道長か。生きていたのは流石だな」
「ふふ、それは互い様と言うもの。どうやら、悪逆果てる時にて」
一条天皇「その様だね。だが、リンボなどたかが小物。問題は次だ」
崇徳院『……』
道長「…大魔縁、なるか」
一条天皇「かの御方は晴明ですら手に余ろう。故にこそ──」
メイ『窮地にて無礼を赦されよ皆様ら!』
道長「晴明?」
メイ『崇徳院殿。どうか…どうか。その威光をお借りしたく。平に願い申し上げる…!』
崇徳院『…?ぼく?』
『どうか、この霊験あらたかな剣にて祓いてもらいたきものあれば。遥か未来、縁を切り結ぶ神となる貴方様に成し遂げていただきたき事。どうか、何卒…!』
『………』
【莫迦な…!莫迦な、莫迦な…!】
邪悪、潰える時。目の前に現れし黒曜の邪龍神、真紅の大武者に睨まれしキャスター・リンボ。獣にも、神にもなれず。萎び切った空想樹と命運を共にする瞬間がそこまで来ている。
【晴明!道満!道満!晴明!!晴明晴明晴明ィィィィィィィィィィィィィィ!!!おのれおのれいつもいつもいつも我を儂を嘲笑いおって貴様が、貴様が貴様が貴様が貴様がァァァァァァ!!!】
【……】
リッカは見据える。心に、本体に、本人に置いていかれた感情の末路を。エドモンが脱ぎ捨てた巌窟王然り、道満が乗り越えた悪心然り。本人に取り残された感情と言うのは、憐れに過ぎると。
『御託はもういい。大将の真似じゃあねぇが…リッカに纏わる悪い虫、そろそろ叩き潰させてもらうぜ。──とどめだ、行くぜ。リッカ』
【──うん。行くよ、アンリマユ!金時兄ィ!】
【オッケー。ごめんなさいの三行半で決めてやろうぜ!】
【!ま、待て!待て!情報!情報交換というのは如何であろうなァ!?未だ拙僧しか知り得ぬ『異星の神』の秘中の秘、そなたらの時空に預かり知らぬ終末の獣、U───】
『必殺!!!』
【令呪三画!そして──使わせてもらうね!ロマン!とっておき!!】
金時に楽園カルデア式の令呪を総て注ぎ込み、神霊クラスにまで魔力と霊基を跳ね上げる。そして邪龍神、自身の半身にロマンが編み上げた至高たる魔術王令呪(一日一回)に、自らの、それぞれの戦いの勝利を誓う!
【待てえぇえぇぇ!!こちらにはまだ、蘆屋道満の意志が───!】
『黄金無間!!大両断────!!!』
草那芸之大刀に、黄金の魔力を注ぎ込み、天雷走らせし一太刀を空想樹へ見舞いしゴールデン・ヒュージ・ベアー号──!
【覚悟しやがれよ!加減も無しで焼くからなァ!!】
邪龍神が空高く飛び上がり、翼を拡げ、ヤオヨロズを高速回転させる。回転により高まる熱量、魔力の充溢が限界を越えし瞬間───!
【くたばりやがれぇ!!!劫火絢爛!!
その剣を飲み込み、漆黒の劫火纏う剣のブレスとして解き放つ──!片や黄金の豪雷一閃、片や黒曜の劫火絢爛をその身に受け──
【ッッッッギャアァアァアァアァアァアァアァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーーッッッッッッッッッッッッ!!!!!】
今まで上げさせてきた悲鳴、苦悶、慟哭、嗚咽を遥かに上回るような渾身無類の断末魔が、空想樹より響き渡る──!!
『おぉおらぁあぁあぁあぁぁあぁあぁぁあっ!!!』
【
【ぐぎぃあぁぁぁあぁあぁおのれ源氏おのれ天皇おのれ将軍おのれ晴明おのれ道満おのれ晴明おのれ晴明おのれ晴明晴明晴明ィィィィィィィィ!!!許し難し、許し難し!許し難し!!】
(だがいかぬ!これでは我が本体爆散必死!ならばせめてもの報いとして、楽園の情報をいずれ来たりし異星の神に!ここは何をおいても、空想樹を箕にしてでもなんとしても逃げ果せねば──!)
そんな、焼き払われ断ち切られながらも足掻くリンボの──本体へ。
「リッカねぇ!金時にぃ!リンボ本体──私達にお任せを!!」
「忍び連合に源氏の武者に鬼のみなさーん!!」
桃子、そしてマシュ。並びに源氏の武者に、鬼ら忍びらが集い引導を渡す──!!
「源頼光、参ります!我が娘に纏わる虫、滅殺!!」
「綱、参る。外道は鬼より斬りやすい…!」
「風魔小太郎、母の玩弄破壊の怒りを今!!」
「加藤段蔵、下総の無念を此処に!」
「望月千代女。千載一遇の好機にてニンニン!」
「うらはん、茨木!遅れんときや!」
「無茶を言うな酒吞!だがそれでこそだ!」
【やるぞ、うら。おまえのかなぼうの仇を取る】
「そこかよ!──よっしゃ!行くぜぇ桃子!!」
『あぁ、行くぞ皆!これより『邪悪』を封ずる!』
「「「「「「【悪鬼羅刹!!いざ封神!!】」」」」」」
斬撃、打撃、くない、忍法、術式。それらがリンボ本体、霊核、それら総てを打ち据え、叩きつけ、砕き散らし遥か封印の彼方へとリンボを叩き込む──!
【ンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンンみごと、みごとなり、みごとなりや皆様ァァァ…!!これほどの蹂躪受け奉れば最早必死は必定!まこと、まことにぃ──!】
(等と、言いつつ!このリンボ、ただでは死なぬ!こやつらの術式、こやつらの戦力!こやつらの戦法!総て総て交信のカタチで発して見せようぞ!貴様らの手の内!余さず晒す!そして爆散の後にて必ずや復活し、何度でも──)
『君今セコい事考えてるだろ』
【!?!?】
『悪いが、君に次なんてない。その顔で、その身体で悪事を重ねるのも此処までだ。──敗者に相応しき末路を辿れ』
その言葉と同時に──札から、小さな。小さな手が現れる。それは小刀握りし、小さな手。
『それ』
すぱり、とその手がリンボを斬りしその瞬間──
【ぐ、ががっ!?がががががががががががががががががががががががががががッ!?】
(接続失敗!?回路遮断!?発信不能!?脱出不可能!?何が起きた!何をされた!?何を!?)
不理解のまま狼狽するリンボ。その一撃はあまりに小さく、あまりに弱く。あまりに──絶対的。
『これでいいの?』
『えぇ。まこと、まことご立派でした。遥かなる未来にて、悪縁断ち切り良縁結びし我等が神。『崇徳天皇陛下』』
それは──札より威光をお借りした、晴明の仕上げ。部員と組み込んだ術式にて捉えたリンボを断ち切る、必殺の一閃。
【崇徳、天皇……大魔縁の、人の号…──?ま、待て!待て待て待て待てェッ!!】
『なんだ、まだ言いたい事があるのか』
天皇陛下に絶縁され、最早現世から消え去るのみのリンボ。醜悪に、無惨に、それでもと喚き立てる。
【まだだ!まだ拙僧には奥の手が!!果たさぬ呪詛が!見果てぬ破滅が!!まだ拙僧には成し得る愉快がある!この様なところで!この様なところで!!この様なところでェエェエェエェエェエェエ!!!】
【───リンボ】
然し。喚き立てるリンボに、向けられる声が一つ。
【…ありがとね、リンボ。私の事、好きって言ってくれて】
【──!?】
リッカ殿…?そう考えた瞬間、荒波が如き心が瞬時に静まる。
【私、告白されたことってあんまり無いからさ。それがどんなに外道でも、狂ってたとしても…やっぱり、好きになってもらえたのは嬉しいから。だから──ケジメとして、お礼だけは言っておくね】
【リッカ、殿…】
【じゃあね!あなたが好きって言った女の子がどこまで行けるか、暇があったら見てみるといいよ!どんな事にも物にも!私は絶対負けないから!!】
──この期に及んで、怨敵仇敵、不倶戴天の輩にまで好意の返礼を返すとは。
【あぁ、なればこそ──】
なればこそ、彼女は沢山の者に愛されるのだろう。彼女は数多の祝福を受けるのだろう。呪詛すら力に変えるのだろう。
その──ひたむきで、真摯なる魂がある限り。そんな魂にこそ、自身も惹かれたのだとしたら。
【なん、とも、…はや──】
ならば最早…この魂への施しも未練も不要。拙僧すらも憎まず、恨まず、誠意を以て地獄に落とすとあらば。
【嗚呼、いつの世であろうとも──悪事と、色恋沙汰は……】
そう──あの笑顔と言葉だけを、冥土の土産にすればよいのでは?そう考えしリンボは、総ての抵抗を止め、総ての足掻きを、総ての呪怨を取り止め──。
【上手く、運ばぬ───もの、です、なァ────】
リッカの最後の言葉をいつまでもいつまでも反芻し、封神の輝きの中へと消えていった──。
?「う、うぅん…ンンンンンン…」
晴明『起きろ、玩具』
道満「んぐぅッ!?──せ、拙僧は誰!?拙僧は何処!?」
晴明「どうやら私の知る道満では無かったようだ。死んでいいぞ」
道満「待ちなされおやめなされ!…何故、拙僧は生きて…?」
道長「晴明、並びに未来の帝の御力よ」
道満「道長殿!?」
崇徳院『聞こえたんだ。君を助けたいってこえが』
晴明「今回ばかりは、部員の皆様に文句の一つも言ってやりたい。私の下位互換なるお前なんぞを助けたいなんぞと酔狂な意見をよくもまぁ。お陰様で崇徳天皇の手まで煩わせる始末だ。道満ごときが生意気だぞ」
道長「何を言うか。真っ先に上申せしは貴様であろうが晴明」
一条天皇『素直じゃないな。それともやはり、好敵手がいないと寂しいかな?』
メイ「違いますー。そんなんじゃないですー。愚民どもに媚びへつらう役割をコイツにやらせるつもりなだけですー」
道満「…皆様が、皆様方が…この拙僧を…?リンボの半身たる、この外道を…?」
晴明「…。世は陰陽だ。道満。善悪白黒、真贋入り交じるが人生だ。お前の人生は、未だこれからだ」
道長「晴明より聞いたぞ。勝ったのだろう?ならばその手腕を活かせ。当代一の陰陽師の腕をな。全く…らしくもなき手抜かりをしおって」
道満「皆様…皆様…!」
…そして、彼等は預かり知らぬ事だが。リッカの最後の言葉にて。リンボはあらゆる抵抗をやめた。最後の最後まで、少なくとも道満は道連れにする腹積もり。
しかし──自らにすら礼を告げたその在り方に、リンボは何か思うところがあったのか。執着していた道満を、手放した。何を思ったのかは──
「本当に、本当に──ありが」
晴明「起きたらさっさと働け、ウドの大木。まだ終わっていない」
「ンンンンンン!?そ、そうでしたな!まだ、大魔縁の鎮魂にて!さぁ、力を合わせましょうぞ晴明殿!ドーマン!セーマン!!ンンンンンン!ドーマンが先!良きものですなぁー!」
晴明「…うらむぞ。部員諸君。こんな輩を生かす選択を拓いた事を」
道満「ドーマン、セーマン!すぐに呼びます陰陽師!ンンン〜!!」
──きっと。彼のみにしか解らないのだろう。ただ、彼の気持ちが偽りでないことは。呪詛喰らいし邪龍が神の霊基に至ったことからも明らかであり。
世界を喰らう神となるリンボの狙いは、確かに果たされたのだ。愛する女を、神に押し上げる事により──
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