人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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高天原

アマテラス『ワゥ!ワンワン!』

尊子「げぇ!大神さんが何をなさっているんです!?」

晴明「私が呼んだ。なんか君獣臭い気がするんで洗濯しようかと。日干しで」

アマテラス「ワゥ!ワゥ!ゥー!」

尊子「もっとあなたにはできることがあった!?そ、そう言われましてもあいたたたた!?頭突きは、頭突きは止めてくださいましぃ!?」


崇徳院『おぉ…』

『崇徳大社』

イザナミ『どうですこの社!歌を詠み、経を唱える縁結びの社!貴方様に相応しいかと!』

将門『怨霊、手厚く敬われる事により神となり。情、敬われ信仰と変ず。いつでも来たれ、崇徳院』

タケル『お前もまた、紛れもなく天の皇だ。我等がここに保証しよう。幼き、風靡なる天皇よ』

崇徳院『はい!皆、ありがとう…!』


小太郎「ようやく、ようやく敵を討てました。我が母を破壊、玩弄した巨悪、キャスターリンボを確かに成敗。…感無量です」

段蔵「小太郎殿…」

小太郎「すみません、私情を挟んでしまい。ですが…」

段蔵「心なき忍びは、ただの刃。…小太郎殿の心、この上なく嬉しく思います」

小太郎「…母上」

段蔵「ありがとう。心優しき、我が自慢のあなた…」



なぎこ「おっしぇえぇえーい!!無礼講無礼講ー!」

道満「やめなされ!着物を脱がそうとするのはやめなされ!なりませぬ!なりませぬぞぉお!」

香子「あわわ、あわわわわわ…」

バベッジ『カオルコ。あれこそがパリピである』

「ぱりぴ!?な、なんと面妖な…!?」


「ンンンンンンンンンンンン〜!!!」

このあとめっちゃ剥かれた。


宴と出逢いと黄金色の郷愁

「なんでこんなに日本は魔境なんだ…」

 

高天原における大宴会の始まり。神も鬼も、人も騒ぐ乱痴気騒ぎ。幕を開けたのはカドックの言葉。日本の素敵な惨状を端的に表した言葉に、皆が想い想いの所感を示す。

 

「異聞帯イザナミの異変に対して更にリンボのやらかしだ。呪われてるんじゃないかこの地理…」

 

「こらカドック!なんてこと言うんだ!私はすっかり気に入っているんだぞ!素晴らしいじゃないか日本!幻想郷といい、日本の特色、特に女性は素晴らしいよ!私すっかり気に入っちゃったなぁ!おいでやす!いけずぅ!」

 

「ぶぶ漬けに嵌ってしまった」

 

「ダメよデイビッドそれ帰れって意味なのよ!?いやぁホント、酷い目にあったわ…日本生まれに無差別な呪詛、流石は大魔縁たる御方ね…」

 

「災難だったわね、アロウ」

 

「お疲れ様、アロウ。サポートはしっかりしてもらってたでしょう?」

 

「オフェリア!ヒナコ!?本名は止めて!?」

 

「んふふ…みなさん!このマシュ・キリエライトは今回も大活躍してしまいました!先輩の手となり足となり一生懸命に戦果を挙げる事を苦慮し、先輩のオンリーワンサーヴァントとして!」

 

「凄かったですよね、桃子さん!」

「流石、日本一の兵!グランドセイバーだわ!」

 

「アルトリアさん!?アイリさん!?」

 

「まぁまぁマシュ殿。リッカ殿があなたを特別な存在として見ているのは周知の事実ですので」

 

「蘭陵王殿を当方は肯定する。あの大魔縁の跳ね返し、確固たる信頼があればこその大金星だ」

 

「蘭陵王さん…シグルドさん…!(マシュゥ)」

 

「うむ、団子が美味い。フランドールにも持っていってやろう。ついでにアナスタシアにもだ。ふふ、喜ぶぞぉ」

 

「京の景観…桜をヒマワリにするのは冒涜、でしょうか。エヘヘ…」

 

マスター達、サーヴァント達が思い思いの言葉を交わす。彼等の存在なくして、京の安寧は決してあり得なかったのだから。そして片や、やんごとなき集まりにては。

 

「はいはいはいはい!!オレ楽園行きたい!鈴鹿のマスターがどんだけ別嬪さんかもっともっと間近で見てみたいんだ!良いだろ良いだろ!?」

 

「や、まぁアンタのマスターは晴明殿だけどさ…大丈夫なの?聖杯を寄る辺に来たんだから帰っちゃわない?座に」

 

『問題は無いだろう瀬織津姫。天才魔術師が一分の余裕も無くなる程だが、聖杯戦争終結後もサーヴァントを現界した例はある。こちらには魔術王や楽園カルデアもある。特異点からの霊基移行などどうとでもなるさ』

 

「さっすが音に聞こえし陰陽師安倍だぜ!!よっし決めた!オレは楽園カルデア預かりのセイバーになるぜ!皆よろしくなぁ!」

 

「勝手に決めちゃダメだっての!ゴージャス王様の審査とかあるんだからね!?」

 

「大丈夫だ!オレ様は鈴鹿の夫で大将軍だからなぁ!!」

 

「意味分かんないし〜!?」

 

そんな型破りにて楽園殴り込みを決めた田村麻呂を、遠巻きに見つめる者。それは立役者たる陰陽師であった。

 

「…………」

 

『行きたいのかい?道満』

 

そんな郷愁もたらす道満に、一条天皇がすすすと近付き声を掛ける。

 

「み、帝!?い、いえ拙僧には確かなる使命があります。京の守護を蔑ろにするだなどとあり得ませねば…!」

 

『いいや、君は行くべきだ。…この京が在りし証として、君を招いてもらいたいと私は思う』

 

「そうだ大馬鹿者。何かの間違いでアルターエゴリンボが楽園に紛れたらなんとする。文鎮代わりにお前を置かねば安心出来ないだろう、凡蔵」

 

「晴明殿、我等が帝…」

 

『君は確か式神の技術に長けていた。分身、分け御魂としての君を楽園に招かせるなど朝飯前だろう。一足先に、英霊として人理を守護しなさい。晴明と共に』

 

「肩を並ばせてやる。ありがたく思うんだな、道満。あとセーマンは前にしろ」

 

「…解りました。我が身が皆様の助けになるのなら喜んで!どうか蘆屋道満、晴明殿の永遠のライバルをよろしくお願い致しますぞー!」

 

「うざっ。やはりこいつを助けたのはミスだったかもしれない…」

 

『ははは、水も油も使い様だ。水として、油として。人理という巨大な京に誠心誠意尽力するように』

 

「えー、めんど」

「お任せください我等が帝!ささ晴明殿お立ちあれ!これからとてもとても、忙しくなりますぞー!!」

 

「無駄に元気なヤツめ…これだから、陰陽師という輩は変人しかいないのだ…」

 

恐らく、道満の分け御魂…サーヴァントとしてのカタチを取り楽園に道満は至るだろう。晴明にただ一度勝利した、英雄蘆屋道満としてのカタチを取って。そんな未来を案じ、晴明は心底からのため息を吐くのであった。

 

…そして、この特異点の立役者。轟雷一閃、劫火絢爛の兄妹は神妙に、今までの戦いを振り返っていた。桜舞い散る、神の高天原にて。

 

「勝ったな、リッカ。オレと、お前。皆で護ったんだぜ。この華やかな日本、京の都をよ」

 

「うん。そうだね、金時兄ぃ」

 

二人は背中合わせに、桜を見やる。戦い抜いた平穏と、喧騒を噛み締めながら。

 

「大魔縁様に子孫殿、大武者に外道とはとんでもねぇ大立ち回りもあったもんだ。今でも頬をつまんで、夢じゃねぇかと確かめちまう。だがよ、嘘でもなんでもねぇんだ。お前さんが、こうしているんだからよ」

 

「うん。金時兄ぃも母上も、綱さんも…すっごくカッコよかった。源氏の武者ってこんなに凄いんだって、感心仕切りだったよ」

 

「へへっ、そうかい?そんなら、気合入れてマサカリ振るった甲斐があるってもんさ!お前さんも、俺っちのサーヴァントとして…あぁ、いや」

 

「?」

 

「最高の相棒として、精一杯頑張ってくれたじゃねぇか。リッカが傍にいてくれたから、俺らは、俺は頑張れた。踏ん張れた。本当に…ありがとよ」

 

二人の語り合う姿を見るは、舞い散る桜のみ。それを知ってか知らずか、金時は素直に伝えることが出来た。自身の懐いた感情を、万感の想いを込めて。

 

「リッカ。ちゃんと歯ぁ磨けよ。メシもいっぱい食えよ。風呂にもキチンと入って、ちゃんと体洗って、ぐっすり寝て、毎日ちゃんと運動しろよ」

 

「うん!」

 

「困ったらその、キチンと相談しろよ。カルデア、って場所には大将も、オレもいるんだろ?綱の兄貴は…これからか?いや、絶対に来ないなんて事はねぇ。あの筆頭が来ないなんて事はな。あーと、それと…酒吞や鬼とかには気をつけろよ。いくら仲良くなっても、根本的には違うもんだからくれぐれも怪我をしないようにな。頼れる仲間って言うのは何より大事だから…あーと…」

 

「他にはなぁに?」

 

「…あー!ダメだ!大将みたく親みたいな事の一つもやってやりたいが、思い浮かばねぇや!参ったぜ…オイラ四天王では末っ子みたいな扱いだったからよぅ、その、兄貴風って奴がどうにもこうにも…」

その、兄貴風って奴がどうにもこうにも…」

 

金時は理解していたのかもしれない。別れの時は必ず来る。この相棒は、必ず去っていくものだと。別れはきっと、近くに来ているのだと。

 

だからせめて、精一杯の親愛を。だからせめて、未来に向かって戦う妹に、精一杯の気遣いを。そんな兄の優しい想いが、リッカには確かに感じられた。

 

だから──

 

「ううん。伝わったよ、金時兄ィの気持ち、優しさ、想い、全部全部。だから──」

 

だからこそ。自分はこう言うのだ。彼を表す魂の言葉、彼の生き様を表す最高の言葉を。

 

そう、彼は過去も、未来も、今も。いつだって──

 

「──ゴールデン!だよ!金時兄ィ!」

 

「…あぁ!ゴールデン!だぜ、リッカ!」

 

そう。黄金の快男児の強さと優しさはいつだって、鮮烈にこの心に刻まれている。

 

「ふふっ…小さいと思っていた子らが、いつの間にかこんなにも大きく、逞しくなって──」

 

そう、遥かなる時の果にて、ずっと──




ギル「ふははは!我等の助力なく、助言なくも鮮やかに特異点を排して魅せるほどに研鑽された財共の輝きはどうだ!これこそ宝を抱く醍醐味よ。この輝きこそが財宝たる所以よな!ふはははははは!」

フォウ(皆、本当に立派になったなぁ…)

「しかし、特異点是正の哀しき性よ。修復した暁には霞と消え、そこの奮闘は掻き消える。生前の益荒男共との奮闘も、紡いだ絆も。惜しい話ではあるがな」

──はい。それは過ちを正した際に起こる揺り戻しの様なもの。残るのは、正しき事を為したという記録のみ──

「──だなどと!!素直に首を縦に振る我では無いわ!勝者からは何も奪わせはせぬ、これは世界の理を越える絶対勝者たる我の下した決定だ!!」

──畏れながら看板に偽り有りです王よ。九割勝者に改名しましょう。

「鮮やかに勝利した報奨を、この九割勝者たる我が貴様ら全てにくれてやろう!いざ起きよエア!貴様等に選択の栄誉を100年程くれてやる!!」

──はいっ!最後の仕上げに参りましょう!皆様の戦いを、泡沫にしないための!行くよ、フォウ!

フォウ(よし、やるぞー!)

特異点とは、是正すれば消えるもの。その理を粉砕すべく、王と姫、獣が出陣を果たす──

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