人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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「休ませてあげたい人がいるの」


「――」

「私じゃないわ。私の王子様。たまには、総てを忘れて、楽園で休んでもらいたいの。私も行きたいけど・・・」


「――――」

「『私、本当に死んでしまいそう』だから、止めておくわ。仲良くしましょう?おじさま」

「・・・受け取れ」

「やった!」

「機会は公平、機会は平等也」

「流石、怠惰に堕落に劣化嫌いの骸骨様ね。どう
?私に鐘を鳴らしてみる?」

「無用。然るべき天命を待つがよい」

「うふふ、はぁい」


「――娘よ」

「なぁに?おじさま」

「其は合意の下か?」

「もちろん。私が休んでほしいんだもの。彼も休みたいに決まっているわ」

「――――」


「待っていて、セイバー。あなたが安らげる楽園に、私が導いてあげるから――」


幕間 ファブリーズ必須召喚劇
召喚編・海賊号令


 地上の楽園、カルデア

 

 

 

「どう? ジョジョ、面白いでしょ?」

 

「これが――能力バトルの金字塔……!」

 

「リッカ、マシュ。程々にせよ」

 

 思い思いの時間を過ごす一同に、

 

 

「ゴマ団子? こしあんまん? うーん、なやむっ! 今日はどんな風にダラダラしよっかなぁ」

 

「ロマニ、まごうことなきダメ人間化してるねぇ。――ところで」

 

「?」

 

「どうかな? 彼に『話しても』いいんじゃない?」

 

「…………いや、まだだ。もうちょっと、皆で過ごしてから」

 

「臆病だなぁ~」

 

 

 

 そんな一同に、

 

 

「――我が声を聞け!! 全職員!! 集合ッ!!」

 

 

 

 いつもの号令が響き渡る――!

 

 

 

 

 カルデア、召喚室にて

 

 

「来たか。五分前行動が染み付いてきたようだな」

 

 

 熱々の麻婆を食らう器。自分は例のごとく、意識を眠らせている。

 

 

「あ、ギル麻婆食べてる!」

 

「気に入ったのかい?」

 

 

「たわけ。麻婆なんぞ気に入るものか。――あの酩酊(あーぱー)めが味を占め、何かと我にこれを勧めてくるのでな」

 

 

 ハフハフとウマカラな麻婆を頬張る器。

 

 

「王として、貢ぎ物を足蹴にするわけにもいくまい。食えるのならば食らってやる。それだけの

話だ。三食は流石に御免だが。マリアめに同伴させねば飽きが来ていたわ」 

 

「あーんしてもらったの?」

 

「当然だ。同伴とはそう言うものだ。さて、――今回の召喚は内定が多い。順次に片付けていくぞ」

 

 

 ――そうだ。今回は中々、英雄の選定は簡単だと思う。

 

 

「部員どもに献上された触媒もある。これは後だ。手に入れた触媒、持ってきていような。マスター」

 

 

「うん!」

 

大海賊の帽子を取り出す

 

 

「来てくれるといいなぁ」

 

 

「よし。では召喚を始めるとするか。恐らく数多の賊を招くであろうが・・・まぁ、それなりに奴等の価値は見定めた。味方としては悪くあるまい」

 

 

――イアソンも来るのだろうか。来たら親友とまた冒険できるのだが・・・

 

「マスター、受け取れ」

 

ピン、と指で弾を弾き、同時に契約書を投げ渡す

 

 

「姉御との契約書!それと、これは?」

 

「変哲のない、銃弾・・・でしょうか?」

 

 

「それはアン・ボニー、メアリー・リードめが悪足掻きで我に放った弾だ。言うなれば意地と反骨の象徴。呼び寄せるに不足はあるまい」

 

 

「大丈夫だった!?」

 

「無論だ。掴み取ってやったわ。――ロマン!サークルを回せ!」

 

 

麻婆を食べきり、指示を飛ばす

 

 

「了解だ!触媒があるなら楽だぞぅ!」

 

 

「あ、ギル。月女神の弓矢、どうする?」

 

「次の機会だ。ギリシャ連中は纏めて喚ぶ。今は此方を精算するぞ」

 

 

「解った!」

 

「来るぞぅ!」

 

 

サークルが収まり、現れたのは

 

 

「やぁ、いつぞやは生身のアタシが世話になったねぇ」

 

赤い海賊服に身を包んだ、星の開拓者

 

 

「姉御ぉ!!」

 

「よぅ、リッカ。フランシス・ドレイク。宝を嗅ぎ付け参上したよ!」

 

「フッ、やはり契約は履行されたか。『我』と『ドレイク』に交わされたものだ。例え英霊であろうと果たされるのは必然よな」

 

 

「そうとも。アンタとアタシは相容れないが、契約を結んじまった以上、アタシはもうアンタのものだ。しっかり満足させておくれよぅ?あっはっは!!」

 

「フハハハハハ!!よいぞ。我を愉しませる限り、世の悦楽を貴様にくれてやる!奪うのも構わんぞ?奪えれば、の話だがな!」

 

「そりゃあいい!略奪の自由まで大盤振る舞いとは、散らし甲斐があるってもんさ!じゃあまずは」

 

わしわしと、リッカを撫でる

 

「大事な妹分の、面倒見てやるとこから始めるとするか!」

 

 

「うん!よろしくね!姉御!」

 

 

 

「いきなり最高クラスとか絶好調だなぁ。本命は来ないのに・・・」

 

「何か言ったか、偶像崇拝者」

 

「ひぇっ!な、なにも無いぞぅ!さぁ次々!」

 

 

「ロマニは本当に一言多いんだよなぁ。正論は時として、暴論より人を怒らせるんだぜ?」

 

「気を付けます・・・」

 

「まぁまぁ師匠。このゆるふわさも、ロマンの魅力だから・・・」

 

「マリー――!!」

 

「ちゃんと仕事はすること!」

 

 

「はいっ!召喚サークル、回すよ!」

 

再びサークルが輝き、そして収まる

 

 

「さて、我が私掠の賊になるのは如何なる者だ?」

 

現れたのは――

 

 

「驚いた?僕たちは二人で一人のサーヴァントなんだ」

 

「ダブル!?仮面ライダッ!?」

 

「?確かにライダーですけれど・・・ともかく、私はアン・ボニー。こちらはメアリー・リード。よろしくお願いいたしますわね、マスター」

 

銃を構えた長身の女性、剣を握った小柄な女性。男達より勇ましく戦った女海賊が、星の海を往く天文台に名乗りをあげた

 

 

「貴様らの銃でもあるまいに召喚に応じるとは。触媒と為りうるかは半信半疑ではあったが・・・海賊というのは中々義理堅いものよな」

 

「当たり前じゃないか。海賊は勇猛さや野蛮さと同じくらい、義理と縁は大事にしなきゃやってられない」

 

「海の上で、余計な敵は作りたくありませんもの。死体の処理は楽ですけれど」

 

――シビアだな、海賊・・・

 

 

「ともあれ、よろしくねマスター。・・・いや、御主人様って呼んだ方がいいかな?」

 

「リッカでいいよ!私はマスターだけど、皆の上に立ってる訳じゃないし!」

 

「まぁ――リッカは素敵なマスターですのね。ねぇ、メアリー?」

 

「うん。魔術師って偉そうなヤツばっかで気に食わないけど、リッカは別みたいだ」

 

 

「・・・申し訳ありません、魔術師として謝罪いたします」

 

――頭を下げるオルガマリー。真面目だなぁ・・・

 

「いえいえ、こちらこそ失言でしたわ。軽率ですわよ、メアリー」

 

「ごめん・・・」

 

「先輩はカルデア一のマスターです。このマシュ・キリエライトが保証します」

 

「我も太鼓判を押してやろう。こやつの度胸、運命力、胆力に勇気は間違いなく一級品だ。そこらのマスターなぞ足元にも及ぶまい」

 

「ギル――!!」

 

「女としては、半分売れ残るのが確定しているようなモノだがな」

 

「ぐはあぁっっっ!!!」

 

膝をつき倒れ込むリッカ

 

 

「――マシュもマリーも・・・売れ残るんじゃねぇぞ・・・」

 

「先輩――!!?」

 

「リッカ――!!?」

 

――太陽に近付けば焼き殺される。理屈としてはそんなところだろう

 

「それ、男の見る目がないだけなんだよなぁ。僕には解る。リッカくんの価値が・・・ソロモンの指輪より尊い価値!『オタク趣味』に理解を示す美少女なんて竜より珍しいんだぞぅ!」

 

 

「それを界隈では残念美少女と言うのだ。娯楽本(ラノベ)であったならヒロインを張れた器であろうに。・・・産まれる世界を間違えたな、マスター」

 

「そこまで言う!?くそぅくそぅ!必ず幸せになってみせるから――!!」

 

「大丈夫ですわ、マスター」

 

「いやになったら僕らと海に出よう?毎日が楽しいよ!」

 

「おおっ!彼氏探しに海を渡るのも悪くないかも!」

 

――七海を完全制覇しそう

 

「そうか。奮闘するのだな。オケアノスを見つけるくらい容易かろうよ」

 

 

「そんなに!?」

 

 

「下らない男だったら焼き殺しますから!!」

 

――オルタ!?

 

「どこから湧いた!失せよ!!」

 

 

「ちくしょぅ――!私の分まで女子の皆は幸せになってね――!!」

 

 

 

 

――そんなこんなで、一時の休憩で、皆は部屋を後にした

 

 

「行かないの?」

 

 

マスターと

 

「何、人払いは済ませた。さぁ、本命を果たすがいい。準備は我に任せよ」

 

王を残して

 

 

「うん!」

 

 

海賊帽を置き、召喚サークルを起動させる

 

 

 

――誰が出るかなんて、語るまでもない

 

 

「――!」

 

 

・・・その日

 

 

「んんwwwリッカたんのあつぅい想い、確かに受け取りましたぞww」

 

「――!!」

 

「黒ひげ、参上いたしましたぞ!――あぁ、いや。キャラ崩壊を失礼して」

 

 

「――フッ」

 

「――待たせたなガキンチョ。オレの魂、肌身離さず持ってっか?なんちてwww」

 

 

少女は――

 

 

「く」

 

 

「く?クーデレですかな?」

 

 

「黒ひげ――――――――!!!」

 

「ぐぁっはぁ――――!!ナイスタックルですぞぉ――!!」

 

 

――彼女だけの、運命に出逢う・・・――




「はい、黒ひげ。貴方の帽子」


『海賊帽』


「いやいや!それはリッカたんに差し上げました故、クーリングオフは無用でござる!」


「い、いいの?」

「拙者、マスターのサーヴァント!マスター、拙者のマスター!それは我らの絆の証!それが有る限り、拙者はマスターを裏切りませんぞ!メイビー!一品ものだから大事にしてくだされ!オゥフw血塗れw」


「――ありがとう!黒ひげ!これからよろしくね!」

「あっ――尊い(サァア」

「黒ひげ――――!?」




「さぁ!聖人は鍛練を欠かさぬもの!感謝の激辛麻婆をいただきましょう!」

「――成る程。奇跡の皺寄せはこうしてくるのですか・・・」

「どうしました?さぁ、食事の始まりですよ!」

「ふふ――王でもないのに生きていられますかね、私――」

『ルチフェロなりしサタン麻婆』

「――あぁ、やっぱり救済しなきゃ・・・――」

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