人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜   作:札切 龍哦

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「清磨ーーーー!!!」

『楽園に行こうチラシ』

「…楽園?カルデア?なんだこりゃ?」

「福引でもらったのだ!誰よりも愉快で、御機嫌な王様が治めているという話なのだ!行くしか無いのではないか!?清磨!」

「いや怪しすぎるだろ…現代社会に王様とかいるはずないしな」

「行くのだ行くのだ行くのだ行くのだ行くのだーー!!絶対に行くのだ行くのだー!!」

「やかましい!!…あー…まあ、ガッシュの王様としてのビジョンが明確になるなら、価値はあるか…?」

「ウヌ!絶対にためになるのだ!早速準備するのだ!!」

清「待て!他所に行くんだ、くれぐれも無礼がないようにするんだぞ、いいな?」

「もちろんだ清磨!任せてほしいのだ!!」

清磨「…大丈夫なんだろうな…?」

(お土産買ってこよう…)


リクエスト〜王様研修!王道のあれこれ!〜

「たのもぉおーーーー!!!私はガッシュ・ベル!!そしてこちらは高嶺清麿!!御機嫌な王様に会いに来たのだーーーー!!」

 

カルデアに響き渡る、尊大…尊大?で真っ直ぐな声。めっきり道場破りな挨拶をかます金髪の少年。彼はガッシュ・ベル。とある世界の魔界より繰り広げられる、魔界の王様を決める100人の子供の一人。『やさしい王様』を目指し戦う王様候補の一人でもある。

 

「やかましい!!どこで覚えたそんな挨拶!それは道場破りだ!!」

 

そしてこちらは高嶺清麿。天才的な頭脳と頑強な肉体、そして『答えを出す者』なる異能を所持するガッシュのパートナーだ。二人は何たる導きか、王の集うカルデアへとやってきたのだ。

 

「ウヌウ!?挨拶は大事だと言ったのは清磨ではないか!?」

 

「手順と順序を弁えない挨拶はダメに決まっとろーが!これから話を聞くのは王様だぞ!お前がなりたいゴールにいる相手だ!だからこそ礼節をだな!」

 

「ゴキゲンな王様に会うのだーーーー!!!」

 

「ガーーーーーッシュ!!!待てコラーーー!!!」

 

騒がしすぎる叫び、ドタバタな王様候補の来訪。彼等は果たして、ご機嫌な王様へと会えるのであろうか?清磨の胃痛と共に、カルデア巡りが始まる──。

 

 

「御機嫌な王様ですか?」

 

「ウヌ!会いたいのだ!王様を目指すものとして、是非話を聞かせて欲しいのだ!」

 

ガッシュが駆け抜け、最初に出会った存在、それは御機嫌な王の右腕…騎士王であった。──トレーニング上がりの、タンクトップとスパッツの暴力的スタイルである。当然、清磨は直視が叶わない。

 

「おぉお…うぉおぉおぉお…!!」

 

「ウヌ!?どうしたのだ清磨!?何故目を合わせぬのだ!?」

 

「御機嫌王…あぁ、ギルガメッシュの事ですね。あなたは確か…ガッシュ・ベル。マスターから聞いていますよ」

 

「ウヌ!鱒よりブリの方が好きなのだ!!」

 

「ガッシュ……!ガッシュゥウ…!!」

 

「確か…貴方が目指しているのは、やさしい王様でしたね。ふふ、いい目標です。とても崇高で、素晴らしい志。私としても、見習いたい姿勢です」

 

そう、騎士王は人の理想たる王。王たるが故に…人の心に寄り添う王道は進まなかった。ならばこそ、その姿勢と想いは応援したいと背中を後押す。

 

「ならば一つ助言を。王として歩むならば、支えてくれる者達と、共に歩む者達を信じなさい。王と言うものは時に非情な決断を取らねばならないときがある。それこそが王という職務であり責務でもあります。あなたの道には、大きな苦難が数多待ち受けているでしょう」

 

「ウ、ウヌ…?(凄まじい説得力なのだ…)」

 

「ならばこそ。優しい王を目指すならば他者の心を理解することを忘れないように。あなたの目指す道は、一人ではなく沢山の皆様と進む路です。どうか、忘れることの無いように。いいですね?」

 

「──ウヌ!ありがとうなのだ!ビッグ・ボインの様な女の人!さぁ清磨!共に歩むのだーーー!!」

 

「すみませんアホ丸出しの輩で失礼しましたーーー!!!」

 

ガッシュに引きずられ、駆け抜けていく清磨。その後ろ姿を、微笑ましげに見守る騎士王。

 

「…場所を教えるのを忘れていましたね」

 

スポーツドリンクを飲みながら、自分のうっかりに気付く騎士王であった…。

 

 

「御機嫌な王様を探しているのだ!知っていたら教えて欲しいのだ!!」

 

「ほほぉ、愉快な金ピカに会いたいと!気骨溢れる客人ではないか!それで出逢ってどうするつもりだ、坊主?」

 

次に尋ねたのは、大柄に大戦略Tシャツを着た偉丈夫、イスカンダル。征服王その人である。その威容と豪快な覇気に、清磨は思わず襟と居住まいを正す。

 

「もちろん、話をするのだ!いつも笑い、誰よりも楽しく日々を過ごし、皆を幸せにするその在り方…やさしい王様を目指すものとして参考にしたいのだ!」

 

「わっはっは!そうかそうか!確かにこのカルデアのヤツが怒り泣くところも不機嫌なところもとんと見ぬ!その在り方、王を志す者としては参考にしたいのもわかると言うものよ!では一つ、余からも助言をくれてやるか!」

 

そしてイスカンダルは、敢えて王であることを名乗らずガッシュの頭をわしわしと撫で回す。その力強さに圧倒されるガッシュに、彼なりの助言を託す。

 

「王であるならまずは何より楽しむことだ。食事にセックス、眠りに戦!王とは誰より人生を楽しんだ馬鹿者の総称だ、そもそも王が下を向いていては民達もうんざりしてしまうものだからのぅ!」

 

「ウヌウ…確かにそれはそうなのだ…!」

 

「わはは、である故に常に笑うのだ!愉快に笑い、時には怒り、悲しみには涙せよ!人の心を知らぬ輩に、誰かに優しくしてやることなど出来るはずもないからな!我が言葉、王の在り方の一つとして受け止めておくがいい。きっと必ず役に立つ日が来るぞ?」

 

「ウヌ!…ウヌ!!」

 

先程の楽園のビッグ・ボインの時と同じ様に、言葉を聞き、受け止める度にガッシュは全身に力が漲るのを

感じていた。誰よりも、何よりも王を知るものから、直接薫陶を授かる。そんな太鼓判を押してもらったような高揚が、彼を満たす。

 

「ありがとうなのだ!その御言葉、決して忘れぬと私は誓う!また必ずどこかで会うのだーー!!」

 

「あ、おい!!…すみません!無礼な真似を…」

 

「よいよい!子供は痛快にはしゃぐのが仕事よ!そこなお前も、気難しい顔ばかりせず時には腹を抱えて笑ってみよ。修羅場を潜った目をしているが、成人もまだであろう?子が子でいられる時間は、貴様が思っているより価値があるのだからな」

 

「…はい!」

 

清磨もまた、アドバイスを受ける立場にて頷く。名を聞いて仰天したまげるのはまた、数瞬後のお話──

 

…その後も、ガッシュは有り余るパワーで楽園を駆け巡った。そしてその後ろを並走する清磨も巻き込んで、楽園中を駆け抜けた。御機嫌王を目指して、愉快な王様を目指して。

 

しかし…彼もまた王の器。直接王と合わずとも、その王がどんな治世を引いているかは、そこにいるもの、そこにあるものを見て理解したのだ。

 

「清磨。私は見たのだ。駆け抜けた楽園、駆け抜けたカルデア。そこに住む者達を見ることが出来たのだ」

 

「ガッシュ…」

 

「『笑顔』だったのだ。皆、とても楽しそうに笑っていたのだ。誰も涙を流さず、誰にも苦労を強いらず、皆がとても幸せそうだったのだ。楽園を初めて見た私でもわかるくらいに、笑顔がたくさんであったのだ!」

 

それは、やさしい王様を目指す自分も『素晴らしい』と思えるほどの、悲しみや嘆きがどこにもない環境。王が出来る最善を尽くしきった、まさに御機嫌さが溢れる場所。

 

「…あぁ。俺にも解る。何よりこの状況は一番、王様が望んだ景色だって事もだ。一人一人が、自分が楽しむ『ついで』に幸せにしてる。王様として、いままで会ってきたどんなやつよりも痛快な人だってな」

 

「ウヌ!…私も同じように出来るかどうかは解らぬ。コルルの様な娘が、生まれぬと断言できるこのような理想の場所を手掛けられるかどうかは解らぬ。だが清磨!私は思う!思うのだ!」

 

そう、こんな国が作りたい。こんな場所が作りたい。王様も、民も、国も。皆が笑顔であるような愉快な場所をつくりたい。

 

「やさしい王様は…誰よりも笑顔である王様でもあるのだ!だからきっと、御機嫌な王様と仲良くできる筈なのだ!いいや、なりたいのだ!」

 

「…そうだな、ガッシュ。お前なら、なれるさ」

 

彼は楽園の在り方を見て、『やさしい王様』が普段どのように過ごすか、生を送るかのビジョンを掴んだ。清磨にはそれが、輝くガッシュの瞳を見て理解できた。

 

(はじめは訳も解らずだったが…来て良かったな。ガッシュにもいい影響を与えてもらった)

 

ありがとう、御機嫌王。そう清磨が感謝を浮かべた時──

 

「ほう、王の卵が我が楽園に至るとは殊勝な事だ。我が万全盤石の楽園、少しは自らが歩む道の導となったか?」

 

「ウヌ!?そなたは!?」

 

──瞬間、清磨の異能が発動し答えを知らせる。先のオフな王二人とは違う、人を超越した王の姿。

 

「ガッシュ!…この方だ」

 

「清磨!?」

 

「この方が…御機嫌王だ!今、理解した…!」

 

「答えを出す者、とやらか。未だ消滅の化身とは会っておらぬ時空よりの来訪か…ふはは、歓迎してやろうではないか」

 

愉快げに笑う王。ガッシュが求めた愉快な王と、確かなる邂逅の刻──。




ガッシュ「そなたが御機嫌王なのだな!?私はガッシュ!優しい王様を目指している!そして言わせてほしい!私はそなたを心から尊敬したいと思う!」

ギルガメッシュ「ほう?」

ガッシュ「自分も楽しく、皆も楽しい!そんな王様がいてくれるのは、大いに励みになった!王とは強いだけでもない、残酷なだけでもない!笑顔に満ちたまま王様になれるのだと!そなたの治世を見て、私はそう思えた!私も、あなたのように誰かを幸せにする王様になりたい!そう心から思えた!そなたは、御機嫌な王様は…素晴らしい王様なのだ!!」

清磨「ガッシュ…」

ギルガメッシュ「フッ、流石は我よ。こうして王を目指す幼兒にまで威光で屈服させてしまうとは。まぁ至宝を手にした我のみの特権であることは承知だがな。──ガッシュ・ベルと言ったな」

「ウヌ!」

「貴様の王道、貫き成した際に再び楽園に来るがいい。その際には貴様に、特上の美酒と共に示してやろう。我が王道とは、なんたるかをな!」

ガッシュ「──!ウヌ!そなたに誓う!必ず私は!やさしい王様としてそなたと酒を飲むのだーー!!!」



『最高級ブリの山』

ガッシュ「ウッホホホホ…ウッホホホホホホ…!清磨ーー!!御機嫌な王様は素晴らしいのだ!!」

清磨「………」

ガッシュ「?清磨?」

「あ、いや。なんでもない。…勝とうな、ガッシュ。必ず」

ガッシュ「ウヌ!!」

(……)



至宝を得た王に勝てる答えは?

『無い』



(…存在するのか?答えが出ない相手なんて。…一つ言えることは…)

ガッシュ「ヌオオオ!?暴れだしたのだーーー!?」

(敵じゃなくて…本当に良かった、って事か…)

こうして、やさしい王様を目指すガッシュはまた一つ、王道へと近付くのであった──
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