人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜 作:札切 龍哦
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騎士王「…流石にこの注文リストの多さ、疲労が抜ける保証はありませんね…」
(二人が楽しみ、大切にしている時間であることは痛いほど解る。しかし楽園の王にプリンセスの二人に何かあれば…)
騎士王「…無礼を承知で、諫言するしかありません。力を貸してください、捨て台詞のトリスタン…」
ワタシハカナシイ…
「ふむ…。どうやら財共には我等の労働が些かブラック風味に見えているようだ。部員であるならば切り捨てる訳にはいかぬな」
休憩を終え、半分にも満たない改築メニュー達成目録に目を落としながら、ギルとエアは少しばかり思案する。楽しく労働をしている…そのつもりではあり実際そうなのだが、意見を真摯に受け止め有り様を検討する二人。
──見ている方も笑顔になるような感じが理想なので、御心配をかけてしまうのはよくない傾向ですね…もっと笑顔で改築に励んでみるのはどうでしょうか?
《我ら元気だ大丈夫だ案ずるな作戦か。笑う門には福来るという、取り組んでみるのも良いかもしれぬ。どれ、一つ愉快に笑ってみるかふはははははははは!!》
──フォウの…寝返り!あはははは!
笑い上戸のギル、そしてフォウのこてんと回る姿を思い返し腹を抱えて笑うエア。改築のさらなる高みへと挑み、駆け抜けていく二人は、改築を待ち望む者達の安住の地を齎すべく奔走する──
田村麻呂〜大将軍一戸建てマイホーム
田村麻呂「おぉお〜!すっげぇ幸せなファミリーが過ごすような理想的なマイホームじゃねぇか!貯蓄は老後2億くらいあって子供が立派に自立したのを見ながら老後を鈴鹿とノンビリ過ごしてーよなー!ゲートボールとかしてよー!」
──物凄く現実的かつ、具体的な人生の送り方です…てっきり田村麻呂さまはでっかく星を手に入れて鈴鹿さんと半分するぜー!等仰るかと…
田村麻呂「幸せっていうもんは朝おはようと、昼こんにちはと夜お休みを言ってくれるやつがいる事だとオレは思ってるからなー。富や名声は最期を看取ってくれねーって当たり前に気付けるかどうかで人生の過ごし方は変わってくるもんよ。富や名声より!鈴鹿だぜ!!」
鈴鹿「あー、ったくもう…またそんな恥ずかしい事を相変わらず騒いで…ごめんじゃん、ギルっち。こういう直情バカにも良くしてくれてあんがとね。エアひーも」
──いえいえ!…あれ?鈴鹿さん、ワタシが見えているのですか?
「まーね。田村麻呂がいると頭が冴えるっていうか。特にバカっぽく振る舞わなくていいっていうか。こういうのシナジーって言うんだっけ?納得じゃん?」
「鈴鹿頭使う!オレ様暴れ回る!!以上!!そいつが黄金パターンってヤツだからな!まぁアテルイには通じなかったんだが」
ギル「まことか?記録を見た辺り英雄の魂を使役するとは聞いている。しかし貴様ほどの将軍がてこずる程か?」
田村麻呂「戦上手っつーか世渡り上手っていうのか?まず戦いを引き分けに持ち込まれて、自分達の文化を丁寧に教えられて、そんで親身に接してくれたんだよ。アテルイには教えてもらったんだよ。敵だからって全部悪いわけじゃねぇ。大事なのは広い視野だ。敵にも文化があり、意志がある。恥ずかしながらアテルイと会う前にはヒャッハー!敵は殺せー!な野蛮人だったからな。アテルイは人生の師匠なわけだ!」
──人生の師匠…アテルイさんはまさに才色兼備にして才気煥発の御方だったのですね…!
鈴鹿「そっかぁ…史実の田村麻呂と伝説、伝承の田村麻呂。それぞれの記憶があって当然か、サーヴァントだし」
田村麻呂「…アイツとならいい日本を作れるかもしれねぇと朝廷に直訴したんだがよ、大将軍を籠絡できる様な輩は生かしておけば禍根になるんだって…アテルイと約束してたんだ。一緒に日本を良い国にしようって、対等な相手でいようって…オレはアイツとの約束を護れなかった…オレは…ダメ将軍だ…」
──ああっ、体育座りに…
鈴鹿「あーごめんごめん、アテルイの話になると鬱入っちゃうんだ。伝説側面は痛快なくせに、史実思い出すとすぐこれ。私が宥めとくから、二人は気にしないで次に行っちゃって?」
田村麻呂「オレは…オレは…アテルイ…ごめんなぁ…!」
ギル「史実に伝説…シャルルマーニュめと似たような英霊であったか。では任せるぞ。まだまだ我等には愉快な改築が待つ故な!ふはははははは!!」
──ど、どうかいつまでもお幸せに〜!
ダンテ〜事務所(整理整頓済)
ダンテ「六つ星ホテルの最高級スイートルームを期待してたんだが…勝手知ったるいつもの雰囲気を再現してくれてありがとうよ。肩肘張らずのんびりできそうだ」
ギル「貴様の契約書式はオルガマリーらに任せてある。署名は行ったか?」
ダンテ「あぁ。所長様らのボディーガード、言うなればSPってヤツだ。胡散臭い魔術師、夜の魔物や浮浪者から清い身柄をきっちり御守りするぜ?衣食住のフリーサービスの礼だ、ヤル気は本気でチャージさせてもらうさ」
──頼もしいです!魔術師の方は根源の探求やプライドが高じて、非人道的な手段に走る事が日常茶飯事というものと伺いましたので…
ダンテ「…まぁ、力の為なら自分の嫁すら捧げたバカも見たことがあるからな。人も悪魔も魔術師も、一皮剥けば大層な違いはないもんだろうさ。そういう外道の処理も、特別サービスで請け負うって訳さ。太っ腹だろ?」
「うむ。貴様ほどの実力者ならばオルガマリーに侍らせるに不足はない。我等が楽園の所長の身柄、見事果たしてみせるがよい」
ダンテ「セーシンセーイ、頑張らせてもらうさ。報酬は俺の口座に…」
ギル「む?確か貴様の口座は凍結されていた筈だが?」
ダンテ「なんだって!?おいおいまさか…」
──キスマークの封筒に、振込先が書かれていました。『報酬は無駄遣いしないように私達が管理します。存分にこき使って構わないわ。報酬の荒稼ぎに期待しています』…差出人の欄には、レディ…と書かれていますね。
ダンテ「…なんてこった。衣食住は完璧だが、未来の貯蓄は貯められない…老後が不安で仕方ないな、こりゃ…」
ギル「案ずるな。我が楽園に派遣切り、リストラの類は存在せぬ。福利厚生磐石、老後保証万全、終身雇用選択制のプラチナ企業よ。安心して日々を刻み戦い続けるがいい。人並の寿命では無かろうがな」
ダンテ「そいつはいい事を聞いた。何から何までいたれりつくせりって事か。オーケイ、王サマ。愛しの宝には傷一つ付けさせないぜ?」
──オルガマリーちゃんはもちろん、ゴッフさんやスタッフの皆さまをよろしくお願い致します!時に、この御手紙はどちらから…?
ダンテ「あぁ…悪魔より怖い取り立て屋と、どうにも頭の上がらないパートナーってやつだ。どうやらどこに行こうが、逃がすつもりは無い様だ」
ギル「不満か?」
ダンテ「いいや。こういうのはケツを叩かれないとサボりがちになるんでな。多めに振り込んどいてやってくれ」
「…ふん。素直に意志を示せぬ男よな、貴様は」
この後『やっぱりスイートルームくらいは付けてくれないか?』なるダンテの注文により、デビルネバークライ・楽園支部が発足した。
週休二日、残業ナシ。依頼された案件にはなるべく笑顔で応えるデビルハンターが悠々自適に生活を送る。悪魔、魔物、質の悪い魔術師に出逢ったなら御一報を。合言葉は──
「大当たり!…だぜ?」
命が惜しければ、契約の不履行は絶対にしない事をお勧めする──。
楽園スポット紹介〜摩天楼エリア〜
天空にまで届かんばかりのビルが立ち並ぶコンクリートジャングル地区。購買エリア・娯楽エリアの役割も果たしサーヴァント、職員問わず様々なバザー、店、商業の流通などを行っている。アメコミヒーローが活躍するような舞台でカッコいい!と一部の悪サーヴァントに大好評である。ワープゾーン、光子ライン転送にて移動するため排気ガスなどは皆無。科学、魔術、宝具にて昼夜、ネオン街などの景観が再現されている。VIPルームは地上六百メートルにある天空の玉座。
ギル「些かペースを落としてはみたが、これでは終わりはいつになるやら。腰を据える他あるまいか…」
──のんびりでも、一歩一歩積み重ねて参りましょう。これまでの様に、これからも。
《うむ。この時間は、財共の奮闘への報奨の一面も持つ。投げ出すなど有り得ぬからな》
騎士王「お疲れ様です、二人共。改築、此度は数多あります故無理をなさらず」
ギル「フッ、我が楽園に来てから苦痛など感じたことは…まぁ赤き食物以外ではないな」
騎士王「…その事なのですが、御機嫌王。ご相談が」
──ご相談?
「あなた方の改築の一助、担わせてはもらえませんか?」
ギル「ほう…?」
その申し出は、特例なる騎士王の進言。物珍しき問いに、二人は耳を傾ける…。