人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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明日はちょっと用事があるので、明日の話をすぐ後に投稿致します。慌ただしくてごめんなさい!感想、メッセージの返信は明日の午前9時より行います!暫しお待ちを!

私事の話なのですが、子供の頃は欲しくても手に入らなかったものが大人になって自分で手にする事が出来るのはえも言わぬ高揚感がありますね。25年前の自分へ、時を越えたプレゼントだなんてセンチメンタルになったり。

こうして報告できる場や皆様、一緒の話題で盛り上がれる友人、真っ直ぐ育ててくれた両親、制作スタッフの努力…人の歴史は縁が織り上げるもの。また教えられた気分です。

親子で楽しむもよし、かつての自分に買ってあげるもよし!ガッツスパークレンス、ウルトラマントリガーを皆様よろしくお願い致します!(ライダーファンでありながらウルトラ玩具買いまくりな作者)

それでは、本編を2話続けてお楽しみください!


誠実であればこそ、責務を代わると告げる者がいる。

「騎士王、今の言葉は戯言とは受け取らぬぞ。我等の責務たる改築…それらを引き受けたいと口にしたのだな?」

 

前例を見せぬほどに多種多様な此度の改築、それでも尚微塵も揺らがず励まんとする王と姫の前に、確かな意見を以て立つは楽園の二番目に権威を持つ騎士王であった。冗談、軽薄から最も遠き場所にある王…なればこそギルは彼女を重宝している。決意の碧眼と絶対の紅眼の目線が静かに交錯する。

 

「はい。…あなたとプリンセスが、何よりも決意に満ち溢れ楽しんでいる一時なのは理解しています。あなた達が決して苦にしていないことも、決して助けを必要としていないことも」

 

「然り。ならば何故名代などを名乗り出る?我等の愉悦を阻む、その意味を理解せぬ貴様ではあるまいに」

 

──騎士王…

 

王は自らの愉悦の為に楽園を築き、敵を蹴散らし勝利を掴む。彼が誰かのため、何かを他人に求める精神的奉仕などした事は一度たりともない、特異点是正はエアの魂の研鑽の為、世界を救ったのは裁定を待たず人が滅びるのを防ぐため。正義の味方など名乗ってはおらず、誰かの為に戦う等滅多にはあり得ない。改築においてもそれは同じなのだ。満ちる笑顔、広がる磐石。そして…姫や友と迎える仕事上がりの歓談。それらを報酬にして、王は励んでいる。エアもまた、王の献身と笑顔、楽園の皆の幸福に報われるからこそ。故に…王は容易く己を曲げはしない。それが騎士王であろうともだ。

 

「理由など単純にして明快です。考える事もない。あなたの耳にも届いた筈だ。あなた方の身を案ずる、宝物達の声が。人が、楽園が彩られる度にあなた達は誰よりも身を削り、誰よりも奮闘する。今の笑顔満ちる楽園は、魔法や理想郷として最初から在った訳ではない。あなた達がたゆまぬ努力の下、作り上げたもの。──楽園に招かれた者達を代表し、言わせていただきます」

 

そして──騎士王は深々と頭を下げた。昨今の笑顔に満ちる旅路、帰るべき場所を彩り作り上げた黄金と白金の二人に。

 

「ありがとう、ギルガメッシュ。ありがとう、プリンセス。心から、感謝しています。勿論、私も。ここに来てから…随分と、表情が柔らかくなりました」

 

《フッ──誉れも高き騎士王の謝礼だ、謹んで受け取っておけ。我には不要なものだからな》

 

──ここ、こちらこそ!いつも多忙なギルを支えていただきありがとうございます!

 

始まるお礼合戦、頭を下げ合う侘び寂びの光景。頂点にして謙虚な光景は実にシュールである。

 

「だからこそ、あなた達には知ってほしい。あなた達が楽園にとってどれ程大切な存在か、かけがえのないものか。あなた達の楽しみが、あなた達の奮闘が素晴らしければ素晴らしい程、私はあなた達に言わなければならない」

 

だからこそと、だからこそと騎士王は顔を上げる。…彼女もまた、神霊に近付き人の機微に疎かった自身に、馬小屋と愛馬と戯れる人らしい日々をくれた恩人である二人だからこそ告げるのだ。

 

「万が一にも、どれだけ小さい確率でも。あなた達を失う訳にはいかない。いいえ…喪いたくないのです。あなた程愉快で、痛快で、尊大で…魅力に満ちた王はいないのだから」

 

人類の誰にも知られず、人類の誰にも讃えられず。それでも己が愉しければよいと、傍らの姫と駆け抜ける王。その王の奮起と奮闘を見て見ぬ振りをするにはもう、大きくなりすぎたと騎士王は告げる。

 

「私も、あなたたちを支えたい。越権であろうとも、不敬と受け取られようとも。あなた達に万が一が起きてしまえば…楽園は取り返しのつかない喪失をする事になる」

 

だからこそ力になりたい。自分は楽園全てを笑顔にすることはできないかもしれない。盤石の場所を築くのは不可能かもしれない。ならばせめて。右腕、副官と言うほどに信頼を受けているなら、信頼してくれているなら。

 

「だから…貴方達の笑顔が、貴方達の楽しみが、ずっと続く手伝いをさせてほしい。貴方達が自分達の笑顔に皆の幸福を率いるならば、私は貴方達の幸福を護りたいのです。ギルガメッシュ」

 

「────…………」

 

───アルトリアさん…

 

ギルは静かに瞠目する。槍を手にし、神に近づき、心を律した騎士王の側面。それが、ここまで。

 

「私達はもう、あなたのもたらす幸福と恩恵をただ口を開けて待つ雛鳥ではなく。楽園という至高の円卓を囲う同胞であると私は思います。だから…」

 

どうか、自愛を。貴方達の奮闘の果てにもたらされる結末に微塵でも悪しきものあらば、心から笑顔を浮かべることは叶わないから。

 

「だから。貴方がたの愉悦を護らせてください。私は、貴方達の安らかな時間や穏やかな時間を護りたいのです。…どうか」

 

だから…どれほど無礼であろうとも、彼女は誠心誠意告げるのだ。『無理をしないで』『ゆっくり休んで』と。何故なら。

 

「あなた方の笑顔を護る手伝いを、させてはもらえませんか──?」

 

騎士王として、一人の住人として。彼女は告げた。大なり小なり、楽園の皆が感じていたであろう王への心配を束ね、言葉と変えた。あの誉れも高き騎士王がだ。

 

──………………

 

エアは、その暖かさと優しさ、心の労りに感銘と共に頷いていた。しかし、ギルへ言葉は送らない。自身の言葉は、王の決定を覆す為のものではない。彼の王の指針を曲げはしないし、曲げるつもりもない。

 

「……間のいい事だ。いや、耳聡いというべきか?現代基準でウルク在住の者を測りおって、全く」

 

何故なら──ギルはいつだって、笑顔の満ちる最善を突き進むから。

 

「良かろう。部員共の嘆願、貴様ほどの王の進言…無下にしては暴君の誹りを免れまい。弓の我でもなし、いちいち不敬だ何だと青筋を浮かべるも時間の無駄よな」

 

騎士王の肩に手を置き、歩き出す。その先は──休息、リラックス施設。

 

「そこまで言うならば、此度の改築は貴様に任せよう。引き継ぎと材料のリストは貴様の部屋に置いておく。目を通し、見事成し遂げてみせるがいい。手並みを拝見というやつよ」

 

「ギルガメッシュ…」

 

「随分と人の心に寄り添う様になったな、騎士王。その稀少な変容を目の当たりにした報奨として、此度は譲るとしよう。我らの面子を託すのだ、ゆめしくじるなよ?」

 

──信じています!騎士王…いいえ!皆様なら必ず成し遂げてくださると!リストは送っておきますねー!

 

歩み、そして任せたと手を振る王の後ろ姿を見つめる騎士王。…人の心、そして誠実な祈りは届いたのだ。絶対の暴君であった英雄王に。至宝を手にした愉快な王に。

 

「それでこそ。…それでこそ、私が支えたいと願ったあなたたちです。ギルガメッシュ。プリンセス・エア」

 

楽園の中核、そして素晴らしき汎人類史の王と人類が生み出した至宝に万感の想いを懐きながら、その背中を見送る。

 

「──勿論、私一人ではあなた方の奮闘に追いつけるべくもない。人の美醜を知り尽くし、愉しむあなたの領域に並べる者などいはしないでしょう。でも──」

 

そう、孤高には決して届かなくとも。彼女はもう一人ではない。

 

「わはははは!ふくよかな騎士王は余裕も振る舞いもまさに秩序の王に相応しい威風よ!流石の愉快なあやつも切って捨てるには美麗に過ぎたか!」

 

「我が勇者どもの言葉、その価値を知らぬ愚昧な王ではあるまい。当然の選択だ。余もまた建築王たるファラオとして、ネフェルタリの永遠の朋友たるエアの助力をするに迷い無し」

 

「さぁ、行こう。これもまた、王たる僕達の戦いだ!」

 

様々な王が、呼び掛けに応えている。これが、彼女が見出した答えが一つ。

 

「私達は、力を合わせる事で万全な一つに迫ります。楽園に、疵の一つも付けぬ事を誓いましょう。…ですので」

 

どうか、あなた方が紡いだ楽園にて。ゆるりとお休みなさい。誰より近くで見て来たからこそ、二人の平穏を願う騎士王であった──。




楽園施設紹介〜スパ・温泉エリア

様々な神泉、秘湯、神々が有する秘薬などをダ・ヴィンチを始めとしたスタッフ達が調節し作り上げたリラクゼーションエリア。街一つ程の面積に各世界、各神話のパワースポットより湧き出る神聖なる効能の浴場が取り揃えられている。天上の酒、至宝たる秘薬、万能の効能をもたらす薬膳が取り揃えられた治癒、療養特化施設。レジャー施設も充実しており、一ヶ月では半分も回れない程に多種多様にて広大。

エルキドゥ「あれ?改築は終わりかい?随分と早かったね?」

ギル「騎士王めの嘆願があまりにもいじらしい故な。今回ばかりは譲ってやったわ。秩序の極地たる王の手前、拝見しようではないか」

──記念の節目の改築はいっそ、皆で行うのもいいかもしれませんね!

フォウ(最初の頃は城とか島とか作ってたんだ、感覚が麻痺してたところもあるだろうし少しは楽をしてもバチは当たらないさ!ね、王様!)

《フッ。疲れたのなら休む、か。当然ではあるが…怠らぬ様にしなくてはな。よし、シドゥリやエレシュキガルめも招くとするか!》

エルキドゥ「エレシュキガルと卓球やろーっと」

──フォウ、ブラッシングしてもいい?

(勿論さぁ!!)

久方ぶりの穏やかな引き継ぎに、王と姫は暫し羽根を休め憩う──。

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