人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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「これで今回の召喚はオシマイ。最後までお楽しみにね」



「え?お前がセイバーを他に預けるなんて珍しい?ファブリーズしろ?臭う?ひどーい」

「・・・私は、恋する乙女よ?愛する人に休んでほしいと言うのはおかしいこと?まぁ、セイバーには許可取らなかったし、面倒な思惑や記録は『削り取って』おいたから、何も覚えていないだろうけど」


「言ったでしょ?何もかも忘れて、休んでほしいって。うふふふふふっ」


「じゃあ、行ってらっしゃい。私の王子様・・・」


終幕――根源なる善意

「――さて」

 

 

 

大量のライオン人形、アーサー王に纏わる遺品を大量に揃えながら、器たる英雄王が頷く

 

 

 

「これは奴等から献上された触媒の品。慢心なく一切の油断も抜きに仕入れた特上の逸品よ。更に!」

 

 

パチン、と指を鳴らす

 

 

「呼びましたか、ギル!まだ益体のない召喚ですか!」

 

現れたのはジャージに身を包んだ、白と黒の聖剣使い、ヒロインXを呼び寄せる

 

 

「私がいる限り、セイバーは最早産廃だと思うのですが如何でしょう!」

 

「このように歩く触媒すらも用意する我がnot慢心っぷりが怖い!その時を迎えた勝利の美酒が美味くなるというもの!」

 

「聞いていますかギル!」

 

「聞いている聞いている。ではウォーミングアップだ!何かの間違いのセイバー擬き!しかと刮目してみるがよい!」

 

「何かの間違いなどではありません!私こそセイバー!セイバーこそ私!間違っているのはギルの恋愛か」

 

 

「召喚サークル展開するよー!」

 

召喚サークルが回転し、光が満たされていく

 

 

「なんでこんなにライオンのぬいぐるみ?」

 

 

「我も知らぬ。セイバーは獅子が好きなのか。フハハハ!趣味嗜好もバッチリ合うようだな!」

 

 

「赤毛の少年とデートをした際に貰いまして。私の大切な品です。というか何処から持ってきたのですかこれ!?」

 

――そういえば、ヒロインXの器の呼び方が『ギル』になっている。ローマの時の贈り物が気に入ってもらえたのだろうか

 

「エクスカリパー!?なんですかこのパチモノ!?あっカリバーンも!蹄まで!私に由来するものばかり!どれだけ本気なんですか!私じゃダメなんですか!」

 

 

「貴様はセイバーではなかろう!クラスと霊基を百回見直すがいいたわけめ!」

 

「セイバーです――!自分をセイバーだと確信しているセイバーです――!!」

 

 

「まぁ貴様の由来などどうでもよいわ!さぁ現れよ!」

 

 

サークルの光が収まり、現れたのは――

 

 

「・・・おれ、おれ、は」

 

 

巨大な身体、牛の仮面、手にした斧

 

 

 

「――フッ、やはり来たか」

 

 

オケアノスにて、世界を知った少年――

 

「アステリオスだぁ――!!アステリオス――!!」

 

 

「う、う・・・あ、おれ・・・」

 

「はい!貴方はアステリオス、アステリオスです!」

 

「・・・うん!よろ、しく・・・!」

 

マシュとリッカに歓待を受ける、迷宮の雷光

 

 

――良かった。来てくれたんだ、アステリオス・・・

 

 

「やはり我のカリスマが運命を惹き付けたか。もはや疑うまでもあるまい。我はクラス英雄(ヒーロー)でもあったようだな!フハハハハハハハハハ!」

 

「バーサーカー、ヨシ。通っていいです」

 

「検問か貴様は。もしセイバーであったら何とする」

 

「斬り捨てます♪」

 

「刎刑に処すぞ貴様!!ギャグ時空だからといってあらゆる狼藉が容認されると思わぬ事だ!」

 

 

「容認されるのではありません。世界が容認せざるを得なくなるのがギャグ時空です」

 

 

「溢れんばかりの説得力よな!えぇい、我が理想がギャグに染まると此処まで頭の痛い代物になるとは――!」

 

「さぁ次です。セイバーでない事を期待します」

 

言いながら、黄金の菓子折りを食らうヒロインX

 

「趣旨を理解しておるか貴様!?」

 

「知っていますよ。セイバー出会い頭抹殺でしょう?」

 

「もうよい!帰れ!頭痛がしてきたわ!!」

 

「イヤです!セイバーを抹殺するまで、私の道は終わりません!ギル、おかわりです」

 

「此でも食っていろ!おのれ、吐き気がしてきたわ・・・!」

 

玉座ではしゃぐギルとヒロインX

 

 

「楽しそうだね、ギル」

 

「そうかなぁ?僕にはそうは・・・」

 

「口では色々いってるけど、キチンと会話になってるし。舌打ちも肘打ちも足踏みもされないんだから仲良しだよ」

 

「せ、先輩?」

 

「さぁ来たよ!」

 

 

輝きが収まり、現れたのは――

 

 

「私は女神、女神エウリュアレ。私に目にものを言わせられたいヒトは誰かしら?」

 

弓矢を構えた、オケアノスのもう一柱の女神

 

 

 

「ガ――――!!!??」

 

「ギル!?だ、大丈夫ですか!?」

 

「寄るな、触るな・・・い、いや。予測はしていたが・・・アステリオスが来る以上、覚悟はしていたが・・・ッ!」

 

――大丈夫です王よ。まだまだ致命傷です

 

「何よその反応!射抜かれたいの!?」

 

「エウエウだ――!よろしく――!」

 

「きゃああ!リッカ、無礼よ!無礼ものよ!いきなり抱き付くなんて何を考えているのよ~!」

 

「お互いヘラクレスから逃げ回った仲でしょ~!」

 

「それとこれとは・・・もう、ばか」

 

 

「これが、ツンデレ・・・!リアルツンデレなのか・・・!」

 

「射抜くわよ?」

 

「ごめんなさい!」

 

 

「アーチャー、ヨシ。別にクラス的に関係ありま、あっ。セイバー的には危険ですね!?」

 

「・・・・・・・・・・・・・・・」

 

「・・・ギル?どうしました?まさかあまりのショックに言語中枢が・・・?」

 

「・・・・・・・・・我の所感と、下される裁定は別の話よ。メドゥーサの働きに、報いてやらねばな」

 

――はい。それがよろしいかと

 

「マリー!手間をかけてすまぬが、符を一つ拵えるのだ」

 

「はい、ギル」

 

聖杯を展開し、願いを汲み上げ呼符を作り上げる

 

 

「マスター、ソレを使え。我は席を外す」

 

玉座から立ち上がり、歩きだす

 

「だ、大丈夫ですか、ギル?喉に何かつまらせましたか?」

 

「ついてくるでないわ!仕切り直しだ!」

 

「では甘味処で何か食べましょう!ゴマ大福がお勧めです!」

 

「ならば貴様が適当に選べ!胸の吐き気に効く甘味をな!」

 

「いいですとも!では、早速行きましょう!」

 

 

退出するギルとヒロインX

 

 

「だ、大丈夫かな?」

 

「神様嫌いだからねぇ、ギル・・・」

 

「では、今回の召喚は一体・・・」

 

「・・・裁定者は、自らの気分や感傷で結果を覆しは決してしないということよ。まして、ギルなら・・・」

 

召喚サークルの光が満たされ、また収まる

 

 

「――あ。この感じ・・・」

 

 

現れたのは――

 

 

「――こんにちは、皆さま方。女神ステンノ、召喚に応じさせてもらいました――」

 

エウリュアレと瓜二つの、もう一人の女神・・・

 

 

 

「邪神さま・・・!?」

 

「その節はごめんなさい、本当にごめんなさい」

 

(ステンノ)が、謝った・・・!?」

 

「会えて嬉しいわ、(エウリュアレ)。私の愛しいメドゥーサはどこ?」

 

「どうしちゃったの、(ステンノ)――!?」

 

「な、なんだかキャラがちがくないかなぁ!?」

 

 

 

食堂・SweetSジャンヌ

 

 

「焼きが回った、血迷った、正気度消失、一時的狂気・・・」

 

頭を抱えながら、不穏な単語を呟く器

 

 

「何を言っているんですかさっきから」

 

「今の我の愚行を表す言葉を探しているのだ。・・・うむ、我様大乱心。これしかあるまい」

 

――裁定者とは、なんと壮絶な責務なのだろうか・・・

 

「過ぎたことを言うとはギルガメスらしくない。善いことには笑い、悪いことも嗤うのが貴方のスタンスでしょう」

 

ヒョイ、とまんじゅうを投げ渡される

 

「顔を伏せていたら星が見えませんよ。自慢のポジティブシンキングを貫いたらどうです」

 

「・・・・・・ふん。ギャグキャラ風情が一丁前に真理を突きおって。・・・ん?」

 

「・・・なんですか」

 

見ると、ヒロインXの右手に、青い宝石のブレスレットが見受けられる

 

アレは――器がプレゼントしたものだ!

 

 

「・・・あっ、こ、これはですね!匿名の王様がどこからか送り込んだもので!王へのプレゼントなんて、円卓決議(ディシジョン)を通してもらわねば困るのですが、棄ててしまうのももったいない逸品だったので・・・!」

 

「――――――フン。下らぬ気を遣いおって。我もローマの騒ぎに当てられ、愚かな真似をしたものだ」

 

グイ、と酒を飲み干す器

 

 

「だがまぁ、貴様に目をかける目敏い王であろう――精々重宝するのだな」

 

「・・・えぇ、誰からか解りません、解りませんがね。まんじゅう食べますか?」

 

「よい。王へ寄越すがいい」

 

 

――・・・良かったですね、王よ

 

 

穏やかな時間が流れる――

 

 

瞬間

 

 

『ギル!休息のところごめんなさい!』

 

オルガマリーが、ただならぬ様子で通信を開く

 

 

「!?」

 

「よい、何事か!?」

 

 

『すぐに召喚室へ!緊急事態です!』

 

――緊急事態!?

 

「オルガマリー、落ち着いて。何があったので――ギル!?」

 

喋るよりも速く、王は駆け出していた

 

 

「代金はツケだ、ジャンヌ!我に領収書を回せ!」

 

「わ、解ったわ!私も――」

 

「よい!待機だ!脅威ならば我が蹴散らす!!」

 

 

――何が起こったんだ!?まさか、召喚の儀で・・・!

 

 

 

 

王が到着した、召喚室

 

 

「マスター!マシュ!!オルガマリー!!!」

 

扉を蹴破らんばかりの王を迎えたのは

 

「大事ないか――ぬっ!?」

 

部屋を埋め尽くさんばかりの『虹色の光』であった

 

 

「何事か!?何故召喚の儀が始まっている!?」

 

「それが勝手にサークルが起動して!どうやっても停止ができないんだ!この反応からしてトップサーヴァントなのは疑いようが無いけどね!」

 

「真か、オルガマリー!ダ・ヴィンチ!」

 

「――はい・・・!聖杯の干渉すらカットされて・・・!」

 

「なんだか凄く一方的な『善意』を感じる!悪いことにはならないだろうけどね!?」

 

「――お前達で阻めぬならば打つ手はない、か・・・!総員!我の後ろに回れ!」

 

 

――急いで財を選別する。何も解らぬとも、皆を護らなくては!

 

「う、うん!」

 

 

「我が召喚の儀を邪魔立てするとは!生かしてはおかぬ――!!」

 

「大丈夫ですか、皆さん!?」

 

ヒロインXも合流する

 

 

「状況判断を――」

 

全員が器の背後に回ったその時

 

 

『こんにちは。アナタに私は解らないでしょうけど、御挨拶。――アナタには特別に、私の王子様を貸してあげる』

 

 

――!?

 

 

『いっぱい休ませて、いっぱい輝かせてね。私は見ているから。アナタの物語なら、王子様はきっと輝くわ。ね?だから』

 

――全能なる声が響くと同時に

 

 

「来るぞ!霊基パターン!セイバー!」

 

「セイバーだと!?よもや、まさか・・・!!」

 

 

『――私を、精一杯楽しませてね?ナナシの魂さん?うふふふふふっ・・・』

 

 

現れたのは――

 

 

「――僕は、セイバー」

 

白銀のセイバー。右手に握る聖剣、白銀の鎧。金髪にて、力強く輝く碧眼

 

 

「――うそ、だろ・・・?」

 

 

「――貴様、まさか・・・」

 

――間違いない。この雰囲気は・・・!

 

 

「――まさか!別作品からの出典とは!」

 

 

「――真名、アーサー・ペンドラゴン。今こそ問おう」

 

 

――その日

 

「――我のセイバーが・・・」

 

 

 

「あっ、――私!?」

 

 

「――君が、僕のマスターかい?」

 

 

(パクられた――――!!!)

 

 

「――――男になっただと――――――!!!!?そんなふざけた話があるものか!!おのれ――おのれおのれおのれおのれおのれおのれェエェエェエェエェエ――――!!」

 

 

王は、運命に出逢う――

 




「セイバーが活躍するならそれは素晴らしいわ。でも、私はセイバーが無念の内に敗北するのも嬉しいの」


「焼け落ちた世界、壊れた楽園。打ち捨てられる仲間の屍」

「地獄の真ん中で、哀しそうに佇むあの人の背中を、私はそっと抱きしめるの。そしてこう、優しく言ってあげるのよ」


「『アナタの楽園は、私の隣にあったのよ』って!うふふふふふっ。素敵だとは思わない?」


「もちろん、世界を救えたならとっても素敵!頑張って、世界を救うために剣を振るった彼を、世界の果てで迎えるの!とびきりのウエディングドレスを着て、沢山の花束を持ってこう言うの!」


「『おめでとう、王子様!どうか私を、もらってください』って!最高のシチュエーションだわ!そう――」


「『シチュエーションとムードの為なら、世界が救われても滅びても構わない』!あぁ、ナナシの魂さん!アナタはどちらの逢瀬を私にくれるの?楽しみ!とても楽しみよ!」


「応援しているわ!だからアナタも、辛くなったら相談してね?『一度だけなら、どんな願いも叶えてあげる』から!」


「あぁ、セイバー!セイバー!私の王子様!うふふふふふっ!あはははははははははははははははっ!うふふふふふっ!あははは――・・・!」

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