人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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リッカ「さなちゃーん!里帰りするよー!」

早苗「いいですとも!いやぁ、久しぶりですね夏草市!昇陽学校は短いながらもいい人ばかりで!」

グドーシ「実は拙者初めてでござるよ、高校時代は死んでおられましたからな」

カーマ「これからたくさん思い出作るんです!私がバックアップしますから!」

リッカ「とりあえず皆は一緒として…あとは外せないのは彼女だよね!」

グドーシ「えぇ。男性も然りですが、いなくては始まらないという方といえば…」


結局町娘や民を放ってはおかない王妃という話

「マスターが里帰りするみたいね。捨てられた気分はどうかしら?」

 

「何を言い出すのよアンタ…別にただ顔見せに行くだけでしょう。楽園から抜けるわけじゃないんだから、誤解されるような物言いやめなさいって」

 

場所を変えてスイーツじゃんぬ。まだ忙しい時間ではないのんびりした時間帯に二人のオルタが会話を重ねる。片やすっかり常連のマリー・オルタ。そして相手は店長のジャンヌ・オルタ。奇しくもオリジナルと同じ組み合わせの二人は、客と店長という立場以上の話し相手だ。

 

「なんでわざわざ故郷なんかに帰るのかしら。ここにずっといればいいのに。愚民どもにわざわざ混ざりに行くとかちょっと理解できない感情ね」

 

「最近のフランスって差別とか無くなってないらしいしね。私もフランスを故郷として帰りたいと思った事なんて微塵も無いわ。リッカ以外に頼まれてもお断りよ」

 

「気が合うわね。フランスは上流、庶民、移民と分かれていて下の階級は見下し交流なんてあり得ないのがデフォルトらしいわよ?我が愛しの国は選民思想を捨てられないみたい。傑作ね!」

 

フランスの生み出した負の側面の二人、愛国心など持ち合わせるわけもなし。リッカの里帰りから広がったフランスヘイト・スピーチに華が咲く。毒花の類いではあるが。

 

「でも日本は好きよ私。富士山にお寿司、繊細な伝統芸能の数々。極東の島国の神秘性は世界に響き渡っているのだもの。憧れがないと言ったら嘘になるわ」

 

「それはまぁ、そうね。映像作品とか、世界に誇れるものだってのは知ってる。リッカの産まれた国だし、嫌いなわけないんだけど」

 

「ふふふ、マスターにまつわるものならなんでも大好きなのね。ジャンヌ?」

 

「悪いかしら。三度の飯よりリッカが好きなのよ私はあっはっはっはっは!」

 

上機嫌に言ってのけるじゃんぬににっこりとコーヒーに砂糖をブチ込む王妃。彼女は基本、フランス以外とフランスアンチには憎悪を向けはしないのだ。

 

「そこまで言うなら付いていったらいいじゃない。立候補すればいいでしょう?私が自慢のサーヴァント…というのは御法度か。永遠のパートナーとして」

 

「そうしたいのは、やまやまなんだけど…」

 

珍しく、解った!リッカに相談するわ!とならない不完全燃焼ぶりに片眉を上げるマリー。

 

「なぁに?何か気になることでも?」

 

「ほら、今んとこサーヴァントは仮初の客じゃない?私はいずれ受肉するつもりだけど、そこは弁えなきゃダメなのかしらと悩んではいるのよこう見えて。特異点とはワケが違う、リッカの日常でしょ?そこに…」

 

そこに、サーヴァントである自分がいていいものなのかと気後れしているのだとじゃんぬは言う。亡霊、或いは奇跡に近い類の自分が僅かでも、生者の集まりに傷をつけていいものなのかと。

 

「……薄々解ってはいたけど、繊細ね。あなた。町娘らしい尻の穴の小ささだわ」

 

「悪かったわね!あと仮にも王妃が下品な事言わない!頭アマデウスか!」

 

「それは戦争の言葉よ!?撤回なさい侮辱が過ぎるわ!」

 

ヒートアップにて何の話してたっけ?になるまで数分の時間を有する二人。落ち着いたのち、マリーが言葉を口にする。

 

「あなたの悩みは不要なものよ。あなたの気遣いやオルタらしからぬ繊細さは素晴らしいものとこのマリー・アントワネットが認めてあげるわ」

 

「偉そうね〜…」

 

「偉いもの!で、何故不要なのかと言うと。それを決めるのはあなたではなく、リッカなのではなくて?私達は二度目の生を生きている奇跡のような幸運を噛み締めている立場だから、そういった気後れをするのでしょうけど…リッカにとっては今が唯一の生よ?」

 

じゃんぬが顔を上げる。何をいまさらとマリーは鼻を鳴らし、視野狭窄なフランスの町娘を諭す。

 

「そんな彼女の生なのだから、何もかもを残したいと彼女は願うのではなくて?あなたは他のサーヴァントよりも群を抜いて愛されているというのは、私の勘違いでは無いでしょう?」

 

「…そうあってくれるなら、それ以上の嬉しい事は無いけれど…」

 

「そうなのよ!だから変なところで気後れしてないで、私を皆に紹介しなさい、ぐらいは言ってやりなさい!あなたはジャンヌ・ダルク・オルタ!マスターの未来を照らす篝火なのでしょう!?」

 

王妃マリーは、背中を叩くどころかケツを蹴り上げる勢いでじゃんぬを諭す。一生に一度しかない機会。遠慮する事などない。ならば──

 

「…。王妃様は過激ね。焚き付け方が野蛮でなくて?」

 

「貞淑さなんてお断りよ。私はフランス大嫌い王妃!でもフランスアンチのあなたは好きなの!だから行きなさい!ウジウジされると目障りなのだから!」

 

解った解った行くわよ行けばいいんでしょー!とリッカに向けて走り出すじゃんぬ。その様子を、満足げに眺めるマリー。

 

「それでいいのよ。オルタだから何?仮初だから何?好きなようにしていいじゃない。今ここにあるものが全て!サーヴァントなんて、それでいいじゃない」

 

そう──あの王妃が一欠片でもフランスを憎んでいた。そんなスキャンダルが歩いているような自分が存在していることは確かに意味がある。自身は確かにマリー・アントワネット。この憎悪を忘れない。子を殺し、家族を殺したフランスを未来永劫許さない。

 

「だから、あなたが羨ましいのよ?…本当は」

 

だからこそ…自分にはない、憎悪を上回る光を手にした彼女は、応援してあげたい。…正直なところ、憎しみ続けることと恨み続ける事は非常に疲れる。家族を悼もうと思えば殺した者達の顔がちらつき、フランスを思い返せば醜悪な愚民がよぎり、全てを壊したくなる衝動が湧き上がるのだ。それが復讐者。蝕む呪いのように、憎悪はこの身を離さない。

 

だからこそ…憎悪を振り切り笑い、楽しく生きるあのじゃんぬを放っておけないのだ。だって本当は、自分もあんな風にいつか…

 

「……いつか、笑える日が来るのかしら。来るといいわね、そんな奇跡が」

 

そう自嘲し、コーヒーを口にするマリー。紅茶はなんかフランスっぽくてイヤと口にしないため…

 

「あら、こんにちは黒い私!珈琲、お飲みになっているのね?一口くださる?」

 

「珈琲にも紅茶にも合う麻婆豆腐!皆さんでいかがですか!?」

 

「脇を固めないでくださらない!ティータイムが台無しになったわ!?」

 

勿論、キレイなフランス組にはそんな事全く関係ない為、明るい絡みにいつものようにキレ散らかすオルタであったとさ…

 

 




マシュ「あ!じゃんぬさんですよ先輩!」

リッカ「おーい!じゃんぬー!ちょうど良かった!」

じゃんぬ「あ、あの、その!里帰り…」

リッカ「うん!一緒に行こう!じゃんぬ!」

じゃんぬ「一緒に!…え?」

マシュ「リッカ先輩が、じゃんぬさんを置いていく筈は無いじゃないですか!むしろギルガメッシュ王にじゃんぬさんと私は引率護衛でついていくのですよ!」

リッカ「これから声をかけようとしてたんだけど、じゃんぬから来てくれたね!えへへ、嬉しいな!」

マシュ「我が永遠のライバル…抜け駆けをするつもりはありません!どちらが真のメインサーヴァントか、高め合うとしましょう!」

オルガマリー「蹴落とし合い、とならないのがあなたらしいわね」

リッカ「改めて!一緒に来てくれる?じゃんぬ!」

じゃんぬ「──えぇ、勿論です!リッカ!」


ギルガメッシュ(フ──まさにガール・ミーツ・ガールよな。あれらに挟まる害虫、駆除にも気合が入るというものよ)

フォウ(うわこいつブラックカード持ってる!めっちゃ楽しむ気だ!)

──日本の文化!たくさん堪能しましょうね!

ギル《ふはは、当然よ!さて、次に声がかかるのは誰やら…》

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