人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ラオウ「時間を取らせて済まなかった。私はこうして人と話すのが好きでな。どうか夏草でごゆっくりしてほしい」

黒王(超大型バイク)『目的地を設定してください』

アジーカ『ばいばい、ラオウおじちゃん』

ラオウ「うむ、さらば。可愛らしい少女。君に似ている彼女もまた可愛らしかった」

『コテッ』

ラオウ「…そうだ、一つ言い忘れていた。カーマ君、アジーカ君。一つだけ」

カーマ「?」

ラオウ「絶対に、深夜0時からは外を出歩かないように。この夏草には…もう一つの顔がある」

カーマ「…もう一つの、顔…?」

ラオウ「くれぐれも、忘れないでくれ。いいね?それでは」

カーマ「…どうやら、私達の故郷には何かがあるようですね…」

アジーカ『ヌーン』




晒せメカ顔、少年よ開発の意志を抱け

「お待ちしておりましたリッカ先輩!僕はあなたの話を聞いてずっとずっとお話をしたいと思っていたんですよ!はじめまして僕は高橋エル!今月入学した高校一年生にしてあなたの後輩に当たります!」

 

リッカの手を掴み、ブンブンと振り回す紫がかった銀髪の美少年。身長は150センチ程しかないものの、その見た目は見る人が見ればたまらない風貌をしている。充分アイドルユニットでも活躍できるだろう。…彼の部室と、ロボット資料とポスター、プラモデル、理解不能な設計図を見なければ。

 

「彼は高橋エル。見ての通り…ロボットオタクだ。顧問も部員も一人だけだが、入学テストを首席でクリアし、その功績と引き換えに自分だけの部、総合ロボット部と呼ばれるものを設立した。まぁ、ご覧の通りの人物だよ。ちょっとロボットとプラモデルが好きすぎる…」

 

「リッカさん、皆さん!好きなロボットはなんですか!?是非僕と語り合いましょう!人となりなんて、ロボットを通じれば分かるものなのです!」

 

ロボット以外の事など、文字数が惜しい。そんな狂気すら感じる程の剣幕に、一同は困惑しつつも楽園で得たロボット単語を挙げてみる。

 

「マル…ジェネシックガオガイガー!」

 

「ジェネシックガオガイガー!!!勇気の究極なる姿にして、最強の破壊神!本来のガオガイガーにして破壊というマイナスにしてネガティブな単語を新たなゼロへの挑戦と解釈したスーパーロボット!ガオガイガー、ガオファイガーを経て原点に立ち戻った操作形態にしてライオンメカたるギャレオンを中核に数多の動物ロボットを従え降臨する姿はまさに男のロマン!拳から先より放つブロウクンマグナムやこれまた原点のプロテクトシェード、小説版ではヘル・アンド・ヘブン・アンリミテッドと呼ばれる完全詠唱版!檜山氏の叫びもさることながらゴルディオンクラッシャーの絶対勝利感!!ゾンダーにはコアも破壊しかねないからガオガイガーが最適とされる過去作への配慮も怠らないシルエットからしてカッコいいの暴力!!あなたは噂通り、雄々しく!強く!王道で真っ直ぐなライオンが如き女性なのですね!これからよろしくおねがいします!リッカ先輩!!そちらの緑髪のあなたは!?」

 

 

「マジンカイザーです!」

 

「マジンカイザー!!!兜十蔵博士が孫兜甲児に託した神をも越え悪魔をも倒す最強にして皆が待っていたデビルマシン!!初出はゲッター線を浴びて進化したスーパーロボットというスパロボ世界からの創作というある意味でズルい立ち位置かつ、永井豪氏直々のデザインという厄介ファンボーイのマジンガーZEROの持たぬ正真正銘の正義の魔神!昨今では当たり前となった後継機、パワーアップ機という概念を僕が物心つくまえから確立していたロボットという点でリスペクトが止まりません!武装もターボスマッシャーパンチ、ルストトルネード、ファイヤーブラスター、カイザーブレードにカイザーノヴァという原点にリスペクトを最大限もたらした最高の黒鉄の巨神!何より素晴らしいのがパイロットである兜甲児君との絆!兜甲児が乗ったカイザーこそが最強という立場を崩さぬ在り方が最高極まる傑作ロボットです!!そのおっぱいのように強く!大きく!正義のマシンが好きなあなたはきっといい人ですね!そちらの顔色の悪いあなたは!」

 

「顔色っ…!…真ゲッターロボよ。ガシャガシャしてカッコいいじゃない」

 

「ドワォ!!!真ゲッターロボ!!ウオォこれまた王道ロボットですね!三つの心を一つにするゲッターロボ、壮大かつ雄大な進化をテーマにした、一つのメカやマシンに収まらないイシカワ世界の傑作マシン!変形、合体と言えばまさにゲッター!後のアクエリオン等に多大な影響を与えたであろうマジンガーに並ぶ素晴らしいロボットですね!空中戦が得意な真ゲッター1、地上戦が得意な真ゲッター2、水中戦が得意な真ゲッター3!一瞬の判断でオープンゲット、チェンジを繰り返す真ゲッターロボ世界最後の日の早乙女博士率いる開発チームのゲッタードラゴンとの対決はまさに変形、合体メカの描写の一つの到達点と言えるでしょう!!第三次スーパーロボット大戦αではアニメ版ゲッターロボのパイロットが原作漫画版の真ゲッターロボに乗り込み真シャインスパークを放つ感涙モノのカットがあるので是非ご確認を!あなたは大切な人との絆や在り方を大切にする人ですね!そこの徳高めなあなたは!?」

 

「ダブルオークアンタでござる。その理念にこそ感じ入った」

 

「ダブルオークアンタ!!!奇しくも三大原初のロボットが好きな方がここに集われた!外宇宙生命体との来たるべき対話の際に作られた、刹那・F・セイエイの望んだガンダム!それは戦いや戦争ではなく、対話や相互理解を求めて制作された本人の人生の総決算である今風に言えばエモーショナルなガンダム!!正確にはダブルオーライザーの時点から『ガンダムを超越した』という名目でガンダムとは呼ばないのですが、刹那さんが言うガンダムとは『戦争・紛争行為根絶の象徴』という意味も持つと解釈しているので彼は間違いなく立派なガンダムだと僕は思っています!!このクアンタの僕的に一番好きな部分が、開発者イアン・ヴァスティさんが刹那さんの最初の愛機であったガンダムエクシアに頭部を似せて作ったというただの機体という概念を越えた点なのです!マシンと人は、一体となってその真価を発揮する!鉄人28号にもありましたがいいも悪いもリモコン次第という概念は、やがて人とマシンの在り方にまで昇華されたと言って良いでしょう!劇中の活躍など語るが無粋!あなたは対話と調和を重んじ、人を尊重できる素晴らしい方ですね!」

 

「俺達は…」

 

「あ、ルルさんとゆかなさんはもう聞いているので結構です」

 

そんな風に、一度訪ね返ってきた返答、ロボットを省みながら人となりや性格を読み取る離れ業を披露するエル。興味のある分野にはとことんまで追求する、職人の様な人物らしい。その知識量は、見るからに只者ではない。

 

「僕はいつか、自分のオリジナルのロボットやまだこの世の日の目を浴びていないロボットをプロデュースする事を夢としているんです!いつか僕の作ったロボットで、或いは誰も知らないロボットで!人の心を動かしてみたい…!そんな夢を懐いて、この英傑学園にやってきました!ここはガンプラやロボットの理解が深く、購入の際は受注予約と一人一品を徹底した転売対策もバッチリかつロボットプラモデルを3D空間で戦わせるOPRB(オールプラモデルロボットバトル)なる技術もあります!この夏草という都市は僕のようなロボットオタクにはまさに天国なのです!皆さん、是非これからもよろしくお願い致します!!ロボットの魅力、ロボットのかっこよさ!語りたくなったならば是非この高橋エルをお尋ねください!!」

 

よろしくお願い致します!と握手して回るエル。その情熱はまさに求道者たる存在と呼ぶに相応しい。──ならばこそ。

 

「え、エルさん!私はまだ、これというロボットを見つけられていないのです!よろしければ色々教えていただきたいのですが!」

 

「なんと初心者の方でしたか!!それは素晴らしい心から歓迎いたします!!何から見ればいいのかどこから見ればいいのかスーパーロボットとリアルロボットの違いは何か!!未来のコンテンツ拡張の使命を持つ初心者の方には懇切丁寧に御説明致しましょう!あなたのお名前は!?」

 

「マシュ・キリエライトです!」

「キリエライトさんですね!まるで他人の様な気がしないあなた!是非僕と一緒に楽しいロボットの世界に飛び込みましょー!!」

 

…その情熱は、図らずともマシュの情緒を刺激することとなる。いつかマシュのオリジナルロボットが作られる日も、そう遠くないのかもしれない──

 




リッカ「マシュ…友達が出来たね…!…ん?」

?「…(ちょい、ちょい)」

リッカ「?」

そっと、リッカを手招く手と気配を見つけそっとそちらに歩んでみれば。

「あ、あの…すみません、ふじま、ふじまるリッカさんで、すよね…?」

首から定期入れをかけ、キョドりながらも語りかける少女。それは、リッカには覚えがあった。

「…ライン、くれた?」

「は、はい!う、うえ、上田アカネと、言います。あの、その…あの…」

明るく、快活なロボットオタクのエルとは対象的に…

「あなたは、怪獣…好き、ですか?」

消極的で内向的、どことなくマシュと似ている美少女は、リッカに勇気を振り絞って声を掛けたのだった──。

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