人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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オーマジオウ「……」

『夏草市パンフレット』

ウォズ「我が魔王、気になる場所がおありで?」

『夏草市〜仮面ライダー総合資料研究施設・ガンバライジング社〜』

オーマジオウ「どうやら、全ての仮面ライダーの資料を展示しており、実際の変身やプロップサイズの玩具を展示している人気施設の様だ。ライダーグッズショップ、バイクなども用意してあるらしい」

ウォズ「…参られるのですか?」

「無論だ。撮影プロップを目の当たりにできる機会は、そうあるものではないからな」

(目が輝いておられます、我が魔王)

「夏草…良い都市だ…」


???

雨宮父「はっ!?俺の株は!?ルーレットはどうなった!?」
雨宮母「ドンペリよドンペリどんど…はっ!?どこここ!?」

雨宮父「お前、なんでここに!?」
雨宮母「あんたこそ何してるのよ!?というかどこよここ!」

雨宮父「お前、よくも金を持ち逃げしやがったな!俺の取り分を天空海に稼がせるまで3年かかったぞ!」
雨宮母「うるさいわね!誰だか解らない子を育ててきたのよ当然の謝礼でしょう!?あんただって私と同じことしたじゃない!」

雨宮父「俺は一生遊べる金が欲しかったんだよ!邪魔しやがってこのアバズレが!」
雨宮母「私だって同じよ!どうするのよ二人して蒸発したら天空海に稼がせられないじゃ──」

ナイアルラトホテップ【[~®®<·|(なぁ)】

「「ひっ!?」」

【·||[?"=";'、(なんでそんな簡単に血縁っていう、私が欲しくてたまらない宝を捨てちゃうんだ?)】

「「ひぃいぃいぃい!?」」

【{<"[/:)’<”∆™℃⁇№‘¡’¢‾‡℃…/№‘¡‥(一生懸命生きている娘さんに恥ずかしいとか思わない?思わないんだろうなぁ。なんでお前らなんかが私に持てないものを持ってるんだよ、なぁ)】

「「ぐげ…──」」

【'$[[("¿;/)(楽に死ねると思うなよ。娘さんの頑張りを踏みにじった数だけ、お前達には報いを受けさせるんだから。さぁ──お前達の心がどこにあるか教えてくれよ…!!)】

〜銀行

天空海「臨時収入〜!リッカへ振り込み振り込み〜!…んぁ?」

『数百万円の振り込み』

「これ私がクソ親から持ってかれたお金!?帰ってきてる〜〜!!!リッカ〜〜!!借金一括返済できるようになったわ〜!!焼肉焼肉〜!!」

物陰

ニャル【悪事には報いを、頑張りにも報いを。よく頑張ったね、天空海ちゃん】

『預金通帳・印鑑』
『臓器ドナーカード』

【…愛する者と血の繋がりが与えられない。今までの悪事の報いとしては、妥当な重さだな。個人的には。さーて、夏草でも観光するか…ん?】

うたうちゃん「こんにちは。夏草ははじめてですか?私は案内型AI、うたうちゃん。来た人に夏草を好きになってもらう事が私の使命です」

【……天空海ちゃんに似てるが、違う…のか?】

「歌います。ようこそー。みんなだいすきなつくさのまちー。ステージもしています。良かったら」

【その音階でステージ持ちとかwww面白、行ってみよ】



怪獣がやられるだけなんて観念はもう古いのでございます!

「怪獣って、いいですよね。私はどんなにヒーローにやられてもやられても、強く多彩になって帰ってくる怪獣達にいつも勇気を貰っていたんです。小さいときから、ずっと」

 

そう、言葉数少なくもリッカに告げる少女。上田アカネはペーパーナイフとカッターナイフを使用し、見事な怪獣のフィギュアを作ってみせた。小さなスケールながらも、一般人制作のクオリティとは思えぬセブンガー、ウインダム、キングジョーが歓迎するように腕を上げている。

 

「これあなたが作ったの!?凄い、ディテールとかボディバランスとか、充分原型師としてやっていけるクオリティだよこれ!」

 

リッカの言う通り、小さな部室の中には所狭しとアカネが作ったであろう怪獣フィギュアが溢れており、初代のゴモラやゼットン、新しめならばマガオロチ等のハイクオリティな怪獣達が所狭しと置かれている。エルのように溢れんばかりとは言わずとも、それらから感じ取れる誠実さや熱意を読み取れば、彼女は怪獣という存在に助けられ生きてきた事は明白だった。その中で、リッカは見慣れない怪獣…黒い身体にサングラスをかけているような姿の作品を見つける。

 

「あ、それは私がデザインして賞を貰った、アレクシスというオリジナル怪獣なんです。怪獣フィギュアや人形を実体化して形にしてくれる…そんな、黒幕みたいな怪獣をコンセプトに作ってみたもので。意外とウケが良くて…」

 

「これを1から!?凄いよ!どんなものでも、何であろうとも、ゼロから1を創り上げるのって凄く才能と発想力がいるんだから!あなたは凄いよ、アカネちゃん!私にはとてもできない事があなたにはできるんだね!」

 

「ふぇっ!?──うぇっへ、へぇっへぇっへぇ…!!」

 

「アカネちゃん!?」

 

突如褒められた事に衝撃を受けたのか、それとも肯定に弱すぎたのか、奇怪な鳴き声の様なうめき声をあげうずくまるアカネに衝撃を受けるリッカであった──

 

 

〜 褒められ耐性ガバガバすぎぃ! 〜

 

「失礼しました…もうこんな風に全肯定されるのあんまりなくて…私の心の怪獣たちも喜んでいます。ご覧下さいこの弾み様を」

 

カネゴン、ピグモン、ハネジローなど可愛らしげな怪獣をサクサクと制作していくアカネ。彼女自体も可愛らしいのだが、そんな事より怪獣を褒められる方が嬉しいらしい。口数は少なく、エルとは違い受動的。仲間がいればアンテナで発信し細々と語るタイプの様だとリッカは今のコミュニケーションで把握する。故に彼女を会話の先導として頷き、肯定する立ち回りを行う。

 

「怪獣はウルトラマンが出る前のウルトラQ、ゴジラといった特撮作品の顔だもんね。アカネちゃんはヒーローより怪獣に惹かれるタイプだったんだ?」

 

「そう、そうなんです…!ヒーローなんて概念が生まれる前から特撮作品での顔として頑張ってきたのが怪獣達、ヒーロー死ねとまでは言わないけど、怪獣だって主役なのは忘れないで欲しいっていうか…!あ、あの赤いアイツは死んでください。アイツはホント、ホントに無い…!」

 

「……(レッドマンかぁ…)私、ゴジラが好きだよ。怪獣王ゴジラ。人類の危機には力を貸してくれる…モスラとか、メカゴジラとか」

 

「The・王道…!私もそれはもう、作りました。ゴジラVSウルトラマンとか何回想像したか解らないくらい!作品によって色々見た目違うのも可愛くて、ホント、好き…でもモスラリアルにいたらブッ倒れる自信あります、というか倒れます…」

 

「ゴジラVSウルトラマン…それつまりジラース」

 

「ヒレは取らないで!残虐ファイト禁止ィ!…ご、ご覧の通り私は怪獣好きの根暗女なんですが、怪獣達に助けられた事は間違いないんです。私、ヒーローより怪獣の方が好きで…」

 

ペーパーナイフ、カッターナイフで様々な作品を片手間に作り上げながら、ぽつぽつとアカネは話す。自身の過去の在り方、怪獣と共に生きてきた半生を…。

 

 

私、格好良いヒーローよりも怪獣が小さい頃から好きでした。ヒーローが格好良いなんて当たり前だし。ごっこ遊びでは、いつも怪獣ばっかり選んでました。

 

だって怪獣は多種多様で、存在自体が必要不可欠で。いてもいなくても同じだった私とは違う、いるだけで人気者なヒーローとは違う、凄く格好いい存在だとずっと思ってて。…変なヤツだっていじめられはしましたけど。

 

そんなだからめでたく引きこもりになって、中学生に進学して、自分だけの世界に逃げ込んで。ずっとずっと自分だけに都合がいい電脳世界を作り上げて、中学生の間ずっと怪獣を作り続けて、その世界で神様気取りしてました。都合のいい世界を作っちゃうと、その閉じた世界でしか生きようと思えなくなっちゃって。

 

なんとかしなきゃ、って顔を上げて。どうにもならない、ってまた塞ぎ込んで。これからの人生、ずっとこれからなのかなって…でも、どうしようもなくて。

 

でも、電脳世界で自分だけの世界に入り浸っていた時、ふと思い至ったんです。

 

『怪獣みたいに生きていけば、案外なんとかなるんじゃないかな?』って。大抵叩きのめされる怪獣だけど、だからって怪獣はいなくならないし逃げたりしない。必ずヒーローに殺されはするけど、怪獣はそんな決められた運命から絶対に背を向けたりしない。

 

私が好きな怪獣っていうのは、私が好きな怪獣みたいな生き様はなんなんだろう?怪獣達は、やられ役っていう辛い現実から決して逃げなかったよね…!

 

そんな風に考えたのが、中学3年の春。もう電脳の箱庭しか見てこなかった私が、勇気を振り絞って外へ出た日が、人生全部台無しにするギリギリのライン。

 

なんとか一人、友達が出来て。手遅れなら手遅れなりに、一生懸命最後の中学校生活を満喫して。その友達が、言ってくれたんです。学力も素行も悪い私が行ける場所なんてあるのかなぁ、って愚痴った時も…

 

『ずっと怪獣と向き合ってたんでしょ?だったらその技術、情熱は無駄なんかじゃない。ここの高校さ、文芸やデザイン枠の特別推薦枠取ってるからチャレンジしてみなって』

 

そんな風に、『お前の努力が足りなかっただけ』なんて切り捨てずに、私の事を考えて救ってくれた…あの娘が教えてくれた、『好きは希望になる』ってこと。私のこのアレクシスと、私の電脳世界での、腹立つけど…彼女がヒーローとして考えてくれた…

 

『グリッドマンと、アレクシス。あなたが作った二つのヒーローと怪獣で応募してみなよ。あなたの人生は無駄なんかじゃないって、叫んでみなって』

 

…結果は、なんと最優秀賞…!アレクシスと、グリッドマンの創造性が高く評価されてなんと昇陽学園に特別枠で…!市長さんに、榊原先生の二人が見つけてくれたお情けではあったんですけど…それでも、人生の道を好きで拓いたんですよ、私!

 

『やったじゃん!じゃあもう、電脳世界からは卒業してちゃんとやんなよ?』

 

…別の高校に進学するその友達とは、お別れになってしまったんですけど…もう、いつ会えるかも解らなくなってしまったんですけど…でも…

 

『なんて顔してるんだか。もうあなたは閉じた世界の神様じゃない。自分の力で生きていく普通の人間なんだから。…はい、これ』

 

この定期入れをくれたのも、その人でした。私にとってのヒーローは、空っぽのこれをくれたんです。

 

『どこに行くか、どこに行きたいかは自分で決めるんだよ。誰かに教えてもらうんじゃなく、自分でさ。行き先、見失わないようにこれにきちんと入れておきなさい』

 

…また、会えますか?会いに行っていいですか?

 

『もちろん。たくさんの土産話を持って、たくさんの怪獣のお話を持って、会いに来てよ。待ってるからさ』

 

…最後のお別れの日。一年ちょっとだけの友達との思い出。行き先が無いのは、行動が遅かった私への罰。

 

でも、まだ行き先は自分で決められる。どこへ行くか、どこへ行きたいかは自分で決めていいんだって、あの人に教えてもらったから。だから私は、いつかあのヒーローに勝つ為に怪獣を愛して生きているんです。

 

私にとってのヒーロー…宮本六花に、また会うために。

 

『いつか絶対!怪獣でブッ飛ばしてやっかんなー!!』

『言っとくけど、ヒーローは怪獣に負けないからヒーローなんだかんね!!』

 

また、胸を張って。私のヒーローに勝てるように。この世界のどこかで生きるあの人に、勝てるように。

 

──理不尽ななにかに挑戦し続ける、怪獣みたいな生き方が大好きな…一人のなんでもない女子高生として。頑張って生きてるんです。

 

あなたと、同じ名前の…私の親友に。恥ずかしくないように。




アカネ「長々と語ってごめんなさい…!でもなんというか、怪獣そのものが尊いっていうか、生き様が凄く好きというか!…なんというか、皆からの噂聞いてもうヒーローとしか思えなかったあなたと、昔の友達を重ねちゃったというか…」

リッカ「解るよ…やっぱり出逢いだよね、運命を変えるのは…!」

アカネ「その、たまにでいいんで…。今日みたいに、怪獣に関して、お話してもらえたら、凄く嬉しいんですけど…」

リッカ「もちろん!!そしてアカネちゃん!あなたは古い!!(マコトニー感)」

アカネ「へぇえ!?」

リッカ「怪獣が倒されるもの?怪獣はやられ役!?2万年遅いよその考え方!!(今はジードどれくらい情報が…割と出てる!?行ける!)見なさいこのゴモラ!スチールドーン!!」

アカネ「め、メビウスとゴモラがポーズ取ってるー!?」

リッカ「大怪獣バトルでもうとっくに怪獣はウルトラマンと肩を並べるヒーローサイドに昇華されてるの!私の見立てではあと数年先にウルトラマン以上の人気を獲得する未来が来ると見たね!」

アカネ「マジに!?」

リッカ「それにウルトラマンと怪獣が別カテゴリだなんて考え方もふるーい!見なさいこのベリアル陛下!はいレッドキング!はいゴモラ!スカルゴモラ!エースキラー!エレキング!サンダーキラー!!ゼットン!キングジョー!ペダニウムゼットン!!ゾグ第2形態!ファイブキング!キメラベロス!!」

アカネ「ウルトラマンと…!怪獣が合体してるぅー!?え!最新情報!?今年の新ウルトラマン!?(2017はジード)来月から!?」

リッカ「もうウルトラマンだけが人気者な概念は終わってる!時代はフュージョン!融合してるんだよアカネちゃん!そんなあなたにウルトラマンベリアル!!ジャグラスジャグラーも添えて!!」

アカネ「つ、円谷…すげー!!」

リッカ「よーし今からベリアル陛下の魅力で解らせしてやるからなー!フクイデアカネにしてやるからなー!パソコンだ!パソコンを開けぇ!!」

アカネ「はい!よろしくです先輩ー!ていうかフクイデって誰!?」

グドーシ(こちらはこちらで、理解を深めておられるようで何より…)

じゃんぬ(後輩なんて絶好の相手だもんね…)

ヒーロー嫌いによりの知識が遅れまくったアカネに、先輩としてベリアルの魅力を叩き込みまくるリッカであった──

一ヶ月後アカネはメチャクチャベリアル融合獣推しになった。

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