明日の発表、共に楽しんで参りましょう!
ガンバライジング社受付
受付員「ようこそ、ガンバライジング社へ!我が社は老若男女、あらゆるライダーファンを歓迎致します!」
うたうちゃん「こんにちは。お客様の案内です」
受付員「うたうちゃん!あなた、ケガは大丈夫なの!?」
「はい、心配おかけしました」
「なら良かった…では、チケットをどうぞ!」
「預言者一枚」
「へっ?」
「魔王一枚」
【邪神一枚】
受付「あ、あはは…解りました…」
うたうちゃん「AI一枚」
「あなたは案内する側!」
「それでは改めて、仮面ライダー研究総合機関ガンバライジング社へようこそ!私は夏草所属、ガンバライジング社案内役のAI、うたうちゃんと申します。仮面ライダーの芳醇かつ、多彩な歴史に共に飛び込んで参りましょう!次の行き先は過去か、未来か…!」
先の滅びの歌を歌っていたAIとは同一個体と思えぬ快活さと溌剌さにて、遥か見上げる程のビル内部へ邪神と魔王一家を招き入れるうたうちゃん。驚きのクライマックステンションに、邪神も片眉を上げる。
【驚いた。君、そんな風に振る舞えたんだな】
「クリエイティブな分野は苦手だっただけなのですよ。こういう観光、案内、ナビゲートは得意分野なんです。郷土AIなので」
「AIにも関わらず得意、不得意分野があるとは。同じ案内役の役割を持つものとして非常に興味深い。我が魔王、良き先導が期待できそうです」
「うむ。頼むぞ、鋼の乙女よ」
「鋼の乙女…ありがとうございます。私の2000の渾名のうちのお気に入りになりました。私の魔王さま」
「う、うむ…」
「おや、面映ゆくなられましたか?」
「老骨をからかうな、ウォズ」
そう諌める声音は柔らかく、うたうちゃんのナビゲートに導かれ、ガンバライジング社の有する様々な施設へと触れていく事となる。それはまさに、仮面ライダー達の積み重ねてきたヒーローたる生き様の記念館──
〜スーツ・プロップ鑑賞フロア〜
「当然ではありますが、仮面ライダーという番組においてスーツは一着ではございません。イベント、雑誌スチール専用のアップスーツ…アクション専用のディテール、ビジュアルを簡素化して動きやすさと視界を確保したアクションスーツ。撮影において使用されたスーツはガンバライジング社が補修、保管を担っております。一着の値段は一千万程度が相場であり、劣化が激しくクリアパーツ等は経年により黄色の着色が目立つようになっておりますので、我が社はそれらを無償にて修理を行う立場でございます」
【撮影でこんな重り付きの鎧着て夏場の炎天下で飛んだり跳ねたりするんだろう?とんでもない超人技だ…ちょっと被っていい?うわっ、なんにも見えない!】
「スーツアクターの皆様は、稽古とリハーサルを何百と行い、身体に染み込ませた動きを本番、スーツ着用の際に寸分違わず行います。こちらは仮面ライダー555の電飾スーツで、全く視界が存在せず、電飾発光装置にて何度もスーツアクターは熱い思いをしたとか。重さで言えば語り草なのがこのカチドキアームズ。あまりの重さと運用の困難さに、スーツアクターとスタッフ全員が名指し指差しで総非難を行ったとの逸話を残しています」
うたうちゃんの解説に、試しにディケイドの面を被ったニャルが悲鳴を上げる。視界が良好とされるアクション用のお面に関わらず、暗闇の中に微かの光が射す程度の視界しか見えず、息苦しさに慌てて脱ぎ息を吐く。
【これでアクションとか心眼持ちとしか言いようがない…!熱いし、重いし、息苦しいし、特撮作品って大変なんだな…リアル仮面ライダーのお二人はそんな事無いんですよね?】
「もちろんだとも。視界はクリアにて開ききっている。そうでなくてはアナザーライダーや怪人に対応出来ないからね」
「見えすぎて平行世界の自分すら見える。オーマジオウとなり、覇道を歩む数多の私の末路を幾度も見てきた」
【さ、流石は最強ライダー…ディーヴァ、プロップもあるって聞いたんだけど?】
「はい。撮影用に特注された、玩具規制されていない設定準拠のプロップも補完されています。こちらは仮面ライダーブレイド・キングフォームの重醒剣キングラウザー、仮面ライダー鎧武・カチドキアームズの火縄大橙DJ銃となっております。重いのでお気を付けくださいね」
持ち出されたそれらを、ウォズとニャルが受け取る。瞬間、思わず前のめりにつんのめる二人。重心を持っていかれる程の重量が、二人を襲う。
「【重っ…!】」
「仮面ライダーとしての殺陣にも耐え切り、玩具促進の一面も担う大切なものですので。最適化されているとはいえ重厚感を見せるための武器プロップは負担も大きく、仮面ライダーアギト・トリニティフォームの太刀、フレイムセイバーと長槍、ストームハルバードの両手持ちには肩を脱臼しかけたとの逸話も残っています」
「子供に夢を届ける作品、その裏にはまさに血の滲む様な工夫と努力が存在している…。ベルトのプロップは、DX玩具より二回り程大きいのだな」
プロップディケイドドライバーが、ソウゴの両手にも収まらないほどの大きさを誇る要素に感嘆を漏らす。うたうちゃんは頷き、仮面ライダークウガのアークルをそっと手に取る。
「スーツの上から大の大人が装着しなくてはならないので、画面で見る以上にそのサイズは圧巻となっております。ベルトプロップの逸話としては、仮面ライダーレンゲルのベルトが川に投げられるシーンで行方不明になってしまったことや、仮面ライダーギャレンのベルトが転がるシーンの撮り直しで美術スタッフさんが露骨に嫌な顔をした、仮面ライダーベルデの役者さんがノールックのカードデッキ挿入に成功した、等ですね」
「はははは…こうして撮影の現場においても、様々なエピソードがある。瞬間瞬間を必死に生きた証がな。ガンバライジング社、その名に偽りは無いようだ」
「瞬、瞬、必、生…ですか?」
「そういう事だ。鋼の乙女よ。平成を語る上で、極めて大事な概念だ」
「我等が魔王の言葉、どうか忘れないように。君もまた、我等が魔王は期待しているのだから」
「私に…?」
【ふふ、幸せものだな君は。いや、今更言うまでもないか。夏草に望まれた君には】
「…ありがとうございます。それではサービスとして、私がアップ用スーツを着用する記念撮影と、最新CG技術と合成による、劇中シーンさながらの映像キャプチャーがございますが、体感なさいますか?」
【そんな事が出来るのか!?凄いなぁディーヴァとガンバライジング社!】
「ウォズ、良い機会だ。写真を撮るがいい。邪神は変身ポーズをやってみせよ。私はそれを楽しませてもらう」
「はっ!それではうたうちゃん、ディケイドをお願い出来るかな?我等魔王軍にも、深い関わりを持つライダーだからね」
「………」
「うたうちゃん?」
「私に命令すんな(オレサマー)」
「【!?】」
「はははは。素晴らしい役への入り込みだ。やはり、お前は只者ではない」
【ビックリした…グレちゃったのかと思った…】
「ほら、さっさと行くぞ。世界が私に撮られたがってる」
こうして、仮面ライダーの歴史を辿る施設の旅路は幕を開ける。魔王と邪神も、ただ純粋に楽しみ、芳醇な歴史に触れる。
「なんとかかんとかかんとかで、なんとかかんとかかんとかだ!」
「貴様ぁ…!何者だ!!(CV小山力也)」
「通りすがりの仮面ライダーだ。覚えておけ。変身!(BGM ディケイド)」
「ベルトが白いのか、こちらのディケイドは…」
「それでは、はい、チーズ」
〜
【クサマカァー!!クサマガミンナヲー!!ヘシン!!】
『turn up』
【ウェエ!ヘェー!ヘェー!!エゥ!?】
「じー…………」
【ディーヴァザン!ナズェミテルンディス!!アンタトオレハ、カゾクジャナカッタンデウェエ!?】
「(帰ってDVD見よう)」
【ソウルナウ…!ナズェダ!ナズェダ!ナズェダー!!】
名シーンと、変身を思う存分に楽しんだ…
ニャル【オンドゥル語変換インカムって…変なグッズ置いてあるんだなぁ】
ウォズ「実に大きなお友達向けの設備の充実ぶりだ。仮面ライダーとしても、個人としても非常に興味深い…!」
うたうちゃん「ガンバライジング社は全年齢ヒーローアミューズメントパークの側面を持っています。どうか楽しんでくださいね」
ソウゴ「ははは。羽目を外し過ぎて誰かに迷惑をかけてはならぬぞ」
うたうちゃん「………」
ソウゴ「どうした、鋼の乙女」
「なんだか…言動が、おじいちゃんみたいですね」
ソウゴ「ふははは。おじいちゃんみたいではなく、おじいちゃんなのだ」
うたうちゃん「!失礼」
ソウゴ「む…?」
ニャル【ちょ!?】
『おんぶ』
ウォズ「我等が魔王!?」
うたうちゃん「介護です」
ソウゴ「ははははは!」
おんぶされながらも、楽しげな魔王であった…
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