シオン「遊びでリフレッシュするのはもちろんですが、中々夏草の状況もカオスですよ。こちら、夜の夏草に先んじて出向いたヘラクレスさんの報告なのですが…」
『魔法先生ネギまやとあるシリーズの世界を歩いていると思っていたらいつの間にか龍が如くの世界観に迷い込んでいた。とんでもないひるよるウッドの片鱗を味わった気がした』
「沢山の半グレ、武装グループ、チンピラなどに絡まれた様です。当たり前のように暴力が振るわれ、倒せば賃金やら戦利品がもらえたとか…」
オルガマリー「…本当に、何が起きているというの…?ギルはどうしているかしら」
ムニエル「我等が王は月に行ってるよ。俺達の家族の移住の話をはくのんと煮詰めるんだってさ」
オルガマリー「本当に…頭が下がる勤勉さです、ギル…」
〜
ニャル【そもそも異星の神が選んだのはキリシュタリア一人で、ほかはオマケのようなものだ。枝葉の話としていようがいまいが変わらないかもしれないが、よりによって既に厄災の目を断っているとは判断も行動も早すぎたぞ私…】
(しかし、そういえば大令呪などといった概念もあったな。…確かアイツがマシュちゃんに刻ませるのを阻んだのだったか)
【……マシュちゃんに告白くらいは許してあげようかな。紛れもなくそれは、ファインプレーだろうし。さて───】
はなから まーぼーを たべたので
じゃあくな かみさまは しにました。
「おぉーーっ!!見渡す限りのプラモデルが私達を迎えてくれていますよーっ!!」
プラモデル大型専門店『刻の涙』。あらゆるジャンル、あらゆるサイズやグレードのプラモデルを取り扱い、制作コーナーやカスタムスタッフによる改良にも対応した『自分だけのプラモデルとの出逢い』をコンセプトにした店舗の扉を潜った早苗が歓喜の声を上げる。エルといい、ロボット好きからしてみれば非常に充実かつ見ているだけで楽しい品揃えが揃っており、それらはひっくり返した玩具箱の如しだ。テンションがマックスになってしまうのも無理はない。宇宙の蒼をモチーフにした清潔感溢れる空間に、数多のプロモデラー達が作ったであろうモビルスーツや戦闘機達の勇姿が展示されている。
「!あれ…凄いのがあるよ!」
そんな中、大型のショーウインドウに鎮座している紫と白、桃色のカラーに塗り込まれた神々しき翼を有するガンダムがリッカの目を引く。数多のプラモデルを寄せ付けない、フルスクラッチを始めとした美しく仕上げる為のノウハウを全て注ぎ込んだが如き女神のようなガンダムを一同は目の当たりにする。ウィングガンダムゼロ(EW版)を元に、羽根に搭載された超小型フェザービット達、白色に塗られたビームショーティー二丁にビームリボンを振るうポージングで飾られたそれは、まさに息を呑む神を象った彫刻が如しだ。一目見ただけで、精巧さと精緻さの格が違うと魂レベルで理解させられる程の出来栄えである。
「それはヴァルキュリアガンダムと言って、英傑学園の榊原先生の愛機の様だよ。彼女はプラモデルバトルのチャンピオンタイトル保持者の様で、未だそのガンダムは負け知らずらしいんだ。凄いよね!」
興奮も顕にストライクガンダムを持ってきたロマニと一行は合流し、促されるままにプレートを見据える。確かにそこには、ヴァルキュリアガンダムの名前と榊原処凛の写真が記載されている。プラモデルバトル無敗の女帝との二つ名付きでだ。
「先生すごーい!ホントなんでもできるんだね!確かプラモデルバトルって…」
「プラモデルで殴り合うのかしら…壊れない?」
リッカとじゃんぬの疑問に、ルルが答える。彼もまた、興味はあるといった口調で解説を行う
「俺は手先が器用じゃないからあまり得意では無いんだが、作ったプラモデルを特殊な空間で読み取り、遠隔操作可能なバーチャルコクピットに搭乗し、電脳空間で戦う臨場感抜群の新時代バトルゲーム…らしい」
「試しに作った無頼では用意されたエネミーロボットに完膚なきまでに叩き潰されていたな。プラモデル作りの腕前がお粗末過ぎだ。おまけにカバー出来る腕前も」
「えぇい、黙れゆかな!と、とにかく、非常に最先端のゲームである事は間違いない。ゲーム筐体形式を取ってはいたんだが、順番待ち平均5時間なんて惨状を受け、オンラインモードの実装に大和達が着手しているとか…」
「自分のプラモデルがブンドド動いて!操縦も出来ちゃうんですか!?」
「な、なんという神ゲー!先輩!これはもはやグドーシさんと一緒に楽しむしかありませんよ先輩!ドクターのそのガンダムで是非やってみましょう!」
「で、でも大丈夫かな?順番とかほら、使っても大丈夫?」
「──あぁ、大丈夫ですよ。榊原先生個人ルームコーナーの使用権を渡されています」
「初心者と、久しぶりの帰郷祝いに楽しんでほしいからだってさ。やったな、リッカ」
「よく帰ってきたな!俺は錯乱などしていない!!」
そんなテンション上がりに上がった少年少女におじさん一人のグループに、声をかける3人。優しくも物憂げな茶色の長髪のスタッフ制服の少女、人懐こそうでオシャレ黒髪赤眼の少女、気難しげでやかましいグラサンかけた青髪緑眼の少女。それぞれがリッカ達の前へと現れる。リッカには当然、彼女達が誰なのかは当然の理解を示す。
「ヤマトちゃん!アスカちゃん!サラさん!久しぶりー!」
保志大和(ほしやまと)。ロボット工学部門にOS部門、バーチャルオンライン部門で様々な技術革新を起こした天才と呼ばれし同級生。プラモデルロボットバトルの技術やシステムを構築したのも彼女であり、同ゲームの開発チームのリーダーを務めている才気煥発の化身である。内向的で物憂げ、天然さが人気のおっとりお姉さんである。
「うん、久しぶり。少し見ない内にとっても素敵になったね、リッカちゃん。ほら、アスカ」
「は、はい。帰ってくるならもっと歓迎の準備したかったのに、なんで突然なんだこのせっかちばか!」
可愛らしい顔を怒りに吊り上げ可愛らしい怒声を飛ばす素直になれない彼女は鈴村飛鳥。同ゲームのテストプレイヤーにしてデバッグ担当。プラモデラーとしてはいまいちだが操縦センスはピカイチな跳ねっ返り。心優しく真面目ではあるのだが、情緒が未熟でついつい物言いがキツくなってしまいがちの思春期少女。もっぱら、仲良しの大和と共に行動しズレがちな彼女のフォローを担当している苦労人だ。
「飛鳥!せっかく帰ってきた相手にその言い方はなんだこのバカ野郎!物言いに気を付けないと友達を失うといつも言ってるはずだ!高校生は友情ごっこじゃない!」
凄まじい剣幕でアスカを叱りつけるのは石田サラ。アマチュア以上のモデラーの腕前を持ち、自分で操縦してもトップクラスの実力を持つというマルチな才能持ち。しかし情緒が非常に不安定かつ「このビルドで大丈夫だろうか…」「もっと上手い戦術があるんじゃないか…」と迷いに迷いがちな悪癖を持つ色々と難儀な人物である。しかし、迷いを振り切った彼女には一人を除いて敵うものはいないとされている。美貌から人気は高いが、あまりの破天荒ぶりから交友関係はあまり広くなかったりする。
「あはは、はじめまして。皆様の事は聞いています。では早速プレイしてみますか?ここでは筐体式で、オフラインプレイを行えますので自分のプラモデルを使用していただき…」
「ちょっと待って下さい大和さん。いきなり本題に入ったら混乱すると思いますよ。すみません、彼女は保志大和さん、こっちはサラ。私は鈴村飛鳥です。よろしく」
「私はなんでここにいるんだろう…」
「榊原さんとバトルするんだろ!なんで急にやることを忘れるんだアンタは!」
「おぉお…久しぶりです!三馬鹿の皆様はお変わりありませんね!」
「俺はバカじゃない!!早苗!相変わらずこの非常識野郎!!」
「ありがとうございます!褒め言葉です!!」
「うん(スルー)習うより慣れろと言いますし、そちらのストライクガンダムを使って、チュートリアルステージを体験してみるのはどうでしょう?」
訪れたカオスを完全にスルーし、大和が皆にマニュアルと説明書を配り、ロマンにプレイを促す。丁度手許には、ロマンが初素組みしたストライクガンダムが握られている。お誂え向きの運命がここにある。
「ロマン!!乗りなさい!!」
「リッカちゃん!?」
突然豹変し、ロマンにゲームプレイを促し始めるリッカ。その剣幕に素でビックリするロマンに皆の後押しが雪崩れ込む。
「誰かの為じゃない!あなた自身の思い出の為に!!」
「「「「「「ローマーニ!ローマーニ!ローマーニ!」」」」」」
「……乗るよ!ボクは乗る!ボクはストライクガンダムのパイロット!ロマニ・アーキマンです!」
「行くぞアスカ!!プラモデルバトル!!レディー!」
「ゴーッ!!!」
「じゃあ準備しますね。お気楽にお楽しみください」
なんだかんだでノリよく叫ぶアスカとサラ、マイペースで筐体を展開する大和。
「…仲が良いのか悪いのか、相変わらずよく分からん…」
「お前は友達が少ないものな」
「本当の事を言うな!」
一人、ゆかなに心の傷を抉られ叫ぶルルであった…。
筐体コクピット内部
大和『左手のプラモデル設置ルームにストライクガンダムを置いてください。バーチャルダイブを始めます。BGM、どうぞ』
BGM GUNDAM出撃
ロマン「お、おぉお…!本格的だぁ…!」
リッカ『モニターに映ってるよ!頑張れー!』
マシュ『ドクター!ファイトですよー!』
飛鳥『進路クリア!ストライク、発進どうぞ!』
ロマン「よ、よーし!ロマニ!行きまーす!!」
ダイブが開始され、バーチャル空間にて、本来のサイズに投射されたストライクガンダムのコクピットにて、ロマニは目を開く。
「うぉお!リッカ君!ボクはガンダムに乗ってるよー!」
リッカ『いいぞー!羨ましいぞロマンー!!』
サラ「脳波コントロールで操縦できる!やってみせてください!エネミーを出現させる!!」
目の前に、初代ガンダムのモビルスーツ・ザクとガンダムSEEDの量産機、ジンが現れる。
ロマン「うわわわ!出てきたぁ!?」
大和『プラモデルバトル、スタート!』
ロマン「逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ、逃げちゃダメだ…シバ…僕を導いてくれ…!」
オルガマリーの幻聴『身構えている時には、死神は来ないものよ。ロマニ──』
ロマン「!──なんとでもなる筈だ!」
ドタバタと走り出すストライク。今、ストライクが電脳の大地に立つ…!
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