地球連合軍がオーブ連合首長国の企業モルゲンレーテと開発した「GAT-X」シリーズに分類される試作型モビルスーツ。一連の5体の中では最後発の5号機に位置する。
型式番号は「GAT-X105」。Xは試作機、105の「1」は機体の骨格であるフレームにX100番台フレームを使用しているということを示し、1の位の5は開発ナンバーを意味する。
背部には装備換装を可能とするコネクター「ストライカーパックシステム」を採用。導入されたフレーム構造とともに機体のアップデートも容易とした。空中戦のエール、近接戦闘のソード、砲撃戦のランチャーパックが基本装備
パックなしの状態では基本武装が頭部機関砲「イーゲルシュテルン」、コンバットナイフ「アーマーシュナイダー」のみとなり、特に射撃戦能力を著しく欠く。
ジン 出典 機動戦士ガンダムSEED
ザフトが開発した量産型MSにして、コズミック・イラにおける世界初の量産型MS。
その機体コンセプトは戦法が成熟される以前のものであったため、装甲・火力・機動性を両立した全領域兵器としてあらゆる戦局に対応する汎用性を付加されている。
ザクⅡ 出典 機動戦士ガンダム
型式番号MS-06。ジオン公国軍が誇る汎用主力量産型モビルスーツ。
ザクⅠの問題点を解決した性能向上機であり、生産数の多さなどから主にザクと呼ばれる機体はこちらを指す場合が多い。主にジェネレーターの改良による出力向上及び稼働時間の延長、動力伝達系統の改良等の再設計が行われている。
「うわぁあ…!凄い臨場感だぁ…!」
プラモデルバトル、そしてガンダムのコクピット内部空間を再現された場所にダイブしたロマニが懐いた感想は、まずそんな言葉と感想だった。もちろん彼はガンダムどころかロボット初心者だ。ストライクガンダムも、なんだか洗練されたカッコいいガンダムというイメージから手に取り、なんとか完成させた程度のもの。元ネタの作品を深く知っている訳ではない。しかしそのガンダムのコクピット内部にて見る景色は、男としてのロマンの部分を狂しく刺激し、奮い立たせた。
小難しい機器、よく分からないモニター画面、しっかりと映し出される敵方のモビルスーツ。グリップの感触、敵物体を前にしたプレッシャー…パイロット経験など皆無に等しいのに、生の戦場に今自分はいるのだと五感全てに訴えてくる圧倒的な臨場感、そしてヒリつく緊張感、それらはレイシフトにも似た浮遊感を、彼に体感させてくる。
『来るよロマニ!対処して!』
そんなある意味夢心地の感覚を切り裂くアラートとリッカの指示。見れば自分でも知っているロボット、ザクが重厚感たっぷりに走り迫ってくる。一歩一歩とモニターに拡大し映されれていくプレッシャーの塊。来る。敵が来る!
「うわぁあぁあぁあぁあぁ!?」
何かをする間も無く…ロマニのストライクガンダムはザクの痛烈なタックルを受け、遥か彼方に吹き飛ばされる。青と白のカラーリングが土煙と埃にまみれ、シミュレーションの大地に這いつくばる。
「やられたぁ!?もうダメか!?被害は!?損害は!?」
振動、上下への揺れにてパニック寸前になりながら計器をいじる。見るとストライクガンダムの体力、エネルギーを表すゲージの2割が減っていた。下部には『フェイズシフト装甲作動』というテキストが表示されている。
「フェイズシフト装甲…!電圧を与える事により実弾や実体攻撃を完全に無力化するのか!凄いぞ、なんて優等生な機体なんだ!」
見ればプラモデル制作レベル、40と記されており、武装はバルカン、イーゲルシュテルンにアーマーシュナイダーという武装のみという事が示されている。それ以外の武装は…
『ドクター!ストライカーパックはどうしたのですか!?ビームライフルやシールドは!?』
「ほ、本体を組むのだけで精一杯だったんだよマシュ!あの赤いの、後ろにくっつくやつだったんだね!?知らなかっ…わぁあぁ!?」
瞬間、コクピットに伝わる激震。ザクがストライクの頭を掴み立たせたのだ。そのまま、パンチの連打をボディに浴びせる。ダメージは受けてはいないが、振動と猛烈なエネルギーの低下を示していく。ガンダムやザクなどは関係ない、ロボット同士の圧倒的な臨場感によるぶつかり合いがバーチャルから現実へと転化される。
「この装甲、凄いエネルギーを使うよどうしようリッカ君!どうすればいい!?このままじゃ大変な事にー!?」
パニック寸前になるロマニ。激震の操縦桿から手を離す程のビビリ上がりにリッカは最善と最適解を飛ばし援護する。モニターで、確かに彼女達は見ているのだ。
『ロマニ!バルカンでザクの手と頭を潰すの!まずは怯ませて、大丈夫、ストライクは傑作機、やれるよ!』
「バルカン!?これかな!?い、行けぇ!」
慌ててスイッチを押し、武装を起動し頭部のバルカンを放ち掴んでいた腕ごとザクの頭を吹き飛ばす。その転機は相手方の少なくないダメージとなった。左腕と頭を失い、ふらつくザクにロマニは勝機を見出す。
「今だ、今しか無い!えっと、えっと、アーマーシュナイダー!ナイフ、ナイフを!」
素早く脚にマウントされていたナイフを引き抜き、バーニアを吹かせ一直線に突撃する。スタイリッシュなヒーローロボットらしさは欠片も無い、敵組長の命を狙う鉄砲玉のヘッピリ腰のナイフ構えのまま──
「このおぉおぉおーっ!!」
一気に、コクピット部分に突き刺す。モビルスーツの、ロボットの弱点は総じてそこだ。突き刺した勢いのままもんどり打ってもみくちゃになったまま倒れ込み、深く深くアーマーシュナイダーが突き刺さったザクは活動を停止し、撃墜扱いとなり活動を停止する。
『撃墜確認、お見事です。ロマニさん』
『やりましたよポニテおじさん!凄いです!!』
『一体倒せるとは。ルルの最低記録は保持されたな』
『一々言うな!』
「や、やったのかい!?ボクが倒せた!?やった、やったぞ!──うわぁあ!?」
高揚感に包まれたのも束の間、もう一体のモビルスーツ、ジンが腰に帯刀していた重斬刀を引き抜き猛然と襲い掛かってくる。再び狼狽するロマニだが、ここで彼は応援する者たちのアドバイスを思い出し、智慧の覇者たる所以を見せる。
「確かフェイズシフト装甲は実体攻撃を防ぐんだったよね!なら──こうだっ!」
腕をクロスし、重斬刀の振り下ろしを真っ向から受け止めるストライクガンダム。猛烈な火花が散り、急激なエネルギー低下が襲う。グリーンから、イエローゾーンへ。危険水域への到達はもう間もなくだ。
『ロマン!護るのはナイスだけどそのままじゃ!』
『エネルギーが!フェイズシフトダウンしてしまいます!』
「舐めるなよー!ボクがただのポニーテールおじさんじゃない所を、見せてやるっ!うぉりゃぁー!」
瞬間、力の限りに重斬刀を跳ね上げる。体勢を無理矢理崩し、たたらを踏むジン。ロマンは武装を確認した。アーマーシュナイダーは、あと一本残っている!
「このおぉおぉおーっ!」
片方から素早くアーマーシュナイダーを引き抜き、素早くジンのコクピット目掛け叩き込むロマニ。ナイフの突き刺さった箇所から、猛烈な火花が舞い散る。しかし、まだジンは動きを止めていない。同時に──
『フェイズシフト装甲、ダウンします。エネルギー残量、残り僅か』
瞬間、ストライクガンダムの装甲から色が消え失せ灰色になってしまう。フェイズシフト装甲は電力で起動させているもの、重斬刀で擦れあった分と、制作レベルの問題から稼働時間は本来よりずっとずっと少ない。もはや、自分を護る鎧は無くなったも同然。
「これで決めるんだあぁあぁーっ!」
しかし、テンションマックスとなったロマニは強かった。突き刺したアーマーシュナイダー目掛け、なんと渾身の膝蹴りを行った。継続的ダメージであった突き刺しのダメージ判定が、強く強く押し込まれた事によるクリティカルダメージへと判定される。コクピットを通り越して背部にまで刃は貫通し、そして──
『モビルスーツ・ジン。活動を停止。全エネミーの撃破を確認。チュートリアルミッションの完遂を確認しました。見事なオペレーションでした、ロマンさん』
大和のアナウンスが響き渡り、ブザービートが鳴り響く。最後の必殺技マニューバにより、辛くもロマンは初陣を勝利で飾ることに成功した。
『凄いです!凄いですポニーテールおじさん!見事な飛び膝蹴りでした!』
『先の動き方はサーヴァント戦においても非常に参考になります!飛び膝蹴り、マスターします!』
『いやはや実に手に汗握る戦い、お見事でございました』
『ブラボー!おぉ、ブラボーロマーン!』
割れんばかりの喝采の中、コクピットの中で荒い息を吐くロマン。ストライクも四肢を地面に投げ出し、土下座のような格好を取る。
「こ、怖かった!怖かったけど!なんて、なんて…」
そう、圧倒的な臨場感に緊迫感。そして、ロボットを自在に操るシミュレーターならではの高揚感に頭の回転。疲労は尋常ではない。だが、それでも──
「なんて楽しいんだ!プラモデルバトル…!」
確かに自分が、ストライクガンダムのパイロットとなり愛機を勝利に導けた。それが抜群の感動となり、ロマンの総身を打ち震わせたのだった──。
ロマン「次はストライカーパックを付けて頑張ろうね、ストライク〜!君をボクは推しちゃうぞー!」
リッカ「降りるなり即座にストライカーパックセットを買い求めた…それだよ、コンテンツに必要なものは…!」
早苗「次は私が!私がやります!!」
マシュ「いえ私に!私にやらせてください!エルさんの考案したラウンドナイツ・ギャラハッドの雛形の試運転を!」
ルル「とりあえず、まずは何かを作らなくちゃな。朱雀の奴を作ってやるか」
ゆかな「手先は器用なお前と、ダイブがうまいアイツ。適材適所だな」
飛鳥「好評みたいで、良かったですね大和さん!」
大和「うん。初心者の方でも楽しめたみたいで、良かった」
サラ「私は榊原先生に挑む!ジャスティスを棚に飾ってみせる!」
飛鳥「無茶だと思いますが…まぁ頑張ってください」
サラ「私が頑張っていないとでもいうのかアスカ!」
「一々めんどくさいんだよあんたは!」
ロマン「シバと一緒に作ってみせるぞー!」
一同は大賑わいでプラモデル制作コーナーに殺到する。少なくとも夕方まで、時間が潰れるのは確定の熱狂ぶりが一同を包むのであった──
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