最初のお話は、その処遇を巡ってこの作品でも大いに波及を呼んだあのロストベルト!形というかネタを忘れないのも兼ねて、流れを予告編という形で残します!
息抜きでお楽しみください!それではどうぞ!
「ほう、ブリテン異聞帯か。騎士王という最後の王が末期の平穏をもたらした神秘の地、終末の獣も希少な地を選んだものよ」
終末の獣と、地球と歴史をかけた全面戦争の最中。楽園は七つのロストベルトの中でも特異なロストベルトを見出す。それは微小で、かつ王が言うように希少な地理。
──ブリテン島。あらゆる人理を拒絶する、汎人類史においても唯一無二の島。その地に目をつけた我等が御機嫌王は、胸を躍らせ殴り込みをかける。
「ブリテンはかのアヴァロンに通ずる道があると聞く。景色も上々とマーリンめも宣っていた。知られざる秘境、踏破するしかあるまい!」
「規模的には放っておいてもいいんだけど…君が楽しそうと思っちゃったら止める道理は無いよねぇ…」
「まだ人理金箔には余裕があるわ。カルデアのリソースなら、スケジュールに狂いはもたらされない筈」
フォウ(エア、行くつもりなら…ボクはキミから離れないよ!)
──ど、どうしたの?なんだか凄い覚悟を感じるけれど…
楽園、アヴァロンを一目観ようとブリテン異聞帯に殴り込みをかけたギルガメッシュらを待ち受けていたのは、驚愕のあり得ざる歴史。
「ほほう、これはまさに見渡す限りの──荒野では無いか!!どういう事だ騎士王、貴様のもたらした騎士道の国は何処へ消えた!?」
「これは──、私にも理解が及びません。あり得ざる歴史、間違いなく続いた歴史。ロストベルトとはそう言ったもののはず。それが何故こんな…」
騎士王すらも愕然とする、文化も文明も存在せぬ荒野。そこで途方に暮れる一行に、風に乗せて響く導きの声
『私の声を、どうか聴いてください。私達に、力を貸してはもらえませんか…!?』
「行きましょう。ブリテンにて困窮を訴えるものを見捨てる訳にはいきません」
「これではブリテンの名産も望み薄だな。噂のマッシュポテトをレビューしてやろうと思ったものを…」
その声に従い、ヴィマーナとドゥン・スタリオンを走らせ森に至ると、待っていたのは人とは異なる種族『妖精』の生き残り達であった。
「私の声を聴いてくださった!あなた達は素晴らしい、善良なる楽園の使者!私はホープ、妖精ホープです!こっちのムキムキは、ビリィ!」
「ビリィ・ヘリント。考古学と歴史考証家を兼ねています。空想樹を処理するために現れた正しき歴史の使者…やっぱりね。ほら、ご挨拶なさい」
「…バーヴァン・シー…妖精、バーヴァン・シー…よろしく…」
『妖精、だって!?いやそうかブリテンだもんね!そりゃあ妖精だっているさ、でも…』
「生き残りは、あなた達だけなのですか…?」
名無しの森にて細々と生きていた、三匹の妖精。彼等は伝える。このブリテンは、もう滅んでいるのだと。
「ビリィが正しい歴史を読み解いて、それを護っていたんです。私達は…滅びるしかない生き物でした。神様を殺して、その大切な人間に、とてもとても悍ましい事を…」
それはあまりにも深い原罪。ビリィの語る妖精達がかつて築いた、罪の楽園。そして妖精を呪う、神の怒り。
「僕達が汎人類史に成り代わるなどあってはならない。僕達は此処でどうなろうと消え去るべき生き物だ」
「そんな、ビリィ兄貴…!」
「だけど聞いておくれ、リッカ。その前に僕達には、やらなくてはならない事があるんだ。その為には、君達の力が必要なんだ」
ビリィ達が目論むもの、それは贖罪の巡礼。滅び去った氏族の長たちが姿を変えた鐘を鳴らし、未だ死ねずにいる『祭神の巫女』の身体を集め、尊厳を取り戻し神に贖罪を告げること。
「ホープ、そしてバーヴァン・シーは素晴らしい妖精なんだ。神の怒りは最もだ、だが…彼女達だけは、赦してあげてほしいんだよ」
「ビリィもバーヴァン・シーも、私を助けて護ってくれた。親の罪は、あの二人には関係無いんです!ケルヌンノス様に、赦してあげてとお願いしたいの!」
「ビリィ…ホープ…こんな私を、見つけてくれた…だから、だから…恩返しをしたいの…」
「──かつて我がやろうとしていた間引き、それを随分と上手くやったものよ。よもや罪人の島の宝石を遺していようとはな」
──ギル!ワタシは、彼等に力を貸したいです!
《フハハ、良かろう!始まりの咎、こやつに乗り越えさせてやろうではないか!目標が出来たぞ──こやつらの!アヴァロンへの帰還だ!》
心から他者を慮る妖精達を連れ、ブリテンを巡る事となったギルガメッシュ一行。その巡礼の旅に立ちはだかるは、【はじまりの厄災】。
【僕たちは滅んだのに】【おまえたちだけずるいぞ】【僕たちは許されなかったのに】【おまえたちだけきたないぞ】【僕たちはあんなにも反省していたのに】【おまえたちだけ】
【【【【【【きーえーろ。きーえーろ。きーえろ】】】】】】
「ハッ、よもや子孫を呪う先祖がいようとはな。ケルヌンノスめもそれは怒ろうよ、救いが無いとはこの事だ!」
「あぁ、あぁ…!また、バラバラにされてしまう…!わたし、また、バラバラに…!」
(しっかりするんだ!君達は偶然で生き延びたんじゃない、きっと神様がチャンスをくれたんだ!)
「あ…虹リスさん…?」
善良な妖精達を滅ぼさんと迫る六つの厄災。ケルヌンノスたる神が齎す怒りの呪い。それらに立ち向かう、楽園カルデア。
「どれだけ罪深いのだとしても、罪はいつか赦されるものだよ!反省して、悔いているなら尚更!」
「はい、先輩!この三人の気持ちは本物です!絶対に、呪いに沈ませはしません!」
──自らを殺められ、挙句の果てに大切な巫女の尊厳を奪い去られたケルヌンノス様の怒り。推し量るなど出来る筈もありません。
でも…彼等は罪を受け止め、背負い立ち上がった。その輝きと、小さくとも煌めくような心は!全身全霊で寄り添い支えるに値します!やらせはしません、絶対に!
滅び去ったかつての妖精國。腐り落ちた楽園。それでも彼等は、泥の中の砂金や真珠を見出していく。
『リッカ。アルビオンの亡骸に行って、触ってみなさい。私は嫌よ、汚れるから』
「祖龍様…?」
【ぬぅっ…!ぐぅうぅう…!!鐘を鳴らすなら、早く、するのだ…!私が、厄災を、阻むうちに!】
「妖精にも、猛きものや智きもの。優しきものもいる。…かつてブリテンを治めた王として、それは素晴らしいことだと言わせていただきます。あなたもそうだ、バーゲスト」
『どうかお願いします、輝かしき歴史の方々。大厄災の後に残された、私達妖精の最後の希望を…護ってください』
「フン。声の割に聡明な事だ。──付き合ってやろう、ムリアン。この地、埋めておくには惜しい宝ばかりだ」
罪過の地、贖罪の旅。楽園の妖精無き厄災乱れるブリテンの地で、カルデアの来訪者達は砂金程の小さく数少ない善良さを護り抜き進む。
「巫女さんを、楽園に埋葬してあげよう。ケルヌンノス様は、私達が看取らなきゃ」
「それなら…私も、力になれるわ。今の私なら…きっと、想いを、伝えられる…」
贖罪の鐘の音が響き渡るブリテン。神の怒りに立ち向かい、妖精の呪いを退け、贖罪の巡礼は形を成す。
「ホープ、ビリィ…ありがとう。カルデアの皆様、ありがとう。こんな私に、優しくしてくれてありがとう…」
「バーヴァン・シー!何を!?」
「罪深い、私を捧げます。どうか彼等を、赦してください──」
目覚める神。贖罪の想いは、かの神にへと届くのか。
『罪無き者のみ通るがいい。気持ちの決心、覚悟はついたかな?二人とも』
「ホープは妖精達の希望さ。罪から逃げず、償いを果たした。きっと大丈夫と信じているよ」
「ビリィの事、バーヴァン・シーの事、ずっと見てきた。絶対に辿り着ける。だって、彼等がいたから今私は生きているから──!」
そして、その時が來る。一万年を超える遥か過去よりの罪が、赦される刻。
「これは決まっていた事さ、皆。ロストベルトの存在は、汎人類史には辿り着けない」
「でも、そんな私達にも…あなた達に遺せるものがある!」
遥かなる未来で、最後の希望はカタチとなって汎人類史に託される。
「僕達の事を、見捨てないでくれてありがとう」
「バーヴァン・シーを…ケルヌンノス様の事を…どうかお願いします…!」
「──さらばだ、ビリィ。ホープ。その希望、確かに受け取ったぞ」
「えぇ。──決着を付けに行きましょう」
ブリテンを覆う呪いに、今こそ星の輝きを。罪過の地に、楽園の極光を。
「ケルヌンノス。バーヴァン・シー。彼等に託された想いを、私が此処に示しましょう」
【──────────】
マルドゥーク『!!』
「希望の光、真なる叡智。最後の善は我が腕に」
その日、総ての罪が赦される──神の怒りが鎮まる日。
「『
贖罪巡礼・アヴァロン・フォー・ギブン。
「『
赦されよ。赦されよ──彼等の罪を、赦されよ。
「フッ、あいも変わらず。届かぬが故の地上の星よな──」
近年、鋳造開始。
【──やぁやぁ。残っていたものを綺麗サッパリ掃除してくれてありがとう。お陰で全部終わってスッキリしたよ。じゃあ、残りの枯れ木を伐採しようか?】
リッカ「あなたは──誰?」
【この妖精國を滅ぼしたいと願う者。トドメを刺しに来た君達と利害が一致している者だぜ。──汎人類史の、人類愛さん?】
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