人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ビーストネット

マーラ【私の水着、回しました?】

フォウ「イラストアドぶっちぎりだったから回したよ。今から追課金する」

マーラ【ありがとうございます。復讐のクラスに至った夏の魔王の力、堪能してくださいね?】

マナカ「私の水着、『まなか』な?」 

フォウ「でもお前アヴェンジャーだから火力低いんだよなぁ」
マーラ【そこは重ねてくださいよ〜。フォウさんが課金する理由、あると自負していますからね?】

フォウ「よく審査通ったなお前…」

マナカ「無視しないでよ〜!」

ティアマト「そちらは、お元気ですか?」

マーラ【えぇ。カルデアの藤丸さんの堕落に、あと一歩と言ったところですねぇ…】

フォウ「釈迦の足の一歩だな、わかる」

マーラ【本当ですって!そういうそちらはどうなんです?カーマ、どうせ骨抜きにされているんでしょう?あ、フォウさんそのスキルはまだです】

フォウ「危ない危ない、そうだな、カーマは…」

マナカ「まなかなー?」

フォウ「シカトされたネタを再振りとかタフだなお前…くそぅ、やはり宝具1じゃ心許ないな、あと一万だけ追うか…」

マーラ【ありがとうございます♪…え?どういう事です…?】


夏草の愛の神

「うふふ。話せば快活、動けば溌剌…そんなあなたのこんな姿を見れるのも、私の役得ですね。リッカさん♪」

 

「むにゃ…( ˘ω˘)スヤァ…」

 

戦い抜き、朝を迎え、グドーシの自宅にて安らかに寝息を立てるリッカの顔を覗き込みながら、満面の笑みと共に頬をつつく幼女の姿の神…愛の神であるカーマだ。彼女は眠りについているリッカとグドーシ、並びに学友の警護と個人的な楽しみに耽っていた。その楽しみとは、彼女自身が愛する者の寝顔の堪能である。

 

「寝相がとてもいいんですよねぇ、リッカさんもグドーシさんも。寝付きがいいのは大変良い事です。たくさん良い夢、見てくださいね」

 

そう囁きながら、お腹を冷やさないようにタオルケットをかけたり寝汗を拭き取る。グドーシの隣に運びたい気持ちを抑える葛藤を秘めながら、カーマは立ち上がる。

 

「おねむの後は小腹が空くでしょうし、軽いものでも作りましょうか。ロマニさんやうたうさんが買い出しに戻るまで、フレンチトーストとか用意するのがいいですね」

 

すとんと着地し、そろりそろりと部屋を出るカーマ。幸せそうな寝顔を見て、こちらも幸せを感じながら彼女は成したい事を成す。

 

「せっかくの里帰りです。いっぱい愛を受け取ってもらいますからね、リッカさん?」

 

悪戯げに微笑みながら、エプロンを付けキッチンへと降りていくカーマ。その足取りは、蓮を踏み越えるかのように軽やかなスキップであった──。

 

 

(むっす〜〜……)

 

「そ、そんな露骨に不機嫌にならないでくださいカーマ。他意はないんですよ?これは本当に、ただのお手伝いですから」

 

あからさまに不機嫌げに頬をふくらませるカーマ。キッチンにはトーストの他にサラダ、目玉焼きに鮭、味噌汁といった気合の入った料理が並んでいる。これはカーマは勿論、協力者がいたから故の出来栄えだ。即ち、美の女神パールヴァティーである。シヴァの妻である。

 

「…………………………………まぁ、リッカさんやグドーシさんはきっと喜んでくださるでしょうから野暮な事は言いません。御協力ありがとうございました。とんでもなく大きなお世話でしたけど」

 

「長い長い葛藤でしたね…まぁそれはともかく、美味しく食べて貰えたら嬉しいですね、カーマ。一緒にお皿を洗いましょうね?」

 

「………まぁいいでしょう。私は夏草における愛の神、カーマ。リッカさんの故郷に余計な諍いは持ち込みません。グドーシさんの涅槃であるこの場所においては尚更。例え相手がシヴァの次に嫌いなあなたでもです。えぇ、自分本位では堪えられませんが、誰かの事を思えば嫌悪や憎悪は乗り越えられるのです。夏草愛神教典、十五ページに書いてあるので熟読してください」

 

「な、夏草の愛の神?え、カーマはインドの神ですよね…?」

 

「私の故郷はリッカさんとグドーシさんがいる場所、即ち夏草です。インドとか知りませんね。よしんばインドもきっと夏草です。第二夏草とか、そんな感じの」

 

すっかり夏草の守護神と自分を定義しているカーマ。それらに困惑すれど、パールヴァティーはすぐに笑みを浮かべる。

 

「なんです?突然すぐにニヤけだして。幸せなのはヘドが出るほど分かってますから自制してくれません?」

 

「ふふっ…えぇ、ごめんなさい。となるとその場合、私や夫も夏草の神として名乗りを上げることになりますよ?」

 

「よしんばあなた達がそうだとしても日本の夏草は私の管轄です!あなた達にはインド夏草を任せますから来ないでください!私はここを聖地としているんですからね!」

 

破壊神お断り!ぷんすこと厨房に引っ込んでいくカーマを見送り、パールヴァティーは感慨深げに頷く。

 

(特定の誰かを愛する。あなたの本来の在り方とは異なるせいかおかしな言動もありますが…愛の神としての使命に、意味を見出しているんですね。カーマ)

 

カーマは愛の神である。それらは当然全人類に向けられるものであり、彼女はそれに当然の様に倦み、愛が持つ堕落の側面たるマーラとも繋がった神だ。根本的に、彼女は全てを愛さなくてはならないのだ。どれほど倦怠と嫌悪があろうとも、嫌悪しながら愛せるのが彼の神だ。しかし今の彼女は、心から二人を愛している。即ち、リッカとグドーシだ。

 

(誰もを愛さなくてはならない彼女が、心から愛する誰かを見つけた。その奇跡を他ならないあなたが誰よりも大事にしている。その愛が、あなたを倦怠から救ってくれた…)

 

彼女はカーマへの加害者であり、カーマの愛への倦怠を生んだ者である。だからこそ彼女は、マーラを警戒すると同じくらいにカーマを気にかけ、心配していた。愛する者を、堕落に振らせる一面が顔を出さないか。彼女自身が愛する者を堕落させない為の警戒を。しかし、奇跡のうちに出会った二人は、カーマすら知り得なかったものを教えたのだ。渇愛ではない、互いをただ想う愛。ただあるがままにある事を願う愛…尊重の愛を。

 

(それ故にちょっと危なっかしいところもあると言えばあるのですが、あなたを見ていれば解りますよ。今のあなたに、マーラの側面はどこにもない。正真正銘、愛の神としてあなたは今とても輝いています)

 

面倒だけど愛してあげます。反吐が出る程可愛いです。そう倦怠していた彼女は、もうどこにもいない。

 

あなたにもっとしてあげたいです。だらしがなくても、ちょっとくらいはいいですよと。悪いところも含めて尽くすその姿は、皮肉なことに美の女神たる自分も見習いたいほどの輝きを放っている事を、彼女は確かに感じているのだ。

 

「何ぼーっとしてるんですか?そろそろ朝ごはんの時間なので、リッカさんとグドーシさん以外を起こしてもらえます?その二人は私が起こします。起こしますからね!」

 

「ふふ、はいはい。解りました!」

 

この様に、過去の因縁すらも越えて…いや、もう自分の傷や過去などどうでもいい事なのだろう。彼女はきっと今、自身が見つけた奇跡しか見ていない。彼女が本物と信じる、愛を護る事しか考えていないのだろう。全人類を愛する神としては、視野狭窄とされる状態だとしても。

 

(その奇跡がいつまでも続くといいですね、カーマ。あなたの得た愛を、どうか燃やす事がないように…)

 

彼女自身も解っていないくらいに一途になった愛の神が、うっかりした事でつまずいたりしないように。美の女神として、誰かを慕う先輩として。彼女を支え導く事ができたらいいなと、パールヴァティーは想いを秘める。

 

「その目、すごーくイラッとくるんですけど。『恋愛について困った事があったらいつでも相談してくださいね…』みたいな、ドラえもんさんのような生暖かい目。ビーム出るんですか?やめてくれます?」

 

「出ません!?シヴァではないんですから!あれぇ…?カーマなんだか、神としてパワーアップしていたり…?」

 

「ふふん、夏草の愛の神を舐めないでくださいよ?タバコが似合う幼女No.1などという称号は昔の話。私は約2名へ無限の愛を注ぐ神!嫁愛護(かーま)なのですから!(ふふん)あ、この神号はイザナミさんに付けて貰いました。『幅広き愛を特定の誰かに!あなやそれもまたバッチグー!なればこんな当て字とかいかがたもうや?』…八百万の神様の元締めさんは懐が深いです。本当に」

 

「正気に戻ってくださいカーマ!?あなたの原典はインドでしょう!?」

 

「なんですかそのインフレの金字塔めいた地名は。知らない土地ですね。それではリッカさんたちを起こしに参りまーす」

 

「カーマ!?インドだってとても良いところですよ!?カーマー!?」

 

完全に夏草に帰依している愛の神に、パールヴァティーはインド英霊として呼びかけ続けるのであった──。

 

 




カーマ「リッカさん?ほら、起きてください。美味しいご飯を作りましたから、一緒に食べましょう?ね?」

リッカ「ふわぁ…むにゃむにゃ…」

「おはよう御座います。昨日はとてもよく頑張りました。いつも頑張り屋さんで凄くえらいですね、リッカさん。いいこいいこ」

リッカ「ふへへ…ありがたきしあわせ…」

カーマ「武士ですね〜。さぁ顔を洗いにいきましょう?あなたの幸せ、私がずっとずっと傍で護りますからね。リッカさん」

リッカ「えへへ…これじゃ…」

カーマ「?」

リッカ「私…だめになっちゃうなぁ〜。カーマ、ありがとー…ふわぁ〜…」

カーマ「!!!!!」


金狼寺〜滝〜

カーマ「鎮まりなさい…!!私の中のマーラ!鎮まりなさい…!!」

住職(幼子でありながらなんと堂の入った滝行…!)


金狼寺〜薪割り〜

カーマ(少女体)「リッカさんとグドーシさんを堕落させようなどと!恥を知りなさい!この魔王!この魔王!」

住職(少女でありながらなんと堂に入った薪割り…!)

金狼寺〜座禅〜

カーマ(捨てるのです。悟りに至るのです。愛とは…リメイクとは…ゲッターとは…)

住職(少女でありながらなんと堂に入った座禅…!)

(…でもリッカさんとグドーシさんの触れ合いは誰よりも身近で見ていたいですね。あっ!?)

住職「……」

(ぼ、煩悩判定ですか…?)

住職(にっこり)

カーマ「住職さん…!」

金狼寺〜金狼の秘湯〜

カーマ(女神体)(危ないところでした…まさか誰にも果たせないであろうリッカさんの堕落を私がしかけてしまうなんて…いやでもマーラが散々やってできない事を愛の神の本分に立ち返ったら達成しかけるとかどういう事なんですか私は…)

「でも…リッカさんは…甘やかしたいなと思います…」

(あの無防備であどけない姿…もっともっと、愛してあげたい…!あぁ、この情熱こそ、愛!今の私は、愛に燃えています…!)


夏草〜冠陽神社〜

カーマ「これからも、リッカさんとグドーシさんにたくさんの祝福がありますように…」

アマテラス(祭神)『ワフ…?(何故、神が御参りにいらっしゃったのでしょう…?)』

将門公(祭神)『燃ゆるなり。愛へと』

カーマ「ANAYAJAPANに願います…さて、戻りましょうか」

イザナミ(祭神)『うむむ、流石はかの印度の神!このように異国の社にもお詣りくださるとは!大きしもの!それは懐!見習いましょう!』

アマテラス『あはは…いやしかし、とても…』
将門公『うむ』

カーマ「さて、グドーシさんには何をしようかな〜♪今度こそ混浴でどぎまぎさせるとか…いけますかねぇ?リッカさんを焚き付けつつ混浴!これです!」

楽しそうだなぁ。後ろ姿を見ながら、微笑む祭神達であった。

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