人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜 作:札切 龍哦
「・・・無銘に写真撮影頼もうかな。あの芸術で色んな服装撮影したら、凄いかもしれない・・・」
「いや、凄い!マナプリ3000、いや5000でも愛読者ができるはずだ!だけど無銘の魅力は飾らない美しさ・・・写真を意識させては魅力が殺されてしまう感じがする・・・アイドルなんてもってのほか。ううん、悩ましい・・・!」
「さぁて、お披露目だ、頑張れよマスター!」
「基本は教えた。あとは勇気だ」
「パンクラチオンの基本、忘れてはいけませんよ、リッカ」
「・・・そして、もう一つもね」
「わくわく、わくわく」
「なにわくわくしてんのオマエ」
「ないしょ!」
「ちゃんとオレについてこいよ。この霧だ、はぐれたら探すのに一苦労だからな」
「はーい!」
「ありがとうございます、モードレッド卿」
「だぁッ!?」
霧の都にて、盛大にずっこけるモードレッド
「どったの!?」
「卿なんてつけんな盾ヤロウ!ずっこけちまったじゃねぇか!」
「す、すみません!」
「モードレッドでいいんだよ、モードレッドで。オレたちは別に、そーいうアレじゃねぇんだ」
「は、はい・・・」
「っ、んだよ調子狂うな。先に言っとくぞ。言いたいことははっきり言え。陰口は弱虫のするこった。はっきり!ずがんと言うんだぜ!こんな風にな!!父上のバッキャローッ!!」
「性別リッカは止めて――――!!!」
霧の都ロンドンに二人の雄叫びが響き渡った
「そうだそうだその感じだ!・・・あ?性別、リッカ?」
「そう!『お前は女としてみれない』と断じられた私に与えられた名誉ある屈辱的な称号それが性別リッカ!当たり前のように着替え中に入室され会話を継続し下着一枚でうろついても挨拶を普通に返され、野球部員やラグビー部に混ざって御弁当争奪戦に参加するこの私がリッカです!」
「・・・お、おぉ」
「忘れられないっ・・・『リッカは高嶺の華だよね』と言って微笑んだクラスメイトの顔が・・・!それ誰も摘みに来てくれないじゃんやだー!!お嫁さんに私だってなりたい!甲斐甲斐しく家庭を護りたい!幸せな一戸建てで旦那さんと幸せになりたーーーい!!!」
「・・・リッカ、実はな、オレも女なんだ」
「マジで!?」
「あぁ。・・・お前、相当苦労したんだな・・・泣けてくるぜ・・・こっちみんな、みんなよ・・・」
「息子が泣いているぞ。何か言ってやれ」
『セイバー死ね』
あまりに簡潔に完結した対応に、物凄い万感の殺意を感じ閉口する
『やはりか。こちらの世界のモードレッドは、女性なんだね・・・』
「アルトリア面は皆女性よ。慣例、お約束のようなものだ。こちらの世界ではアルトリアは女、絶対の法よ」
『そうなのか・・・ふふっ。素直じゃないだけで、根はまっすぐみたいだ。可愛いね、彼女』
『それ絶対本人の前で口にしないでくださいね。殺し合いになります。もろともにくたばってくれるなら万々歳ですが』
『う、うん。気を付けるよ』
アーサーには彼女は好印象のようだ。逆にアルトリアからは絶対零度の殺意を感じる
『セイバーは殺す不良息子は殺すセイバーは殺す不良息子は殺すセイバーは殺す不良息子は殺すセイバーは殺す不良息子は殺すセイバーは殺す』
『落ち着くんだ、アルトリア・・・!・・・それにしても』
不思議そうにアーサーが呟く
『意外だな。ここはロンドン、確かにブリテンの地である以上、円卓の騎士が現れるに不思議はない。しかし、何故モードレッドが一番に来てくれたんだろう。反逆と憎悪に満ちた彼ならば、真っ先に・・・』
――それもそう、不思議な話だ
モードレッドはアルトリア、アーサーに反感を抱く騎士で、自らに賛同した騎士をまとめあげ、反乱を起こした。ブリテンを真っ二つに割り、もろともに滅ぼした
それを、いざやロンドンが危機を迎えたさいに、真っ先に駆けつけたと言う
・・・矛盾してはいないだろうか?自らが滅ぼした国を、また滅ぼすのではなく、守護するとは?
「騎士王は人の心が解らない」
『ぐぅっ――!!?』
アルトリアがダメージを負う
「そんなだから円卓が割れるのだ、アーサーよ。ヤツは憎んでいるからこそここに来たのだ」
『憎んでいるから・・・?』
「愛憎、というではないか。愛の裏は憎しみ、憎しみの裏は愛。それらは表裏一体だ。滅ぼしたいほど愛し、護りたい程憎んでいる。それらの感情は、狂おしいほどの想いがあればこそだ」
『想い・・・』
「大方、『オレ以外の連中がブリテンの地を汚すことは許さん』といった所だろうよ。実にいじらしいではないか。主を噛み殺すために他の犬を皆殺しにする忠義とは、また歪み果てているな、アルトリア」
『・・・大丈夫かい?アルトリア』
倒れ伏していたアルトリアが、よろよろと起き上がる
『生前の塩対応がよくありませんでしたか・・・やはりハッキリとノゥ、と言い、百のムチならぬ百のエクスカリバーで徹底的に躾をしてやるべきでした・・・!』
「何、気にするなアルトリア。育児失敗なぞよくある話よ。息子の反逆にて国と命を失った以上、今さら問い詰められる理由もあるまい」
――そうだ。例え終わりが悲惨でも、国を守護し、民を護り、騎士を纏めあげて王として君臨した事実は代わらない
『あぁ。どんな末路であろうとも、君はブリテンの赤き竜、アルトリア・ペンドラゴンに変わりはない』
「つまらぬ事で意気消沈されても面倒だ。生前は生前、サーヴァントはサーヴァントとして線引きをしておくがいい」
『・・・えぇ、そうですね』
「フッ、物分かりが良いな、騎士王」
『オザキ騎士とは違いますから!』
――元気を取り戻してくれたようだ。良かった
「なーお前、さっきから誰と話してんだ?」
ヒョイ、とモードレッドが顔を出す
「アレか?見えないのが見えちゃうヤバイやつか?病院いった方がいいぞ?」
「ははは、聞くに堪えぬ減らず口よなモードレッド卿。だが許す。怒り立てるも面倒だ」
「だから卿は止めろってば!くすぐったいっての!」
「フッ、三流だがからかいがいのある・・・む」
ピクリ、と器が反応する
『――いますね』
『あぁ、エネミークラスか』
霧から迫り来る足跡、駆動音、機動音。
中々の数がいる・・・財の選別に入るとしよう
「雑兵に目をつけられたようだな。構えよ、戦闘だ」
「お、早速か。丁度いい。リッカ。お前にこのモードレッド様の力を見せてやる。惚れんなよ?」
「モードレッド・・・!カッコいい!流石モードレッド!」
「そうだ!オレはカッコいいんだ!!反逆者・・・あと、えっと」
「トレイターの事か?」
「それだ!!トレイターのレアクラス!モードレッド様だからな!!」
『セイバーは止めましたか。ならば半殺しで勘弁しましょう』
『あぁ。彼女もまた、頼もしい仲間だ!』
現れる、マネキンに関節をつけ動かしたような姿の機械、白い体に赤い目を光らせる謎の生物、寸胴に手足をつけたような機械。
『ロマニ、解析を!』
『終わっています!オートマタ、ホムンクルス、そして・・・』
「ヘルタースケルター。あのずんぐりむっくりをオレらはそう呼んでる」
「ヘルター、スケルター」
「夢を掴むことの無かった者の残骸か。霧に紛れて迷いでたか?或いは・・・いや、今は言うまい」
「戦闘だね!?」
バキボキと拳をならすリッカ
「相手はエネミーだ、やれるな?」
「勿論!マシュ、モードレッド、行くよ!」
「はい!」
「おう!・・・おう!?お前戦えんのか!?」
「勿論私は戦闘するよ?拳で!」
「・・・ショットガンとか使えるか?」
「や、私はうら若き乙女だから。むせそうなのはちょっと」
『マスター、私もお願いいたします』
そうマスターに進言するのは、アルトリアだ
『聖剣の精度を確かめたいので、ウォーミングアップもかねて暴れます。許可を』
「良いのか?」
『無視を決め込んで、またグレられても困りますし。皆さんに迷惑をかけられたらたまったものじゃありません』
『アルトリア・・・』
「真面目な事よ。マスター、呼んでやれ」
「うん!来て、『アルトリア』!」
右手が光り、ジャージに身を包んだ騎士王が現れる
「――行きますよ、バカ息子。サーヴァントとして、存分に剣を振るいなさい」
「な――――――――ちち、うえ・・・――?」
完全硬直するモードレッド
「んん・・・」
波紋から酒を取りだし、グラスであおる器
――生前できなかったことをできる。サーヴァントも、悪いことばかりではないと思うのは、個人的な所感だ
「呆けるな、モードレッド。為すべき事を為せ」
「――――」
「モードレッド・・・?」
「――っ、はははっ!ははははははははははは!!はははははははははははははははははははははは!!」
大笑いするモードレッド
「そうだ!そうだよな!ロンドンの危機、ブリテンの危機に!『貴方』が駆けつけない筈がない!それでこそ騎士王!それでこそ我が麗しき父上!そうだ、そうだよな!」
「――・・・」
「祖国の危機を、オレのような三流騎士に任せる筈がない!あぁ――やはり貴方は、騎士の中の騎士だ!アーサー王!!」
『呼んだ?』
「貴様ではない」
「貴方の主観は無用のもの、今はただ、マスターの力となるのです」
「あぁ、あぁ!我が剣!我が雷!過たずブリテンの敵を砕く!!しかとみろアーサー王!これが故郷を滅ぼし、故郷を守護する力だ!!」
「マシュ、行くよ!!」
「はい!」
――こちらは千里眼で周囲を見張り、不意討ちに備えることにする
今気づいたが、『王の財宝』では・・・街への被害が甚大なものになってしまう為、自粛せざるを得ない。
――光学系列や、因果逆転の財を選別するとしよう
「さぁ――行くぜ!!!」
エネミーに飛び掛かる、三人のサーヴァントと一人のマスター
赤き稲妻とブォンブォン唸る聖剣がオートマタ、ヘルタースケルターを蹴散らし
「恨むんなら!テメーらの大元を恨みな!!」
「無駄口は無用だ、モードレッド!」
マシュのガードの元、リッカのパンクラチオンが唸りを上げる!
「『相手に触れたら必ず壊す』!ケイローン先生!ヘラクレス!アキレウス!マリー!見てて!」
「ガードはお任せください、先輩!」
「うん!!ぉおぉおぉおぉおぉおぉお――――――!!!」
放つ拳は胴体を貫通し、ラッシュは頭部をぐしゃぐしゃに砕く。蹴りは胴体を陥没させ、脚の先は切れ味鋭く肉を穿つ。アキレウスに授けられし神速の打撃技
腕を極めればへし折れ、首を締め上げればへし折れる
脚を掴めば壊し、腕を掴めば引き潰す。ヘラクレスより授けられし剛力の関節技
掴まれたそばから欠損し、粉砕され、白いネギトロめいた惨状に成り果てるホムンクルスたち
賢者と大英雄が授けしパンクラチオン。マリーとダ・ヴィンチが補助した肉体を躍動させ、人類最後のマスターがホムンクルスを片っ端から撃滅していく・・・!
「パンクラチオンだ!パンクラチオンあるのみ!」
『今も昔も、パンクラチオンを極めた者が上を行く!』
「そう!!」
「『ノーパンクラチオン・ノーマスター!!』」
あまりの迫力に、距離を取り始めるホムンクルス
「逃がさない!!」
アルテミスから賜った『月女神の弓矢』で、流星群のように弓矢をばらまきおとし射出する
弦もつがえる矢もない神の弓矢が、中距離遠距離の不利を無力化する!
「私の
「・・・アレの夫はさぞ苦労しような。夫婦喧嘩に持ち込まれれば死有るのみではないか」
引き気味の器の所感に、不覚ながら頷いてしまった
――世紀末伝承者の方、お見合いに来てあげてください
「ぉおぉおりゃあぁあ!!!」
最後の一体をジャンプバックドロップで粉砕し、ゆっくりと起き上がる
「――ふう。先生が用意した千手人形に比べたら全く歯応え無かったね」
『呼吸を整えて、リッカ』
「うん。ありがとう、マシュ。サーヴァント相手には通じないから、雑魚散らしは私がやるね!」
血塗れの顔でにっこりと笑うリッカ
「お、お疲れさまでした、先輩・・・」
「見事な肉体の芸術であった。女を捨てた故の力、見せてもらったぞ」
「捨ててないです――!私は乙女です――!アルテミスみてたー!?」
――ホムンクルスを引きちぎり砕きまくる乙女・・・ギリシャ、凄い
「・・・」
「・・・父上」
膝をつく
「――自分がどんな存在かは心得ている。貴方にとって、自分がどんな存在なのかは」
「・・・」
「ただ、円卓に名を連ねる騎士の端くれとして、今だけは。故郷の為に力を振るうことを許してほしい」
「――・・・」
「・・・っ」
「顔をあげなさい。モードレッド、既に答えは出ています。貴方の使命を果たしなさい」
「――父上!!」
バッ、と顔を上げる
「――は?」
そこには、笑顔で
「――これはケジメの一発だよカリバ――――――――!!!」
聖剣を振り下ろすアルトリアがいたのだった――
「ちちうぇえ――――――――!!!!???」
バッサリといかれ倒れ伏すモードレッド
「ふぅ、シリアスは疲れますね。少し甘やかせばすぐに付け上がる。これは折檻と心得なさい」
「ちちうぇえ・・・ちちうぇえぇえ・・・」
「気絶させるな。殺すなら拠点を吐かせてからにせよ、アルトリア」
「それもそうですね。起きなさいモードレッド!おら まっぴんぐ しろ!」
ガンガンとモードレッドを蹴りまくるアルトリア
「死ぬならぼろ雑巾になってから死になさい!さっさと起きる!起きないとまたカリバりますよ!」
『・・・・・・――女の僕って・・・』
――お疲れさまです、アーサー王
「基本はマスターしたようですね。一安心です」
「見たかヘラクレス!顔面を砕くあの蹴りは俺が教えた技だ!マリーの方が打撃はうめぇがやるな、マスター!」
「確かに見事だった。だが、締め技、関節技はマスターが上手だ。後は持久力か・・・」
「まだまだ伸びしろはあります。しっかり教えていきましょう」
「「はい、先生!」」
「・・・弓術、見事でした。女性としての立ち振舞いも、忘れないようにさせなくては・・・」
「みた!?みたダーリン!?きゃーリッカすてき――!!」
「なにあの女ヘラクレス・・・(戦慄)」