オリジナルですがゆるくお楽しみくだ・・・いまさら?
10評価200突破、推薦、誠にありがとうございます!
皆さんの暖かい御声援は、かけがえのない宝物です!
記念に何か・・・とも考えましたが、本筋一直線で思い至りませんので、そのうち活動報告で募集したいと考えています
重ね重ね、ありがとうございました!これからも、よろしくお願いいたします!
霧に覆われた魔都、ロンドン
陰気かつ不穏な雰囲気を纏う閉鎖された産業革命発祥の地
人もなく、交通機関も停止した車道を――
「ふむ。夜の市街、車道を独占したツーリングも悪くはないな!」
黄金のバイク、ギルギルマシンを駆り、黒いライダースーツに衣装を変更した英雄王がご機嫌に所感を漏らす
「雑種に気兼ねなく走るというのがとてもよい!路は総て我のもの!道路交通法もスピード制限もしったことか!陰気な霧も我は置き去りにしてくれる!フハハハハハハ!!」
「ようやく本調子になりましたね、ギル!」
すぐ後ろの座席にて自転車座りしているアルトリアが問いかける
「本調子、と言うには程遠い!見れば見るほどつまらぬ故、自分から愉悦を求めているまでのこと!」
「建設的ですね!時にギル、貴方の騎乗スキルは如何程ですか!」
「A+だ!神獣ラマッスであろうと我にかかれば完全騎乗できるのだからな!」
「フッ、思い上がりましたね!私はなんとEX!評価規格外の最強ランク!ワープできないものでもワープを可能にしますとも!」
「ほう!やるではないかもどき!貴様やはりセイバーではないな!」
「セイバーです!誰がなんと言おうとセイバーです!それよりぶつからないでくださいね!貴方が死ぬのは勝手ですが私が汚れます!」
「侮るな!千里眼によるマップ把握に抜かりは無いわ――!」
霧をものともせず、道行きに邪魔なエネミーを薙ぎ倒しながら駆け抜けしギルギルマシン
――あの後、ヘンリー・ジキルと名乗る碵学・・・あまり聞きなれない称号を名乗る男性の自宅に案内されたのだが
「我は暇を潰してくる。方針決めは貴様らでやっておけ」
欠伸をしながらライダースーツに着替え、部屋を出たのだ
それだけなら、ソロのツーリングであったのだが
「やはり単独行動ですか。私も同行します」
意外なことに、アルトリアが同伴を申し出てきたのだ
「何のつもりだ?我はセイバーではないが?」
「このロンドンは霧が濃い。一度迷い込めば帰ってこれないかもしれません。直感持ちをナビがわりにするのも悪くはないのでは?」
「我を舐めているのか?戌でも持つ帰巣本能を持ち合わせておらぬと?」
「まぁまぁそう言わず。私としても、地域や土地勘を掴んでおきたいだけの話です。私のタクシーになってください。お代はセイバーを抹殺したお金で」
「ただ乗りとは良い度胸だ。――まぁよい。好きにしろ」
「好きにしますとも」
「気を付けてね、ギル、アルトリア!」
「参ったな・・・父上との会話の記憶が無いんだがなぁ・・・」
「頭でも打ったのかい?霊核に届かないギリギリで斬りつけられていたけど・・・」
「誰に斬られたんだっけなぁ・・・」
~
「こちらは比較的霧が薄いようですね。先程突き抜けた箇所は逆にひどい有り様でした。気を付けなくては」
爆走するバイクの上でコンソールを器用にいじるアルトリア
「このまま首都一周と洒落込むか?手間暇掛けた特異点、蹂躙してやるのも悪くはなかろう!」
「お任せします!私はマッピングに専念しますので!」
「それはモードレッドめがやったのではなかったか?」
「あんなバカ息子に任せきりでいられますか!親として息子の不始末はキチンとしなくては!」
――ケジメとは、しっかりと向き合うと言うことなのだろうか。かつての自分の不始末へと、目を逸らさずに
――不謹慎だが、バイクは好きだ。とても好きだ。風を切り疾走する爽快感、伝わる振動、一瞬で過ぎ去る景色
世界を駆け抜ける『愉悦』を感じられて大好きだ。・・・今度、英雄姫の姿で走ってみようかな。ライダースーツ、フォウは持ってるかな
「難儀かつ、健気なことよな――」
瞬間、凄まじい勢いでブレーキがかかり、火花すら散らしながらギルギルマシンが急停止する
「な、何事です!!?」
その疑問には答えず、姿勢制御に専念する器
やがてスピードがゼロになり、ガチャリとスタンドを下ろす
「なんです、どうしたのですギル!何故急に・・・」
クイ、と顎だけで前方を指し示す
「前?」
――そこにいたのは、ピッチリとした水着のような格好に、傷の入った顔面、白い頭髪
華奢ながらしなやかな肉体、未成熟さが抜けきらない童児の出で立ちの少女が、進路を阻んでいた
「あれは・・・」
「――当然現界していような。女を殺し、解体し、母胎への回帰を望み続ける怨霊よ」
――そこにいたのは、カルデアでも召喚に成功している、無垢なりし怨霊の集合体・・・
「わたしたちをしってるの?うれしいな、うれしいな」
「ジャック・ザ・リッパー・・・!!」
「霧の夜、ご機嫌なツーリングをしていた王の前に現れしは妄執の殺人鬼、か。よい。余興としては上出来だ」
――あの様子、どう見ても友好的ではない
「みんな、みんなだめだった。わたしたちを還してくれなかった。みんなみんな、だめだったの」
「――仕事を終えた後とはな」
右手のナイフには、血がべっとりと付いている
「あなたたちはおかあさん?わたしたちを、かえしてくれる?」
「お断りです。ダメ息子は一人で間に合っています」
「だ、そうだ、こやつは止めておけ。育児に失敗しているダメ親だ。貴様を受け入れる甲斐性なぞありはすまい」
「はったおしますよギル!」
「ふぅん、そうなんだ・・・でも」
――財の選別を始める
感じる。彼女は魅入られている、何者かに既に取り込まれている
――対話では終わらない筈だ――!
「かえりたいから――ごめんね・・・!!」
ゼロから一瞬に最高の速度に至る俊敏で接近しナイフを振るうジャックを
「はっ!!」
聖剣で打ち払うアルトリア。すかさずマックスターンを決め反転し、クラッチを捻るギル
「フハハハハハハ!よいぞ!面白くなってきたな!ツーリングの次は殺人鬼との命懸けの追走劇と洒落込むとするか!!」
アクセルをフルでふかしこみ、爆走を開始するギルギルマシン――!!
「落ちる――――!!」
「フハハハハ!フランス以来かこの手の趣向は!良いぞ!摩天楼にて我の疾走を見せてくれる!迎撃は貴様がやれ!アルトリア!我は運転に専念する故な!」
「倒すのですか!?」
「所詮余興だ!手は抜かぬが、死んだら死んだでマスターの負担は減ろう!――そら、来たぞ!」
爆走するバイクの後ろを、凄まじい速度のダッシュで追い縋らんとするジャック
「おかあさん、いかないで、おかあさん――!」
「呼んでいるぞ!認知してやれアルトリア!」
「天国に行きなさい!――くっ!」
無数のナイフが投擲される。急所とバイクを両方狙ったものだ。それら総てを叩き落とすアルトリア
「死んでくれるなよ!責任を問われるは我なのだからな!」
「私を誰と心得ますか!セイバーの中のセイバーたる私がアサシンごときに――!」
ジャックが速度を保ちダッシュし、跳躍。家宅を足場にジャンプし、更なる勢いをつけこちらに飛びかかる
「おかあさん――!」
「セイバーでないなら私のターゲットでなし、やりにくいですね!」
無数に撃ち合い、火花を散らすジャックとアルトリア
――街中はまずい・・・!まともに『王の財宝』の展開も叶わず、アルトリアの援護も叶わない・・・!
今の市民は家に避難している。もし此方の戦闘が家屋に被害を出してしまえば、『内側も安全ではない』と市民に認識させ、混乱を巻き起こしてしまうかもしれない・・・!
「フハハ、よいぞ!やはり愉しみは自ら見つけるのが一番だな!」
「云っている場合ですか!貴方の宝具は小回りが効かない!じり貧になりますよ!」
「別に構わぬのだがな。だがまぁ、悪戯に雑種の命を減らす必要もあるまい。生かしておく理由と同程度、我が手を掛ける理由もないのだからな」
「おかあさん、とまって?いかないで・・・」
――あまり、聞いていて気持ちのいい掛け声ではない
離脱するなり、倒すなり手を打つしか――
瞬間、ジャックのナイフが眼前に投擲され、道路の街灯、道路標識、進路案内の看板が断ち切られる
「むっ。障害物を用意するとは考えたな!だが甘いわ!」
左手でスイッチを押し、エンジンの稼働効率を最大にしブーストさせ更に加速し、倒れる寸前に突破する
轟音と破壊音が鳴り響き、建造物がぐしゃりと倒壊する
「おいかけるよ、ずっとずっと」
立ち並ぶ建物に平行しながらダッシュし、ナイフを絶え間なく投げ続けるジャック、それを聖剣で叩き落とすアルトリア
「何か状況突破の策は無いのですか!?千日手でしょうこれでは!」
「ほう。重力をものともしないその疾駆、やるではないか!流石はロンドン発祥の殺人鬼!地の利と勝手は知り尽くしているようだな!これだから幼児はよい!自由な発想と行動力は我を愉しませる!」
「云っている場合ですか!?」
――あの走り方・・・
――そうか!
「うむ、良いことを思い付いた!アルトリア!貴様の十八番は魔力放出であったな!」
「そうですが、それが何か!?」
「妙案、そして飛びきりの余興を思い付いたのだ!そうと決まればヤツを突き放すぞ!」
アクセルをフルスロットルで回し、迫り来る怨霊を一旦突き放す――!
「大通りは確かこちらであったな!道幅の広さも問題あるまい!」
アクセル、ドリフト、ターンを繰り返し、特別広い大通りに躍り出、疾走する
「何をする気ですか、ギル!?」
「目をそらすな!ヤツは来ているか!」
「――はい!道を曲がり、直進で真っ直ぐこちらに!」
「おかあさん、おかあさん、おかあさん、おかあさん――!!」
背後から迫る怨霊の無垢なる呪詛
――ここで決めるしかない!財の選別は終わった!
「アルトリア!我が合図に合わせて魔力放出を放て!」
「ですから何をする気です!?」
「迷うな!!我を信じよ!!」
「――後で何か奢ってもらいますからね!」
了承を受け、大きく車体を持ち上げる――ウィリーだ!
「我が威容!我が光輝!報われぬ怨霊よ、刮目するがいい!」
――今だ!姿を現せ『塔』の原典!
「現れよ!!『
地震、轟音、そして振動
「あ――」
目の前に突如現れ、屹立せし黄金の塔。その輝きは天より地に落ちた階段のごとく、辺りの昼夜を反転させるがごとき輝きを放つ――!
「なんですかそれ――!!?」
「舌を噛むぞ!構えよ!!」
ウィリーのまま、顕現させた塔に車体を叩き付ける!
「今だ――!!!」
「ッッ、エックスッ!!カリバァ――――――!!」
塔に対して垂直となった車体が、魔力放出によりて外壁を爆走、上昇する
みるみる内に小さくなっていくロンドンの建築物、離れていく地表、近づいてくる天の星たち――
「――ダメです!まだ追ってきます!」
執念、はたまた本能か。怨嗟か嘆きか
「おかあさん、おかあさん、おかあさんおかあさんおかあさんおかあさんおかあさんおかあさんおかあさんおかあさんおかあさんおかあさんおかあさんおかあさん――!!!」
屹立した塔すらおぞましい速さで駆け抜け、こちらを仕留めんと迫るジャック・ザ・リッパー・・・!
――そうだ、来てもらわなくては困る!
「――ギルギルマシン、暫し暇をやる。ゆっくり休め!」
加速を緩め、あえてジャックとギルギルマシンの距離を意図的に縮めさせる――
「――跳ぶぞ!!アルトリア!!」
「えっ――」
返事を待たず、アルトリアを抱き抱え、黄金塔から、ギルギルマシンから飛び退く
「え――」
ジャックはまさにギルギルマシンに届かんとしていた刹那、その行動に驚嘆し硬直する
――地表からの距離800から1000メートル!
――『ここなら何も壊して困るものは無い』――!!
「吹き飛べ!!『
空中に投げ出されながら放たれる財の一斉掃射!それらは総て、ギルギルマシンに雪崩れ込み、
「あ――」
…大爆発。動力機関に引火し、連鎖し、轟音と大爆風と共にロンドンの天空に真紅の花火を散らす
「追走劇で愉しませた礼だ!くれてやる!!フハハハハハハハハハハ!生身で我が疾駆に追い縋るとは見事だ!存命ならば再び見えるとしよう!」
「落ちてます!!ギル!落ちています――!!」
「解っているわ。来い!ヴィマーナ!」
ヴィマーナを召喚し、ゆっくりと着地する
「ギルギルマシンのボディは回収した。あの程度で吹き飛びはせぬが・・・まぁ一日は使用不能であろう。まぁよい。更なる改修を加えねばな」
「か、軽い散歩が大変な騒ぎになりましたね・・・」
「仕方あるまい。都市を焦土にするわけにもいかぬのだからな。となれば、自ら用意するしか無かろう?フハハハハハハ!よい余興であった!少しは倦怠も晴れた!凱旋といくか!アルトリア!」
「・・・どこかで食事しましょう。お腹が空きました」
「――英国料理は評判が悪いらしいが・・・まぁ、たまには良かろう」
「まったく・・・貴方と一緒だと退屈しませんね、ギル」
「であろう?さぁ、マスターめに教えてやるとするか!我の疾走をな!」
――町の被害は最小限で、良かった――
「しかし、ターミナルポイントは見つかりませんでしたか。貴方の界聖杯を設置する場所も探していたんですが」
「それならもう終わっている。あの無力の殻を纏った碩学とやらの部屋がそれだ」
「・・・・・・マジですか?」
「言っていなかったか?まぁ許せ。笑え笑え!フハハハハハハ!」
「・・・どっと疲れました・・・美味しいお菓子を所望します」
「解った解った。では、帰るか!」
――このあとたくさん心配された
ランク EX 種別 対冒険者宝具 レンジ 無制限 最大補足 パーティメンバーにより変動
ギルガメッシュの蔵に貯蔵された『塔』の原典。天に聳え、地に屹立する黄金の塔。全60階層からなるダンジョンタワー。
内部には大量の財宝、同時にモンスターが仕掛けられており、生か死かの選択を常に迫る無慈悲と栄光なる塔。英雄王と同等の力を持たねば即座に生命を落とすダンジョンの原典でもある
敵対エネミーは ゴースト、ドラゴン、ローパー、ウィル・オ・ウィスプ、サッカバス、ナイト
。ありとあらゆる階層にて命を付け狙う雑魚敵ポジション
最奥には正真正銘の『悪魔ドルアーガ』がおり、59階まで到達した者を贄と定め、魂を喰らう。擬態の姿を多く持ち、総て倒さねば本体を倒せない
今回は単なる足場とて利用したため、内部に進入することはなかったので、これらは未使用である
「我ならソロ攻略余裕」とは器の弁
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