人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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「あれ?マリア、僕の仮面知らない?」


「?アマデウス、無くしてしまったの?」 


「おかしいな、どこにしまったっけ・・・」



『お借りします アーサー』

「は?」


道化を狩る反逆者(トレイター)

「アヒャハハハハハハ!!アーハハハハ!!イヒヒヒヒヒ!!イーヒヒヒヒィ!!」

 

 

 

 

道化の哄笑が、高らかに魔都に響き渡り

 

 

 

「くたばりやがれ――!!」

 

 

反逆の騎士、モードレッドが獰猛に斬りかかる

 

 

 

「おぉっと危ない!そうデンジャー!最も優れたセイバーに斬りかかられたらワタクシ死んでしまいます!え!?キャスター違い!?そりゃ失敬失敬ごめんちゃい!!アーハハハハアヒャハハハハハハイヒヒヒヒヒアヒャハハハハハハ!!」

 

 

「うるせぇ、うるせぇ、うるせぇ!!黙らせてやるよクソピエロ!!」

 

 

「案ずるはヤスシウムハカタシ?タカシ?まぁどっちでもよろしい!面白おかしく笑いましょう!あなたが怒りワタクシ笑う!これはWinWinな関係ではぁ?ねぇ?アヒャハハハハハハ!!」

 

 

「だあぁあぁあ!!!」

 

 

 

「くぁあ・・・」

 

携帯式玉座に深く鎮座しながら、アクビを噛み殺す器

 

「か、加勢しなくてもいいの、ギル!?」

 

 

「構わぬ。予防接種を受けておらぬ狂犬に噛みつかれてみよ、たちどころに病で死ぬぞ」

 

「ですが・・・!」

 

 

「まぁ見ておけ。『永遠に決着はつかぬ』。それに我には戦うよりやることがある」

 

『やる事・・・!?ギル、それは・・・!?』

 

 

「査定だ。まぁ見ていろ。面白い事になるぞ?」

 

黄金の波紋から酒を取りだし、ゆっくりとあおる器

 

 

――数、把握。質、解析完了。情報把握。後は、位置か

 

 

『面白い事・・・?』

 

 

 

 

「くそっ!なんでだ、何であたらねぇ!!」

 

モードレッドの獰猛な剣は、しかしてメフィストフェレスを捉えることなく右へ左へ空を切る

 

「アヒヒヒヒ!!ハズレですハズレハズレオオハズレェ!!あなたもしや、扇風機?ワタクシに新たなるセンセーションを吹き込みに参られた!?アヒャハハハハハハイヒヒヒヒヒアヒャハハハハハハ!!!」

 

 

「テメェっ・・・!!!殺す!!」

 

 

「殺すときましたか!ワタクシを殺すと!!それは異なこと!変なこと!!あなたまさか」

 

ぬるり、と容易くモードレッドの懐に入り込むメフィストフェレス

 

「――今まで、ワタクシをお殺すつもりは無かったとか?もしくは、はたまたもしくは殺せないほどのあまちゃあんでしたかぁあ?アヒャハハハハハハ!!イヒヒヒヒヒイヒヒヒヒヒ!!」

 

 

「だあぁあぁあぁあぁあ!!」

 

 

「ハズレハズレハズレオオハズレェ!ダメです!いけません!殺すつもりならば斬らなくては!攻撃しなくては!しかぁし!あなたではご無理なようだ!残念!ただ残念!!アハヒヒヒヒヒヒィ!!」

 

 

「この糞ヤローがぁあぁあ!!!」

 

 

「自分で無理なら仲間に頼られるがよろしい!努力、友情、勝利!お好きでしょう!皆様お好きでしょう!まぁ実際は!才能!血統!勝利な訳でしてェエェエ!!アハハアハあヒヒヒヒヒヒヒヒヒ!!」

 

「モードレッドさん!私も――!!」

 

 

「来るな!!来るんじゃねぇ!!」

 

 

「ッ!?」

 

マシュの助勢を、モードレッドは拒絶する

 

「こいつは『お前ら』が狙いだ!フカシこいて一歩踏み出させるのが狙いだ!マスターもマシュも成金もそこを一歩も動くな!!」

 

「――ッ!」

 

 

「・・・おや、あなた様意外と冷静であられる?」

 

 

「勘がそう、いってんだよ――!!」

 

 

竜巻のように振るわれるモードレッドのクラレント。しかし道化の命を巻き込む事はなく空を切る

 

 

距離を取り、門の突起に着地するメフィストフェレス

 

 

「はい正解!明答明答ご明察ゥ!私の狙いはお嬢さん!盾のサーヴァントマスター両方!いやぁ、形振り構わず来るのかと期待しましたが予想外も予想外!意外と、ヒトデナシなのですねぇ?Nexusは大事ですよぉ?ワタクシが言うのもなんですが!アヒャハハハハハハイヒヒヒヒヒアヒャハハハハハハ!!」

 

「チッ、耳障りな癖にうざってぇ。『ここら一帯、まとめて仕掛けてあんだろ』?」

 

 

「更に正解ネタバラシ!ハイハイソノトーリ!モードレッド様は慧眼でいらっしゃる!アレデスさかな?『女子』ゆえの気配りですか?よいですねェ。おもてになられるのでは?アヒャハハハハハハ!」

 

 

 

「――――・・・」

 

 

大気が震える。いよいよ以てモードレッドの怒りが頂点に達し、クラレントが血の色に染まる 

 

 

 

「なるほど、あの哄笑はスキルであったか」

 

ワインを飲みながら所感を呟く器

 

 

「スキル?どゆこと!?」

 

 

「言葉通りの意味だ。ヤツの哄笑は、あらゆる者の運命を最悪な因果に固定する。失敗する可能性があらば必ずしくじるようになる。モードレッドに強化をかけてみよ」

 

「う、うん!瞬間強化!」

 

 

マスターの礼装のバックアップは、あえなくはばまれ仕損じられる

 

 

「効かない!?あれ!?」

 

「それが効果だ。モードレッドめの『外れる可能性がある』攻撃は全て外れていた。必要なのは『必中を約束された一撃』であろう」

 

――幸いに、モードレッドには直感が備わっている

 

故に――辺りに敷き詰められた『爆弾』に引っ掛からずにいられたのだ

 

 

「さて、どうする?強くはないが、それなりに厄介だぞ?」

 

愉しそうにグラスを揺らす器

 

――きっかけさえつかめば容易い相手ではある。だか、そのきっかけを掴むはマスター達の役目だ

 

 

「どうするか・・・というかモードレッドとめなきゃ!」

 

「宝具を解放すれば、町が・・・!」

 

 

――その時

 

 

『マスター!』

『僕たちを!』

 

 

二人の騎士王が、出陣を乞う――!

 

 

「お二方!?」

 

 

「――来て!『アルトリア』!『アーサー』!」

 

 

 

 

 

 

「――テメェは殺す。覚悟しろよ。オレはもう、自分を制御できねぇ」

 

 

ゆらりと高く掲げられるクラレント。禍々しき赤黒い魔力が迸る

 

 

「ンン、良いですねぇ、良いですよぉ?思う存分放たれるがよろしい!思う存分破壊されるがよろしい!それがあなた!反逆騎士の本懐であらせられましょう!パーッと弾けてしまいましょう!!柄でもないことはするべきではないのです!さぁ!さぁ!さぁ!!」

 

 

「今すぐ殺す!!消し飛べ、『我が麗しき(クラレント)』――!!」

 

「イヒッ、イヒヒヒヒヒ――!!」

 

 

練り上げられたその魔力が、刃となって放たれる瞬間――!!

 

 

「落ち着きなさいバカ息子!!セイバー忍法、陥没拳骨!!」

 

アルトリアの鋭い拳骨が、モードレッドの脳天に叩き落とされる――!

 

 

「なんとォ!?」

 

 

「いぃいっでぇ――――――――!!!!!」

 

 

クラレントを手放し、頭を抱え込むモードレッド

 

 

「なにすんだ!なにすんだよ父上!今いいとこだったんだぞぉ!!」

 

「いいとこだったのは前半までです。敵の企みを見抜いたのはいいですが、後半はまんまと乗せられましたね」

 

「ぐ――・・・」

 

「その位置で宝具を放てば屋敷が消し飛ぶ。まだまだ未熟ですね。短所や図星を指されたときこそ泰然と構えなさい。ぐっと堪え冷静に殺すのが正しきセイバー道です」

 

 

「・・・・・・はい。父上」

 

「よろしい。では、冷静になったところで――」

 

 

「そうだ!!決着をつけよう!!」

 

 

凛々しく張り上げられる美しい声

 

 

「誰だ!?」

 

「あ、あなたは(棒)」

 

 

「僕は謎のヒーローX!ブリテンのために戦う騎士を守護する謎の騎士さ!アルトリア!モードレッド!力を合わせよう!」

 

 

 

フードを被り、謎の仮面を被った白銀の男が、美しく雄々しく立っていた――!!

 

 

 

 

「ふはははははははははははははははははははははははははは!!!!」

 

膝を叩き爆笑する器

 

 

「・・・」

 

沈黙するマシュ

 

 

「な、謎のヒーローX――!!カッコいい――!!え!?そんなサーヴァント召喚したっけ――!!」

 

目を輝かせるリッカ

 

 

『・・・円卓の皆さんって・・・』

『流石はマーリンがしたてた組織だ、バカしかいないぞぅ!』

 

呆れ果てる裏方

 

 

 

 

「さぁ!立ち上がろうアルトリア!モードレッド!」

 

 

「仕切んな!なんだテメェは!?」

 

「今は捨て置きなさい。――モードレッド」

 

「あ?」

 

「『風を踏んで走れますか』?」

 

 

「――はい?」

 

謎なぞのような問い掛けにキョトンとするモードレッド

 

 

「それだけじゃない、『エネルギーを一刀に集められる』かい?」

 

「ソレ、湖寝取りヤロウの十八番じゃねぇか!」

 

「そうだ!一刀に総てを懸け、約束された勝利の一太刀を浴びせるしか方法はない!」

 

 

「補助はこちらでやります。できるのですか、やれるのですか?答えなさい」

 

「――そんなもん・・・」

 

 

――獰猛に笑うモードレッド

 

 

「出来るに決まってんだろ!オレはモードレッドだぞ!円卓で最もつえぇトレイターなんだからな!」

 

 

「モードレッド!やれー!!」

 

 

「任せとけ!こんな雑魚ワンパンだワンパン!!」

 

 

「よろしい、では位置につきなさい。安心を、失敗しても貴方が死ぬだけだ」

 

「そこは安心すんなよ!?」

 

 

「心は決まったようだね!さぁ行こう!」

 

 

素早くモードレッドの背後に回り、モードレッドが集中する

 

 

「ブリーフィング、はたまた親子の団欒は終わりです?まぁ?ワタクシに一太刀も当たらない方が何をしようと――」

 

 

 

「――最果てに至れ、限界を越えろ!!」

 

 

モードレッドのクラレントが再び輝く

 

 

視覚的に放たれ放出される雷ではなく、内に凝縮されるエネルギーとして――

 

 

「麗しき父上よ!貴方を滅ぼす輝きを見るがいい!!『我が麗しき(クラレント)』――!!」

 

 

「アルトリア!」

「えぇ!」

 

 

モードレッドが、踏み出すと同時に――

 

 

 

「「『風王鉄槌(ストライク・エア)』――!!」」

 

 

 

彼女の背に向けて、莫大な風の奔流を叩き放つ――!!

 

 

「イヒッ――!?」

 

 

メフィストフェレスが身構えるよりも、いや、この瞬間だけはあらゆるものを置き去りにする速さを誇るモードレッドが瞬時に肉薄する

 

 

背中に魔力の暴風を放たれ、またその暴風を踏み出し、極大の加速と威圧をものにした獰猛なりし騎士が、悪魔を名乗る道化に目掛けて――

 

 

「――『父への叛逆(ブラッドアーサー)』ァアァア――!!!!」

 

 

凝縮されきった一撃が、メフィストフェレスの身体を一刀両断する――!!

 

 

 

「あ――ァア――ァアア――」

 

 

肩口から斜めに両断され、上半身が高く舞い上がる

 

 

「いけません、いけませんねいけません。これは死んだ、死にました私」

 

 

「であろうな。それならば後片付けもやっていけ」

 

 

――財の選別は終わっている

 

 

「――はい?」

 

 

「貴様の設置した爆弾を査定していたが、そのどれもが粗悪品だ。返却しておいたぞ、『貴様の体内にな』」

 

 

――『転写』の原典にてマスターの身体に仕掛けられていた総ての爆弾を写し、『転移』の原典にて仕掛けられていた爆弾を総て身体に転移させた

 

「――つまり!それはツマリィ!?」

 

 

――合計30と数個、マスターの身体に仕込まれていた分も含めて、きっちり返品させてもらう

 

 

「粗悪品とラベリングしておけ。名前はなんといったか、あぁ――」

 

 

「――『爆発オチ』ですかぁ!!?最低最低そりゃ最低!!!これはいけないいけません!ワタクシ汚い花火になります!!それでは皆さん!!お元気で――――!!」

 

 

「――『微睡む爆弾(チクタク・ボム)』であったか?」

 

 

器が呼称すると同時に

 

 

 

「先輩!!私の後ろに!!」

 

 

「ちぃっ――!!」

 

 

モードレッドが下半身を力の限りに空に放り投げ

 

 

 

 

――道化師の宿命のごとき、派手にて絢爛な花火が

 

「散り際を彩ってこその道化。耳障りな三流であったが、それなりによい肴であったな」

 

 

英雄王の美酒を、華やかに潤した――




「謎の、ヒーロー、X・・・!」


「――素敵!なんて素敵なのセイバー!やはり貴方は最高!私の私だけの王子さま!」


「あはははは!最高!最高よ!私のなりきりエクスカリバーセットに音声収録しなきゃ!ヒーローX!えぇ!最高――!!」

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