人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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2連続更新!!部員の方のマテリアルがあればこんな芸当だってできちまうんだ!

メッセージは明日の午前からやります!


うたうちゃん「エリザベス、あなたはどんな形で夏草の皆様にご奉仕をしたいですか?」

エリザベス「そうだな…やっぱり悪人を倒したり、暴徒鎮圧とかかな…」

うたうちゃん「それならば、エキスパートにして大先輩を知っています。是非、お話を聞きに行ってみてください」

エリザベス「おおっ!サンキュー!早速行ってみるな!」

うたうちゃん「はい、お気をつけて」

ディーヴァ(私達もきちんと考えないとね。夏草の皆とリッカちゃん。どちらも大切にする為の方法を)

うたうちゃん(はい。その為にも、もっともっと交流を深めなくては…)


悪の敵

「夏草に奉仕をしたい?…なら何故俺のところに来た?」

 

エリザベスの要望は『夏草を護りたい』。戦闘技術や鎮圧技術…即ち殺傷しない戦いにて夏草を護りたいと定義した彼女は脚を運んだ。夏草を強固かつ絶対的に守護している人物、伊藤無慙の交番にだ。

 

「あんたの調べはついているんだ。暴力団や悪質な半グレ集団の検挙に殲滅…あんたが一手に担ってるんだってな。それはつまり、あんたが誰よりも何よりも治安維持に貢献しているって事だろ?」

 

そしてエリザベスは目からデータライトを点灯させ、無慙の検挙率と潰してきた暴力団、半グレチームの名前を羅列する。手柄は他の出世狙いの輩にくれてやった為に彼の名前は表に出ていないが、彼が矢面に立ったことはまさに明白だと彼女は導き出す。

 

「暇な事を。いちいち塵屑を数えたのか」

 

夏草市で活動している暴力団、半グレと呼ばれる集団はほぼ皆無に等しい。かつて無慙が流れ着く前の頃合い、動乱を極めていた頃の夏草市は、その善性を食い物にせんと各組織が進出してきていたのだが…

 

「この店のケツはオレら●●組が持ってやる。売上は当然貰っていくがな」

 

「お前達などに屈してたまるか!巡査に連絡しろ!」

 

「ハッ、こち亀じゃあるめぇしお巡りなんぞにビビるかよ!気合が違うんだよこっちはよぉ!」

 

血の気の多い下っ端が引き際を弁えずカタギを脅した結果…

 

「●●組の輩だな。お前の組は徹底的に俺が潰す」

 

「うげげ…すびばぜんでじだ…」

 

「ありがとうございます!無慙さん!」

 

下っ端を完膚なきまでに鎮圧し、組織を特定し、時期を見計らってガサ入れ、違法取引を全て潰し最終的に組長から芋づる式に組を壊滅させる。

 

「●●組組長、数多の違法行為の調べが上がっている。共に来てもらうぞ」

 

「クソぅ、俺の組がこんなお巡り一匹に…」

 

これを何度も繰り返していく内に、潰しに潰した組は膨れ上がり、それらが全て夏草に手を出した組と知れ渡れば極道界によって禁忌の場所と噂が立つのは自明の理。何故ならどんな小さな諍いだろうと必ず嗅ぎ付け、組を潰すまで徹底的に追い込んでくるのだ。夏草のシノギなどハイリスクノーリターンでしかない。即座に夏草の浄化は完遂された。

 

「おどれ伊藤ォ!てめぇ長生きしすぎなんじゃぁ!」

「夏草は●●組が貰うんじゃ!死に晒せぇ!」

 

一度極道組織が彼一人をマトにし、武装集団をけしかけ秘密裏に始末しようとした際にも彼は警棒一本でドス、チャカ、拳銃持ちすらもたった一人で鎮圧し…

 

「この夏草を汚していいと誰が言った?二度と朝日を拝めると思うなよ、塵屑ども」

 

「ひぃ、ひぃいぃい………」

 

撃たれ、斬られ血に染まった警官服を纏い全員警棒で叩き潰し、関わる全てを逮捕、検挙した(表向きには警察の大浄化作戦となっている)事から、夏草ひいては無慙の領域における反社行動は業界内自殺行為となっている程だ。

 

「あぁっ!ひったくりよ!?」

 

「いただきー!」

「へへ、ここは警戒心薄いバカばかりだぜ。楽勝!」

 

道理を弁えていない半グレ共のグループも同様、悪事を働いた輩の顔面の形が分からなくなる程に叩き伏せ鎮圧し…

 

「いつもありがとうございます、無慙さん!」

 

「おい塵屑共。所属グループを言え。言わなければ殺す」

 

(ほ、本気で、本気で殺される…!)

「●●です…調子に乗ってごめんなさい…」

 

そして単身乗り込み、犯罪行為や証拠を特定し潰すの繰り返し。

 

「真っ当に生きれないのなら死ね。少しは世も綺麗になる」

 

夏草をたった一人で浄化し、犯罪率が全区画でトップクラスに減少した実績を持つ。手柄は全て凄惨極まる現場をひた隠しにするため、無慙が出世に無頓着なのをいい事に上層部が都合のいい情報を仕立てたが、その無欲の犯罪撲滅に邁進する振る舞いが真の法の番人のあるべき姿だと人物内で莫大な支持を受けたが故、こうして彼は伝説として語られているのだ。

 

「あたしも、そんな風にこの夏草を護りたい。うたうとは違った形で自分なりにやってみたいんだ!だから頼む!あんたの仕事を手伝わせてくれ!」

 

「愚か者が。それだけ調べ上げて何故解らん。そんな危険な職務に民間協力者を就かせる筈がないだろう」

 

即断。迷いすらしない否認であった。無慙は夏草の悪の撲滅を苛烈に行ってきた。微塵も揺らがず迷わなかったのは彼が一人だったからだ。そんな彼が、今更危機に晒すだけの協力者など要する事などあり得なかった。

 

「奉仕活動ならば慈善、協力、ボランティア、清掃など多岐に渡る業務が存在する。警官としての仕事がしたくば正式に警官となるところから始めろ。少なくとも、俺が民間人に協力を仰ぐ事はありえん。今も昔もな」

 

「無慙巡査…」

 

エリザベスはその意見に深く、そして強く納得せざるを得なかった。彼の執行する正義はあまりに苛烈であまりに鮮烈であり、それに追従する者、できるものはあり得なかった。それ程の強い決意と自負、決心、覚悟を以て彼は法の番人の使命を果たしている。自身の提案を断った事も、決して命に関わる行為に巻き込みはすまいとの彼の意志が介在しているが故だと理解した。

 

(AIだとか人間だとか、そんなのは一切関係無い。この人にとっちゃ、あたしやうたうも護るべきもので、彼のやることは誰も真似できないものなんだ)

 

それは殺戮機能や戦闘力という次元を隔絶したところにある狂おしいまでの理念、使命。悪を滅ぼし抹殺し根絶するという狂気に近い渇望、戒律とすら呼べる意志が存在していた。

 

夏草に忍び寄る悪は彼のみが根絶できる。人が起こす悪事は彼が全て根絶する。それらは自身らが反旗を翻した時の決心とまるで同じ。故にそれらは、いくら問われようと変わらない事が理解できたのだ。

 

「…解った。じゃあ、せめて一つ聞かせてくれ」

 

そして彼女は一つの疑問を問う。彼は、彼の理念は。

 

「あんたは、正義の味方なのか?」

 

エリザベスの問いに、微塵も迷わず彼は答えた。

 

「違う。俺は悪の敵だ。悪を滅ぼすための悪なのだ。俺は悪に更生を求めない。悪に反省を促さない。悪に改心の機を与えない。滅ぼす事でしか向き合うつもりはないからだ」

 

徹頭徹尾、善や市民を護る悪であると譲らぬ無慙。彼は知っているのだ。正義を悪は欺こうとし、正義は護れこそすれど滅ぼせない。ならば自身は正義ではない。悪として、正義を謳うものらや無辜の民を狙う輩を滅ぼすまでと。現に彼の行為もまた、悪の先制を待たず行えば『特別公務員暴行陵虐罪』に当たりかねないほどに苛烈極まるからだ。彼は自身を正義と傲った事はただの一度もない。

 

「…そうかよ。なら、あんたをラーニングする訳にはいかないな…」

 

エリザベスは違う。うたうの代わり、または共に奉仕するなら後ろ暗い事、スキャンダルがあってはならない。彼女が目指す奉仕は、彼の悪を喰らう悪とは決して相容れないものであったのだ。

 

「それでいい。お前はお前が望む真っ当な道を見つけ歩め。それが悪でない限り、お前を食い物にしようとする輩は俺が潰す」

 

(…なんて苛烈な人間だ、この人は。でも…)

 

でも、とエリザベスは思う。それなら彼の安らぎは、彼の安息は一体どこにあるというのか?修羅を喰らう羅刹のような彼が安らげる時はどこにあるのか?その答えは…

 

「待て。改めて問うが新顔、名前は?」

 

「え、エリザベスだ。うたうと同じ、配属される予定のAIだ」

 

「雨宮の同志か。ならば情報を提供する」

 

彼はうたうちゃんの事を雨宮天空海の親類と捉えその苗字で呼ぶ。そんな彼は、彼女に資料をもたらした。それはアルバイト、ボランティア活動、各自清掃活動の許可申請書類などの資料をだ。

 

「雨宮は紛れもなく正義として夏草に奉仕してきた。目指し、憧れるのならばこちらにしろ。真っ当に、誰恥じることの無い道を歩め。AIの未来を明るくしたいのなら」

 

「巡査…!」

 

「俺を暇にしてみせろ。それが、お前達電子の命に期待している生き様だ」

 

完全なる悪の撲滅と、正義の樹立。それがなし得た時こそ安堵の日。そう言って、無慙はほんの少しだけ──笑みを見せたのだった。




うたうちゃん宅

エリザベス「見ろ!皆!私は指針を決めたぞ!私は夏草の清掃ボランティアAIになる!」

エステラ「あら、警備や鎮圧はいいの?」

エリザベス「それには先輩がいる。先輩の仕事を奪うんじゃなく、任せるのも大事だ。あたしはうたうや巡査を見習ってこの街をキレイにしていくと決めたぞ!それがあたしの見つけたご奉仕だ!」

オフィーリア「道をあっという間に見つけた…」

エリザベス「うたうにも連絡だ!先輩として、教えを請わなきゃな!」

グレイス「凄いですね。夏草市民との触れ合いでこんなにも早く…」

エステラ「ふふっ。姉として鼻が高いわ。それはそれとしてエリザベス。あなた夏草で暴れたでしょう」

エリザベス「げっ」

エステラ「うふふふ?(コブラツイスト)」

「ぎゃあぁあぁあぁあぁ!?」

オフィーリア「極まった…」

(次は私の番ね。どうかよろしく頼むわね、うたうちゃん。そして夏草の皆さん…)

エリザベス「ガクッ」

グレイス「あっ」

オフィーリア「ノックアウト…」

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