究極の造形を求めて来る日も来る日も腕を磨きあうフィギュア職人たち……グッドスマイル!こんな素敵な光景が夏草にあって?ないなら私が築き上げてみせる!というわけであなた達、そんな私の未来の為に少しでも技術を身に着けなさい!」
榊原「…と、いうわけで。夜からは工芸の時間になります。ケガだけはしないでね?」
プロテア(モニター)『怪獣は、いいぞー!』
アカネ「そちらの巨大な方も怪獣好きで!?」
エリザベス(ど、どうするんだ?)
うたうちゃん(やるしかありません。後退は、無しです)
エリザベス(意外と怖いもの知らずなんだな…よし、じゃあこの情熱に飛び込むぞ!)
ロマン「パーフェクトストライク?…これ、重くなりすぎてないかなぁ…?」
「ふっふーん、どうよこのフィギュア!最新で作ってみた系列の怪獣なんだけど、こだわりはここのラインね!ライン!細部に宿るんですよ!神が!」
アカネがうたうちゃんやエリザベスにとどまらず、工作目的で開放されたロビーにて自慢気に新作怪獣フィギュアを展開し胸を張る。それはスケールダウンしたアレクシス系列のポピュラーな怪獣フォルムをした新作のデザイン怪獣で、頭部に人を組み込んで動くことが出来る、という触れ込みのものである。
「へぇ、なんの変哲もない学生にしておくには勿体ないモデラーの腕前ね。あなた、私の専属モデラーにならない?」
【メルトリリスくんの言う通り、アカネくんの腕前はそれだけで食べていけると常々思っていたのは間違いではなかったようだねぇ。どうだろう、いっそプロを目指してみては?】
「えぇ〜?私なんかがぷろとかオコガマシっすよ〜。だってほら…」
「天空城、完成が近付いてきたわね。ここにイアソンドールズを放り込んで血も涙もない難攻不落の居城にする私の野望は始まったばかりよ…!」
「イアソン絶対殺すウーマンとして強い意志を感じる…ッ!それはともかく、こんなのどこから作ったのか解らないくらいの力作な事だけは伝わるよメディア…!」
メディアの持ち込んだ、魔術で本当に浮遊する天空居城ミニチュアの完成お披露目に感動するリッカ…
「アリスさん!幻想郷代表モデラーとして勇名をとどろかせるチャンスですよ!いつも作っている人形を見せつけちゃってください!」
「そ、それはいいんだけど…イマドキの学生に受けるかしら…?外の世界はまだリカちゃん人形とか流行っているの?アームズレディシリーズ持ってくれば良かったかしら…」
早苗に背中を押され、人形達をずらりと制作するアリス…
「まず基本テクニックとして、バリは確実に取るところから始めましょう。手でちぎるなどは論外で、出来栄えにも関わってくるのでニッパー使用は義務だとお考えください!いかなるプロモデラーもまずは素組みから!プラモバトルもまずは基本なのですからね!」
「3Dモデリング担当なんだけど、やっぱりこういうのは実物あってこそだからね。アスカも投げ出したりしないでやってみてね」
「解ってますよ…。あんまりこういう細かい作業得意じゃないけど、やってみなくちゃ上手くならないからな…」
「ハロ、いるか?もう八個目なんだ」
「作り過ぎだ!どれだけ器用なんだお前は!」
(可愛い…)
「パティシエやってるんだもの、ゼロからやるのとはノウハウが違うわ多分。頑張って作ってやろうじゃない!」
「その意気ですよ、じゃんぬさん!あと一緒にどこかに飛んでいったパーツを一緒に探してください!」
一行にガンプラ制作を教えながら、全員で制作に勤しむ創作活動大会の場。うたうちゃんとエリザベスが人知れずやっていた作業が、一瞬で大活動へと変化した事実に二人は顔を見合わせる。
「ま、まぁ当初の予定以上に皆ノリノリだったんだけど…どう?一人でやるより二人、二人でやるより皆だよね?」
「アカネさん…」
声をかけたのは、なんとアカネだった。全員で消灯時間まで、制作作業してみませんかと発してみたら全員が来てくれた、興味を持ってくれた嬉しい誤算。楽園からもサーヴァントが顔を出し魔女も交じる大イベントとなったのである。
「実は、一人で行き詰まるとか割と経験あってさー。中学の頃とか、最初は夢中で作ってたんだけどそのうちデザインとかアイデアとか煮詰まっちゃって、似たような作品ばっか作るようになって…んー、スランプっていうのかな?そんな感じで袋小路になっちゃってた経験があるのです、このアカネさんにも」
【だから、君達の悩みが他人事の様に聞こえなかったという事なんだね。気遣いができて偉いねぇ、アカネ君は】
アカネもまた、そういったネガティブさには覚えがある。むしろネガティブ側の人間であったと語る。
「ただスランプならいいんだけどさ、そういうの長く続くと、創作活動自体が嫌になってくるんだよね。頭の中のイメージが上手く出せない苛立ちとか、自分への不甲斐なさとか…ひょっとしたらうたうちゃんもそうなっちゃうかもと思って、慌てて声をかけてしまいました」
「アカネさん…」
【怖い話だねぇ。ではそれをアカネ君はどう乗り越えたんだい?】
それを乗り越えたもの、それは…同じものを共に作った、友人であり親友だという。
「何もかも嫌になって、趣味から暫く離れて、色々あって。親友ができて一緒にまた作ろうって話になって。それでいっそ打ち明けてみたんだ。スランプって。そしたらさ…」
『別に下手のでも、好きなの作ればいいじゃん。楽しむのが前提でしょ?』…そんなアドバイスを受け、アカネは気付いたという。趣味は別に完璧でなくていい、自身が納得できるのが最優先なんだと。
「それでアドバイスしたり、されたりで作ったのが、六花は昔のグリッドマンの重武装版コンセプトのプライマルファイター・グリッドマンと、私がアレクシスなんだ」
【成程ぉ。お互いがお互いにいい影響を与え合って限界を越えたんだねぇ。AI諸君、これは君達にも言えるのではないかな?】
「あたし達も…影響を与え合っていいもんを作れるってことか?」
アレクシスの言葉に、エリザベスとうたうちゃんは顔を見合わせる。人間とは、互いの独創性を刺激し合う事で進化する。果たしてそれはAIにも可能であるのか、と。
「ま、まぁすぐには荷が重いかもだけど、私が言いたいのは最初はうまくできなくって当たり前!色々作って頑張っていけ!あとレビューし合うと捗るぜ!って事な訳です!…ほんと、下手な時にしか作れないものや、最初の頃にしか作れないものってホントいっぱいあるからさ」
【処女作や初初しさを忘れないでいてほしい。アカネ君が言いたいのはきっとそういう事なんだろうねぇ。そんな訳で、君達もまずは何より楽しむといい。多分、ここにいる誰もは不格好さを馬鹿にするような事はしない筈だからねぇ】
「そういう事!以上、アカネの上からアドバイスでした!──じゃね!」
話に話して恥ずかしくなったのか、イケボ宇宙人ナビと共にすっ飛んでいく中でうたうちゃんとエリザベスは頷きあう。
「こうしてはいられません、エリザベス。アカネさんのアドバイスを、無駄にしてはいけない」
「あぁ。とりあえず作ってみろって事で、失敗を恐れるなって事で、アイデアを形にしろって事だな!」
(尻込みしないでやってみる。でも必ず、改良してから失敗する。その繰り返しがきっと、素敵な成果に繋がると言うことね!)
「よーし!じゃあ行こうぜ先輩!ラーニングの時間だ!」
「はい、やってみせます…!」
そうして創作会に参加し、アドバイスや手解きを受けていくうたうちゃんにエリザベス。聞いては作り、聞いては作りを繰り返していく試行錯誤の繰り返し。
「エリザベスさん!ロケットパンチや合体分離機構は備わっていますか!?」
「いや、流石にそいつは無いな…」
「付けませんか!?」
「ロケットパンチはともかく、合体分離は完全にホラーだろうが!?」
「ディーヴァ、ここのライン再現の手助けをお願いします…!」
(やる気ね。じゃあ皆で、いいものを作りましょうか!)
そうして皆から刺激を受け、AIは次々と新たなるものを作り出す独創性、創造性を磨き上げていくのだった──
『仮面ライダーオーマジオウフィギュア』
ディーヴァ(やったじゃない!凄い出来よ!うたう!)
エリザベス「やっぱインパクトって言ったら顔にライダーだったよなぁ…」
アカネ「お疲れー、進歩どうわすっげぇ!」
アレクシス【コツさえ掴めば流石はAI。精巧で精密な出来栄えだねぇ】
うたうちゃん「おじい様にはたくさんお世話になりました。マスターも次に挑戦します」
エリザベス「言うことなしだ!これ、渡すのか?」
うたうちゃん「あ、いえ。実は…」
〜
「リッカさん、これを…」
リッカ「ふぁ?え、これ…!」
〜最初に作った、ディーヴァを渡そうと思います。確かに出来栄えはダメダメかもしれません。でも…
うたうちゃん「あの、その。不格好なのですが…」
〜私が、一番最初に作ったもので。大事な半身の人形ですから。受け取ってもらいたいんです。
リッカ「かわいい!これ、ディーヴァだよね!?開運グッズだこれー!すごーい!ありがとう、うたうちゃん!」
うたうちゃん「〜〜。──…」
ディーヴァ(良かったわね、うたう)
〜私の、大切な半身。離れていても、ずっと一緒だという願いも、込めましたから。
エリザベス「〜姉さんら。うかうかしてると置いてかれるぜ?」
こんな下手っぴなものも、二度と作れない唯一無二で…大事な、創作活動の賜物ですから──
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