うたうちゃん「はい。ですが私達のアイデアでは手詰まりになりがちですので、助けを請いたいのですが…」
榊原「そういう事なら、あの三人でしょう。場所は教えてあげるから、話を聞いてご覧なさい」
うたうちゃん「ありがとうございます!」
榊原「夕方には帰るように伝えておいてねー!」
うたうちゃん(あの三人というと…)
ディーヴァ(仲良し三人組ね!)
「え?スマホやタブレットを1から作るとして、うたうちゃんをモチーフにしたデザインラインを起こしてほしい?急に凄いこと言ってくるなぁ…」
うたうちゃんが担当することになった、リッカ専用サポート端末。彼女自身がどうにか捻り出した結論が、『見るだけで夏草や皆を思い起こさせるもの』というコンセプトで精一杯だったので、また仲間達に頼る事としたうたうちゃんは、榊原の推薦によりとある人物に声をかけた。そう…鈴村飛鳥。黒髪で赤眼の、おしゃれにくまなく気を使っている今を生きる女子高生、といった風貌の少女である。
「すみません、実はリッカさんをカルデアに戻った後もサポートするというコンセプトの下、私達と通信を繋げるツールを開発しようと考えたんです。ですがあまりに無骨だったり味気ないと、リッカさんに悪い気がして…」
「あ…そういう事かぁ。そうだよね、今日も入れてあと3日で帰っちゃうんだっけ…」
飛鳥は頷き、協力の意を示してくれた。手製のメモ帳を開き、彼女が望むコンセプトとデザインの要望を聞く。
「普段使いは当然するんだよね?携帯式?ファッションツールとしての活用も視野に入れてる?」
「はい。携帯してもらって…一言読んだら来る…様なものを…」
(こういうクリエイティブな相談はちょっと荷が重そう?なら私に代わってみて。イイ感じに打ち合わせしてあげる)
うたうちゃんは頷き、ディーヴァと人格をチェンジする。彼女の創造的な感性、情緒を司る領域のディーヴァは飛鳥の質問に軽快に答えていく。
「普段の任務からして動き回るでしょうから、何か身に付けられるものがいいわね。イヤリングとか、金属機器はやめておいたほうがいいかも」
「ならスマホとかもあんまり良くないかもね。任務遂行中に落としました、なんて目も当てられない。確かアカネの友達の方の六花ちゃんが考えたヒーローとかが使う、肌見離さずな通信端末っぽいのがいいかな。何か形に要望とかある?」
「そうねぇ…やっぱり、ふとした拍子に見れるものがいいかしら。或いは、特別感のあるアクセサリーとか?」
「じゃあイヤーカフスとか、指輪かな…イメージカラーは蒼白を基準にして…こういうのはどう?」
そこに描かれていたのは、指輪と腕に装着する小型アタッチメントであり、白い指輪と蒼い装着型端末が見事にデザインされていた。向かい合うディーヴァとうたうちゃんと、夏草の紋章が書き起こされたオーダーメイド式である。
「素敵!飛鳥ちゃん本当、こういう分野には強いわね!流石デザイナー志望!」
そう、鈴村飛鳥はデザイナーを目指す進路を見据えており、流行やオシャレ、ファッションに極めて敏感かつセンスを常日頃から磨いている。それは妹や家族にいつでも素敵でいてほしいという願いから選んだものであり、身内に情深い彼女の人柄を表している。今流行りは何か、飛鳥に聞けば一目瞭然なのだ。(オシャレにまるで関心がないいつもの二人をよくブティックに連れて行ったりしているのもセンスが磨かれる一環である)
「褒めてもらえるのは嬉しいよ、ありがとう。できるのはデザイン起こしだけで、機能とかはピンとこないからそこはサラに相談してみてよ。いいものできるといいね!」
飛鳥は自分を虐げるもの、上から抑えつけてくるものには決して屈さず牙を剥く反骨精神を持つが、身内や仲間には人懐こい子犬のような少女である。素直に頼れば、喜んで力を貸してくれるのだ。
「ありがとう、アスカ!完成したら見せに来るわねー!」
それに感謝して、ディーヴァ達はサラの下へ向かう。機能や何を以て活用するかの電子機能分野は彼女の得意とするところなのだが…──。
〜
「この形状なら、咄嗟にレーザーソードや隠し刃といったものをつければ意表を突けるな。ピッキング機能や電子サーモグラフィーなどをつけると特殊作戦の際に携行する理由が出てくる。カルデアの通信環境がどうか解らないが、君からの生体信号を電波として使用できれば、もしもの非常時にカルデアに連絡できないという事態を回避することもできる。普段使いする機能が外せないなら、装着者のバイタルを常に観測、表示する機能は必須だ。恒日頃から健康習慣や、栄養の偏りに気を配って…」
うってかわって可愛げがまったくない機能美に全振りのサラの講釈に、うたうちゃんはうんうんと頷いている。超が付くほど真面目で堅物なサラは、カリカリと何枚も計画プランを描いてはうたうちゃんに渡していく。そこには、彼女が考える必須な機能が理由も兼ねてずらりと書き記されていた。
(極めて論理的で、熱心に考えてくれるのね…あんまり口数は少ないイメージがあったんだけれど…)
サラは自分から主張するタイプでなく、寡黙な方である。しかし面倒見はよく、相談されれば丁寧に対応してくれる。それは両親が厳格な上位の社会的立場にあることから培われた人格なのやもしれない。冗談が苦手で、場を和ませる事を苦手とする。
「聞いたところ、リッカはあらゆる場所に飛び回る任務がメインらしいからな。これをGPSや、彼女の生体反応をどんな時でも発信できるデバイスにできれば彼女の生存確率はぐっと上がる筈だ」
だが、それでも知人や仲間への想いは人一倍であり、物憂げな青髪と緑の眼の彼女の本心は、いつも労りや他社への配慮に満ちている。それは議員である父や弁護士である母の教えたる『正義には人の心を伴え。秩序には断固たる決意を伴え』という理念を忘れていないが故だろう。
「簡易的だが、計画書としても機能する筈だ。これを作れる技術者に渡せば、形にしてもらえると思う」
「ありがとうございます、サラさん。ハロをとにかくたくさん作っているのは伊達ではありませんでしたね」
「父と母が喜んでくれたのが忘れられなくてね…うっかり作りすぎてしまうくらいの思い出の品なんだよ、私にはね。まぁお察しのとおり、いつも作りすぎてしまうんだが」
「それでも、みんな気持ちは受け取っています。今度また、作ってください。ありがとうございました!」
うたうちゃんはお辞儀をし、サラの下から最後の場所へと向かう。そう、この二人とくれば最後の相手は決まっている。
〜
「ライブ2Dモデルと3Dモデルだね。分かった、製作するよ。電脳世界における君たちのボディだから、気合を入れて作らなきゃね」
オールプラモデルロボットバトルの3Dモデル製作担当に抜擢される程のグラフィック全般に非凡な才能を発揮する保志大和。彼女に頼まなくては、この計画は完成しないと言っていいほどの重要なファクターだ。
「是非お願います。私と、ディーヴァ。どちらの方がモデリングは容易でしょうか?」
(負担が少ない方にしてもらって構わないけれど…)
「どっちも作るつもりだよ?手が空いた方が端末でサポートするリバーシブルな感じでどうかな。アプリは作られるんだよね?じゃあそこに圧縮しておくように作るから、上手く使ってね」
彼女もまた、平然と難題を覆す比類なき才覚を持つ。彼女は今の両親に孤児院から引き取られ、その才覚を突如覚醒させた存在であるのだ。今の両親の教育で、浮世離れした天然という自己を確立させた程の超越性をかつて持っていたとされる。今は自主的に、機能をセーブしているらしい。運動神経以外で、彼女はまさに非凡であった。あるのだが…
「…………………」
「あ、あの…」
「……………………(作業中)」
作業に移ると、世間話の一つも出来なくなるほどに集中してしまうことと、彼女が本気で組み上げたもの全てが常人に理解できない領域に達してしまうのが難点と呼べる箇所なのであった──。
大和「はい、できたよ。モーションフレームやレートの要求スペックは高めだけど、処理落ちしない為にはこれくらい必要になっちゃった。ごめんね」
ディーヴァ(…スーパーコンピューターが運用できるわね…)
うたうちゃん「頑張って企画を通してみせます。ありがとうございました、大和さん!」
大和「ううん。楽しかったしね。それにしても、カルデアかぁ…」
うたうちゃん「?何か?」
大和「ううん、なんでもない。リッカちゃん、喜んでくれたらいいね」
うたうちゃん「はい!では、早速まとめますね!」
大和「…うん。楽しそうだ」
嬉しげに走り去るうたうちゃんの後ろ姿を、微笑ましげに大和は見つめていた──。
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