人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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メチャクチャ衝撃的だったので小話形式で一話挟みます。

君が願う事なら全てが現実になるだろうって本物だったんだな…


おかえりなさい、原初の母

「ティアマトママ実装おめでとう!ティアマトママ実装おめでとう!!ビースト先輩を心から祝福しちゃうよー!おめでとぉー!!」

 

『ふぐぅ。あ、ありがとうございます…』

 

アーネンエルベにて、ティアマトの頬をタッチしまくりマイク代わりに突きつけているビースト後輩、マナカ。別の次元を見ていたらティアマトがアルターエゴとして実装された可能性を感知し、テンションマックスにてお祝いされているといった光景である。彼女は常日頃から実装の声などがあったので大願成就と言ったところだ。勿論、他のビースト組も歓迎するところである。

 

【よりにもよってあなたなんですねぇ。やはり母は強し、といったところでしょうか?その愛、マーラとしても脱帽ものです】

【母は強し…流石は唯一無二とされる無償の親子愛。私、感服致しましたわ。女としての究極たるあなた様の門出はとても喜ばしいです。うふふ…】

 

『マーラ、キアラもありがとう。やはり、子の危険には力を貸してあげたいのが私の本心なので』

 

(ビースト仲間でも常識人たる君が活躍できて鼻が高いよボクは…アーケードで頑張ってね!)

 

「フォウ先輩ジャマ!今日の主役はティアマトママなの!ぺいっ!」

 

(おのれアバズレェー!!)

 

「でねでね、色々気になった点があるから質問したいんだけどいいかな?私、ティアマトママのお話色々聞きたい!いいでしょ?」

 

『勿論、私で良ければ。答えられる事は、可能な限り』

 

マナカの疑問に了承を返すティアマト。浮足立つビーストネット。

 

──人類の癌細胞が、夏草に集う。

 

 

〜実装の心境と母親という役割発言について

 

『やはり、嬉しいですね。子供達に何らかの形で触れ合える…母親として、こんなに素晴らしい縁はありません』

 

「ティアマト・ラーヴァだっけ?後でフォウ先輩のお金で連コするけど、紹介動画の母親が役割みたいな発言はどゆこと?」

 

『はい、神というもの、女神というものは現象、事象と言うものが形になったものです。メソポタミアの神は特に。私は生命を生み出す土台であり母胎。それが意志を持ったものと考えたら…私の役割は生命の母。個体名ではなく、使命のラベルが貼られた存在なんです』

 

【故にこそ、安定してきた生命達にあなたは不要とされた。あなたは産み出された命の母でありましたが、子らにとっては異なる種という侵略者を産む土壌としか見られなかったのですね。お労しい…】

 

『…はい。哀しい事ですし、辛い事ではありますが…少なくともこの場の私は答えをいただきました。もう、涙することも嘆くこともないでしょう。私は一言、感謝をもらえた。それだけでもう、いいのですから』

 

「ママ慈愛の極み!凄いなぁ…でもそんなママが人類に力を貸すだなんて、相当ヤバいんじゃない?」

 

『海から来たる別の脅威…そう書かれていましたね。何かは解りませんが、気持ちは分かります。せっかく自立し、独り立ちしようとした子を殺そうとする者など、見過ごせる筈はありません。離別の悲しみ、敗北の屈辱。そんなもの、子が絶える絶望の前には塵に等しいのですから』

 

(流石はグランドマザー…魔王として、ちょっと脱帽ですね…)

 

 

〜人類への見方について

 

「紹介動画でさー。マスターの事人類って呼んでたじゃん?アレはどういう事なの?」

 

『あくまで起動した別側面の言動なので推測になってしまいますが…私は顕現したとき、人類に接する際に、個体を判別はしていませんでした。ギルガメッシュとウルクを以て『都市』。リッカを以て『人類』とするように。私の目には、その種が包括して映っています』

 

「となると、マスターの事も纏めて『人類』って括りで判別ついてないってこと!?」

 

(アバズレ、マテリアルを見てみろ。マスターへの態度は60億分の1、当たり前の抹殺対象と書いてある。要するに、絆がゼロの際はティアマトの目には人類の一人以上でしかなく、個体なんて見えてないんじゃないか?)

 

『ビーストの際はまた子供を愛せるという喜びが頭にいっぱいだったので、人類は敵でしか無かったのです。個体による差異など考えず、マスターであろうと、ウルクの民であろうと同じ人類でした。人類の多様性を、私は見ていなかった』

 

「え、じゃあ今は!?今はどうなのちゃんとわかる!?」

 

『えぇ、マナカ。フォウ、マーラ、キアラ、ゲーティア、新人にタユンスカポン…楽園のみんな。私の大事な子供たちですよ』

 

「ありがとうティアマトママー!」

 

(コヤンスカヤなんだけど…まぁいっか!)

 

 

〜根底にあるもの

 

「ビーストⅡとして大暴れしたママだけど、こういった形での再登場について思うところはある?」

 

(トラウマクラスに原作では大暴れして、楽園でも強敵ランク不動の一位にランクインしているティアマトだけど、当時の感情を改めて振り返ってみて、どうだった?)

 

『そうですね…やはり胸を占めていたのは、寂しい、哀しい、辛いといった想いなことは確かです。子供達が遠くへ行ってしまうのは、見捨てられてしまうのはとても哀しい事でした。そしてビーストとして活動していた際は、歓喜に満ちていました』

 

【母としての復権。再び生命の長になれる随喜ですね?】

 

『はい。また子供達を愛する事が叶う。その母としての感情のまま、皆様に立ち塞がりましたが…私の心には、小さくとも決して消えない想いがあったんです』

 

「それって…」

(ボクには分かる。あぁ、分かるとも)

 

『はい。『今在る人類の庇護』…今繁栄している人類の味方となりたい。そういった気持ちは確かに存在していました。だって人類もまた、私から…この星から生まれた生命。私の子なのですから』

 

「ママ…」

 

【いつも不思議だったんですよ。何故そんなにキツく自分を縛っているのかなって。まぁ、そういう事だったんでしょうね】

 

『ですから今回のお知らせは紛れもなく吉報でした。私ではない私ではありますが、子と力を合わせて共に戦える。力となれることが何よりも嬉しいことなのです。私にとって、これ程嬉しいコトはありません』

 

(でも、君が力を貸す事を決意したと言う裏には、ボク達も預かり知らない脅威や、ティアマトに比肩するほど強力な敵が来るという証でもあるだろう)

 

『えぇ。でも、私はきっと大丈夫だと思います。まだ独り歩きを始めたばかりで、とても危なっかしく毎日思ってはおりますが。リッカにエアを産み出した人類ですもの。星を飛び出すその日まで、決して負けないし挫けない強さを見せつけてくれると信じています』

 

「信じてくれてるんだね!」

 

『はい。立派になっても、遠くに行っても。子を心配しない親なんていませんから。私の本体はもうこの星にはありませんが、それでもずっと私は皆のお母さんです。役割ではなく、私自身の在り方として』

 

(本当にありがとうね、ティアマト。君の愛と期待に、エアやリッカちゃんは必ず答えてくれるハズさ!)

 

 

〜幸運EXについて

 

「子供産んだら夫を殺されました」

 

(子供達に命を狙われました)

 

【敗北して身体を引き裂かれました】

 

【ウルクで羨ましいリンチに遭いました】

 

「(【【おかしくないですか?】】)」

 

 

『い、EXランクには測定不能という一面もあるので、そのぅ…あの、おそらく…』

 

(あぁ…)

 

下限を突き抜けているんだな…。一同は申し訳無さそうに俯くティアマトを見て、深く深く納得するのであったとさ。

 

『あ、でも。上限的な意味でもあるはずです。ええと、なんでしたっけ。ほら!「子供たちが幸せならOKです!」』

 

「ママって凄い…」

 

流石のマナカも、ティアマトの極まった愛には感服する他ないのであった──。




マナカ「じゃあ早速当てに行くよ!先輩!預金下ろしにゴー!!」

フォウ(やめろォ!!これはエアの為の貯金なんだぁ!!)

マーラ【興味深いお話でした。また是非愛について教えてくださいね】

キアラ【是非、冥界の槍の感触について…うふふ♪】


ティアマト『はい。ではまた…』

(…人類よ、どうか負けないように…)

『Hello<( ̄︶ ̄)↗』

ティアマト『!マルドゥーク…?』

キングゥ「つまむなマルドゥーク、つまむなって!」

ティアマト『!』

キングゥ「あ、あー…その…母さん」

『キングゥ…』

「…良かったね。おめでとう」

『(☞゚ヮ゚)☞Happy』

『…はい。二人共、ありがとう…』


…この後、バビロニア組からのたくさんのプレゼントに埋もれるティアマトでしたとさ。

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