人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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シャルルマーニュ「おら!これで終わりか!?年始のカッコいい俺の晴れ姿、たんまり見てけ!」

アブソリューティアン【くっ…どうやらタルタロス様も退いたようだ。我らも帰還するぞ!】

アストルフォ「あ!逃げ足はやーい!待てこらー!」

シャルルマーニュ「チッ、せっかく新年早々カッコいい夢見たってのによ!もうちょっと付き合ってくれっての!」

アストルフォ「5年も先の未来だなんてハイテクー!…と思ったけど、ムーンセルだからそんなに変わったりしてないか!たはー、失敗失敗!」

シャルルマーニュ「ゴージャスが言うには縁を辿ってこいと言ってたんだが、どういう事だろな?ていうか一緒にきた鈴鹿ねぇとマロの兄貴はどこ行った!?」

アストルフォ「そういえば…!はぐれちゃってるね!?」

〜都市部、外れ

アブソリューティアン【【【【【ぐわぁあぁあっ!?】】】】】

田村麻呂「うぉおぉお!!タルタルソースってのはどいつだ!?オレ様がエビフライにかけて美味しくいただいてやらァ!!」

鈴鹿「アタシはともかく、アンタまで…これもムーンセルの縁結び、的な?」

田村麻呂「何が究極生命体だ!なら俺様はアルティメットグレードデリシャスジェネラルの大将軍坂上田村麻呂だぜー!!めっちゃ強そうだろぉー!」

鈴鹿「あーもう!将軍二回言ってるし恥ずかしいから騒ぐなってばマロのバカ!いいからさっさと終わらせるし!いい!?」

田村麻呂「平和を護って鈴鹿と姫始めだ!行くぜぇえぇえ!!」

鈴鹿「そゆことデカイ声で叫ぶなー!?」




タルタロス【地球か…今はまだ下等生物の域を出ないが、あの力…究極生命体に届き得る可能性を秘めているやもしれん。観察、監視するに値する】

(ならば、我等アブソリューティアン以外に侵略を許す訳にはいかん。もし、我ら以外の愚か者が手を出すとなれば…)

【…一度くらいは、手を貸してやってもよいかもしれん。この究極生命体、アブソリューティアンの戦士。アブソリュート・タルタロスがな…】


エピローグ〜ディメンション・ユニオン〜

「奏者よーっ!!無事であったか、平気であったか大丈夫であったか奏者よーー!!」

 

「大丈夫、なんの問題もない。ありがとうネロ。そして、皆にも協力を感謝します。ほんとにありがとうございました。」

 

ネロの飛びつきハグをさらりとかわしながら、月の侵略阻止に一役買ってくれた者達に王として礼を告げるはくのん。パトロールを請け負ってくれている楽園のサーヴァント達も、後で然るべき礼を告げるつもりだ。

 

『どういたしまして。銀河警察の警視総監として、私個人としても大変お世話になったからね。そちらのカルデアには。返しきれない恩を、少しでも返せたなら幸いよ』

 

サーヴァントユニバースのエレシュキガル警視総監が、モニタの向こうで襟を正す。かつてのゴージャスらの奮闘の功績と縁は、いずれも途切れてはいないのだ。

 

『グリッドマンさんもありがとうございました!しかし、まさかサーヴァントユニバースやギャラクシーレスキューフォースまでが助けに来てくれるなんて…ゼロ兄さまの要請、とお伺いしましたが…』

 

『その通りだ。アブソリューティアンはあらゆる時空を越えて己の星を救う手段を模索している。そしてそれはサーヴァントユニバース、ハイパーワールドにも及んだ…。そこでエレシュキガル警視総監とウルトラマンゼロは、近い内に間違いなくカルデアやウルトラウーマンフィリアを狙うだろうと危惧したんだ。だが、相手は単独で時空を越える規格外の存在。エレシュキガル警視総監はその対策に、全宇宙の平和を守る組織…ギャラクシーレスキューフォースに銀河警察を加入させ、あらゆる時空に出動するハイパーエージェントに協力を要請。ゼロの推薦を受け、私をギャラクシーレスキューフォースにスカウトしたというのが事の経緯だ』

 

サーヴァントユニバースの進んだ科学技術と、あらゆる時空にて平和を護る存在たるハイパーエージェントを、ウルトラマンのコネクションを使い獲得し、グリッドマンを派遣する事に成功したのだという。

 

『グリッドマンは電光超人でしょ?なら、ムーンセル・オートマトンのあるそちらの時空に派遣するにはうってつけだと思ったのよ。先史文明が遺した遺産、ハイパーコンピューター。タルタロスはウルトラマンゼロすらも下した強敵だと聞いていたから、全力以上の全力を出せるグリッドマンなら或いは…と思ったけれど、結果は想定以上だったみたいね。少しはあの高慢ちきな態度を改めてくれればいいのだけれど』

 

サーヴァントユニバースも相当な被害にあったのだろう。難き宿敵…というよりは、上から目線の難民者に対する態度を取るエレシュキガルからもわかる様に、タルタロスの目的は把握され、周知の事実と化しているようだ。

 

『母星が危機を迎え、一刻の猶予も無い事は理解できる。しかし、それを理由に他者から略奪、時空へ侵略する事を許すわけにはいかない。既にギャラクシーレスキューフォース、ハイパーエージェントは共に、タルタロスの確保、静止に全力を尽くす構えを行っているのだ』

 

『となると…ゼロ兄さまや、ウルトラマンの皆さんとも交戦を行ったというのも本当なのですね…!』

 

エレシュキガル、グリッドマンは頷く。ウルトラマンキングが直々に手を貸す事からしてみても、今回の事件は宇宙を巻き込んだ大騒動になろうとしていることは明白だった。

 

『タルタロスは時空を自在に移動するから、一度撃退したとしても油断はできないわ。母星を救うため、何度でも救済の手段を手に入れる為の侵略を行ってきてもおかしくない。そこで、そちらのグリッドマンをムーンセルに駐在させ、ムーンセル・オートマトンを防衛し、そちらの時空との連絡係を務めていただく任務を託しました。月の新王、よろしいかしら?』

 

グリッドマンをムーンセル防衛と、平行時空への連絡を取るハイパーエージェントとしての役割を持たせ、この時空へと送り込んだエレシュキガル。あいも変わらず、コスモギルガメスの宇宙裁定を乗り切ったその敏腕ぶりは健在であった。

 

「勿論喜んで。御機嫌王の集合無意識観測宝具での今の時間は2022年なので、楽園時空の2017年の私にレガリアを通して今回の記録を送ります。楽園時空は、これからもう一仕事ありますから。グリッドマン、フィリアと一緒にお世話になります」

 

年末年始のスペシャル時空をムーンセルが観測した事により等価の未来として処理し、本来の時空に情報としておくる。そうする事であちらの時空にも、今回受け取ったいくつかの事実を助けとできる。時空のズレをムーンセル、そしてギルの集合無意識接続ネットワークあればこその反則技にて強引に処理するはくのんであった。

 

『任せてほしい。ハイパーエージェントとして、ギャラクシーレスキューフォースとして。ムーンセルとこの時空を護ってみせる。それが、ウルトラマンゼロたってのお願いでもあるのだから』

 

『ゼロ兄…ゼロ兄は大丈夫なんですか?怪我とか、していないでしょうか?』

 

フィリアからしてみてみれば、自身の故郷ではなくても同族たるウルトラマンの今が気になるのは必然である。エレシュキガルは、沈痛な面持ちで告げる。

 

『…あちらでは今王女ユリアンが攫われ、開放の条件に光の国の明け渡しが要求されているそうよ。ウルトラマンが総出で駆り出され、こちらの時空に人を寄越せないのはそれが原因なのだわ』

 

「光の国の明け渡し…随分まずいところまで話が進んでた…」

 

改めてタルタロスの、アブソリューティアンの狡猾さに絶句するはくのん。そんな種族にムーンセルを使用されていたらと思うと、背筋も凍る想いに心臓に生えた毛が一本抜け落ちる感覚を覚える。

 

『もちろん、ウルトラマン達もその要求を飲む気はない。U−40、そしてフィリアの故郷のO−50のウルトラマンたちと結成したウルトラリーグにて、全力の対処を行っている。恐らく近い内、決戦が始まるだろう』

 

『そう…ですか…。となると、キングのおじい様が仰った言葉は…』

 

ウルトラマン達とは違う道を探せ。それはつまりアブソリューティアンを敵ではなく、手を取り合える存在としての所見を忘れるなということなのやも知れない。いまのところ被害を受けていない地球ならば、彼等に対するイメージも致命的な悪化を免れており、たった今月への侵略も、母星を救済する手段を求めてだとはくのんが看破した故に邪悪なだけの侵略行為ではないと把握できた。対話不可能の存在でないのなら、やりようはある。キングはそう伝えたかったのやも知れない。

 

『…私はゼロ兄さまを、ウルトラマンの皆さんを信じています。必ずやユリアン王女を取り戻し、アブソリューティアンの侵略を跳ね除けると!』

 

『えぇ、フィリア。その為にも私達がアブソリューティアンに負けるわけにはいかないわ。まずは彼等の驕りを、なんとかして跳ね返しましょう!』

 

『ギャラクシーレスキューフォース、銀河警察、そしてムーンセル、カルデア。我々が力を合わせれば、きっとアブソリューティアンの心を動かすことが出来るはずだ!』

 

『はい!なんとしても、やってやりましょう!カルデアの皆さんの未来を、人類の未来を護るためにも!』

 

「奏者よ、これは地球での小競り合いに負けている場合ではないな?ゴージャスの楽園に、張り切って力を貸してやろうではないか!」

 

「うん。まずは2017年からの地球の問題を全部、片付けよう」

 

少し未来の同盟は、確かに結ばれた。後は時代の最先端を行く楽園が、全面戦争に勝利しその未来に辿り着くのみである──。




グリッドマン『もしもの時のために、この時空において私と一体化できるツールをハイパーエージェントは用意してくれた。岸波白野、君のレガリアにデータを転送する。上手く役立ててほしい』

『ギャラクシー・アクセプターのデータ』

はくのん「すげぇの渡されちゃった」

エレシュキガル『それで銀河警察やグリッドマンと通信するんだから、誰に渡すかよーく考えなさい。…リッカとかはすごーくやりたがるかもしれないけれど』

はくのん(アカネっちに渡したらクソエモかもしれぬし、リッカのグリッドマンとか最強すぎる。…悩む)


フィリア『あ、はくのん!そう言えばキングおじい様からもデータを受け取っていなかった?』

はくのん「あ、確か設計図」

ネロ「む?これは…何かのデバイスのデータか?」

グリッドマン『フィリア、君の義祖父が託したものだ。きっと君に関係するものだろう』

フィリア『は、はい!ねぇ、はくのん。この2つを2017年に送ってみたらどうかな?』

はくのん「了解、転送」

「うむ、迷いのない即断即決!流石だ奏者よ!」

はくのん(がんばれ、過去の私。過去の皆)

〜2017年6月、夏草

はくのん「む?」

『データが届いています』

「…何これ」

騒がしい年始の騒動は、彼女らの生きる今への『お年玉』となったのであった──。

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