人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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はくのん「迷いました」

ラオウ(この娘…確か、月の新王殿…!?)

はくのん「ほう…鋭い…いい覇気をしている…」

ラオウ(もしや、このラオウを試しに来た!?カルデアに加わるに相応しき存在として…!?)

榊原「し、市長?」

ラオウ「月の新王殿…その試練、尋常にお受けいたす…!」

榊原「!?」

ラオウ(ならば我が覇気を示し覚悟を示す!この山の主たる大熊(6m)を葬った剛拳にて!)

はくのん「やめてくれ市長。その拳は私に効く」

ラオウ「!?」

はくのん「やめてくれ」

…………………………

榊原「…えっと、今から家庭訪問なのですが…一緒に行きますか?」

はくのん「是非。パンフレットあります」

ラオウ「最初からそのつもりで…?」

はくのん「迷ってました」

そんなやりとりにて、はくのんが家庭訪問へ加わるのだった。


許可要請・家庭訪問

「こちらが資料になります。あなた様のお子様には特別な資質があり、それを育てるための養成機関、カルデアへと編入されることとなります。無論学費等は一切をこちらが負担し、皆様には大切なお子様をお預かりする為の契約金をご用意させていただいております。そして12月には大規模な避難訓練なども計画しており、その参加を是非にと説明に上がりました次第でございます」

 

カルデアへの編入は、特殊な選抜特殊部隊と名義することで魔術の世界から絶妙に切り分けた説明をラオウは行う。そして世帯一人一人に、自身が御機嫌王より受け取った私財より2億円を提供する契約体形を説明するラオウ。

 

「私もリモートで、常に生徒たちの動向を確認致します。音信不通とは決してなりませんので、どうか御安心くださいませ。これは皆様のお子さんにしか出来ない、挑む事が出来ない大切な使命である…といった事もどうか、御理解をいただけたならば幸いです。こちらはご子息の了承の契約用紙です。我々が自由意志を無視したという事ではないという証拠に、これを」

 

「12月には更に月面旅行もプレゼントしちゃいます」

 

はくのん、並びに榊原もパンフレット片手に可能な限りの誠実さで説明責任を果たす。南極の特殊技能養成学校による宇宙開発民選抜といった事実も織り交ぜた説明を受けた両親達の反応は、まさに様々で──

 

 

アカネ父「つ、つまり…アカネにそんな、市長さんや榊原先生に認められるような素晴らしい才能があったと!?」

 

榊原「はい。彼女の独創性、創造性は素晴らしいものです。その自由な発想と華麗な指先は必ずや、人類の未来に貢献してくださるでしょう」

 

アカネ母「あ、あのぅ…アカネは自分の意志で行くと、本当に…?」

 

ラオウ「はい。この内海が誇りを以て保証致します」

 

アカネ母「あの娘が、そんな事を…学校に馴染めていたから、少しずつ慣れていけばいいと思っていたらいつの間にか…」

 

アカネ父「彼女が決めたことなら、私達はアカネを信じます。先生、市長。えっと…」

 

はくのん「マブダチ」

 

「マブダチさん。うちのアカネを…よろしくお願いします!」

「片付けができない子ですので、そこを特に鍛え直してやってください!」

 

榊原「あははは…はい、解りました」

ラオウ「心より、感謝いたします!!」

 

 

〜エル宅

 

エル父「エルが南極に!?そりゃあいい!アイツに日本は狭すぎると思ってたところです!」

 

エル母「ご覧のとおり、朝から晩までロボットロボットロボット!いっそどこかで発散させてやらなきゃと思ってましてねぇ!」

 

はくのん(設計図ツイスターゲーム…)

 

エル父「アイツはいつか、誰も作れなかったもんを作るはずです!奇天烈な奴ですが、気長に付き合ってやってくださいよ!」

 

エル母「つまんないもん作ったら承知しないよとお伝え…あ、あーっ!?」

エル父「うぉおぉぉぉ!?」

 

はくのん(親子共々パワフル…)

 

榊原「は、白野ちゃん!助けないと!」

 

はくのん「確かに」

ラオウ「ジョイヤァ!!」

 

ゆかな宅

 

アダムスキー「話は先んじて聞いてるぜ。俺様の娘をよろしく頼まぁ」

 

ラオウ「申し訳ない。シスター業務があるはずだというのに…」

 

アダムスキー「気にしなさんな市長殿。アイツには助けを求めるやつを見捨てられないサガがある。今回は世界が助けを求めてるってだけの話よ。アイツがいるところが、俺様の教会なのさ」

 

榊原「必ず親元へと返します。どうかご信頼を」

 

アダムスキー「この夏草にあんたらを信じてないヤツなんていないぜ?俺の自慢の一人娘、あんたらに預ける!でよ、一緒に結婚式のスピーチを考えてほしいんだがな?」

 

榊原「えっ…ゆかなちゃん、もうそこまで…?」

 

はくのん「色を知る年かッ。私は知らない」

 

 

ルル宅

 

ルル父「あやつめ…やりおったわァァァゥ!!!」

 

はくのん(ビクッ)

 

ルル母「いきなり大きな声を出さないの。お客様の前よ?ごめんなさいね榊原先生。もちろん私達は賛同します。頭がとてもいい子だから、その方面で伸ばしてあげてくださいね?」

 

ルル妹「私を置いていくんですか兄さん!?私も、私も連れて行ってください!ルルお兄様!私もおそばに!」

 

ルル母「はーいまずあなたはきちんと中学を卒業しましょうねー。全く、喧嘩で無敗なんて誰に似たのかしら…?」

 

ルル妹「お兄様ー!?」

 

ルル父「我が息子よ…覇道を征けぇい!!ふふははははははははははははぁあぁあぁ!!!」

 

ラオウ「うむ、あいも変わらぬ覇気…」

 

榊原(毎回家庭訪問に覚悟がいるのよね、ルルは…)

 

はくのん(強力ノリオ)

 

〜スザク宅

 

はくのん「あれ、スザクは?」

 

榊原「彼は…」

 

ラオウ「彼は天涯孤独の身なのだ。両親は…他界している。財産を残して」

 

はくのん「おぉ…」

 

榊原「手を合わせる許可は貰っているわ。…寄っていきましょう」

 

はくのん(スザク、幸せになって…)

 

 

飛鳥宅

 

マユ「ママ!パパー!先生と市長さんだよ!すごーい!!」

 

飛鳥父「こらマユ、静かに。わざわざありがとうございます。飛鳥を…よろしくお願いします」

 

飛鳥母「あの娘がやるって言ったんだもの。絶対に意見は曲げないものね」

 

マユ「言えてるー。すっごい頑固だもんね、一度決めたら!あ、お姉ちゃんのお友達さん!これあげる!」

 

『タッセル』

 

「カーテンにつけるやつ!お姉ちゃんがデザインしたんだよ!大切にしてね!」

 

はくのん「ありがとう。人間の発想力…すげぇ」

 

 

サラ宅

 

サラ父「あれとの話は済ませてある。どうぞあれをよろしくお願い致します」

 

はくのん(厳格)

 

サラ母「先生、彼女のメンタルケアは細心の注意を以てお願いしますね。彼女、悩みを溜め込みすぎると何をするかまるで読めませんの。御迷惑をおかけしなければいいのですけど」

 

榊原「はい、教師としての全精力を注ぐことを誓います」

 

はくのん(そんなに)

 

ラオウ(彼女は夏草を拠点にしていた不良グループを単身で制圧したことがあるのだ。騒音被害に悩んだ人々の姿を見て、正義感にて)

 

はくのん(そんなに)

 

サラ父「あれを納得させられる正義を示し続けられるか…楽しみにさせていただこうか」

 

 

大和宅

 

大和父「ひ、一つだけいいでしょうか?」

 

ラオウ「はい、もちろんです」

 

大和父「これから先、大和は様々な手段や発想で皆様を驚かせるかもしれません。その時には…彼女自身を褒めてやってください」

 

大和母「元からの才能でもなく、作り上げたものの素晴らしさでもなく、血統でもない。彼女が何かを成し遂げたという事実を…褒めてあげてください」

 

はくのん(どゆこと)

 

ラオウ(御両親は医師であり遺伝子学の権威だ。それもあり、夏草に来る前は遺伝子を操作して得た才能と揶揄されていた事があったらしい)

 

榊原「勿論です。本当に素晴らしいのは彼女の優しさと協調性。素晴らしい御両親より受け取った愛が育んだ彼女の人格そのものと信じておりますから」

 

ラオウ「それに彼女には、素晴らしい御学友もついています。もう哀しい思いはさせませんよ、御両人」

 

大和父「どうかお願い致します、市長さん。先生」

 

大和母「兄も心配していたと、お伝えください」

 

はくのん(お兄さんがいたんだ…)

ラオウ(紛争地帯の人命救助をメインの活動にしているんだよ)

 

はくのん(すごい人だった)

 

 

黒神宅

 

はくのん「彼女も…?」

 

ラオウ「あぁ。彼女は施設で産み出され、孤児院預かりだった環境を私が身柄を引き取り戸籍を渡したのだ」

 

榊原「親の愛を知らなくとも、人の笑顔を護ることはできる。…天空海やリッカに親身なのは、そういう理念を持っているからね」

 

ラオウ「いつか彼女が暖かい家庭を作れるよう、私達が手本となって大人のなんたるかを示さねばな」

 

はくのん(…苦悩の先の笑顔が尊い。アーチャーギル的愉悦…)

 

天空海宅

 

榊原「彼女は…言わずもがなね」

 

『上がって休憩していいですよ! 天空海』

 

はくのん「時間差おもてなし」

 

ラオウ「彼女もまた、哀しみを堪えて笑える強さを持った少女なのだ。…私達が、支えてゆかねば」

 

天空海が先んじて用意していたもてなしを、最後に堪能する三人であった──

 

 

 




はくのん「濃かった」

榊原「一度会ったら忘れられられない方ばかりでしょう?その境遇も含めて、ね」

ラオウ「我々は彼等の繋いだ命を預かる立場にある。その期待、その覚悟…決して裏切ってはならぬのだ。共に彼等を見守ろう。二人共」

榊原「勿論です。夏草の民として、彼女達の未来を輝かせる手伝いをしなくてはなりませんものね」

はくのん(親子…まぁ、私は地上の岸波白野の再現体だったから親はいないんだけど)

「…今度、リッカと頼光さんの触れ合いを見に行こう」

家族や、縁者が織りなす絆。それがちょっぴり、まぶしく映るはくのんであった。

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