「・・・・・・」
(じー・・・・・・)
「・・・・・・・・・」
(じー・・・・・・・・・・・・)
「・・・なにか、用?」
「む、バレたか。隠密していたはずだが・・・」
「あんた・・・確かアルテラ、よね」
「知っているのか」
「そりゃ知ってるわよ。マスターがいつ、どんなサーヴァントと組ませるかわからないじゃない。そんなときに同僚の顔も知らないなんてどう?連携トチってマスターに迷惑かける訳にはいかないでしょう?だから召喚されたサーヴァントは全員しっかり覚え・・・こほん」
「・・・」
「・・・忘れなさい」
「真面目だな」
「わ・す・れ・な・さ・い・!」
「マスター想いの、よいサーヴァントだな、お前は」
「~~~別に私は、サーヴァントとして当たり前の事をしてるだけよ!悪い!?」
「悪くない。・・・そんなお前に、伝えたい文明がある」
「伝えたい文明ぃ?」
「あぁ、ついてこい」
「496、497、498、499・・・」
アパルトメントの一室、汗を流しながら腕立て伏せを一心に行うマスター、リッカ
『500!お疲れさま、リッカ君!今日のトレーニングメニューは完了だ!』
ロマンの合図と同時に、跳ね起きるリッカ
「監修ありがと、ロマン」
『御安い御用さ。むしろこちらが本業。ボクは医療スタッフだからね!腹筋、背筋、懸垂各500回、ランニング各種完遂を確認。いい感じに筋肉が痛め付けられている。後はゆっくり回復させよう。スポーツドリンクを送るから、飲んで休みなよ』
「そーする。ふぅ」
汗をぬぐい、スポーツブラとスパッツのままソファにたおれこむ
「顔色いいし、規則正しい生活送れてるみたいだね、ロマン」
『まぁね!何せ解析、メンテをやってくれる頼もしいスタッフが二人もいる!医療セクションの僕がなんでもかんでもやる必要はないわけだ!一日3食九時間睡眠!バイタルが悪くなる理由はない!ギルさまさまだ!だからこうして君の特訓を監修できたりもできちゃうわけ!』
「余裕があるっていいね!あまり無理しないでね。只でさえ人員不足で危ないんだから。ロマンもあ、やばいなと思ったらすぐに休んでね」
『・・・ううっ・・・』
「ん?」
『・・・前線で命を懸けていながら、裏方の僕にまで気を遣ってくれるなんて・・・リッカ君は本当にいい子だなぁ・・・ありがとう、ありがとう・・・』
「――何言ってるの。その前線に出られるのは皆のサポートあってこそなんだから。ロマンはちょっと悲観主義とネガティブが酷いんじゃない?世界を悲観的に見ても楽観的に見ても変わらないんなら、楽しく物事見れば?」
『・・・前々から思ったけど。君はまったくブレや迷いがないね・・・清々しいくらいに真っ直ぐ前向きだ』
「ま、ここにくる前に一生分悩んでくじけて迷ったしね。今さらくよくよする理由も必要も無いってだけ。――それに」
『それに?』
「今の環境、さいっこうだと思う!周りに信用できて信頼できる人しかいないってスゴいことだよ!ロマンもさ、勇気出してもっと皆を信じてみれば?」
リッカの指摘に、一瞬動揺を見せるロマン
『な、何の事だい?ボクが隠してることなんて、ほら、スイーツの隠し場所とか・・・あはは・・・』
「人を信じるって、そんなに怖いものじゃないよ?」
『・・・り、リッカ君・・・』
「少なくとも、私はロマンを信じてるから。―だから何を隠してるかは知らないけど、気晴らしになるなら教えてね」
『・・・・・・ありがとう。・・・うん、僕結構チキンだからさ・・・他人とは表面的に済ませちゃう癖があるんだよね。あと、大変なことが起きたら、とりあえず今のままで・・・とか思っちゃうし・・・』
「いいんじゃない?」
スポーツドリンクを飲みながら、あっけらかんとリッカは弱さを肯定した
「弱くたっていいじゃん。チキンだっていいじゃん。自分をよく見てる証拠だよ、そういうの」
『リッカ君・・・』
「弱くたって、それを言い訳にしないで一生懸命ロマンは頑張ってる。みんなみんな、ロマンの頑張りに助けられてる。だから・・・無理して強くならなくていいんじゃない?」
ごくり、とスポーツドリンクを飲み干す
「『弱いままで頑張れる環境』なんて、弱音をはいて大丈夫な場所なんて滅多にないと思う。弱い人を見つけたら大体よってたかって潰しにくるのが世の中だし?だから・・・無理はしなくていいんだよ、きっと」
『――――』
「私は、弱いロマンが好きだよ。いつもお疲れさま。無理はしないでね、本当に」
ニカッと笑う。太陽のように
『――ありがとう・・・ありがとう。リッカ君・・・君こそ、無理はしないでね・・・』
「もちろん。ま、私は弱音の吐き方なんて忘れちゃったけどね」
ポイ、とペットボトルを投げ捨て、とスチール缶を握りつぶす
「・・・ロマンはそうならないでね」
ぽつり、とリッカは誰ともなく呟いた
「さーて、次はアルトリアから剣術指南だっけー?」
「その前に、マリーとダ・ヴィンチめから報告があるようだぞ。皆を集めよ、マスター」
アイスを食べながら、英雄王が降りてくる
『ヘルタースケルターについて、解析が終わったわ、早速・・・どうしたの?ロマン。泣いているの?』
『な、泣いてないですよ!ハバネロ団子が効いたのかなぁ!?』
「大の大人が公衆の面前で落涙なぞ。恥を知れ恥を」
『こっちは優しさの欠片も無い!一気に涙が引っ込んだよチクショウ!』
「じゃあ皆呼んでくるねー」
駆け出すマスター
「待て。上着を羽織れ上着を」
――風邪を引いちゃうよ、マスター
上着を投げて寄越す
「ありがと!皆ー!ぜんいんしゅうごー!」
快活に笑い、走り回るリッカ
『・・・いい子だなぁ・・・』
「うむ。実に見ていて心地よい太陽のような女よ――まぁ」
器がぽつりと口にする
「ヤツが抱き抱えている闇は、冥界の深淵よりなお深かろうがな。あの年齢で、闇を抱え自らが光る術を心得ているとは大したものよ」
――え・・・?
「闇とは消えぬ。影のごとくな。それを理解できぬものが産み出した闇に沈むのだ。ならばどうするか。自らがそれを抱え、自身が闇を上回る光を発揮するのだ。さすれば全方位、闇が生まれる余地はあるまい?」
――な、なるほど・・・闇を抱き締め、光となる・・・か・・・
「英雄どもすら時には囚われるその宿業を、こうも早く身に付けているとはな・・・」
眼が細まる。郷愁の色に真紅がくすむ
「あの快活さは愚かな能天気さとは程遠い。人生の苦悶と苦難と迷いの果てに導きだされた結論故の『悟り』の一つのカタチだ。・・・余程、人間どもの悪性に晒され、見つめた時期が長かったのであろうな。友に裏切られたか、親に棄てられたか。どちらにせよ、不撓不屈の名に相応しき女よ」
――器にここまで言わせる、マスターリッカ
・・・彼女の半生とは、どんなものだったのだろう・・・?
「皆来るって!・・・ん?どったの、ギル」
キョトンとするリッカ
「いや?貴様の顔には、消えぬ涙の跡がこびりついていると感じたまでの事よ」
「マジで!?昨日くろひーと徹夜で泣ける深夜アニメ見てたのが悪かったのかなぁ」
「――フッ。まこと、気丈な女よな」
頭を撫で、飴をリッカに渡す王様であった
~
『では、ヘルタースケルターについての所感、実態について解説させていただきます。いいですね、ギル』
真面目な声が響き渡る
「許す。述べるがよい」
「ヘルタースケルターってのは結局なんなんだよ、潰しても潰しても沸いてくるし、ウザいったら無いぜ」
「それを今から説明するのです。黙るかカリバられるか好きな方を選びなさい」
「オレ黙りまーす」
『・・・結論からいうと、あの機械は総て『魔力』で出来ています』
「魔力?・・・機械なのに、かい?」
『はい。技術系列は全く不明ですが、あれらは総て『魔力』を元に編み込まれたもの。『刃』の変わりに鋳造された『戦闘機械』。故に魔力があれば無限に生産が叶う――』
「――サーヴァントの宝具、か」
『はい、ギル。私もダ・ヴィンチ師匠も、同じ結論を導きだしました』
――ヘルタースケルターは宝具の一種。敵の組織に連なる何者かが産みだせし『戦闘機械』・・・
――霧のごとき有象無象ではなく、打倒しうる
「と言うことは、ヘルタースケルターを産み出しているサーヴァントやエネミーがいて・・・それを倒せれば」
「まとめて奴等はおっ死ぬ!なんだよ!一気に話が見えてきたな!よっしゃ!出撃だ出撃ぃ!」
クラレントを持ち出すモードレッドを、アルトリアが諌める
「待ちなさい。私達が知ることが出来たのは産み出す仕組みと、その大元です」
「それだけ解りゃ十分だろ!」
「そうか。精々霧の都をさまよい無駄骨を余すところなく折るがよい。あての無い進軍、お似合いだなトレイター」
「・・・ひょっとして・・・」
『・・・はい。そのリモートコントローラーに相当するサーヴァントの位置は・・・』
――この霧に阻まれ、掴めなかった、と言うことか
「惜しいな嬢ちゃん!絶妙にポンコツだ!ははっ、おもしれー!」
「満点にはあと一歩、であったな。だが満点でなくば次は更なる成果が期待できよう。虫の巣を突き止めたのは充分な働きだ。そう気を落とすな、マリー。大儀であったぞ」
『・・・ありがとう、ございます・・・』
器のフォローに、涙を滲ませるオルガマリー
『そうとも!私の弟子は頑張ったんだぞぅ?だがいくら天才のフォローありきとはいえ、魔力を含んだ霧の中から魔力行使の残りを見抜け、というのは中々に無茶な注文でねぇ』
『いいんだよ、出来ないことは出来ないんだから。マリー、饅頭でもどうぞ』
『ありがとう、皆・・・次は、もっと上手くやってみせます』
――裏方に非難を飛ばすほど、自分は傲慢にはなれない
――本当に、いつもありがとう。ロマン、オルガマリー、ダ・ヴィンチちゃん
「よぉし!ならばここからは私達の仕事だね!足が棒になるまでロンドンを歩こう!」
「いや、構わぬ。裏方の献身に免じ、我が眼で大元を――」
方針が固まりかけたそのとき
「はーい、ふらん。りもこんのいち、わかります」
ぐったりとして、誰からも気だるげな大型犬扱いされていたフランからの――驚きの提案であった
「本当かい!?」
「マジかよ!お前ただのランスロット(穀潰しの意)じゃなかったんだなフラン!」
「にーとあつかいは、まことにいかん。わたしも、やるときはやる。わたしが、あんないします。ぶい」
ぐっ、とピースするフラン
「――ファンブルしていなくばさぞや理知的であったであろうに。貴様と言う騎士は・・・」
「あらゆる騎士を代表し謝罪します。すみません。本当にすみません。お望みとあらば今ここで首を」
「父上!?」
――ナチュラルに抹殺に繋げた・・・
「要らん。飾りにもなるまい」
「こっちもひでぇな!」
「フハハ!王とは得てしてそんなものよ!さて!ナビも得たのだ、この下らぬ特異点もようやく終わりが見えてきたな!者共!出立の準備だ!」
「おー!!」
「ただし」
「む?」
「じょーけんがあります」
――じょーけん?
言うが早いか・・・
「あるくの、だるいので。おうさま、おぶってください」
ぴょいん、ぼふっとフランがおぶさってくる
「ぐぬ――!」
「らくちん。きしは、わたしをまもってください」
「はぁ!?」
「・・・仕方あるまい。ファンブルの結果だ、連帯責任で甘んじようではないか。どこぞのトレイターめがファンブルせねばこのような苦労はせずにすんだのだ、どこぞのトレイターが」
「これはケジメ案件なのでは?具体的にはハラキリ→介錯→晒し首案件では?セイバー的に」
「ファンブルそんな重いのかよ!?」
――仕方無い。財をより一層選別しなくては・・・
――気だるげな大型犬を抱え、一同はヘルタースケルター征伐に向かうのであった・・・
『メロンパン』
『あんぱん』
『クリームパン』
『アニマルパン』
「可愛い・・・!」
「そうだ。自らの手で、かわいいものを産み出す。想像力を働かせ、こねこねしてパンを作る」
「・・・盲点だったわ・・・可愛いものを作る、まさにこれ女子力の発露!」
「そうだ。つまり」
「えぇ、つまり!」
「「パン作りは、よい文明――!!」」
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