「ルドラが来てしまいましたね。シヴァ臭くて死にそうです。でも、どんな神様なの?と愛する部員の方に問われては逃げるわけにはいきません。ご説明します。それとマーモットの元ネタは、『絶叫するビーバー』で調べてください」
ルドラはインド神話に登場する暴風神です。その名は「泣く、吠える」を意味する語根 rud に由来していて、「咆哮を上げる者」「叫ぶ者」を意味しますね。仏典における漢訳名は嚕捺羅、嚕拏羅、魯捺羅(ろだら)といいます。
ルドラの姿は、赤褐色の肉体に黄金の装身具を着け、弓矢を持つといいますが、あちらのルドラは黒い衣装で再現しているみたいですね。
また、「ヴァジュラを持つ者」といわれることもありますね。なんですかあの左腕。
風水害をもたらす反面慈雨をもたらし、大地に豊穣を呼び込むモンスーンの神格化と考えられていたみたいです。
人々がその怒りを恐れる、強力で荒ぶる神ではありますが、聡明さと優しさを兼ね備え、人々の健康・安寧を保障する存在でもあり、医薬を司るともされました。恵みもきちんと神格化されるんですよ?
牝牛プリシュニーとの間にマルト神群と呼ばれる息子たちがいて、彼らも暴風雨の神ですよ。子沢山は神様のデフォルトです。
『リグ・ヴェーダ』の中ではアスラとも呼ばれ、アスラ神族が悪魔とされる時代以前の名残りをとどめてるんですって。へー?
シヴァとの関係?
『リグ・ヴェーダ』ではルドラに対する形容詞「シヴァ」(「吉祥な」の意味)は一度だけみられるもますが、古ウパニシャッドではルドラは形容詞のシヴァを添えられるようになるんです。
こんなふうに、時代が下るにつれてルドラはシヴァ神とたびたび関連づけられました。プラーナ文献の一書『シヴァ・プラーナ(英語版)』では、シヴァが語る言葉の中に「私の化身であるルドラ」という表現すら現れました。そして、ヒンドゥー教では完全にシヴァと同一視されたんですね。つまり、ルドラはシヴァの前身であるのです。
この小説では化身だったり、友達だったりするみたいです。まぁ、アバターなんてよくある話ですしね。
ルドラは「弓の射手」とも呼ばれ、矢はルドラに不可欠なアトリビュートでもあります。
この呼び名はシヴァ・サハスラナーマ(シヴァの千の名前)の中にも現れているんですよね。
後期ヴェーダ文献には、ルドラが悪魔の城塞3つを一矢のみで破壊する説話が残っているんですよ。凄いですよねー。壊すしかできない頭の悪さが特に。
〜
「実はゾロアスター神話にも関わりがあったりするんですが…そちらは本編にて。やりました、私はやりましたよ!シヴァ楽園来訪!断固反対!!アアアアァーッ!!」
(マーモットカーマ、グドーシの手厚い看護により十份後就寝)
【ルドラ…。詳しい説明はインドの女神様たちがやってくれたから省くとして、まず真っ先に思い至るのはこんなところにシヴァの化身、或いは友たる大物が現れた理由だが…】
黒き衣服、赤き髪、そして左腕に巻かれた赤い聖骸布。ルドラと名乗る存在にニャルは警戒をやや行いながら事を荒立てぬ様に機を伺う。彼が本当にルドラであるというのなら、ここで絶対に戦ってはいけない相手だ。インドの英霊とは凄い英霊と超凄い英霊と破格な英霊しかいない最大クラスの勢力陣。ケイオスカルデアが真正面から戦っていい存在ではない。今すぐ全員を撤退させ、御機嫌王に判断を伺う可能性すら出てくる程の脅威である。格で言えば、クトゥルフの邪神など開眼一発で塵も残らないだろう。
「おいおい、そんなに警戒しないでくれ。こっちに敵対する意志は欠片もない。本当に、君達カルデアを助けに来たんだ。まぁ、喚ばれ方は確かに相手方によるものが多いけどな」
そんな緊張を感じ取ったのか、暴風の神はやんわりと皆をなだめるように手を上げる。自身は徹頭徹尾、カルデア陣営の味方だと告げる彼の眼は真っ直ぐだ。
((((((…………))))))
「う、うん。むらま…ルドラ様は嘘を言ってないよ。凄く誠実な感じが伝わる」
一行がリッカを見やり、その評価に胸を撫で下ろす。リッカには言うまでもなく嘘は効かない。その発言の本意は正しく伝わるのだ。
『良かったー。噂に聞くシヴァ関係とか絶対戦いたくなかったー』
『私には分かったわ。サルワ…いえ、ルドラが喚ばれた理由が』
(マジ!?私全然わかんないんだけど!ていうかインドってカレーの国でしょ?そんなとこの神様なんて強いわけ?)
(アクア、あんたねぇ…)
「わかってくれたようで安心したよ。今回の一件…ゾロアスターの悪の魔王が一柱の台頭と、悪の勢力の活動をオレ…あぁいや、我が友シヴァは見ていた。インドの神々のうち、ブラフマーは静観。ヴィシュヌはラーマやシータへの手助けという形でカルデアに協力を選んでいる。…だが、残るシヴァの動向はあんまり穏やかじゃなくてな」
〜
『悪を以て悪を為す者は、新たなる世界への悪の土壌となる可能性を秘める。我はカルデアなる組織をも見定める必要が在ると認ずる』
シヴァは瞑想にて、ただカルデアに力を貸すことには否定的だった。まぁほら、人類悪だのなんだのを客観的に見たら危険分子もいいとこだしな。
『だがあいつらは世界を一度救っている。世界の行末を正しき流れに導いた。それをただ破壊するのはまだ早計じゃないのか?』
『然り。それに我が愛する妻も力を貸している。我の不手際にて焼き尽くした愛の神もまた善き魂を見守っている。かの行き先は未だ、決まってはおらぬ』
シヴァとルドラは話し合い、そして決を下した。
『ルドラ、我が化身。下界にて影法師となり、かの者等に助力せよ』
『悪に加担する可能性には目を瞑るか?』
『揺るぎなく信じられる善を、カルデアは有する。それは我が妻、パールヴァティー。その者ある限り、我はあれらを支援しよう』
カルデアは半信半疑だが、パールヴァティーは信じる。そう決心したシヴァは、ルドラを英霊…または神霊として座を通し召喚を可能とした。
『解った。シヴァの威光、そして恵みを下界に示す役割をこの手で果たそう』
『カーマに会うならば伝えよ。ごめんねと』
そうしてシヴァの化身にして暴風神たるオレ、ルドラは相性のいい人間に力を託し、新たなるルドラとして英霊活動を開始した、筈なんだが…
〜
「どうしたことか、今回の騒動で力を貸そうとやってきたらここ、中心付近に招かれてな。出ようにも弓矢を撃ったらマンションの無事が保証できないんで立ち往生してたわけだ。すまなかったな、力になれなくて」
本来なら入口で待っているはずが、この最終局面での待機になってしまった事をルドラは詫びる。だが、その理由はアナーヒターが看破する。
『それはあなた…というより暴風神ルドラがゾロアスターにおける姿を有しているからよ。サルワ…悪の魔王が一柱、嵐と死の魔王。あなたはきっと、元凶の魔王に連鎖する形で召喚された。アフラ・マズダの召喚と共に、この特異点の黒幕が何者かは…』
「ザッハークだ」
アナーヒターの言葉に、ルドラは告げた。その眼は、射抜くべき悪の存在を全て捉えている。
「悪の魔王の中でも邪悪そのもの。今回の特異点、残滓と聖杯を以て万魔殿を作り上げた元凶…ザッハーク。それだけは、この満ちる悪の気配から容易に読み取れる。今回の黒幕は、そいつ…いや、正確にはそいつの【影】だ」
そうしてアジーカにルドラは歩み寄り、頭を撫でる。本来ならば悪滅するべき対象であるアジーカに、彼は笑みを向ける。
「あいつはアジ・ダハーカの【本能】であり【影】。アジ・ダハーカが本来為すべき全て、原理であり信念だ。だがそれは今回は影でしかない。神体の核たる『魂』と『夢』は、此処にあるからだ」
『……』
(アジーカが、アジ・ダハーカの魂と…夢?)
【なるほどね。私がリッカの殻を被った時、同じようにリッカの魂と同調した訳だ。リッカという魂の本質…底抜けの善人っていう魂の在り方を、アジ・ダハーカの魂は自身のものとした】
それはアジ・ダハーカが目覚めぬ微睡みの中見る夢のようなものであり、魂と頭脳体がアンリマユに付いてきた際に宿った奇跡。つまるところ、リッカはアジ・ダハーカの転生体としても選ばれていたのだともいえる連鎖であった。アンリマユがリッカの守護神と例えるならば、アジ・ダハーカは半身にして同位体。アジーカは彼女という存在をモデルにした、アジ・ダハーカの魂そのものなのだ。
【まるでピアとモ…こほん、なんでもない。となると既に、カルデアは悪の勢力の二大トップを抱え込んでいたということなのか】
『悪龍は微睡んでいる。かの龍は世界の終末に目醒める。一度は人理の焼却に。もう一度は人理の再編に。その時成すは、剪定か守護か』
アフラ・マズダはそう告げた。どうやらアジ・ダハーカは一度人理の焼却を自身の目醒めと定義したのだという。故に、アンリマユと共にリッカの力となったのだろう。
「一度は主導権を握られたザッハークだが、あきらめるつもりはないらしい。アジーカやリッカを滅ぼし、アジ・ダハーカを本来の役割に立ち返らせようとしているって訳だ」
つまり、世界を破滅させる魔王にして暴龍。全てに破壊と終末を齎す最凶最悪の存在として、ダマーヴァンドに眠るとされる神体を起こさんとしているのだとルドラは告げる。
「オレはそれを阻止する気でいる。善悪二元の軛から逃れたアジ・ダハーカを、アンリマユの力を世界を護るために振るってくれるマスターを手助けすること。それはきっと、弱きを助け強きを挫く行いに必ず繋がると信じる。それに…」
『(ガブー)』
「いてて…。アジ・ダハーカは今、幸せに眠っている。だから、そんな彼女…彼…彼女の眠りを護ってやりたいんだ。オレがアナーヒター…さんがいうサルワから、善のルドラになれたように。同じ変容を迎えた彼女を護りたい。それもきっと、オレが為すべき正義だ」
骨の髄まで正義の味方な発言、立場や有り様に囚われぬ正義と善の守護者たる在り方にニャルは直視できずゼウスはまるで私のようだと頷く(すかさずペルセポネーに膝を蹴られた)。
【となると…リッカちゃんに判断を委ねよう。彼を信頼するかな?】
「勿論!ルドラさん、どうかよろしくお願いします!!」
「こちらこそ、な。あとその、アジーカやアフラ・マズダは小さい女の子なんだからあんまり戦っちゃダメだぞ?戦いは、オレや皆に任せてくれ」
『ありがとう。だって、アジーカ』
『(ファイティングポーズ)』
こうして、ルドラが加入する。舞台はいよいよ、最終局面ある中核へ──
万魔殿、中核
アクア(オロロロロロロロロロ!!)
到着するなり、アクアが吐く。突然だがそれも無理からぬ話だろう。
リッカ「これは…」
リッカが絶句するのもまた然り。そこには異様極まる光景が広がっていたからだ。
かつて、リッカが討ち果たした巨大な化身。人間の顔のへばりついた芋虫が腐り落ちた状態で脈動している。そこからは醜悪な臭いとガスが立ち込め、マンションを侵食していく。
アンリマユ【万魔殿の原因はこのクソキモ芋虫かよ…】
アジーカ『ママ…』
そして──その芋虫は、無際限に肉塊を産み出し、吐き出していく。それらはべちゃり、べちゃりとマンションに転送され、肉塊たるものとして形成される要素になっていく。
ニャル【…………まさか】
ニャルだけは気付いた。その黒幕の悪趣味極まる趣向に。外道、下劣、下衆という言葉では表せぬ、その尊厳を貶めす悍ましさに。
?【その虫には、魂を組み込んである。『娘よりも優良な存在を産めば願いを叶えてやる』とな。捕らえた時より産卵しているが…藤丸立香程の個体など、二度産めるはずもない】
そして、奥には玉座。揺らめく黒炎に照らされし、肩より蛇を生やす男。
ルドラ「…ザッハーク…」
ザッハーク【どれもこれも劣等種ばかり。胎盤が奪われていたゆえ期待はしていなかったが…こうも劣等ばかりを産まれては邪魔なのでな。この場に放ってやっていたのだ】
つまり──
【『きょうだい』たちとの触れ合いは楽しめたか?現代の邪龍…藤丸リッカ】
リッカ(…!)
──魂を埋め込んだ母の残骸より子を産ませ、それを雑兵として差し向ける。リッカでなければ発狂しているだろう生命の冒涜を皮切りに、遂にリッカは、悪龍の本能たる魔王と向かい合う──
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