人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜 作:札切 龍哦
ナイア「珍しく静かですね…やはり古巣に帰るのは抵抗がありますか、XX?」
XX「ナイア…私は心配です」
ナイア「?」
「また五十話くらい費やしてしまうんでしょうか…」
ナイア「?え…?えぇと、なんの話です?」
「倒しても倒しても湧き出てきたり、星をまたいで戦ったりして気が付いたら…なんてことになるのでしょうか?残業覚悟ワンチャン有りですよ、ナイア!」
ナイア「〜???」
XX「あ、見えてきました!あれが新拠点戦艦ですか…着艦しますよ、ナイア!」
「は、はい!」
(XX、たまにあなたが外なるものと同じくらい解らなくなるときがあります。でも、それもあなたの魅力だと信じていますよ)
XX「目指せ!スピーディー攻略!最速3話狙いです!」
ナイア「???」
「ようこそ、蒼銀の勇者達。一人はこちら出身ではあるけれど、かつての尽力を忘れはしません。改めて、警視総監として…このユニヴァースに生きるものとしてお礼を言わせてもらうわね。そして、再会に心からの祝福を」
地球にてリッカ達が奮起していたその頃、サーヴァントユニヴァースにてナイア、そしてXXは銀河警察の超弩級機動戦艦『宙の女主人』のブリッジへと招かれていた。そしてそこにて蒼き制服を着込みしかつての一日署長、現在は警視総監となったエレシュキガルと対面する。いつもの槍ではなく、蒼銀のエーテルを有する新規格の槍を手にしていることから、比類なき立場にいる事は視覚的にも明らかだ。
「ご丁寧にありがとうございます。楽園カルデアより派遣されましたナイア、並びにXX。此度の御依頼に全力で当たることをお誓い致します」
「ちょっと見ない間に随分とご立派になったものですねー。まあま今更再就職なんてするつもりはないので今や青い隣の芝なわけですが。月給数億福祉更生万全の環境を捨てる気にはなれませんね!」
ナイアの無言の肘打ちが来る程度には破天荒なXXにも、エレシュキガルは咎めず対応する。彼女からしてみれば真にこの宇宙の英雄たる者達なのだ。礼を払わなくてはならないのはこちらとの意識がある。
「あの酷すぎる労働環境はまっさきに改善すべきと手を加えたから、もう過労に悩む方は現れない…筈なのだわ。辛い仕事っていまいちピンとこないからズレてないといいけれど…」
「上に立つのも納得です。あなたは変わらず…頑張り屋さんですね!」
「仕事人間ならぬ仕事サーヴァントなのだわ。というわけで今回は二人に、単純明快かつパワフルな任務を請け負ってもらいたいのです」
エレシュキガルはモニターを展開し、銀河のマッピングを示す。そこには、白く染まった星々にマーカーが付けられている。
「あらゆる宇宙を巡り、星の文明を収穫する遊星ヴェルバー。銀河警察の改革によりかの遊星の活動を補足できるようになった結果、その被害は無視できないものだと判断せざるを得なかった」
白き表面にズームしてみれば、そこは海のみが広がる星の墓場。何も存在しない、無の空間が虚しく広がるばかりの寂れた星の末路が表示される。
「そこには文明の僅かな痕跡も存在せず、エーテルの再分布すら許されない。ただひたすらに残骸のみが遺される凄惨な有様が記録されています。そこに住んでいた者達の文化も、痕跡も、何もかもが…」
「…なんという…父からその性質は聞いていましたが、此処までとは…」
ナイアが痛ましげに目を細める。徹底的な収穫、獲得は言葉にして聞くよりもずっと残酷で痛ましいものだ。王曰く星とは万象を織り成すもの。それらを奪い去るとはまさに森羅万象の簒奪に等しい。
「その全てを失った星は可能な限り銀河警察が保護監視下に入れるよう努めているのだけれど…残念な事に、星という最大限の物資資源を狙う輩も後を絶ちません」
「見るからに禿山ならぬ禿惑星なんですが、どこに需要があるんですかねこれは」
「今は何もかもを奪われたのだとしても、裏ルートで出回るテラフォーミング技術を使用すれば再生の見込みはある。そういった吹聴と共に、盗星団や闇組織の台頭は後を絶たないの。裏を返せば危険な原住民や原生生物もおらず、非合法取引や前線基地の制作にはうってつけだもの。要するに、星というものがなくならない限り、生物は其処に価値を見出していくということ」
そしてそれが今回の依頼に繋がるという事だ。銀河警察の保護を邪魔する組織を壊滅させ、資料としての星を護る。銀河警察の秩序と治安を維持する、真っ当たる依頼と言えよう。
「組織の活動場所、拠点、星系はこちらで把握しているので座標をあなた達のアーティファクトに送ります。真正面から殴り込み、組織の中枢を破壊しその活動を永遠に終わらせてくれればミッションクリア。どうかしら、できるだけシンプルにサクッと終わらせられるよう簡略化してみたのだけれど」
本来ならば末端を潰して居場所を吐かせるか、鉢合わせたり待ち伏せしたりしなければいけないところを流石の情報網で特定し、後は排除するだけという段階に導いていたエレシュキガル。これならば話数にして長くても4話くらいで解決できそうだ。
「流石!100話以上かけてしまった反省を存分に活かしておりますね!」
「あ、あれは宇宙中を駆け巡る必要があったわけで、チームも分散されていた故の結果です。故にこうして少数精鋭の二人に依頼を要請する形を取ったのだわ。かつてのエース、XXにたった一人で銀河警察と銀河不明生物群を猟っていた狩人、ナイア。こうして二人の力を借りることができてとても心強く思います。どうか、今一度私達に力を貸してはくれないかしら?」
エレシュキガルの願いに、ナイアは微笑みと頷き。XXは蒸着にて応える。元々が派遣でやってきた為に、断るなどという選択肢はないのだ。
「闇の者達が専門であり、かつ父のサポートが今は無いので不安はありますが、こちらの友人、XXとのコンビネーションでカバーできる筈です。必ずや、期待に応えてみせましょう」
「討伐数はきっちり報告させていただきます!数によっては報酬にイロを付けてもらっても構いませんよ?何せ二人で決行するミッションなのですから!」
「勿論考えているのだわ。その追加報酬の交渉のためにも、必ずや無事で帰ってきてください。こちらもワープゲートや、対艦バトルの際のサポートの備えは有しています。どうぞ存分に暴れてくれて構わないのだわ!」
「よーしやる気出てきたー!それではヒロインXX、そしてナイア!宇宙のゴミを掃除に行ってきます!レッツ・ランナウェイ!!」
「吉報をお待ちになっ、きゃあぁ〜!?」
グイグイとナイアを引っ張り慌ただしく司令室を出ていく二人。変わらぬ…いや、大いに変わった二人に警視総監は笑みを零す。
「相互理解不可能とまで言われた彼女と、ずっと追い掛けていたXX。それがあんなに仲良くなるなんて…あいも変わらず素敵な場所みたいね。地球のカルデアと言う場所は」
かつてのシーズンの奮起と、奮闘を懐かしみながらもエレシュキガルは二人に望みを託す。
「頼んだのだわ、ふたりとも。…もしかしたら、楽園の皆に役立つものも見つかるかもしれないから」
星を荒らし、宇宙を乱す者達を制する。銀河警察本来の使命は、エレシュキガルをトップに据え鮮やかに復活していたのであった──。
XX「くしゅん!むむ、これは最早私の勇名が大いに広まっていると見ました!ガタガタ奥歯を鳴らして震えていることでしょう!」
ナイア「人間の鎮圧マニュアル…【人体は欠けたらマズいので、失神や捕縛をメインに戦いなさい。指一本でも斬れたら偉いことだからね】」
XX「ニャルのマニュアルですか?…しかしナイア、あなたが楽園所属じゃなかったら銀河警察スキャンダルものの人選ですよね、改めて」
ナイア「私の父はニャルラトホテプですものね。秩序が混沌に要請する…ここは立場や地位よりも、平和を是としたエレシュキガル様の勇気に報いる所存です」
XX「そうですね!ではナイア、背中は任せましたよ!終わったらレーションを奢ります!」
ナイア「えぇ、XX。味はフルーツ味でお願いします!」
そうしてワープアウトした二人は流星の如く──
XX「悪党の皆様お邪魔しまーす!!!」
ナイア「手早く終わらせます。失神のお覚悟を」
人員「なんじゃあぁ!?」
スペース・カチコミを決行するのであった。