カービィ「ポヨ!ポヨイ!」
モルガン「…ふふ、そうですね。私も歓迎し、招いてくれている。もうこれだけで…私の中でのプププランドの株は急上昇です」
カービィ「ポヨ…?」
モルガン「色々あり…私のいた国では歓迎された事はありませんでしたからね。この光景だけでも、ここに来てよかったと思います」
カービィ「…ポヨイ…(なでなで)」
モルガン「…!」
「ポヨイ!」
「…ありがとう、カービィ。では行きましょう。──暖かき、あの国へ…──」
「「「「「ようこそー!モルガン女王さま、ようこそー!」」」」」
冬の女王がやってきた、呆れるほど平和な国プププランド。長らく凍てつくような感慨を以て国を治めてきた彼女を迎えたのは、大喝采に飛び交うバルーン。ようこそモルガン女王とあらゆる場所に書き記された、春の陽気の様に暖かな歓待のパレードだった。
「カービィ!お帰りなさい!カルデアに迷惑はかけてない?」
「ポヨイ!」
カービィに駆け寄ってきたのは、茶色の一頭身に青いバンダナ。周りの民とそっくりな顔をした、これまた愛らしい生き物。周りでわにゃわにゃしている愛おしい生き物達に呆気に取られたモルガンが、あっという間に取り囲まれる。
「ようこそ、女王様!」「いつもカービィがお世話になっております!」「プププランドへようこそ!」「どうぞゆっくりしていってくださいね!」「なんと美しい!」
「あ、えっと…その」
わにゃわにゃと取り囲まれるモルガン。モルガンにとっては驚くべき事に、彼等にとって自身は余所者であるにも関わらずその対応はとても暖かく、柔らかく、親しみに満ちていた。
…詳細はやや省くが、彼女は自身の国では歓迎されない理由があった。本能的に拒絶されているという事象が起きていたため、女王になる前は毒殺を含めたあらゆる殺害方法を経験した。誇張抜きに彼女は世界に、妖精に、円卓に、ブリテンに拒絶され尽くした女性である。
それが今では、このように屈託のない二度目の歓待。嬉しいや誇らしいの前に、どう反応を返すべきかすらおぼつかないといった有様であるのだ。ワドルディ達にわにゃわにゃと取り囲まれていると、ベレー帽を被った少女が前に歩み出、続々と住民たちが挨拶を行ってくる。
「はい、皆落ち着いて。女王様には礼儀を忘れずにね。女王陛下、ご拝謁を得て光栄です。私はアドレーヌ。絵描きをしております。どうぞよろしく!」
「アドレーヌ…えぇ、大丈夫です。歓待が暖かく呆けてしまっていただけですので。よろしく、絵描きの少女。似顔絵を後でお願いしますね」
「はーい!女王様、プププランドに来たからには俺の料理を食べなくちゃ嘘だよ!このコックカワサキ特製のサンドイッチを召し上がれー!肉厚だよー!」
「コックカワサキ…愉快なコックなようですね。サンドイッチ…確かにこれはジューシーです。いただきますね」
「お初にお目にかかります、陛下。私はメタナイト。銀河において最強の剣士…。いずれあなたに、我が剣技を魅せる日が来ることを楽しみにしております」
「ほう…おまえの持つ剣、神造兵装に通ずるものか。女王と知りながら最強を称すその不敵ぶり、披露を楽しみにしていますよ」
オレンジ色の身体にコック帽子とエプロンを付けたコックカワサキ。そしてマントに仮面を付けた一頭身、メタナイト。そして更に住民の紹介は続く。
「ボクはマルクって言うのサ!レストランや購買でアルバイトをやってるから、気が向いたら手伝ってちょーよ!」
「ボクはマホロアと言うんだ。カービィとはとても仲良くさせて貰っているんだヨォ!二人でアルバイトしてるから、是非是非一緒に働けたら嬉しいヨォ!」
「……友達なのですか?」
「ポヨ!」
ローブを纏った賢者のようなマホロアと、2色の帽子を被った愛くるしいマルク。そこはかとなく不穏な匂いがしますが、きっと気のせいでしょう。カービィの友達ならば悪い相手でも仕留められるでしょうし。カービィの世界で悪巧みをする事が死亡フラグです、えぇ。そうしきりに頷くモルガン。
そして見目麗しきモルガンへの自己紹介をしたいと言う住民はあとを絶たず、なんとずらりと並んだ自己紹介希望の大行列が続くこととなる。
「押さないでー!押さないでくださーい!」
「モルガン陛下に無礼はなさらないようにお願いいたしまーす!お願いいたしまーす!」
何故かカービィと一緒にサインを書くという珍事に見舞われ、困惑のモルガンとついでに握手もしているカービィ。歓迎会からシームレスなフレンドリー対応の嵐に冬の女王は翻弄される。
「モルガン陛下があんなに美しい方だとは思わなかったよ!サインは家宝にしなくっちゃ!」
「カービィのサインは…まあ魔除けにはなるかなぁ?」
「はーい!最後尾はこちらだヨォ!」
「写真はNGなのサ!彼女は女王様!無礼は打首で怖いのサ!」
「ポヨ!ポヨ、ポヨイ!」
「さ、サインですか…あまり書きなれてはいないのですが…」
軽快にサインを書き記すカービィと対照的に、辿々しくサインを書き記すこと数十分。一通り行き渡った頃合い…時には顔や背中に書かれているワドルディもいながら、いよいよその時が訪れる
「そういえばデデデ大王はどこにいったんだ?」
「死んだんじゃないの〜☆?」
「確かおめかしに時間がかかっているとかなんとか」
「デデデ大王、女王と聞いてとても楽しみにしていましたからね!」
「そろそろ来るはずですよ!」
「別に来なくてもいいんじゃないのサ!」
そんなこもごもの喧騒の中、ワドルディ達が一際騒がしくわにゃわにゃしながら辺りを走り始める。何かを準備しているかのような慌ただしさの中、ラッパや太鼓が鳴り響く。
「デデデ大王の!おなーりー!!」
「ポヨイ…!」
「おぉ…いよいよやってくるのですね」
正直民達との触れ合いで存分に満たされているのだが、いよいよ大王との謁見である。抱きしめたカービィと共に、緩んだ顔を引き締める。
「さて…女王として、最低限の威厳は見せたいところですが」
「ポヨイ!」
カービィが指差す方、それは城の方角。そこからまるで万里の長城のようにずらりとワドルディが並び、道のようにウェーブを形成する。
するとそこから、ゴロゴロと転がる影がある。まるで大きな玉のようにコロコロと転がり、ワドルディとの絶妙なコンビネーションで一直線にこちらに向かってくる。
「ワシ…あぁいや、ワガハイはここだゾイ!ん〜〜〜!でりゃ〜〜〜〜!!!」
「「「「「わにゃ〜〜!!」」」」」
そしてウェーブの最後に一際大きくワドルディがデデデを跳ね上げ、巨体とは思えぬ大掛かりな動きで天空に舞う。
「おぉ〜…」
「ポヨ〜…」
モルガンを通り越してトネリコ時代の顔が出るほどに呆気にとられる女王とカービィ。そしてその大質量が眼前に、ドスゥンと大着地する。
「モルガン女王、よくぞ来た!プププランドはそなたをとことんまで歓迎するゾイ。そう、ワシ…ワガハイが統治する国はあくまで天下泰平!平和の枢軸ゾイ!」
「「「「「わにゃわにゃ〜!わにゃわにゃ〜!」」」」」
(慕われているのですね…)
「ワガハイこそ大人気大王!誰もが認めるスーパーキング!モルガン女王にも引けを取らぬ押しも押されもせぬ愛すべきペンギン!」
花吹雪が舞い、台詞毎にカメラが動き回る愉快な大王。生き様を貫くからランサーとは自称であるのか他称であるのか。そう、彼こそが誰もが認める自称大王。モルガンを招いた張本人。
「ようこそ我が国へ!ワガハイこそがデデデ大王!!のんびりしっぽりカービィと楽しんでいくとよいゾーイ!!」
遠方にて大爆発。一応皆の拍手大喝采。デデデ大王の登場に湧き立つ民衆。なんだかんだで慕われている自称大王の意気揚々とした紹介と、微笑ましい民達との一幕に、カービィとモルガンは顔を見合わせ、楽しげに笑うのであったとさ。
デデデ大王「モルガン女王のお話は聞いていたゾイ。頑張り屋さんの女王たるそなたにプププランドはきっとピッタリフィットゾイ!楽しんで行くとよいゾイ!」
メタナイト「パンフレットと地図はこちらに。どうぞ、女王」
モルガン「ありがとう。…デデデ大王」
デデデ「ん?」
モルガン「素晴らしい国というのならば、既に存分に見せていただきました。──これほど喜ばしい歓待は二度目です」
デデデ「お、おお…」
モルガン「ありがとう、大王。これからよろしくおねがいしますね(にこっ)」
デデデ「は、ははぁ〜〜〜……ほはぁ〜〜……」
ワドルディ「「「「「わにゃ〜〜〜!?」」」」」
デデデ「か、カレンぞい…美しいぞい…フローラルぞい…」
モルガン「?」
カービィ「ポヨ?」
市民「どうしたんだ、陛下?」
カワサキ「死んだんじゃないの〜?☆」
モルガンとの対決は、なんだかいつの間にか敗北していたデデデでありましたとさ。
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