人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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キャストリア「モルガンが宇宙へ!?」


メスマーリン「正確にはプププランドだね。カービィの故郷に行ったらしいよ」

キャストリア「モルガン…もう地球に居場所が無いだなんてくらいに思い詰めて…」

メスマーリン「向こうからの連絡も来てるよ。見てみるかい?」

キャストリア「いじめられてないかな…」

『モルガンと住民大集合の写真』

キャストリア(あれー!?なんかすっごく楽しそうじゃないかなー!?)


トネリコのぶきや

「プププランドの建築、文化全般、政治に会議に行事に奉仕。それらの大半を支えるのがこのワガハイの忠実な臣下、ワドルディだゾイ。陛下もご存知の通り、王には忠実に仕え、支えてくれる臣下が必要不可欠ゾイ!それを担うニクイヤツ、それがこやつらワドルディゾイ!」

 

「「「「「わにゃー!」」」」」

 

カービィを抱くモルガンと、何故かあっという間にスーツに着替えたデデデ大王の先導により街を渡り歩くモルガン。当然ながらカービィはモルガンに抱かれた上での行軍である。

 

(バンダナワドルディが案内じゃなかったのサ?)

 

(頼み込んで代わって貰ったらしいヨォ)

 

「おのれカービィ、モルガン女王にいつも抱きしめられているとは羨ましいやつめ!銀河を救った役得かゾイ!」

 

「ポヨイ!」

 

「ぐぬぬ〜!だがまあよい。デデデは王として、女王に報いてみせます…!」

 

「ふふふ…仲良しなのですね、二人共」

 

「それはもう!しょーもない悪事を働いたりする方ですが、本当の危機を迎えたときは必ず力を合わせる!それが大王とカービィの関係なのですから!」

 

バンダナワドルディのぶっちゃけにぼよぼよと頭を叩き照れ隠しを行うデデデ。視察といえば厳格な響きではあるが、笑い合うモルガンとカービィの表情の柔らかさに、それほど深刻なものはない。モルガンの表情は、春風のように穏やかだった。

 

「ボク達ワドルディは戦闘力はまぁまぁ、それなりが大半ですがそれを補う手先の器用さがあります!ボク達は戦う代わりに、あらゆるものを生み出せるアイデアや発想力で勝負していくタイプなんですよ!」

 

バンダナワドルディが自信げに胸を張りつつパンフレットを渡す。わにゃわにゃとワドルディ達が手を振っているタイトルのページを捲れば、ワドルディが手掛けた施設の説明と種類の説明がズラリと紹介されていた。

 

「ほう…ムービーシアターなる施設があるのですね?」

 

「はい!カービィの宇宙や星をまたにかけた活躍は一大スペクタクルムービーとして編纂、記録されています!総勢100時間を越える上映を是非御覧あれ!」

 

「釣り堀もあるのですね?」

 

「ワガハイが暇な時に使う憩いスポットですゾイ。釣り堀なのに何故かヌシがいる摩訶不思議な池にて浮きを沈めるあの時間をぜひ、女王にも堪能してほしいゾイ!」

 

「カワサキレストランなるものも?」

 

「俺が開いてるレストランだよー!美味しい美味しい料理をあなたや皆に届けるんだ!ただし仕事はキツイし給料安いし休みもないしなやり甲斐重視!是非遊びに来てくださいね女王様!」

 

「アドレーヌアトリエ。芸能にも長けているのですね」

 

「まだ未熟者ですが、ワドルディさんとデデデ大王、住民の皆にも後押しされて僭越ながら。よ、良かったら見に来てくださいね!」

 

「ワドルディカフェ…」

 

「ボク達のアルバイト先サ!人手が足りないからいつでもどこでもアルバイト募集中なのサ!」

 

「アットホームで笑顔の絶えない職場!一日体験なんていうのもあるから気軽に応募してほしいヨォ!優しいスタッフが手取り足取り教えちゃうからね!」

 

なんと、特殊な技能のある者達には専用の施設が導入され個性を伸ばしているのである。そのスタンスには覚えがある。そう──楽園カルデアと、その在り方が非常に似通っているのである。

 

「軍事施設や防衛施設が、見当たりませんが…」

 

無粋と知りながらも、あえてモルガンはその点を指摘する。本来ならば必要でない事が一番であり、それが無いことは素晴らしい事であるのを知ってはいてもだ。

 

「その指摘は最もですゾイ。しかしモルガン陛下、鉄や武器ではお腹は膨れませぬし笑顔は生まれないのですゾイ」

 

デデデは目を細めて見やる。諍いを起こさず、のんびりのんきに自分の楽しみを享受している住民をたちを。

 

「戦いや争いは疲れるもの。それは最低限で良いのですゾイ。ワガハイは皆の個性や生み出してくれる星の彩りを大切にしていきたいのですゾイ!」

 

「───なんともロマンチストな事です」

 

だが、その楽観論をモルガンは否定する事はしなかった。どんな夢想や夢物語でも、持つこと自体を否定するのは誰にもできない。自分にも、誰かや世界を救いたいと愚直な真似を繰り返してきた事があるゆえ理解出来るのだ。

 

「ポヨ…?」

 

そんな甘い夢と愚かな理想に溺れ、大切なものをほぼ全て取りこぼした自分ではあるが…それでも。あの時代は無かったものにするには大切なものが多すぎたというのが皮肉に過ぎると笑う彼女を、カービィは見逃さなかった。

 

「それに武装など必要ありませぬゾイ!何故ならプププランドの抑止力を担うのはワガハイゾイ!このハンマーで、ワガハイが皆を護りますゾイ!」

 

ボン、と腹を叩くデデデに、すかさずカービィが手を上げる。どうやら、自分もやるよ!と意気込んでいるようだ。

 

「ポヨ!ポヨ、ポヨイ!」

 

「舐めるなよ、プププランドの平和は僕だって護っているんだよ(モルガン裏声)…と、言っていますね」

 

「ポヨイ!」

 

「つまりカービィ、そして大王!これが我が国が兵器を持たない理由でもある、ということですね!」

 

「うふふっ、モルガン陛下はカービィととっても仲良しなんですね!」

 

「それほどでも──あります。ね、カービィ?」

 

「ポヨ〜イ!」

 

ピッタリと離れぬ二人に、別天地でもうまくやれている安心と女王に抱かれる役得を羨ましがる複雑な表情を浮かべるデデデ。

 

(カービィは敵対したらホントに容赦がないからおっかないのサ…)

 

(後には引かないのはさっぱりしてはいるけれど、ホントに完膚なきまでにボコボコにしてくるのがスゴイヨ、色んな意味で)

 

「ポヨ!」

 

「あぁいやだなぁカービィ!悪巧みなんてしてないヨォ!」

 

「ソウル化したり色々あったりしたけど許してちょーよ!許してちょーよ!」

 

どうやら紆余曲折があったのは本当のようで、カービィは絶えず目を光らせているようだ。ぽやぽやしているようでいて、平和が何故保たれているかを理解する。

 

「星まるまる一つの平和の象徴だなんて。おまえは本当に凄いですね、カービィ」

 

「ポヨーイ!」

 

(あぁ…カービィと戯れるモルガン陛下、なんて美しいゾイ…プププランドにいない美しき華、文通をする仲になりたいゾイ…)

 

「決めました」

 

「ゑ?」

 

「では抑止力を盤石に致しましょう。無粋な兵器ではなく、あなた達の抑止の助けを担う形で」

 

「ポヨ?」

 

「──凄いのを、立てます」

 

そう言ったモルガンは、カービィと数人のワドルディを借り、デデデ大王と綿密に話し合いを行う。

 

「ワドルディ、おまえ達の力をお借りします。やってくれますか?」

 

 

「「「「「わにゃー!!」」」」」

 

「じょ、女王?一体何をするつもりなのですゾイ?」

 

「あなた達の頑張りを、支える施設を」

 

そして、数十分のワドルディのトンテンカンの末に出来上がったもの。それは建築スキルAたるモルガンの本領発揮。

 

「「「「「わにゃわにゃー!」」」」」

 

「出来上がりました。カービィ、デデデ大王。あなた達の助けになる施設です」

 

「おぉお〜!!」

 

「ポヨーイ!」

 

そこにあったのは、カービィのコピー能力とデデデのハンマーを強化する為の施設。モルガンがプププランドに、住民たちと作り上げた最初の功績。

 

「名付けて…『トネリコとワドルディのぶきや』です」

 

ふんす、と自慢気に語るモルガンと、カービィがいつも行う踊りを行うワドルディ達。

 

──トネリコを冠させた彼女の気持ちは、最早語るまでもない。彼女の精神状態は、救うために奔走していたあの頃へと戻りつつあるのであった──。




モルガン「皆に、歓待の返礼は出来たでしょうか」


メタナイト「プププランドの風土と気質を見抜いた贈り物、流石です、女王」

モルガン「おまえは…」

メタナイト「ますますカービィは強くなるでしょう。そして、完成した英霊たるあなたもまた強者。女王…無礼を承知であなたに乞いたい」

モルガン「……」

メタナイト「コロシアムにて──私と、手合わせ願いたい。カービィと、共に」

もう一人の騎士の挑戦。モルガンは静かに、その言葉を受け止めるのであった──。

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