人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ダ・ヴィンチちゃん「いよいよ人類はウルトラマンを自作する領域に至ったかぁ…感慨深いし、なんだかとんでもない事をしているような気もするし…」

オルガマリー「テラノイド然り、人造ウルトラマンは失敗がつきものなのですが…」

ダ・ヴィンチちゃん「大丈夫!だって監修が…」

にとり「ウルトラマンヒカリ!ウルトラマンモチーフのSUITSを作りたいから協力してくれ!」

ウルトラマンヒカリ『それはまた、中々挑戦的なテーマだ。技術局ではなく一人の技術者としてなら、喜んで協力させてもらうよ』

ダ・ヴィンチちゃん「ウルトラマンだしね!」

大和「まさか本物のウルトラマンを目の当たりにする日が来るなんて、思いもしませんでした…」

サラ「アカネの情緒が大変な事になっていたな…」

ヒカリ『ちなみに、どのウルトラマンのSUITSを制作予定なのかな?』

にとり「ベリアル!」

『…………………悪用は決してすることはないだろう。私は君たちを信じよう!』

オルガマリー(長い葛藤があったわね…)

ウルトラの父『やぁ。君たちがカルデアの諸君だね?』

にとり「あ、ウルトラの父じゃん!」

「「!?」」

『楽にしてくれ。今はオフなのだ。…ベリアルを正義の為に用立ててくれた事に、まずは感謝だ』

にとり「怒らないんだな?犯罪者だろ?」

『…私は、彼とすれ違ってしまいそれっきりだったからね。彼が正しい道に少しでも近づける未来には…私も興味がある』

オルガマリー「大隊長…」

『ベリアルの可能性を、よろしく頼む。いずれ、そちらのウルトラウーマンにも力を借りる日が来るやもしれぬな──』

にとり「あ、切れた。ヒカリー!折り返しで繋げー!」


ダ・ヴィンチ「私達、超大物と話さなかったかい…?」

オルガマリー「間違いなく…」

(メッセージは土日をかけて返信させていただきます、ごめんなさい!)


掴むぜ、未来!ロールアウト〜ULTRAMAN BELIAL〜

「というわけで!光の国の技術開発局と合同で作り上げた超スーパーワンオフスーツ!ULTRAMAN BELIALだ!ロールアウトのお時間だぞー!」

 

 

時間にして半日。カルデアの天才たちと、ウルトラマンヒカリの尽力にて、ULTRAMAN SUITSの50年近い製作期間をぐぐっと縮めて完成した漆黒のSUITSが完成する。黒いボディに、紅き禍々しい紋様。それはまさにメカニカルウルトラマンベリアルといった意匠そのもの。オリジナルのULTRAMANワールドですらあり得なかった、地球と光の国の共同制作SUITSの第一号がウルトラマンベリアルとなるのは、痛烈な皮肉を感じさせた。

 

『装着者である藤丸リッカを想定したのと、ベリアルであってベリアルでないと言うことを示すため、ボディタイプは女性のものとさせてもらった。それほど、ベリアルの残した爪痕は強烈にして痛烈であるということは御理解いただきたい』

 

【フッ、随分と褒めちぎってくれるじゃねぇか】

 

ベリアルはリッカ以外には感じられず言葉も伝わらない。故にウルトラマンヒカリは気付かず本人に畏怖を伝えていたのだ。はっきり言って御満悦なベリアル陛下であり、上機嫌に鼻を鳴らす。

 

「正直めちゃくちゃ難しかった!どんな素材もベリアル因子の制御ができないんだもんな!シミュレーションでは相手が死ぬか街が消し飛ぶかの繰り返しだった!」

 

「そんなに強いのこのSUITS!?」

 

「ニトログリセリンが優しい液体に錯覚するくらいの難易度だったからな正直!ちょっと潤滑間違えたら爆発するし、パンチやキックしたら装着者人形の骨が粉々だったし、そもそもSUITS材質にもめちゃくちゃ苦労したし…」

 

時間にすればあっという間ではあったが、聞けば相当な難産だった事は見て取れる。後ろのソファで開発組がぐったりしているのがその証だ。

 

「あらゆる材質を拒否するベリアル因子…それに唯一適合したのが、アジ・ダハーカの魔力…リッカ君の泥、悪性情報だったというわけさ」

 

『ムフ(やりきった顔)』

 

制作の上で、まるで材質の状態が安定しないことが課題点だった。地球上の材質ではSUITSの形すら保つことができない。そん中、突破口となったのがリッカの魔力でありかつての人類悪の証。力の根源たる泥であったのだ。

 

「アジーカとアンリマユに協力してもらい、泥の魔力を液体金属のようにコーティング。ベリアル因子を得たリッカ君を最適な状態に持っていく特別製のSUITSをなんとか完成に持っていけたんだ!」

 

「素材との定着のバランスは極めて難しかったけれど…あなたたち家族のためにも、頑張らせてもらったわ」

 

「あはは、ずっと画面とにらめっこしてたね…」

 

グロッキーな3人に深々と頭を下げるリッカ。こうして、人間は今の今まで歴史を紡いできたのだ。助け合いによって。

 

『必要に応じて転送、装着を行ってほしい。だが一つ注意点がある。よく聞いてほしい』

 

「ヒカリさん…何から何まで…!」

 

『そのSUITSの材質は、言わば君の魔力であり意志そのものであり泥だ。必然的に、君専用のスーツであり代わりは存在しないことを把握していてくれ』

 

そう、リッカの生体反応と魔力を組み込み、ようやくロールアウトが可能になったとされる曰く付きのSUITSなのだ。汎用性はかなぐり捨て、リッカ専用SUITSに昇華させるしかなかったというのが現状であった。完成品一つ作るために、多種多様な試行錯誤があったのは想像に難くない。

 

【裏方の苦労には頭が下がる、というやつだな。よく完成にこぎつけた。さぁリッカ…オレ様のSUITSを着込み、ウルトラウーマンとして覚醒するがいい】

 

「う、うん!えっとこれ、自分から装着していくのかな?G3みたいに…」

 

『いや、カルデア技術部の格納庫から君に転送されるように私がプログラミングした。君が望み、かつ有効範囲にいたならば即座に転送されるぞ』

 

魔術というものは実に興味深かった。ウルトラマンヒカリもまた、こちらの世界特有の事象や技術に興味に満ちていたのは想像に難くない。

 

 

「よ、よーし!やっぱり鉄板の【シュワッチ】かな?掛け声は!或いはベリアルー!とかのほうがいいかな?どうだろう、ベリパパ!」

 

【ふむ、そうだな…】

 

認証コードから拘りたくなるのは実にロマンである。リッカもベリアルもそういうところに拘るタイプであった。そして耳打ち、ひそひそ話にて考案されたプランに基づき、いよいよ装着が叶う。

 

 

【よし、やってみろ!リッカ!】

 

「うん!──掴むぜ、未来!ウルトラマン、ベリアル!!」

 

息子であり、ジードの決め台詞の韻を踏み、かつてプラズマスパークを簒奪した際のように高々と片手を上げる。すると背中の刻印が煌めき、SUITSが即座に転送装着される。

 

「おぉお…!」

 

インナーが徐々に身体を覆っていき、そして真紅の模様が刻み込まれる。そして両手、両足、胴体各部と順に装甲が各自展開していく。リッカのボディラインにピッタリとフィットしていき、やがて頭部の装甲と、カラータイマー部分の装着生成が終わり、右腕にベリアルの代名詞である武器が転送される。

 

『ベリアルがよく使用していた武装、ギガバトルナイザーも再現に成功した。これでベリアルSUITSは近接戦闘にて無類の強さを発揮するはずだ!』

 

そして紫色の閃光が部屋を満たし尽くした後…それは現れる。まさに等身大のウルトラマンベリアル。人間と、ウルトラマンの手により作り上げられた、悪の帝王。人の心と魂を得て、新たなる覇道を歩むもの。

 

 

いや──このベリアルが歩む道は覇道ではない。彼に宿った魂は、息子であるジードに負けないほどに強く、真直な魂であることは疑いようがないのだから。

 

【装着───できた!!】

 

本来想定されていたSUITSシルエットよりもずっと細身な、リッカ用ウルトラマンベリアル。禍々しさと鍛え抜かれ引き締まった無駄のない美術品のようなボディは、極限の機能美を感じさせる。顔面の厳つさや恐ろしさは据え置きであるが、角度によっては優しくも見える、ダ・ヴィンチちゃんたち渾身の角度の妙の再現であった。

 

【着心地はどうだ、リッカよ。今お前は、確かにオレ様となっている。ウルトラマンベリアルとな】

 

【おぉ…!】

 

ウルトラマンに力を借りたことは何度もある。しかしこのSUITSはあまりにも力の感じ方、フィードバックの感覚が違う。常に傍に、ベリアルがいるような感覚。或いは一体化したかのような感覚。全身から湧き上がる力。まさに、ウルトラマンの視座に人間たるリッカは臨んでいるのだ。

 

【なんだかすっごい!力が漲ってくるよベリパパ!】

 

【フフハハハハ、そうだろうそうだろう。我が娘たるに相応しい力を授けたかいがあったようだな】

 

ベリアルとしても、万全に安全な装着ができた事実に安堵の笑みを零す。リスクのある力などただの欠陥品。自身の家族は、何事も盤石でいなくてはならないからだ。

 

【早速試運転だ。デスシウム光線の一つでもぶっ放してみろ!】

 

【よーし!】

 

「わぁ待て待て待て!リッカ、そのSUITSを着てるお前はマジでビームが撃てるんだ!楽園がちょっと傷つくぞー!」

 

右の手のひらを開いたデスシウムの構えを取るリッカを慌てて制するにとり。SUITSの機能ではなく、正真正銘撃てるのだ。非常に危険な事に変わりはない。

 

【むぅ、確かに家に穴を空けるのは良くねぇな。しょうがねぇ、シミュレーションルームに行くとするか、リッカ】

 

【うん!】

 

ノリノリな父に心を踊らせながら、シミュレーションルームに行こうとした──その時だった。

 

『──聴こえるか。私の声が。聴こえるか』

 

楽園カルデアに、謎の通信が響き渡った。

 

 

 




リッカ【?誰?】

にとり「秘匿回線か?…別世界から来てるのかこれ!」


?『新たなる、ウルトラマン。私の願いを聞き届けてくれ』

リッカ【いいよ!いいけど…、どちら様?】


ベムラー『私の名前は…ベムラー。かつてウルトラマンと戦った宇宙人であり、また地球にやって来たいと願う、メフィラス星人なる存在を護衛してほしいのだ──』

ベリアル【ベムラー、だと?】

ベムラー『彼は来たがっているのだ…ウルトラマン記念館に。どうか、護ってやってほしい』

ベムラーなるものが、ベリアルに願いを託す。リッカは出逢わんとしていた。

──受け継がれし、ULTRAMANに。

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