人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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メフィラス星人「改めてご挨拶をさせていただこう。私はメフィラス星人。かつてウルトラマンと戦ったこともある宇宙人であり、今は隠居生活を送っているようなものだ」


ベムラー『私は…ベムラー。君達の知るウルトラマンとは違うもの。平行世界における近しき存在と名乗っておこう』

ベリアル【お前…】

アカネ「ベムラーと言えば全ての始まり!ウルトラマンと一番最初に戦った記念碑的な怪獣!そしてメフィラス星人はウルトラマンと互角に戦いその去り際が今も語り草な人気宇宙人!まさか、まさかお会いできる日が来るなんて!?」

アレクシス【テンションだだ上がりだねぇ。ま、無理もないか。文字通り、半世紀も前の伝説の存在二人と出会えたんだから】

メフィラス星人「君達のいる世界は、ウルトラマンとの付き合いが長くそれは今も続いている」

ベムラー「だが私の世界では、ウルトラマンも怪獣も過去のもの。故に、光の巨人記念館として、それらを振り返る施設ができている」

メフィラス星人「カルデアの皆様、是非私と共にそこに赴いていただきたい。私と彼の奮闘が今なお無二の伝説と化すち地にて…思い出に浸りたいのだ」

アカネ「リッカ先輩!行こう!今行こうすぐ行こう!絶対に行こう!!」

エル「僕も実に興味があります!装着パワードスーツのULTRAMAN!フィリアさんやデバイス作りのインスピレーションにも繋がるはずですし!!

リッカ「わ、解った!でも、ミュージアムでは静かにね!」

「「はい!!」」

ベリアル【メフィラス星人か…それに、てめぇ…】

ベムラー『…何か?』

【…ふん。なんでもねぇよ】

ベムラー『では、こちらの時空への座標を送る。ワープを行い、こちらの世界へと来てもらおう──』



別に理由なんてねぇよ。ずっと昔からそうやってきた。ただそれだけの事だ。

「光の巨人記念館へようこそ!この施設はかつて、科学特捜隊極東支部の基地であった施設をミュージアムとして改装し、光の巨人ウルトラマンの活躍と奮闘を身近に感じられる施設となっております!是非、お楽しみくださいませ!」

 

そんな訳でやってきた、別世界の光の巨人記念館。リッカ達のいる時空では毎回新しいウルトラマンがやってきているため伝説とまではならないほどに身近であるが、この時空のウルトラマンは彼たった一人であり、そしてその来訪は遥か昔の伝説となっていたのだ。

 

「ウルトラマンが、遠い伝説になった世界かぁ…」

 

【フン。お節介な連中が怠けただけの話だろうが】

 

ベリアルは不機嫌げに、リッカは感慨深げに資料を見やる。ベムラーとの戦い、ゼットンとの最後の戦いまで事細かに記録されており、ジオラマ、ミニチュア、当時の科学特捜隊メンバーの写真、ビートル号などの展示も行われている。

 

「ウルトラマン…!こうして改めて見るとなんと素晴らしいデザインなのでしょう!50年経った今でも古臭さが全く感じられません!まさに至高!究極!芸術的な造形の極みです!」

 

「わかる、めっちゃ解る…!これだけ完成されてるのに、ホントならウルトラマンにカラータイマーは設定されてなかったってのが凄いよね…!ウルトラマン当時の変身バンクを見てもらえばわかるけど、カラータイマー無いんだよね!」

【早口だねぇ、アカネ君。しかしウルトラマンか…私みたいな悪い宇宙人にはまさに天敵そのものだ。恐ろしいねぇ】

 

付いてきたエル、アカネは二人仲良くパンフレット片手に施設をエンジョイしまくっている。彼等彼女らはウルトラシリーズをも非常に好んでいるため、こういった施設はあまりにも刺さるのだ。性癖と言ってもいい趣味にである。

 

「懐かしい…本当に懐かしい。あの時、私はあの手この手で地球を手に入れようと画策をしていたものだ」

 

ベムラーはステルス機能を使い、メフィラス星人は老紳士に姿を擬態させ、メフィラス星人とウルトラマンとの対決のスチールを目を細めて見やっていた。メフィラス星人はウルトラマンと互角に戦い、ついに決着がつくことはなかった。

 

『よそう、ウルトラマン。宇宙人同士争っても仕方がない』

 

そう告げたメフィラス星人の潔さと賢さは、今なお語り継がれているのだ。遥か遠き昔の戦いを、彼は今自身の目で振り返っているのである。

 

「なぁ、藤丸くん。君は何故ウルトラマンが人類を助けてくれるのか、考えた事はあるかな?」

 

メフィラス星人の問いに、リッカはすかさず頷く。むしろ、考えない日は無いというレベルだと。

 

「ウルトラマンは地球を、人間をいつも助けてくれるけれど…人間は手助けにちゃんと報いられているのが心配だったり、不安だったりします。ウルトラマンはどうして、私達をこんなにも助けてくれるのかなって」

 

『…ウルトラマンも神ではない。多くの別れや挫折。多くの失敗があった。だがそれでも、ウルトラマンは人間や地球を助けていたのだな、そちらでは』

 

ベムラーの言葉に、リッカは頷く。彼等は人の歴史に介入せず、ただ力のみを貸してくれる。その在り方は、何の見返りを要さぬあまりにも献身的なもの。ただ甘受するには、ウルトラマンという種族は超然的すぎるのだ。

 

【言われてみれば、ウルトラマン共はこぞってこの星に足を運びやがるな。オレ様や、オレ様の息子たるジードもやってきていた…この星は、ウルトラマンを呼び寄せる何かがあるのか?】

 

「私は、そう難しい理屈はいらないと考えている。そのものずばり、ウルトラマンは愛しているのだよ。この星と、この星に生きる生命たちを」

 

愛。それが人間達を…地球を護るための理屈であり理由だとメフィラス星人は言葉にした。なんのことはない、ウルトラマンは人間と地球を心から愛しているのだと彼は言うのだ。

 

【愛だぁ…?】

 

『ベリアル。今の君には理解できるはずだ。ウルトラマンの戦いは、見返りや称賛を求めたものではないと』

 

ベムラーの言葉に、ベリアルは閉口する。ウルトラマンたちは、何かを求めて戦っていたのではない。そこにあるもの、消してはならない命を護るために戦っていたとメフィラス星人は語る。

 

「愛とは無償であるべきものだ。何かをしてもらうために、何かを得るために誰かを助けるのは愛とは呼べない。契約、或いはビジネスの延長線でしかない。ウルトラマンの戦いは、もっと崇高で純粋な領域にあると私は考えているよ」

 

「それが…愛、ですか?」

 

「あぁ。無償の愛。ただそこにあるだけでよい。ただ護りたいから護る。見返りを求めぬ純粋にして確かなもの…親が子を護るときのような、無償の奉仕。私はそれを、ウルトラマンの愛と考えるのだ」

 

メフィラス星人の言葉に、リッカは静かに聞き入る。彼らを神ではなくウルトラマンたらしめているもの。それは愛だと、メフィラス星人は告げた。

 

『…ウルトラマンは神ではなく、万能ではない。長い歴史の中で、助けられなかったもの、助けられなかった星々などは沢山ある。だが、それでも君達の世界のウルトラマンはただの一度も、地球を見捨てることはしなかったのだろう?』

 

「はい。今もウルトラマンのみんなは…私達を助けてくれています」

 

『見るものが見れば不公平で、不平等に映るかもしれない。だが、その不公平で不平等な在り方こそ、ウルトラマンが人類と地球を愛している証明なのだと思う』

 

ベムラーはその行動にこそ答えがあると告げる。地球とその全てだけは、何をおいても護らんとする姿勢にこそ、彼等の不完全性と…神ではないが故の存在たらしめる根幹があると。

 

「愛するものを護るためならば、どんな事があろうとも諦めない。…きっと、ウルトラマンは特別地球と人間が好きなのだな。この答えにたどり着くまで、大いに時間がかかったものだ」

 

「…ウルトラマンの皆が、そんなにも私達を愛してくれているなんて…」

 

『不思議な事ではない。決して、不思議な事ではないのだ。藤丸龍華』

 

ベムラーはふわりと浮き上がり、ミュージアムを見渡す。そう、ウルトラマンが人を愛する理由はこの場所、この在り方に全てが詰まっている。

 

『人間はこんなにも…ウルトラマンを愛してくれているのだから』

 

そう、ウルトラマンにとっての御礼や報いはとっくに受け取っているのだ。遥か昔の出会いや邂逅を、得難きものとしてずっとずっと大切にしてくれている。ミュージアムとして、大切にしてくれている。

 

『それだけでいい。ウルトラマンにとって…たったそれだけでいいのだから』

 

ただ、自分達との出会いを重んじてくれる心がある。ただ、自分達との出会いを大切にしてくれる想いがある。ベムラーの声は無機質でありながら、どこか感慨深げであった。

 

「だからね、藤丸くん。ウルトラマンに何も返せていない、と気に病む必要はないんだよ。むしろ、その心持ちだけできっと彼等は救われるはずだ」

 

弱者の特権として、ウルトラマンに依存するのではなく。ウルトラマンを隣人として、頼りきることを恥じる。きっとその心だけで、ウルトラマン達は救われるのだとメフィラス星人は頷く。

 

「ウルトラマンにとって、君達は庇護するだけの対象ではない。大切な…今を共に歩む隣人であるのだから。地球人ならぬ身としては、やや羨ましい程にね」

 

「──はい!」

 

メフィラス星人やベムラーの言葉に、力強く頷く。だからこそ、人はウルトラマンを今も愛するのだろう。

 

──彼等が人を愛してくれるのと同じように。人もまた、光の国からやってきた我らのウルトラマンを、心の底から愛しているのだから。




ベリアル【愛、か…】

慈善事業「恵まれない異星人たちへの募金をお願い致しまーす」

慈善事業「宇宙人へ愛の手をー」

アカネ「これ、使ってやってください!」

エル「宇宙人の皆さんともっと仲良くなれたら、もっともっと素晴らしいものを作れるはずです!」

ベリアル【…………】

青年「それ…すごく素敵な考えですね!」

リッカ「?」

メフィラス星人「君は?」

進次郎「あ、あぁすみません!俺は早田進次郎。つい、お話が耳に入ってしまって…」

リッカ「!(ハヤタ…!)」

メフィラス星人「──君の、父の名前は?」

進次郎「ハヤタです。早田進。ほら、ここの写真の」

メフィラス星人「…そうか…君は…君はハヤタの息子なのか…」

進次郎「え?え…?あ、君!ウルトラマン、好きなの?」

リッカ「うん!大好き!」

ベムラー『ヘッヘッヘ』
ベリアル【フフハハハハ】

進次郎「俺もなんだ。さっきも言ったけど、俺は進次郎。よろしくな」
リッカ「藤丸リッカです!よろしくね!」

二人が握手した、瞬間──

リッカ「…!!」

ウルトラマン『ヘアッ!!』

進次郎「うわっ!?」

ベリアル【フフハハハハハ!】

「い、今のは…」

リッカ「やっぱり…!」

二人の因子を持つ存在が、互いに宿るウルトラマンを確かに感じ取るのであった──。

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