人理を照らす、開闢の星・序章〜awakening,precious,star〜 作:札切 龍哦
早田「あれから何年経ったと思っているんだ、全く…!」
ベムラー『……………(フッ)』
進次郎「えっと、リッカ…でいいのかな?そっちは…」
アカネ「上田アカネ!ウルトラシリーズや怪獣に命かけてます!」
エル「高橋エルです!ゴモラが完全サイバーになると言ったら信じますか!?」
進次郎「え、えぇ…?」
謎の声『ハヤタ。進次郎』
進次郎「うわっ!?」
『彼等と、司令室に来てくれ。彼女達は…協力者だ』
リッカ「だ、だれ…?」
ベリアル【ゼットン星人だ】
リッカ「え、ゼットン使いの!?」
ベリアル【あぁ。…どうなってやがる?こっちの世界はごちゃついてやがんな】
ベムラー『信頼してくれ』
ベリアル【……】
『……』
【…チッ。解ってやるよ。ただし…娘を利用した、なんて事になったなら覚悟はしておけよ】
ベムラー『肝に銘じよう』
ベリアル【ちっ。…なんでそんな姿してやがるんだ、テメェは…】
「異なる次元から、よくぞ遥々やってきてくれた。私は科特隊に手を貸している異星人、ゼットン星人のエドだ。異世界の来訪者よ、君達を心から歓迎する」
突如として招き入れられしリッカ達。ミュージアムの裏に隠されていた、今もなお活動を続けていた科学特捜隊極東支部。ULTRAMANの所属する組織であり、かつてウルトラマンを殺害したゼットンを操るゼットン星人が、なんと科特隊の中枢にいるという数奇な運命に一同は衝撃を受ける。
(今もなお秘密裏に世界護ってるんだぁ…!流石はウルトラ特殊部隊!流石はゼットンもやっつけた人間の誇り高き信念の組織!)
(見てください!あれがULTRAMANのスーツです!なるほどぉ、今もなお地球を護る基地は健在なのですね!)
完全にファンとしてやって来たアカネとエルをそっと合判し見守るベムラーに任せ、真面目な話はメフィラス星人と、ゼットン星人エドが推し進める。
「まさか、ウルトラマンベリアルを受け継ぐ者と出会える日が来ようとは。下手をすれば、ウルトラマン達が残らずひっくり返ってしまうような驚きだよ」
「え…。彼女を、というか彼女に宿るウルトラマンを知っているんですか?」
「あぁ、進次郎君。ウルトラマンベリアルは、ウルトラマンの故郷唯一無二の闇に堕ちた者の名。プラズマスパークタワーの力を手にしようとし、光の国を追放されたウルトラマンなのだ」
エドの言葉にリッカを二度見する進次郎。ウルトラマンは正義の味方。その信念を揺らがせるほどの衝撃的な情報に、動揺を隠せない進次郎。
「こんな、可愛い子が…ウルトラマン唯一の悪人を受け継いだって言うんですか!?」
「ふへへぇ…」
【そう褒めるなよ、照れるぜ。オレ様もリッカもな。で…何が言いたい?宇宙最悪の悪党ウルトラマンを扱き下ろすために呼んだってのか?オレ様はともかく…】
娘への侮辱を許す気は無い。言外に殺意を滲ませ、彼等の二の句を待つベリアル。その仲裁を、メフィラス星人が取り持つ。
「落ち着くのだ、進次郎君。そして恐らく、藤丸君の中のベリアルもいい顔はしていないだろう」
「い、いや。俺はただ驚いただけなんです。ウルトラマンにも…闇に負けてしまう事があるって事実に…」
「ウルトラマンは、決して神ではない。その力はただ力としてあるだけだ。信頼が難しいと言うのならば…彼女に聞いてみようじゃないか」
エドはゆっくりとリッカに問いかける。彼の声音はゆっくりと低くなり、また元に戻るという不気味な行き来を繰り返していく。心をざわつかせる独特の迫力がそこにあった。
「藤丸龍華君。君にとってウルトラマンとは?そして、その力を君は一体どう使うつもりかな?」
リッカに問われる質問。あらゆる次元で、人間はウルトラマンと向き合ってきた。神、救世主、或いは兵器。今、進次郎とは別のウルトラマンを宿した少女に、エドは問う。
だが───リッカにとってそれは愚問だ。いや、むしろ愚問と切り捨てられるものでなければ、悪の極地たるウルトラマンに見初められるはずもない。
「最高のヒーロー!私が大切と思う全てを護る為に使います!」
「リッカ…!」
((うんうん!))
『……フフ』
進次郎は揺るぎない彼女の信念に感嘆の意を示し、アカネとエルは彼女ならそういうと頷きベムラーは静かに笑みを零す。エドはその返答に、満足気に拍手を返す。
「素晴らしい。力が悪だからといって、その魂が悪であるとは限らない。悪と闇、それらは人の一部分だ。彼女は、その闇から目を逸らさぬ眩さを持っているのだ。納得したかな、進次郎君」
「は、はい!彼女は…立派なウルトラマンとしての心を持っていると思います!」
【………………(チーン)】
「泣いてる?」
【立派になりやがって…父として嬉しいぞ、リッカよ…(ズビー)】
その言葉と信念のみで信頼を勝ち取ったリッカ。そんな彼女だからこそ──メフィラスは依頼を通したのだ。
「藤丸龍華が信頼できる、ウルトラマンベリアルを受け継ぐ者に相応しい者と理解してもらえた。そして、ウルトラマンたる進次郎君と、私の行いをサポートしていただきたい」
メフィラス星人はベムラーに頼まれ、リッカ達と共にこちらの次元へとやってきた。その活動とは、理性的な彼ならではの戦いでもあった。
「私はこの星に不法入国を行い、裏社会にて地位を築き上げている異星人たちに退去勧告を行う為にやってきた。争いを最低限に抑え、地球人と異星人の関係を崩さぬ穏便なる解決を。そう願ったベムラーの心を汲むため、その依頼を承諾したのだ」
人間社会に、異星人はそれぞれの形で溶け込んでいる。人間社会に順応しようとするものが大半ではあるものの、中には地球を悪逆や野心の足がかりにしようとするものや、或いは自らの私腹を肥やさんと暗躍するものもいるのだという。
【なるほどな。寝首をかかれないように、或いは対話のテーブルで殺されないように護ってくれって話か。勿体ぶりやがって】
『難色を示さないのだな。意外だ』
【悪党に話せば分かるなんぞ告げに来るヤツは、余程の傑物でもなけりゃあ背中から撃たれるだけだ。それこそオレ様の娘のように悪意を叩き潰し善意を貫く強さがありゃあ別だが、要するにお前も成功するかは半信半疑…って事だろう?】
「…あぁ。彼等は既に、暴力で意見を通すことを学んでしまった。そして地球人は、心と精神に比べ力は弱い」
仁義なき力は暴力。しかし、力なき仁義はただの戯言だ。メフィラス星人とベムラーは、ウルトラマンベリアルという邪悪な企み叩き潰す力と、ウルトラマンを宿すもの達の心を信じたのだ。
「私としては、進次郎君を派遣する事に異論はない。反社会的勢力は、真っ当に生きる者達を脅かすからね」
「はい!俺…やります!」
『藤丸龍華。どうか改めて要請させてほしい。進次郎や、ベリアルと力を合わせ…真っ直ぐに生きている人々の平和を護る手伝いをしてもらえないだろうか』
ベムラーは頭を下げる。その姿は、怪獣を名乗るものとは思えないほどに実直で誠実、何よりも真摯であった。
「やる。やります!ウルトラマンが愛してくれてる人達と、大切な平和を護る為に私の、ウルトラマンベリアルの力が役に立つのなら!」
リッカにとって迷うことでもない問いだ。彼女はいつだって自分の為に戦う。大切な人達の、自分が生きていることを受け入れてくれた世界が好きだからこそ戦っている。断る理由など、どこにもあるはずが無い。
「そうか…ありがとう。異なる世界の、運命を覆せしウルトラマン」
【ジードだ】
『?』
【ジーッとしてても、ドーにもならねぇ。オレ様の息子の信念だ。確かに娘にも、根付いているんだよ。オレ様とは違う、ウルトラマンそのものの魂がな】
ベリアルの口調は優しげで、その恐ろしい表情はどこか穏やかだった。彼は力を求め、闇へと堕ちた。そしてその長い放浪の果てに──二人の、ウルトラマンたる魂を手にすることが叶った。
(ケン…オレ様はお前には勝てなかったかもしれん。しかしな。貴様の息子や孫に決して劣らぬと確信できるものは手にすることが出来たぞ)
タロウ、そしてタイガ。それらにも決して劣らぬ二人の子供。これが、自身の求めた力の果てだと言うのならば。
『本拠地の宇宙船の位置は突き止めてある。龍華、進次郎。SUITSを装着し、向かってほしい』
「「了解!」」
悪くない。長い長い迷いの果て…ようやく光の国の奴等を見返すことが出来そうだ。ベリアルは走り抜けるリッカの背中を満足気に見やる。
そのまなざしは、紛れもなく──子を見守る父のものだった。
屋上
進次郎「出会ってばかりで、こんなことを言うのは変かもだけど」
リッカ「?」
進次郎「君みたいな娘が、ウルトラマンで良かったと思う。正しい力を正しく使うのは難しいけど、邪悪だったり強すぎる力を振るうのは、もっと大変だと思う。だから──」
リッカ「みなまで言わない!」
進次郎「え?」
リッカ「全部終わった後、いっぱい褒めて!」
進次郎「──あぁっ!」
早田『進次郎、藤丸君!…気をつけてな』
アカネ『頑張って!』
エル『信じていますよ!』
リッカ「うん!」
進次郎「俺達は!」
リッカ「私達は!」
「「ウルトラマンだっ!!」」
瞬間、禍々しい紫電と眩き光が巻き起こる。二人の身体に、一瞬でSUITSが装着され。
ULTRAMAN『シュワッチ!!』
BELIAL【ゼァアッ!!】
赤と銀、黒と紅の光の戦士たちが、地球の夜空へと飛び立つ──