人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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衛星軌道上、宇宙船内

メフィラス星人「我々の要求は話した通りだ。地球に滞在するのなら、反社会的行為をやめ、正式な手続きを取り地球に溶け込むのだ。──我が同胞よ」

?『──我が同族が、よりにもよって私の行為を咎めるか。君とでかつては地球を手にするために暗躍していた筈だ。その気概はどうした

メフィラス星人「私はかつて、敗れたのだ。そして地球に悪意あるものは破れ続ける。我等が地球で生きていくには、和解と対話しか有りえないのだ。我が同胞よ」

メフィラス星人『それは違う。我等が下等な地球人に合わせる事などない。我等は人を利用し、欺き、搾取する側となる。この地球は、そういった資材と人材に満ちているのだからな』

メフィラス星人「その為に、裏社会や政界への根回しを行っているのか。やがて、人と地球を手にするために」

メフィラス星人『私こそ、地球を有効に活用できるのだよ。我が同胞。かつて、ウルトラマンと地球人に敗北したメフィラス星人よ』

メフィラス星人「……………」

(メッセージと感想返信は、明日の朝から本格的に行います!)


奮戦〜ULTRAMANサイド〜

「…交渉は…残念だが決裂となったようだな」

 

『そうだ。そして──我々の暗躍に気付き、地球人に魂を売った君たちを逃がすわけには行かなくなった』

 

二人のメフィラス星人の対話交渉は失敗に終わり、不法入国者たちの尖兵が理性あるメフィラスを取り囲む。彼は狡猾と、悪辣を極めていた。

 

『地位と名誉を築く際の秘訣は、愚かな弱者から搾取することだ。そしてこの地球は実に素晴らしい。万を超える愚民と、数えるほどしかいない賢者。私腹を肥やすにはもってこいの場所だ。募金と銘打っておけば、愚かなる善人はいくらでも財を擲ち我等に富を齎す。降らぬ自己満足のためにな』

 

「募金詐欺…ミュージアムで行っていた活動もお前の仕業だったのだな」

 

『このような単純な手に騙されるものに富などいるまい。ならば浪費される前に私が預かり、管理してやろうという気遣いだよ。その心遣いを──無粋な告発で台無しにされたくは無いのでね』

 

君にはここにて死んでもらう。同族においても、邪悪なるメフィラスは容赦を見せなかった。

 

『殺せ』

 

短く司令を出し、尖兵達が構える。かつて理性を以てウルトラマンと引き分けたメフィラスは、その蛮行を深く嘆いた。

 

 

「残念だ。同じ星人として、この地球に辿り着いたものとして…君の在り方を残念に思わずにはいられない」

 

『それは私も同じだよ。かつてウルトラマンと引き分けた我等メフィラスの英雄…牙はすっかり抜け落ちてしまったようだ』

 

「確かに私にはもう、嘗てのように戦う気概は残っていない。──だが、君は一つ忘れているようだ」

 

瞬間──地球を愛するメフィラスの周囲に輝きが満ちる。尖兵達は、その光に弾き飛ばされるように態勢を崩す。

 

「君が食い物にしようとしているこの星は…今も、ウルトラマンが愛している星なのだ。その星で、悪たる者が栄える事などあり得ない」

 

『──シュワッチ!!』

 

赤と銀のSUITS、かつてメフィラスと戦ったカラーリングのスーツ。その名は──ウルトラマン。早田進次郎が装着せしメカニカルウルトラマンとも言う存在が、星を愛するメフィラスを救うためにやってきたのだ。

 

『ほう…ウルトラマンに助けを求めたか。ますますもって嘆かわしい。メフィラスの誇りすらも、売り渡すとは』

 

『コソコソ隠れて悪事を働く宇宙人にそんなこと言われたくないと思うぞ!さぁ、大人しく罪を償うんだ!』

 

『それは違うな、ウルトラマン。償いを乞う心あらば、はじめから悪事などに手を染めはしないのだよ』

 

その言葉をきっかけに、尖兵達は一斉にメフィラスに襲いかかる。目的はあくまで、地球を愛するメフィラス星人の抹殺であるのだ。

 

『やらせはしない!俺が相手だ!!』

 

だが、進次郎はウルトラマンとして果敢に立ち向かう。両手に設置されたスペシウムブレードと、ウルトラマン因子から産み出される超絶的な身体能力にて、先兵たちを無力化していく。

 

『はっ!ふっ!はぁあぁあっ!』

 

無数の射撃をバック転と側転でかわし、返す八つ裂き光輪で無力化する。格闘戦においては回し蹴りや投げ技、ヒロイックでダイナミックなアクションを駆使し一網打尽に退治していく。進次郎の身体能力を完全に引き出し、ウルトラマンとしての力を制御する。人類が、遠くに在るウルトラマンの遺したものを昇華したが故の試行錯誤の結晶。それがこのスーツであるのだ。こちら側のメフィラス星人を護りながら、現代のウルトラマンは奮闘する。

 

『これで…どうだあっ!』

 

最後の一人を、リフトアップからの投げつけにて放り投げ、一瞬で制圧する。ウルトラマンたる彼は、様々な経験を積み上げ成長を果たしている。今更雑兵ごときに苦戦するような甘ちゃんではない。その戦いぶりは、確かにスーツを使いこなしているものだ。

 

『さぁ出てこい!何体下っ端を送り込んだって無駄だぞ!』

 

「進次郎君!彼女は…!」

 

(大丈夫です、心配しないでください!)

 

『ほう。ウルトラマンの遺した遺産…それを護衛に回したか。随分と思い切った事をするものだ』

 

その時、モニター映像が切られ、ゆっくりと主犯格が姿を現す。奇しくも彼もまたメフィラス星人であり、ベムラーが彼を交渉人に選んだのもそういった事情があるのやもしれない。

 

『ならば君の目の前で、ウルトラマンを打ち砕こう。光の巨人が倒れる…それ以上に地球と人間に敗北を痛感させる事は無いだろうからね』

 

 

『やれるものならやってみろ!地球は…ウルトラマンは負けない!』

 

かつて戦った、メフィラス星人とウルトラマン。半世紀もの時を越え、再び両者が激しくぶつかり合う。

 

『はぁあぁあっ!』

『フン!』

 

ウルトラマンの八つ裂き光輪と、邪悪なるメフィラス星人の電撃がぶつかり合う。お互いの力は拮抗し、ぶつかり合い電撃と光輪が弾け飛ぶ。

 

『はぁあぁあっ!』

『ほぉおっ!』

 

そして、一気に近接戦闘へとなだれ込む。ガッツリと首相撲の体勢にて踏み込み合い、互いにペースを握らんとお互いを揺さぶり合う。宇宙船の中であるため、派手に飛び回りこそしないものの、その戦いは確かなる奮戦の体を擁していた。

 

『この程度か、ウルトラマン。それでは私を倒すことなど出来はしない』

 

『何!?』

 

『嘆かわしい…ウルトラマンの名を冠するには、人間はあまりにも弱すぎる』

 

メフィラスは動いた。素早く首相撲の体勢を解除し、猛烈な打撃の連打でウルトラマンを押し込んでいく。

 

『ぐっ!ううっ…!』

 

進次郎はそれらに防戦一方だ。軌道が見えないわけではない。的確に急所を狙ったもののため、防御しなくては致命傷になりかねないのだ。

 

『憐れなものだ。ウルトラマンの力を真似、形を再現すれば自らもウルトラマンになれるなどという領域にまで人間は思い上がったか』

 

搦め手を使うまでもなく強敵であり、そして恐ろしい。ウルトラマンと戦った宇宙人たるメフィラスの一員、その力と狡猾さは紛れもなく本物だ。

 

『このおっ!』

 

苦し紛れに突き出した拳も、難なく受け止められてしまう。地球に潜伏し、調査の目を掻い潜ってきた者たる彼の実力は、まさに一筋縄では行かないという言葉が相応しい。

 

『人は神にはなれない。同時に、ウルトラマンに近付くことなど見果てぬ妄想だと教えてあげよう。そう、完全なる敗北と共に』

 

『くっ…!!』

 

昔も、そして今も揺らぐことなき強敵としてメフィラス星人はウルトラマンの前へと立ち塞がる。進次郎はそれでも、護るべきものの為に気後れする意思や素振りを見せることはない。

 

『俺は諦めるつもりはない!さっさと…自分の星に帰れ!』

 

『蛮勇と勇気を履き違えた者の寿命は短い。私が特別に、それを享受して差し上げよう』

 

ウルトラマンとメフィラス星人。遥か昔より続く戦いの幕は、再び高く上げられる事となったのだ──。




非常脱出エリア

ヒッポリト星人「メフィラス、あいつも意地が悪い。この船を爆発させて邪魔者を葬るつもりだとはな」

テンペラー星人「そもそもウルトラマン、人間達に気付かれた時点でこの手法は思いついていたんだろう。あくどい男だ」

グローザ星人「気持ちは分かりますがねぇ。地球人を食物にするのはやめられませんよ、色んな意味で」

デスレ星人「…………」


テンペラー星人「いずれやつがウルトラマンを処理するだろう。その時、最後に笑うのは我々なのだ!我等はただ、吉報と脱出艇を護っておればよい!」

?【──嘆かわしい。ダークネスファイブと顔触れを同じくしておきながら、こんなつまらん集まりに成り果てているとはな】

ヒッポリト星人『誰だ!』

ウルトラマンベリアル【──小物に名乗る名前はねぇな。それに、聞いてどうする?】

テンペラー星人『ううっ!?』
グローザ星人「ウルトラマン…っすか?」

ウルトラマンベリアル【どのみちてめぇら全員…オレ様に葬られるんだからな…!】

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