「臭いんだよ服着ろよ。ボクが至高の裸体と認めるのは一人だけだから。オマエみたいな腐ったファブリーズ常習女なんか願い下げだから」
「ひどーい!」
「それより・・・」
「はいはい、約束の一つでしょ。わかってますよーだ。ほーら、おいでー、マナカの胸においでー」
「なんでヘドロやコールタールに飛び込まなきゃいけないんだよ、浄化されろよ」
「辛辣ー!」
天にそびえる肉塊、魔神柱
バルバトスと銘打たれしその醜悪なる肉塊、見るも語るもおぞましき魔神に
「あ、アーサー!大丈夫!?一人で・・・!」
ゆっくりと、確かな足取りで。蒼銀の騎士王、アーサー・ペンドラゴンが歩み寄る
「あぁ。マスター。本当は独断専行なんて悪いことなんだが、ここはどうしても、僕に任せてほしい」
「随分と強気ではないか。剣を振るう内に、何か思い出しでもしたか?」
「あぁ。――告白させてもらうと、今の今まで、僕の頭には霞がかかったように不明瞭な箇所があった」
「痴呆ですかアーサー?そのルックスで?」
「父上!ここは黙るとこだぜ!絶対!」
――やはり、その特異なる召喚が原因だろうか
彼は、まるで『届けられた』ような召喚であった。サークルが起動し、独りでにカルデアに招かれたようだった
・・・そんな超常の存在の手でここにいる自分は、まぐれや運命と一笑に伏すことなどできない『意志』を感じたのだ
「何のために召喚されたのか?何のために剣を振るうのか?僕は何を救うのか?――その総てを、君の言葉と、君の在り方で思い出せたんだ」
視線の先にいるのは
「ほう?貴様に向けて何かを語った覚えは無いのだがな」
黄金なりし器、英雄王
「あぁ。僕個人じゃない、君が皆に語った『人類悪』という概念、そして『決戦術式』としての英雄の在り方・・・――それは、僕の迷いを、打ち払ってくれたよ」
――彼の姿に迷いはもうない。銀のように輝き、蒼き空のようにすみわたっている
「僕の果たすべき使命、打ち払うべき巨悪。人類最古、黎明の世界を見定めた王に――高らかに謳ってみせるとも」
「よい。許す。此処ならざる世界、アルトリアの原型なりし騎士の王よ。この我の眼に、しかとその輝きを魅せるがよい」
「あぁ!・・・そして、マスター」
つぎに向けられるは、人類最後のマスター、リッカ
「君に、心からの敬服を。フランという一人の少女の心を、刃を振るうことなく奮い立たせた君の輝かしき在り方に、僕は敬意を表する」
「あ、聞いたの?大袈裟だよ!私はただ、フランの話し相手になっただけ。誰かを救ったなんてつもりはないよ。――人を救うって、そんな簡単な事じゃないしね」
「先輩・・・」
――時折見せる、マスターの人生観は鮮烈だ
『誰とでも仲良くなれる』という光と『人は醜く、悪意を忘れぬものである』という闇
それを兼ね備えているマスターの生きざまは、やはり英雄には明瞭に伝わるのだろうか
「そうだね。・・・でも君は、誰かと繋がることを恐れはしないだろう?」
「それはね!意思と心があるなら、私は必ずだれとでも繋がってみせるよ!それが私、藤丸リッカの人生だからね!」
――マスターの在り方は、まさに太陽だ。
そこに在るだけでいい、そこにいるだけでいい
あなたを照らす理由は、それだけでいいのですと・・・その在り方にて雄弁に語るのだ
「――その在り方に、フランという少女は救われたんだ。そして僕は、その魂のカタチこそが好ましい」
「アーサー・・・あ、忠義ね!?忠義の話だよね!?」
「ご想像にお任せするよ――故に、僕の剣を託すことに、迷いはない」
笑顔を浮かべた表情が、引き締められる
「見ていてくれ、マスター。僕の真価、君の目で見定めてほしい。これから肩を並べる騎士として、マスターたる君に相応しいかどうかを」
「――――うん!」
力強く頷くリッカ
「見せて!アーサー!貴方の輝きを!」
「あぁ!アルトリア、モードレッド、マシュ。君達も見ていてくれ。――マスターを守護する、仲間達として」
揺るぎない言葉と視線、態度はまさに『王』
哄笑と華美、裁定と絢爛にて君臨する『英雄王』とは正反対
礼節と自制、騎士たる振る舞いを是とする、あらゆる者が模範として見上げる『騎士王』の姿がそこに顕れていた
「まぁセイバーという時点で遅かれ早かれカリバるのです。華を持たせるも良いでしょう。しくじりは許しませんよ、セイバーとして」
「あぁ!」
「・・・謎のヒーロー、いや、アーサーか。・・・見せ場は譲ってやる。父上の決断ってなら、まぁ円卓のよしみだ。しくじんなよ!」
「ありがとう、モードレッド」
「台詞被せないでください」
「あっ・・・う、うるせー!」
「・・・マシュ」
「は、はい!」
マシュの肩にそっと手をおく
「怖いままで、悩んだままでいい。君はそのまま進むんだ。君の道には必ず光がある。いいね?」
「――はい!」
力強く頷くマシュに頷き返し
「では――始めるとしよう!」
ゆっくりと、聖剣を抜刀し高らかに掲げる
「――聞け!!彼方より来たりて、総てを喰らうもの、その一端なりし魔神よ!!」
闇を晴らし、光を是とする輝きと確信に満ちた清廉なる言霊が放たれる
「我が名はアーサー!!アーサー・ペンドラゴン!!父ウーサーの嫡子にして、ブリテンを守護せし、円卓に連なる騎士達を束ねし王だ!!」
「フッ、我とはまるで毛色が違うが・・・よき王気よ。異世界の貴様と言うのは誤りではないな、アルトリア――ぐぬっ!?」
器の軽口を、チョップで遮るアルトリア
「私以外のセイバーを褒めないでください。もやっとしますから」
「フン、ヤツが何者であろうが、貴様の在り方は変わるまい。余裕を持て、アルトリア」
「解ってますよ。私こそがセイバーの中のセイバーなのですから!」
「二人とも、静かにしろ!見逃すぜ!」
「わぁ・・・敵に啖呵切ってるギルと雰囲気が同じだぁ・・・」
「お前たちもよく見ておけ。あれが紛れもなく、一つの時代を統べた王の姿だ。まぁ・・・我以外の王道はどうでもよいがな」
――正義を詠い、善を鼓舞し、正道を説き、正しき理想をその身に背負う
人として、理想を完璧に体現した王・・・それが、騎士王
――英雄王の王道が『豪奢』『孤高』であるなら、彼の王道は『規律』『模範』。対極に位置する、金と、銀の輝き
・・・そんな印象を、垣間見た
どちらが正しいか、比べるなんて烏滸がましい。―一つだけ、言えることは
何を目の当たりにしようとも、英雄王への想いは揺らぐことが無いという事実と確信だけである
でも間違いなく・・・あの輝きは、美しいと断言できる
(ボクはぶっちゃけ、たくさん見た光だからなぁ)
そんなフォウの呟きが、聞こえた気がした
『ブリテンの騎士王、我等が悪逆を阻むか』
「あぁ、阻むとも!人間の理想、星の幻想が生み出せしこの剣に誓い、お前たちの目論見を阻止して見せよう!!――さぁ!行くぞ!!」
『――!!』
バルバトスの凝視、視線による熱量の着火がアーサーを襲う
――だが
「『
両手にて聖剣を構え
【承認――】
溢れだす輝きが凝視を払い、紡ぎ出された音声が、施されしアーサー王の聖剣拘束を取り払っていく
【
――解放。光が放たれる
【
――解放。輝きが増す。
【
――解放。増幅された魔力は刀身を溢れ、視覚できるほどの濃縮された光と変わる
「なんだあれ!?父上と同じ聖剣だろ!?」
『凄いわ・・・!一つ拘束が解放される度に、魔力が乗算されていく・・・!』
「えっ!?」
――乗算!?2×2×2という計算式なのか・・・!
「成る程、自らの聖剣に総出で封印を施していたか。配下の騎士どもの承認なくば本領を発揮せず、使い処を制限される、か、まことに――」
「かっこいぃいぃい!!!」
「めんどくさいですね!」
マスターとアルトリアが同時に叫ぶ
「拘束、承認解放のシークエンス完備とか最高!ニチアサ!?ニチアサなの!?ニチアーサー!?あっ!見覚えある!あるよあれ!!仮面ライダーブレイドキングフォームだ――――!!!!」
「なんなんですか!カリバーにまで干渉してくるんですかあの円卓たちは!なんなんですか!!王にブッパしてほしいのかほしくないのかどっちなんですか!?」
「落ち着け父上!別の父上!別の父上だから!」
「あなたたちの承認なぞ不要です!振るいたい時にぶっぱして振るいたい時にカリバる!それが真のセイバー道に他なりません――!!」
『うぅん、アルトリア見てると正しい気が・・・』
「・・・清く正しい王に、清く正しい騎士。流石は、音に聞こえし華のキャメロット」
我では一日と保たんだろう、とうんざりげに吐き捨てながら、輝きをみやる
『――この、光は・・・』
いくら凝視し、火を放とうとも。黄金の輝きに呑み込まれ、阻まれ、無力となるバルバトスの攻撃
【
黄金の魔力粒子が辺りに満ち溢れ、地下の暗黒一切を塗り替える
『――耐久、回避の可能性・・・皆無』
【
爆風と振動が一帯を支配し、地響きが大地を揺らし、一直線に伸びた光の柱が遥かなる天空に向けて、バルバトスすら上回る太さと高さを誇り屹立する
『――崩壊、限り無く確定事項と判断。計画の遂行を優先』
【
もはや直視すれば眼が潰れ、悪であるならば晒されただけで消滅するほどの光の奔流、質量すら擬似的に獲得した輝ける黄金の瀑布が無差別、縦横無尽に放たれる。
大気は歓喜の悲鳴を上げ
踏み締めた大地はひび割れ砕ける
星そのものを具現化させたかのような輝きは、王命を得るその時を待つ――!
「っ、あ――・・・?」
「マシュ?」
ぐらりとよろけるマシュを支えるリッカ
「どうしたの?大丈夫?」
「は、はい。なんだか今、身体の奥底が、疼いて・・・」
「ひょっとして、マシュの中の英霊もテンション上がってたりして?」
「ひ、ヒーロー好きな英雄なんでしょうか・・・?」
「たわけ、余所見をするな。いよいよ本領の――『半分』を見せるときが来たぞ」
――半、分?
『――然れど汝は、その瞳を混沌に曇らせ侍るべし。汝、狂乱の檻に囚われし者、我はその鎖を手繰る者――』
「此は――」
アーサー・ペンドラゴン。誉れも高き騎士王が訃げる
「――【世界を救う戦いである】!!!」
【アーサー】
白銀の武骨な刀身が弾けとび、星の内海にて鍛え上げられた極光を刃と為す黄金の剣が姿を表す――!!
『汝三大の言霊を纏う七天・・・抑止の輪より来たれ、天秤の――』
――其は、星を救う輝きの聖剣。およそあらゆる悪を退ける黄金の刃
此処ならざる世界の決戦、自らを太陽と同一せし王との雌雄を別ける戦いにて。救世の一射と共に振るわれし、穢れ無き理想と殉教の極致
その輝きに呑み込まれし王が『彼等こそ、自らに代わり世界を救う者達である』と確信を抱きし消滅を認めた至高の刃
原初の地獄を示すが乖離の剣ならば
その光は『人よ、斯く在れ』と誉れと模範、理想を示す聖なる剣
――――彼方より来たりし獣よ、この輝きを見るがいい
下段にその聖剣を構え――
――皆を余波から護らなくては・・・!
「我の後ろから動くなよ、マスター、マシュ」
右手に『天の鎖』を巻き付け、A+クラスの強度に補強し辺りを守護する
――来る!
――白銀なりし常勝の王は高らかに
『――――――』
手にした奇跡の真名を謳う!
――其は!
「――――『
獅子のごとき咆哮と共に剣を振りあげる
束ねられ、鍛え上げられ、打ち上げられた輝きは、比類なき光の刃となりて、大地、天、あらゆるものを呑み込みながら魔神に迫る!!
『――統括局に打電、我が所感を、我が感慨を報告する』
万物を抉り、呑み込み、砕き、蹴散らし、荒れ狂う熱量と奔流の化身となった『聖剣』は、その質量を思うまま魔神に叩き付ける
『人類最後のマスターと、それに率いられし者たちは。我等の計画の――障害と、なる、可能性を、ひめ――――』
――魔神はそれより先。意思を、理性を赦されなかった
邪悪なる肉の柱は、更に圧倒的な光の息吹に晒され、浄化され――昇華され
『――――――――』
――凝視したのは、目を潰さんばかりの光
最期の光景を目にし
――マキリ・ゾォルケンもろとも・・・幻想の彼方に消え去った――
「――ふぅ」
総てを消し飛ばし、一段落を終えたアーサーが息を吐く
「――見たか。これが、人の夢見る輝き。理想と夢により鍛え上げられた至高の一撃」
柄を、強く握り締める
「この光と、それを信じる者達が有る限り。世界はけして滅びない。――いつか必ず、善き人々がお前たちに至り。そして打ち倒すだろう」
白銀の輝きに、曇りなく
「僕と、仲間達――そして、その先頭を走る英雄達の王と、最後のマスターが必ず!」
掲げた黄金の剣もまた、輝きを放っていた――
「きゃぁあぁあぁあぁあぁあぁあ!!聞いた!?聞いた!?私に至るって!!セイバーが今私に至るって!!それって!それってプロポーズ!?プロポーズよね!?セイバーったらぁぁあぁあぁあ!!」
「お幸せに」
「フォウ先輩も聞いたよね!?聞いたよね!?」
「近寄んなヘドロ女ァ!!ボクは美しいものソムリエだ!泥に投げ捨てられたコールタールゾンビなんか視界に入れたくも無いんだよ!!オマエの臭いがこびりついて無銘に『くさいね、フォウ』なんて言われてみろ!ボクは即座に霊長の殺戮者だ!!」
「セイバー!セイバー!!あははははっ!うふふふ!あははははっ!!」
「はぁ、はぁ・・・――約束守ってくれたら何も言わない。精々後ろからまた刺されればいいさ。で、ゲーティア。バルバトスがオマエに」
「我が偉業!我が誕生の真意を知れ!!」
「それしか言えないのかこの鹿ァ!!もうやだ、無銘、英雄姫の胸に飛び込みたい・・・」
「Aaaaa(大丈夫?膝、貸そうか?)」
「あ、お願い・・・」
「私も、是非あの光に・・・というかいっそカルデアに・・・」
『ぉおぉおぉおぉおぉお!!』
「ま、またですかグランドアサシン様――!?」
「あぁ~・・・」
「――――」
「あれが、ファラオの認めし輝き・・・このニトクリス、感服いたしまし」
「――・・・尊い、とは、こういう、ものか・・・(消滅)」
「ふぁらっ、ファラオ――!?」
カルデア
「そうか。・・・あいつは」
『ビール』
「何も変わっちゃいない。代わらず、善の為に剣を振るう、か・・・嬉しいねぇ・・・見てるかい?ファラオの兄さん・・・」
どのキャラのイラストを見たい?
-
コンラ
-
桃太郎(髀)
-
温羅(異聞帯)
-
坂上田村麻呂
-
オーディン
-
アマノザコ
-
ビリィ・ヘリント
-
ルゥ・アンセス
-
アイリーン・アドラー
-
崇徳上皇(和御魂)
-
平将門公
-
シモ・ヘイヘ
-
ロジェロ
-
パパポポ
-
リリス(汎人類史)