そして今まで送ってくださった皆様へ、出来るだけ恩返しするイベントとさせていただきます!
そう!出来るだけ!!(予防線)
プロローグ〜大召喚編・企画は降りるまでが一番ドキドキする〜
「ふむ…」
所長室の一角、オルガマリー・アニムスフィアは提出された資料に目を通し思案に耽っていた。それは魔術師の堅苦しい報告書ではなく、一般人向けのアンケートの体系を取った簡略なもの。コーヒーを啜りながら、所長として確認しているのである。
「歴史に名を残す英雄達とすごす。すっかり感覚が麻痺していたけれど、改めてみれば結構な偉業よね…」
そう、それらは夏草からやってきたメンバー達に向けたアンケートであり、そこに書かれていた悩みに目を通していたのだ。その悩みは生活水準や連絡手段の有無といったものではない。ある意味、普遍的なものでもある。それはずばり、
『英霊の皆さんとの距離感が掴みにくい』
である。主にメンタルの普通な朱雀、飛鳥等から来る悩みであった。今更に過ぎるが、カルデアは人理の為に英霊をサーヴァントとして来賓に招いており、御機嫌王の改築で生活を問題なく行えるレベルにまで昇華されている。そこまではよい。
だが、リッカのような非凡なコミュニケーション能力のない一般人の感性からしてみればこれは結構な事態なのである。通りがかる者、大半が世界中にて名を刻み、褒め称えられし英雄なのだ。一例をとって考えて見ても…
〜
「もしも〜し、そこのあなた!ハンカチ落としましたよ!」
「あ、すみません。ありがとうございます!」
「いえいえ、畏まらないでください!人斬り集団新選組も、人助けをしないわけではないのですから!沖田さん子供大好きですし!」
「えっ…沖田さんって沖田総司ですか!?あの美青年の!?」
「どんな伝わりしてたんです私!?美青年!?」
双方にショックを受けたりするような出来事があったり…
〜
「今日はオムライスか。旗を立てよう」
「ほう…ケチャップをかけ、崩しながら食す料理。征服の証に旗を立てるか。よき気風よ。許す、余の前で食らうがいい」
「あ、はい…!」
(どちら様だろう…)
「…うむ、中々に美味そうだ。余も同じものを頼むとしよう。ネフェルタリへの愛をケチャップにて書き記しながらな!」
(ネフェルタリ…ネフェルタリを愛する英雄…ラムセス2世…!?)
突然の超ビッグネームが何気ない食事中に隣に座り、正体に気づいた瞬間味がしなくなったりする。しかしこれはなんとまだまだ序の口なのである。幸か不幸が極まるとこんな事もあり…。
〜
「ワフ!」
「お、可愛いワンコ発見!怪獣でなくても動物は可愛いもの、たっぷりモフらせていただこうかな」
【そうだねぇ。日本国民は特に丁寧に丁寧に撫でてあげると罰が当たらなくていいと思うよ】
「なんの話?うわ毛皮モフモフじゃーん。ちょーキュート!こんなわんこカルデアにいたっけかなー?」
「ワフ〜。ゥ〜」
「お、アカネ!あまこーと仲良くしてくれてるんだね〜」
「リッカ先輩〜。この子ちょー可愛いんですよー。モフいしぬくいし〜最高っすよ〜」
「そりゃあそうだよ〜。あまこーはアマテラスでぽかぽかの化身なんだからね!私もモフる〜!あぁ〜」
「えっ。…もしやアマテラスって、あの天照大御神の…」
「そだよ?アマテラス略してあまこー!日本の神様の中でも特に有名な神様だから皆知ってるよね!」
「ご…御無礼を致しましたぁ!!」
「ワフ?」
【だから言ったじゃあないか。無礼の無いようにとねぇ】
といった感じに、神霊とばったりも会ったりする。自分達は死線を共にくぐり抜けたため抵抗は少なく、これらは来訪直後のケースなので幾分かマシにはなったのだが、とはいえ膨大を極める英霊の全員を即座に把握するのは非常に難しくもあるだろう。
「サーヴァントの大半は許してはくれるでしょうけれど、中にはNGワードや不敬を許さないタイプのサーヴァントも確かに存在している。このままというわけにはいかないわね…」
オルガマリーが懸念しているのは、ペンテシレイアやヴラド三世、一部の王様サーヴァントにおける無礼、不敬にあたる振る舞いを行ってしまうデメリットである。自分の事を知っていて当然というサーヴァントは確かにいるし(クラス違いのギルガメッシュはこの筆頭)、それを言ったら殺しにかかるというサーヴァントも確かに存在しているため、知らなかったでは済まされないような付き合いを要求されるサーヴァントは、最低限付き合い方を把握しておく必要があるのだとオルガマリーは認識する。
「授業という形で榊原先生や師匠にカリキュラム組んでもらうという点で多少はカバーするとして、そもそも英霊という存在に気後れしない心構えを作らなくては」
そう、英霊側は気にしなくとも、いちいち自分に平伏したり驚いたりされていてはお互いにやりづらい筈だ。力や人種、存在の格が違おうとも大抵の存在は一つの目的の為に集った同士。過度の敬遠は軋轢に繋がりかねない。手を打つべきだとオルガマリーは考える。
「…そうだわ!確かサーヴァント召喚をもう長い間やっていない筈。それをいっそ英霊を知る為の一大イベントにしつつサーヴァントを近しく感じて貰えばいいのよ!」
サーヴァントの召喚というイベントに、英霊達ゆかりの展覧会を合同で行う。そうすれば、少なくとも顔を知らないという事態は起こり得ないであろうし、新しく招かれた英霊に直接挨拶が叶う。そして何よりも楽しみながら触れ合える筈だ。
「祭りの重要性は王様達が理解している筈だろうし、企画書を組む意味は存分にあるはずよ。いっそのこと、誰もが楽しめるものに出来たならきっと意味があるはずだわ」
そうして組み上がったのが、最大規模の大召喚祭りであった。夏草市長にも話を通し、土地の一角を借り受け行う言わば英霊祭。それらの企画を、一気に纏めたのである。
「過去の偉人から直接何かを乞う。そんな貴重な機会を棒に振ってほしくはないものね…」
先達から学ぶこと以上に進歩や成長の効率は存在しない。カルデアにいる時はむしろ弟子やお付になったつもりで積極的に英霊と振る舞ってほしいとオルガマリーは考える。戦うだけなら適当な傭兵やはぐれ魔術師を雇えばいい。そうではない為に、彼等や彼女らを招き入れたのだから。
「…ギルの召喚も成功すれば良いのだけれど…」
絶対うまくいく、大丈夫。…と、唯一言えない事柄に、オルガマリーはゆっくりと天井を眺める。
王はセイバーを求め、戦い、そして挑むだろう。その戦いが報われてほしいのは本心ではあるのだが…
「…どうか王が、燃え尽き症候群になりませんように…」
勝利を万が一呼ばわりするのは大分不敬ではあるだろうが、それでもオルガマリーは願わずにはいられなかった。かの王が本懐を果たしたとき、色々ゴールしちゃわないことを。
そして…改築に精を出しすぎないよう、もしもの時の配慮も考えオルガマリーは企画を進行させるのだった──。
ギル「成程。そう言った経緯で夏草を召喚の場に選んだわけか。召喚サークルなぞマシュとロマニめがいればどうとでもなるであろうからな」
──英霊祭り!ヒーローフェスティバルですね!ワタシも気合と全力を込めてメソポタミアの皆様を紹介します!
オルガマリー「どうでしょうか、ギル。お気に召されましたならば幸いですが…」
ギル「お気に召したかだと?愚問よなオルガマリー!王たる我が催し祭りと聞いて興が失せるはずがあるまい!お祭り王とはまさに我の事よ!頭からプールに飛び込んでくれるわ!」
オルガマリー「では…!」
「我が許す!此度の召喚、夏草出張にて行うぞ!我が大願、夏草に錦と聖剣の鞘を飾ってくれるわ!ふふははははははは──!!」
諦めなければ負けじゃない。王メンタルにて召喚の祭りを認可するギルガメッシュ。
──ヒーロー!フェスティバ〜ル!
そしてエアもまた、楽しそうなお祭りにウキウキなのであったとさ。
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