人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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『○』


?『至極当然。では私も、果たすべきを果たしましょう』



リッカ「次は誰になるんだろうね!」

マシュ「誰であろうと先輩ならズッ友です!」

ハユハ(そのまま連れてこられた)

ロマニ『ほら、そこのゲートを潜ってみれば…!』


乳海

一同(((どこここ…?)))


先行実装、輝ける翼

「やぁやぁ、リッカ殿。そなたも招かれましたか。この見渡す限りの乳海、神のおわす場へ」

 

遥か果てまで続かんとする乳海、そして星空。およそ人が存在できぬ場所たる神域に突然招かれしリッカとマシュ、そしてハユハ。

 

「!?…!?」

 

流石にプロフェッショナルたるハユハといえど、意味不明な領域に放り込まれれば狼狽する人の子である。挙動不審になりながらも背後を護るためにクリアリングを開始するのは流石と言ったところだろう。

 

「グドーシがいるってことは…もしかして、次のかたはインド案件!?」

 

「然り。帰り道はカーマ殿にパールヴァティー殿がおられます故ご安心を。さぁ、お見えなされますぞ」

 

グドーシの言葉と共に、白き乳海が持ち上がる。何かに押し込まれるかのように盛り上がったそれは、人間の正気と啓蒙を遥か彼方へと吹き飛ばす神の光景であった。

 

『やぁ、こんにちはですね。ラーマとシータが非常にお世話になっています。私はヴィシュヌ。こちらの大きい蛇はアナンタ。寝っ転がりで失礼します。お会いできてなにより』

 

『アナンタです。ヴィシュヌ様は基本リラックスしておりますのでそちらもお気を楽に』

 

蛇の頭部だけで向こうが見えなくなる程の巨体の頭に、テレビ見ている休日のパパのような体勢の、4本腕と何故か普通の肌色の維持の神。

 

『ヴィ、ヴィシュヌだってぇ!?あ、いや、イザナミ様とかゼウスいるし今更なのかな?いや最高神フットワーク軽すぎないかなぁ!?』

 

ヴィシュヌ。遍く満たすもの。世界を維持する神であり、あらゆる悪を様々なアヴァターラで討ち果たす神らしき神。他の神がうっかり世界を滅ぼしたり破壊したりする中そんな事はせず、誰かと争う事すらしない規格外の調停神。この世界はヴィシュヌが見る夢とすら言われるほどの、まさに規格外なる神である。

 

『もう神の時代なんて終わってますからね。場が整ったらそりゃあちょっかい出します。最近じゃ神霊だなんて珍しくもないでしょうし、私も別にいいでしょう。厳格なのはシヴァに任せておきます』

 

(これもイザナ味なんだね、おばあちゃん…!)

 

アナヤとはフランクであり、ワンチャン親交と友誼のマントラである…のかもしれない。というか、ヴィシュヌ神は大事なければゆるいタイプなのだ。そもそも最高クラスの神おばあちゃんの生態に全部当てはまる説。

 

『グドーシ君という気軽にチャネリングできる相手もいらっしゃいますし、改めて御挨拶と感謝を告げようかと思いましてやってまいりました。あなた方には御礼がたくさん溜まっているんですよ本当に』

 

「御礼、ですか?」

 

『そう、御礼。まずはラーマとシータを再会させてくれたでしょう?あれ、本当に助かりましたよ。そもそも原典でのラーマーヤナでは普通にハッピーエンドなのですが、何故か後世で悲恋に伝わってそれが世界に刻まれて非常に無念な事に…あなた方は、ラーマとシータをあるべき姿に戻してくれたと言っていいでしょう。改めて、ヴィシュヌとしてアヴァターラとして御礼を申し上げましょう。余は嬉しい!』

 

最後の声をラーマにするアヴァターラ芸にて御礼を告げるヴィシュヌ神に、慌てて頭を下げるリッカとマシュ。グドーシはニコニコしてみており、ハユハはアナンタとジリジリと間合いを測っている。

 

『それにグドーシ君。カーマのヤサグレを治してくださりありがとうございました。彼、彼女か…非常に不憫な方でしたからね。現世で前向きになれたのは非常に良いことです。愛の女神とまで名乗りだすのはアレですね、心のリバウンドですね』

 

「ありがたき御言葉ではありますが、拙者は何もしておりませぬよ。素晴らしきことがあるのならば、リッカ殿に感銘を受けてくださったカーマ殿の御心に他なりませぬ故」

 

ヴィシュヌからしてみても、マーラ調伏とカーマのリフレッシュをこなしてもらえたのは非常に嬉しい誤算だった。人って凄い。彼にとってもそれは素晴らしい結果にして因果であり、シヴァのやらかしも少しは乗り越えてもらえたのだと胸をなでおろしたのだという。

 

『インド勢力として、そしてカルデアを応援するものとしてこのままされっぱなしというものは沽券に関わるといったところ。というわけでこの場を借りて、ヴィシュヌ的に御礼をさせていただきたく思い皆さまを招き入れたのです。ここ、私のお気に入りのお眠り空間なんですよね』

 

果てしなく続く乳海と、アナンタの頭の上。この光景を人が臨んだだけでも大変な偉業であるのだが、アナンタとハユハの睨み合いを他所に、ヴィシュヌは胡座へと姿を移す。

 

『それではここでヴィシュヌ参戦!…といいたいところなのですが、ラーマが下位互換になってしまうので自重という形でまた様子を見させてもらいましょう。ラーヴァナやアスラ、カーリーが敵で出てきたら即召喚されますのでそこはご安心を。今はまだ私が出るほど世界は詰んでおりませんしね』

 

ならば何を渡しましょうか、とわざとらしく悩む素振りを見せるヴィシュヌ。チラチラと見てくるところはなんだかイタズラ好きなドッキリ仕掛け人を思わせる。愉快な神なのだろうか。

 

『そうですね、皆さんガルーダは御存知ですか?私の座す鳥。誇り高く誉れ高き霊鳥。彼は私のお気に入りなのです。ガルーダ。アナンタと同じくらい』

 

「もしや、ヴィシュヌ殿」

 

『えぇ。私との伝達役にもぴったりですので、神獣ガルーダをサーヴァントとしてお預けいたしましょう。背中に乗ればどんな特異点の移動も苦にならず、数多の敵に囲まれようと即座に撤退できる素晴らしい彼をカルデアに派遣いたします』

 

ガルーダ。母のため神々を討ち果たす程の孝行と忠義の霊長。紛れもなく召喚難易度最高の霊鳥をカルデアに招いてくれると神託を告げたのだ。

 

『それでは、聞いていましたねガルーダ。彼等に背中と力と翼を、人理に貸してあげてください』

 

すると天空から、黄金の星が落ちてくる。星と見紛うそれは、翼を開き逞しき人の肉体と神々しい鳥の頭を有しリッカらの前に現れる。 

 

『ヴィシュヌ神の命により、ガルーダ、推参を果たした。皆の翼となり、あらゆる場所へと導き羽ばたこう。これからよろしくお願いする』

 

(大きくなりすぎたケワタガモか…)

 

「これは痛み入る厚遇。誉れも高きガルーダ殿の背中を任されようとは。確かに彼はお預かり致します。でしょう?リッカ殿」

 

「は、はいっ!何から何までありがとうございます、ヴィシュヌ様!」

 

『ふふふ、どういたしまして。私としても皆さまの生きる今の世界を維持したい気持ちがありますので、これからも何かあったらなんでも相談してください。厳格な方のシヴァとは違う、距離感の近い神様というものを目指していきます。イザナミの御婆様の様にね』

 

『は、ハユハ殿…ライフルを下ろしてくださると助かります…』

 

「…申し訳ない。蛇と鳥を見るとつい」

 

警戒を解かれたアナンタは息を吐き、そしてヴィシュヌは再び寝転がる。微睡むついでに世界を再び見るためだ。

 

『それではまたお会いしましょう。インドの特異点や異聞帯があったら是非とも召喚を試みてください。ヴィシュヌ確定ガチャが引けますよー』

 

そう言い残し、アナンタと共に乳海へと沈んでいくヴィシュヌ。残されたのは、ガルーダのみ。

 

『では改めて。ガルーダと申す。ヴィマーナに負けぬよう奮起する故、自由に扱ってくれ』

 

「えぇ、よろしくお願い致します。ガルーダ殿」

 

「「よろしくお願い致します!!」」

 

「その頭は…」

 

『む?鳥頭の事か?』

 

「ケワタガモか?」

 

『………違うと思う、多分』

 

ケワタガモではないのか…。少し残念そうなハユハであった。




岐路にて。


リッカ「翼拡げたら十二メートルくらいあるよガルーダ様!?」

ガルーダ『神気にて威を示している故な。マッハも出るぞ』

マシュ「あ、あまりに規格外です!はっ!城を背中で展開し…突撃!?」

ロマニ『質量攻撃の極地だなぁ!?』

ハユハ(大きい蛇だった…)

リッカ「これから!よろしくお願いしまーす!!」

グドーシ「ははは。善哉、善哉」

ガルーダの背中にて、帰還する一同であったとさ。

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