(切腹、自害、自決…死ぬことと見つけたりといった類が。となるとこれは…)
「自爆スイッチか…」
(恐らく頼朝は初めから討伐されることを考えていたのだな…)
ゴッホ「ハウッ、ハウッ…なんとか動けるように…助かりました…」
デイビッド「なら、これは押してはならんだろうな…」
ゴッホ「おや、スイッチ…。日本には『押すなよ、絶対に押すなよ』という文化があるらしいです…押せの隠語…」
デイビッド「そうなのか…」
(…言われたら押すか…)
〜カルデア
エル「解析完了です!あの鎌倉幕府には、悪用防止の為の壊れた幻想ボタンがあります!」
アカネ「自爆スイッチ!」
ゴッフ「ロボットにはホント強いな君!どこにあるのかね!?」
エル「茶室!隠されています!今近いのは…」
ロマン「デイビッドだー!?」
ゴッフ「いかぁん!!何考えてるかわからん筆頭に幕府の命運がぁー!!シオン君通信通信!押すな!絶対に押すなと言うんだー!」
シオン「えぇ!?大丈夫かなぁ…!?」
『──私の武勇に纏わる逸話は、愚妹義経と比べ遥かに少ない。私は前線に立たず、それ故後世に伝わるような武勇伝は残らなかった』
気炎を滾らせる、紅き鬼武者たる甲冑。鬼神を思わせるそれは、頼朝が解放した鎧の顕現である。彼の鎧は紅蓮の鬼たる威容を示しており、それは頼朝の宝具たるもの。
『そして、かつて頼光四天王が一人坂田金時が振るったとされる大具足。今風に言えばアーマードロボ。ロストテクノロジーとされたそれは──しかし密かに、破片と秘伝として伝来していた』
そう。金時が振るったゴールデン・ヒュージ・ベアー号。失われた筈のその大具足は、密かに将軍のみに伝えられていたのだ。頼朝は、その生涯をかけ先祖の遺産の解析を果たした。
「その、姿が…まさか…」
『然り。これこそ私が…いや。征夷大将軍が受け継ぎし源氏の魂の具現。装甲鬼武者『鎌倉』だ。義経を差し向ければ事足りたため、ついぞ纏うことは無かったが…』
その結晶こそ、この緋色の紅蓮武者。幼少に鬼武者の名を取る頼朝、武士たるものの頂。宝具として昇華された伝説。
「最悪だ…!この頼朝、これだけの格で『サーヴァントになってからが強いタイプ』なのか…!」
『応とも。──冷血漢の振る舞いは、もう止めだ』
刀…否。『超極大レーザー対艦刀』とするべき得物を、鬼武者は構える。
『一人の武者として、そして兄として…妹との往来、断固拒否する!往くぞ────!!!』
人間性を剥き出しにした裂孔の気迫と共に、鬼武者の背面スラスターが魔力エーテルを噴射する。その加速力に、リッカとカドックは反射的にその場を飛び退いた。
『おぉおっ────!!!』
手にした特大剣が、紅蓮の魔力刃を振るい万象を薙ぎ払った。星薙ぎもかくやの超火力。それはリッカらが垣間見たヒュージ・ベアーの威力に十分以上に追随する程の破壊的な規模を見せる。
「くっ!今更日本人のトンデモに驚いていられるか!アタランテ!!」
「ギリシャはそういった装備は普遍的だ。面食らうものか!」
素早くアタランテを呼び、獣の野性味溢れる移動にて頼朝に追従させる。当然だが、カドック本人にサーヴァントと殴り合えるスペックはない。クラスカード、麒麟礼装を使えば限りではないが、接敵している今そんなスキは期待できないだろう。
「家族を切り捨てるその様、私は気に入らん。刃向かわせてもらう!」
『来るがいい。言っておくが、お前たちが挑むは頼朝個人に非ず』
アタランテの弓矢の乱射に、鎧各部にマウントされしレーザーバルカン発射砲門を展開させる頼朝。一つ一つから、黄金の魔力バルカンが放たれる。
「ぐっ!」
その一撃を全て射撃で叩き落とすアタランテ。しかし瞬間、物理法則を完全に無視するスラスターの大出力移動により距離を詰められてしまう。武士の歩法、それを具足にて強化した形だ。
『挑むは──武者達が積み上げてきた神秘の結晶。源氏と幕府そのものと知れ!』
「がぁあっ…!」
むんずと顔を掴まれ、叩きつけられるアタランテ。その加速力は、ランサークラスにも値する程の高敏捷であることは疑いようもない。
「アタランテ!!マスター礼装、瞬間回復!」
「ッ、すまんマスター!だが!」
瞬間アタランテも回復を受け、素早く反転し頼朝を爪で引き裂く。鎧すらも引き裂くカリュドーンの猪が爪、日本の神秘に遅れは取らなかった。
『ほう、やるものだ』
だが──驚異的な事に、傷付けられた部分が焔に炙られ瞬時に回復を果たす。鎌倉幕府からの魔力供給の為せる技か、その耐久性は折り紙付きとカドックは認めざるを得なかった。
『カドック!援護するよ!』
瞬間リッカが弓矢を番える。アルテミスの加護に雷位を乗せた、月光と雷霆の絶技。オルテギュアーに4本の矢が同時に装填される様を見、頼朝は発射を潰さんと構える。
「兄上ぇえっ!」
「ッ──!」
瞬間、頼朝に義経、牛若丸が同時に躍り掛る。マスターたるリッカを護るため、そして再び話をする為の阿吽の呼吸であった。
「お辞めください、兄上!もう戦う理由などないではありませんか!私と一緒にお祭りを楽しむだけなのですよ!何が不満ですか!」
『何もかもだ』
「そうまで、そうまでして私を疎みますか兄上…!」
『戦と、貴様が嫌いだ』
端的に答え、レーザー対艦刀を開放する。各部が展開され魔力を膨大に放つ形態を取り、面頬のクラッシャーを展開し刀を剛力と共に振り抜く。
『失せろ、我が人生最大の障害ども!』
「「うぁあぁあぁっ!!」」
『牛若丸!!』
その勢いは凄まじく、弓矢をキャンセルして受け止めた牛若丸もろともリッカが吹き飛ばされ壁に叩きつけられる。義経はなんと、壁にめり込む程のダメージを受ける羽目と相成った。
「これがオーパーツ、源氏の鬼武者の鎧の力か…!」
『それだけではない。妹への嫌悪、幕府に集いし全ての武者。そして妹への嫌悪が私に力を与えるのだ』
「二回も、言うほどに…ですか…」
『景時の爪の垢を煎じて飲むのだな。私が忠臣と信ずるはあの男の如き生き様を言うのだ。獣の餌の裾分けなぞ願い下げだと再三言ったはずだが』
義経は流石に意気消沈している。そこに隠れた情と言うものはない。ただ本気で、心から、妹との和解を望んでいない。
『言葉で和解を果たす程、貴様との確執は易くはない。鬼一法眼、そなたにも悪いがな』
「いいや?自業自得だろ。僕もどちらかといえば被害者だし」
「リッカ殿!この場に味方がとんとおりませぬ!」
牛若丸の涙ながらの言葉に、リッカは立ち上がる。彼女は、そもそも悩むことなどあり得ない。
『シンプルに嫌いだとか、気に食わないだとか…それはもうしょうがないと思います。それを本人の意志を無視して捻じ曲げたら、対話じゃなくて洗脳だから』
『心得ているな。──だが、それで君は退くつもりもあるまい』
それに頷き、リッカは『左手を右手で掴む』。
『想いを変えることはできないかもしれない。確執を変えることはできないかもしれない。でも──『新しい関係の始まり』を応援することは、きっとできる』
そこから、龍の絶叫が響き渡り紅と黒の魔力が迸る。リッカの魂に帯刀されし、村正拵魔上二刀が一振り。
『その頑なな態度を打ち負かして、もう一度腹を割って兄妹を話し合わせるきっかけを作る事は──きっとできる!』
引き抜くと同時に、リッカはサーヴァントを召喚する。それは、彼女の知る最強の武者が一人。彼女を良く慕う、日本一の兵が一人。
「──セイバー、桃子。リッちゃんの呼び掛けに応じ推参しました。対象、源頼朝様でよろしいですね?」
『うん、桃子!私達に力を貸して!さぁ行くよ、牛若丸!』
「おぉ…!もちろんです、リッカ殿!なんとしても兄上に解ってもらわなくては!私は兄上が大好きなのだと!」
カドックを素早く助け起こし、態勢を整え向かい合う。頼朝は伝説の桃太郎の顕現に息を呑みながら、対艦刀を構える。
『新たな関係、か。成程、関係の修復が不可能なら、新たな可能性を模索する…』
「兄上…」
『その発想は悪くない。ならば打ち負かせ、現代の棟梁。頼朝地に伏せし時、かつての幼少の頃に立ち戻らん!』
頼朝もまたその提案に意を示す。やがてそれは催しの大詰めになる、大立ち回りに変化する。
『牛若丸のマスターとして──彼女の願いを後押しする!いざ!!』
『尋常に、勝負!』
頼朝との決戦、否。わからず屋との殴り合い。いよいよ義経と景清の目論見から始まった奇特な召喚祭りは佳境を迎える──!
牛若丸(リッカ殿、一つだけお伝えしたい事が!)
リッカ(どったの!?)
牛若丸(兄上は、リッカ殿やカドック殿が来る前に話をしてくださいました。兄上は…幼少のあれこれを全て覚えていてくださいました)
リッカ(…!)
牛若丸(義経たる私には事務的に、冷血に武士たる振る舞いを求めていたのは事実。しかし気のせいでなければ、私には…)
リッカ(……ありがとう、牛若丸。それのお陰でわかった事がある!)
牛若丸(なんと…!)
リッカ(きっと無慙さんもそれを願ってるんだ。なってみせる──頼朝さんと義経さんの、関係のきっかけに!!)
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