人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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イザナミ「いやぁ。一時はどうなることかと!夏草も皆も無事であなや一安心!おばば焦りましたー!」

タケル「焦れるならば余裕であったな」

将門公『余裕也』

イザナミ「なぜゆえ!?おばば必死こいて皆の座標を知らせたり爆発を抑えたり、死ぬ思いだったのですよ!?」

将門公『有能極まれり』

タケル「いつまでもそのままでいておくれ、母よ」

イザナミ「えぇえぇ!?」



ギル「ふはは、初の試みは上々であったな!」

フォウ(セイバー召喚はいいのかい?)

《我とて空気は読む。今はエアを、浸らせてやろうではないか》

フォウ(…そうだね。恩人との再会だもんね)

ギル《では、エアの土産探しに漫遊に赴くとするか、珍獣!》

フォウ(オマエの奢りな!)


祭り一幕エピローグ〜そして世は、事もなし〜

…こうして、多少なりともハプニングを起こした大召喚祭りではあったが、紫を始めとしたVIP達の力添えとマスター達の奮闘により、一切の被害なく動乱は収まることと相成った(ロジェロを除いて)

 

「とはいえ、スケジュールと余興のバランスが大いに崩れたのは遺憾ながら事実である。故に此度の召喚は慣例、恒例とする!即ち、召喚は毎度夏草幕張メッセで行うということだ!これより出会えなかった縁を期待するものよ、新たな出会いに想いを馳せるものよ!期待し、座して待つがよい!我が楽園の祭りは終わらぬ故な!ふふははははは──!!」

 

開催者本人がこんなにも元気なので不平不満は出るはずもなく、召喚システムの調整も兼ねてサーヴァント達を含めた皆は夏草を楽しむ余暇の時間を手にすることとなった。

 

「見てみて、あの娘かわいい!」

「白い髪に紅い目、ステキ〜!妖精みたい!」

 

(なんと素晴らしい場所だ、夏草…)

 

出歩いても迫害も奇異にも見られず、望んだ反応を寄せてくれる夏草市民をとても気に入ったハユハ。射撃ゲームのスコアを片っ端から塗り替えた事により伝説ともなったのはまた別のお話。

 

「本場カレー…ガルーダ殿、少し立ち寄ってはみませんか。ドゥルガー殿やヴィシュヌ殿にもお持ち帰りにて」

『うむ。手掴みではないだろうな流石に…』

 

ドゥンにガルーダは同郷のよしみで行動を共にし、カレーやインド店を回る歓楽中である。やはりどこにいても、魂はインドを求めるものなのだろうか。ガンジス河は皆の心に流れている。

 

「まぁ、お店に立ち寄れば美味しい食べ物が置いてあるなんて!スザク、現世はなんて素敵なのかしら!」

 

「えぇ…。とても便利になりましたよ」

 

ユフィはスザクを伴い、奔放に現世を楽しんでいる。スザクとしては『あの日』の続きを楽しむかのように、気難しげな表情を和らげユフィのあれこれに付き合っている。

 

(スザク…お前もそろそろ、自分を許す時なのだ。幸せになっていいんだ。生きろ、スザク…)

 

「…大分不審者だぞ、ルル」

 

「おい、そこのお前」

 

そんな覗き見を無慙に事情聴取されるルルもいたが、それもまた平和の証であろう。

 

「弱火…弱火?なるほど、常に最大火力でなくてもよい…火を人は克服したのですね…」

 

『クク 初歩すぎる』

 

シンモラは紅閻魔教室に備え、基本の知識を得るためにショッピングを行っている。火は適時調節できる。そんな真理に辿り着いたシンモラはきっと妻としてさらなる進化を遂げるだろう。

 

「お喜びくださいスルト。炭焼き意外の料理が食べられますよ」

 

『炭を 更に よそるな』

 

戦々恐々としている旦那の杞憂をどこ吹く風とし、シンモラは夏草の街を回るのである。人妻がなんの憂いもなく独り歩きできる治安の良さ、夏草は今日も平和である。

 

「できましたー!!鎮西八郎為朝プラモデル自作スクラッチ!なんと弓を構えて自立可能!!平家にあらずんば人にあらず、即ち源氏シリーズ制作予定です!」

 

エルはプラモデルコーナーにアカネと籠もり、為朝をフィギュアライズすることに励んでいた。鎌倉幕府すらも穿つ凄まじい剛力の武者、それはエルの好むロボットの在り方そのものであったが故に意欲みなぎる形が生まれる。

 

「うわぁ…相変わらず変態技術…よくこんな線の大いの立体化できるね…怪獣とは全然違うのに…」

 

「好きこそものの上手なれ、ですよ!将門公のお隣に鬼武者、鎌倉が映えますからこちらもなんとしても形にしなくては!今日も眠れませんね、アカネさん!」

 

「あはは、ヤマトちゃんたちに監修して就寝時間までには終わらせようねー…」

 

熱の入ったエルを止めるのは不可能と分かりきっているアカネは全てを諦め、3Dモデリングを担当してもらい迅速に形にする方向にシフトするのであった。これもまた、阿吽の呼吸の一つである。

 

「…………」

 

そして、ウーサーは街を一望できる場所へと臨んでいた。隣には、クルサースパも共に在る。

 

「護るべきものを正しく見定め、そして力とする。大方、そんなところだろう?」

 

「あぁ、俺はそうすることで騎士ならぬ心を奮い立たせてきた。俺の戦いとは、当たり前の平和を護る事だからな」

 

「俺もその願いに近しいものだよ。善を、健やかに生きる者たちを護る。英雄と呼ばれたものとして、決して見失ってはならない規範だ」

 

「あぁ…そうだな」

 

彼等の勇気と決意は、今の美しい世界へと繋がっている。当たり前の平和を護るために、彼等はこれからも力を振るい続けるのだろう。

 

「この世界に、祝福よあれ。彼等の願いを、寿ぎ給え」

 

「うむ。善満ちる世界に祝福あれ!」

 

コールブランド、クルサースパの誓いを祝福するかのように動物たちが集う。それらは間違いなく、彼等が祝福にあることの証左であろう。

 

「んー、なんだか服着ても大丈夫だったんだが、これは本当に奇跡カウントされているんだろうか?」

 

ローランたちはファミレスにて高校生的に駄弁っていた。美味しければ、値段など関係ないのである。

 

「なんだか聞いた話だと、最初っから自爆スイッチ用意されてたっぽいよ?だからデュランダルもセーフ判定したんじゃない?奇跡は起きてた!」

 

「まぁそれでギリギリ良かったっていうか、しばらく服着れないってのは中々やばいデメリットだったよな…コンラの教育に悪いぜ…」

 

「?何か問題か?動きやすくて素晴らしいじゃないか!」

 

「一生往来を歩けなくなるんだよバカタレ!…しかし、ロジェロのヤツは残念だったな…」

 

そう、ロジェロは退去してしまっているため欠席である。ローランの金剛体に強く抱かれてしまったのが原因だ。

 

「でも大丈夫だよ。そのうちシャルルマーニュ十二勇士が全員揃って大活躍ー!っていう特異点が出てくるさ!」

 

「なんだアストルフォ、お前いつの間に未来予知なんかできるようになったんだ?」

 

「言ってみただけ!思い知ったか!」

 

「わはは、そりゃあそうか!俺も魔術王直々に招かれた身、気合を漲らせてロジェロの分まで頑張っちゃうぞ!」

 

「次はブラダマンテと一緒に喚べたらいいんだがな…ま、案外次はブラダマンテが先に来たりしてな!」

 

「すれ違い召喚だー!そうなったらネタにしてやろー!」

 

「ロジェロ…また必ず会おうぜ!」

 

男子高校生めいたその語らいにて、まだ見ぬ仲間を思い馳せる十二勇士の面々でありましたとさ。後にジュースバーミックスにデュランダル奇跡申請しかけたのは別のお話。

 

そして…渦中の源氏組はというと。

 

「あの…本当に行われるので?」

 

「愚問だ海尊、さっさと令を告げろ」

「えぇ、こうして雌雄を決する機会も無下にはしたくありませんからね」

 

何故か殺気立ち、向かい合う義経と牛若丸。毎度恒例の、自分同士の戦いというやつである。

 

「かんらからから!どちらがより兄上に相応しいかなどとで殺し合いか、やはりお前の妹はおかしいな!」

 

「共倒れしてくれぬものか…」

 

サーヴァントとして無慙の風貌を借り、そして現界した頼朝。現代風の衣装にてノートパソコンに打ち込む様は一端の文明人である。調べているのは各種健康ランドであった。

 

「どちらがより兄上にお付き添いできるか…剣で決める!」

 

「成長しているからと油断するなよ義経、若き感性が覇を掴むという事例を見せてやろう!」

 

「抜かせ、未熟者に後れを取る源氏武者ではないわ!──海尊!」

 

「いえですから弁慶と…始めぇい!!」

 

やけくそ気味に放たれた号令と共に、熾烈な剣戟が幕を開ける。

 

「夏草…良き遊興施設が揃っている。アグラヴェイン殿オススメのスポットにも是非行こう」

 

「妹と共にか?」

 

「無論──一人で」

 

かんらからから!こちらもこちらで筋金入りよと、天狗の兵法と遮那王流離譚のぶつかり合いを御満悦で見据える鬼一法眼と…

 

【よい…壮健であれ、義経…】

 

その様を静かに見守る、優しき怨霊でしたとさ──。

 




紫「改めて、ご迷惑をおかけしました。誠に申し訳なく存じます」

温羅「そーだそーだ。海より深く反省しろよー」

紫「む…。いいわよーだ。こうなったらいつもあなたに傍にいてもらいますからねー」

温羅「むしろそれくらいしろ、重鎮だろうがお前さんは」

紫「ふふ、はぁい。じゃあこれ、あげるわ」

『紫扇子』

温羅「秘宝じゃねーか!?」

「たまにはそれで親孝行なさい。いつでも桃源郷に帰れるよう、あなたに用意したものなのよ?」

「…お前…」

「うふふ、次は荷物持ちに付き合ってね。それじゃ、皆によろしく〜♪」

温羅「…ったく、いい性格してるぜ…」

(…親孝行か…そうだな…)

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