アマノザコ「あぁ。皆で行くつもりだ。お前とカグツチもどうだ?」
カグツチ「…ばらきーが行くなら」
茨木「そ、そうか。それがよい。ならばよい。場所はどこだ?夏草か?」
「ここだ…ドラランド、というらしい」
茨木「ドラランド…??」
(読めたぞ!また面倒事か、是非もない!リッカめに伝え矛先を反らしてくれる!)
温羅「茨木!今日は母ちゃんについていけ!いいな!」
「にゃんとう!?」
(退路を、防がれた!?何が、何があるというのか…!?)
「皆、召喚祭りの余韻も抜けきらないままに呼び出してしまってすまないね。呼び出した理由は大体察しているかもしれないが…」
「特異点、ですよねドクター!私達は最初から臨戦態勢でここへやってきています!」
頼朝と牛若丸の確執も一段落した最中、休む間もない立て続けに突如の召集にも最早めげない挫けないグランドマスターズ。ロマンの告げる報で最初からハッピーニュースであったことなど早々ないのだ。ロマンが悪いわけではないが日頃の積み重ねとは時に残酷である。
「私達が解決すべき案件でしょ?異論なんてないからバッチリ教えてよ!なんだかんだで鋭気はいっぱい養ったからね!」
「マシュ、リッカ君…もう立派な歴戦のマスターとサーヴァントだなぁ…!」
「うんうん、元Aチームリーダーとして鼻が高いよ…成長したなぁ…」
「ノスタルジーに浸ってる暇は無いよ諸君。非常に気がかりな事にギルガメッシュ王は毎度恒例の改築業務に非常に忙しくしておられる。我々がなんとかして今回の案件をクリアするしか無いのだからね!」
ゴルドルフの言葉に一行は姿勢を正す。ひとつ間違えば世界の在り方が変わる重大な任務に変わりはない。次なる説明を一同は無言で促す。
「ありがとう、ゴルドルフ副所長。あなたが年下という事実に泣きたくなる今日このごろだぁ…」
「受肉から考えて11くらいでしょあなたは!ほら、話を脱線させない!」
(オカンかな?オルガマリーは催眠や認識改変が解けていないか確認に行っちゃったし、激動だねー)
(上に立つものが忙しすぎるって、組織としてはいいことなんだろうか…)
「あぁはい、すみません!実は今回発見された特異点、それは日本領地の北の部分…もっと言えば『カムイの黄金』が関わっている可能性が示唆されたものなんだよ」
「「「カムイの黄金…」」」
アイヌの地、カムイに眠るとされるあまりにも莫大な黄金。フィクションか作り話かとされるそれが特異点形成の要である。という魔術の王たる智慧から導かれた結論に一同は首を捻る。
「ラインの黄金や徳川埋蔵金に連なる、未発見で隠された大量にして膨大な富…それらが悪用され、特異点製作のリソースとなってしまった。そう予想を付けたサーヴァントの発言をもとに、カルデアは発生した特異点の調査に当たったん、だけど…」
「…歯切れが悪いじゃないか。何かとんでもないトラップダンジョンか魔界にでもなっていたのか?」
(興味がないので欠伸をしているヒナコ)
「──ううん。見た目的には…とても、華やかできらびやか。誰の目から見ても、おかしい事はないわ」
そやをな皆の説明を補足するように現れしは、アルターエゴ・シトナイ。カムイの黄金に並々ならぬ関係を持つ、ハイ・サーヴァントの系譜である。
「ただ、その存在があることが何よりもおかしい。おかしいのに…世界も、そこにいる人も何もかもがおかしいと『思っていない』。それが、一番おかしいの」
「つまるところアレよね?非日常や異常がそう感知されていない…つまり、特異点全域や構成そのもの自体が大きな力で運営されている、みたいな感じかしら?」
「…うん。そしてそれはなんとなく予感があった。カムイの黄金…それらが縁の地から、離れようとしていることを」
ペペロンチーノの言葉にシトナイは付け加える。誰もおかしいと思わぬ事。そういった事態は目が眩んでいるか、耐性がないものを取り込んでいくたちの悪い存在が中核となっているか…である。
「日本の北に降って湧いたような特異点!そりゃあ多分おそらく絶対カムイの黄金それの仕業よ!アイヌの地は神秘と謎の場所!行ったオレ様が言うんだからぁ間違いねぇなぁ!」
そして更に現れし存在は征夷大将軍、田村麻呂。征夷大将軍として北の地に向かった田村麻呂には、その特異点の大本がどんなものかを理解しているのだろう。
「というわけでだ!お前さんらの力を借りて、どういう訳か乱れちまったカムイの黄金をなんとかしてやってほしいんだ?無論知らない土地じゃない、一人のサーヴァントとして全力で力を振るわせてもらうからな!」
田村麻呂の力強い言霊に一同は深く頷く。なんであれ、それが人理を揺るがす特異点であれば見てみぬフリというのはありえない。こうして、順調に事と話が運ぶ。
「僕らサブマスター一同に異論はない。リッカやカルデアが新たな困難に直面するというのなら、力を合わせて挑むまでだ」
「カドックの決定は我等が決定。後の決定はリッカ君に委ねよう」
当然ながら、リッカに見過ごすなどという選択肢はない。息をするように世界を救う活動に勤しむのがマスターの役割であり使命である。
「グランドマスターに休みなし…!やってやろうよ!ラインの黄金と関わりのあるものなら、それ絶対ヤバいやつだしね!」
一同に不服を唱えるものはいない。一丸となって、現れた脅威と怪異に挑む決意と覚悟を示す。
「お祭りの熱気も冷めやらぬのに、本当にごめんよ。ギルもマリーもいない分、ボクらが全力でサポートするからね!」
方針はあれよあれよと確定する。カムイの黄金が生み出したとされる特異点…それらに挑むことが、次なるカルデアのミッションだ。
「挑むことに異論はないわ。レイシフトで向かうのね?」
「そうなんだ。でもどういう訳か投射式レイシフトが上手くいく可能性が低くてね…いつもより足を踏み入れるのが困難な特異点であることが確認されているんだよ」
ロマニの力をもってして、あり得ない程にレイシフトの成功率の低さをマークしているという。完全なレイシフトの為の試行錯誤を行うため調整は不可欠。今しばらく時間が必要と解散する運びであったのだが…
「その特異点、どうやら招待状が必要なのだろう。我等に渡されたソレが、きっと道を開くはずだ」
そんな打開策を有してやってきたのは、桃源郷にて汎人類史に迎合した一家たるアマノザコ。並びにカグツチに茨木童子も現れる。
「どれすこーど、なるものは知っているな人間。此度の入場にはそれを必要とされているのだ。案ずるな。此度は特別に吾らが手にしたものを提供してやろう」
「茨木さん!?随分と気前良い対応ですね?普段の真面目な鬼らしさはどこに?」
「黙れましゅ!此度は、此度ばかりは参加せねばならぬ理由があるのだ!」
「うむ、これは温羅や皆の後押しでもある。戦う力は無いため、物見遊山だが…道を拓く事は可能だろう」
「…ん」
カグツチ、アマノザコ、そして茨木。伊耶那美命は千里眼で視界共有しているから大丈夫らしい。茨木なら大丈夫だろう、といった空気を漂わせつつ一行はコフィンに向かう。
「それではご厚意に甘え、レイシフト準備だ!入り口のはぐれサーヴァントの近くに飛ばすから、なんとか引き込んでくれ!」
「気をつけていけ。現地で会おう」
「はい!アマノザコさん、それにしても招待状やドレスコードなんてどこから…?」
「あぁ、ダンテと名乗る吟遊詩人が渡してきたのだ。ちょうど温羅がやる予定の何かもあったし、便乗した形だな」
その名を聞き、リッカは念話でロマニに話しかける。決して聞き逃してはならない名前の響きに。
(ダンテ…ダンテだって!?というと、サタンが今回絡んでるってこと!?)
(…今のところ、悪意とかは感じられないよ。少なくとも、私達や世界をどうこうするつもりはない…のかな?)
何もかもが理解できず、何もかもが予想できない地獄の大魔王の介入。それらが意味するものを思いながら、リッカはレイシフトを開始する。
(サタン…あなたは一体何を考えてるの…?)
利敵行為とすら詰られよう国の運営や下界の支配。それすらも本質を捉えさせないサタンの行いに、なんとも言えぬ不気味さを覚えるリッカであった。
そして──レイシフトの先に、茨木は待つのだ。偉大なる、鬼を擁する鬼の存在を…
リッカ「ここが…」
リッカ達は辿り着いた。正真正銘、そこが特異点攻略の場となるもの。
そして──
?「何者です…!?この先に行ってはなりません!黄金に魅入られてしまう!」
マシュ「あ、あなたは!?」
田村麻呂『おい、お前さんは!?』
そこに待ち構えていたのは…決意に満ちた青髪をたなびかせ、弓矢を構える者。
「去りなさい…!黄金に…黄金に魅入られる前に!」
そう告げる彼女は、人を惹き付けてやまぬ濃紺の髪をたなびかせ、警告を放つ。
『アテルイ!アテルイだ!!オレだ、田村麻呂だ!おーい!!』
そしてそれは…大将軍にも深き縁が導いた賜物でもあったのだ。
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