ジークフリート『リッカ、どうした?』
リッカ「クリームヒルトがいた!クリームヒルト!!」
『なん、だと…』
リッカ「会ってあげて、きっとよろこ…怒る…喜ぶ…はずだから!」
ジークフリート『あぁ。勿論だ。だが…』
リッカ「?」
『彼女は、俺には相応しくない』
「あっ…」
〜リッカ翻訳〜
『彼女程美しく気高く、聡明で理知的な方は、俺のような無愛想で無骨でつまらぬ男には相応しくない』
〜
リッカ「……相思相愛( ꈍᴗꈍ)」
ジークフリート『すまない…失礼する。心の準備が足りない』
リッカ「ごゆっくり〜!…カルナさん!」
カルナ『どうした』
「リッカマニュアルをジークフリートに!」
カルナ『一言足りないのだな、解った』
リッカ(私にできるのはこれくらいだよ…)
ゴーカート
「せんぱーい!マシュはライダーにもなれるんですよー!」
リッカはマシュを連れ、様々なアトラクションに挑むことにした。箱入り娘ならぬカルデア入り娘。マシュにはまだまだ外の世界を楽しんでもらいたいとの慮りだ。
「はしゃいじゃってまぁ。元気さと精神的な成熟さが反比例してないかしら?」
「マシュはのびのび育ってほしいから、あれでいいんだよきっと」
ノリノリでゴーカートを乗りこなすマシュ。…そしてリッカは、これから様々な人に話を聞く予定だ。隣にはじゃんぬがいる。
「ねぇじゃんぬ。バーサーカーとアヴェンジャーの違いってなんだろね?」
「違い?…あぁ、言われてみれば違う括りね、それ」
二人でマシュを見失わないよう追従しながら、それぞれの持論を展開していく。
「そうね…言われてみればそっくりね。バーサーカーもアヴェンジャーも。明確な違いってなんなのでしょうか?」
「復讐って考えたこともないからピンとこないんだよね。じゃんぬもバーサーカー適性とかあったりするのかな?」
「そうねぇ…憎悪の炎とは違う、自分を見失うくらいのものって言ったら一つしかないわね」
「なになに?」
「リッカの事だけしか考えない私、とかね」
「………………(ガチ照れ)」
「あー、照れたわねー?相変わらず防御力はよわよわねー♪私のリッカはよわよわね〜♪」
「や、やめれぇ〜!」
「うりうり〜。…あっ!前!前!!」
「ハンドルゥ!!」
「「ぎゃー!!!?」」
二人は無事に大破した。
メリーゴーランド
「せんぱぁい(考えうる限りのロイヤルさ)」
「可愛らしいわ。背伸びした貴族みたいね」
「相手が悪すぎるよマシュ…」
マリー・オルタと共にメリーゴーランドに乗るリッカ。マシュはキラキラと目を輝かせ馬を乗りこなしている。軌道は同じだが。
「嫌なデザインねこれ。ガラスの馬…皆、首を落としたらいい感じにならない?」
「猟奇的ぃ…」
マリーオルタはクリームヒルトを名乗る彼女と近しい。フランスが絡まなければ、極めて理知的な彼女に話を聞く。
「私は革命とフランスが嫌いよ。その感情に疑問を持たれるのは困るけど、その感情の源泉は忘れないわ」
「…子供たち」
「えぇ、そう。私は子供達を惨たらしく辱め、貶め、残酷に奪ったフランスの無責任な民衆を、全てを許さない。永遠に、永遠によ」
「…………永遠に、恨み続ける」
「辛いことよ。憎み続けると、愛すべきものを見たときにもまず幸せより憎しみが思い出されてしまう。魂に焼き付いた炎は、幸せな記憶を薪に燃えるのよ。いつまでも…いつまでも、この胸で…胸の内で…」
「おっ…」
「もし、狂気と分かつものがあるのだとしたら。それはきっと、幸せな記憶なの。どれだけ憎んで、燃えても、『幸せな記憶は決して消えない』。それは信念でも、信仰でも、何でも…自身を繋ぎ止める何かを忘れないかどうか。それが、私達やバーサーカーを分かつ鍵なのではないかしら」
「忘れない、記憶。…ありがとう、マリーさん」
「いいのよ。ティータイムには紅茶でなくコーヒーを飲みなさい。下品な泥水なんてもってのほかよ。気取った紅茶よりとても美味しいわ。ね?」
「は、はい!(ブリオッシュとかも嫌いそうだなぁ)」
コーヒーカップ
「せんぱ〜〜〜〜い!」
「ベイブレードみたいに回ってるぅ」
「お前ももう少し羽目を外せ。そのために誂えた場所なはずだぞ、ここは」
マシュのカップを見守るは、リッカと巌窟王。のんびり周りながら、復讐とはなんたるかを語る。
「復讐とは、決着だ。己を前に進めんが為に、無念を晴らさんが為に。それらを糾弾する雑多に止められることは出来ん。何故か分かるか」
「人生に、決着を付けるため?エルメェス兄貴理論」
「そうだ。奪われたものが巨大であればあるほど、深淵であればあるほど焔は燃え上がる。復讐の焔…自他共に焼く、復讐の焔だ」
「焔…」
「だが、その焔は自らの意志で制御しなくてはならぬ。誰を燃やすか、何を滅ぼすか。決して齟齬は許されん。巻き添えなど許されぬのだ。罪なき無辜を、焼く事は断じて許されない。恩讐とは、そういったものだからだ」
「…焼ける焔を、向ける先を選べることがアヴェンジャーの条件…なのかな?」
「…復讐の焔は、暖かき暖炉の焔とは違う。全てを焼き焦がす炎だ。そんなオレ達が言い残せることがあるのだとしたら、それは唯一つだ」
「アヴェンジャー…」
「オレの、オレたちのようにはなるな。お前の歩むべき道は光溢れる祝福の道だ。オレは、そう信じている」
「…うん。ありがとう。アヴェンジャー」
バンジージャンプ
「せんぱぁぁあぁあぁあぁい!!!」
『ヒャンヒャン!ワン、ワン!』
真っ逆さまに落ちていくマシュ。バンジージャンプを楽しむリッカを、ブランカ、ロボ、ヘシアンと共に眺める。
【………………】
「あなたの憎しみは、誰にも推し量れないくらい大きいものだね。だって…」
『ワウ?』
【…………………】
(ご安心を。今のロボは人類皆絶許から、カルデア連中は見逃してもいい、くらいになってますからね)
意思疎通できたんだヘシアン…!!ある意味一番の衝撃に、上に乗る首なし騎士は声なく雄弁に語る。
(憎しみは消えません。こんなかわいいお嫁さんを奪った相手などどうして許せましょうか。ロボは深く深く、ブランカを愛しています)
『ヒャンヒャン、ワフー』
(だからこそ。その憎しみは深く、強く、大きい。つまり、憎しみとは愛なくば懐けないのですよ。あなたがあった復讐のクリームヒルト…讐クリームですね)
「ぶふっ…!?」
(愛に狂うなら、ジークフリートさんの事を口に出すのでしょうが…話しました?彼女)
「ううん、一言も」
(ではきっと、彼女は復讐者なのでしょう。だって、復讐者とは内で燃やすものですからね。彼女、きっと強いですよ)
『ヒャウー!』
(だってロボが、こんなに強いのですからね)
【───────…………■■■■】
(ぎゃー!!?)
リッカやギルに使う、普段の意思疎通を含めた咆哮とは違う、全く聞き取れぬ怨嗟の唸り。喋りすぎだ、と諌めるためなのだろう。
『ヒャイーン、ワフ、ワフ!』
その夫の姿に、喜びを表し駆け回るブランカ。好奇心旺盛な妻に、用心深く孤高なる夫。これは、認めざるを得なかった。
「…酷いことして、ごめんね。ブランカ」
ブランカ『?』
【ウォン!!】
ロボはそれを諌めるように吠えた。それは、狼王としてであり夫としての声だ。
「…!」
卑劣な真似をしたのは人だ。貴様ではない。背負い込むな、無用な罪悪感など。
『ウー?ウー?』
妻の振る舞い。それが全てだ。…ロボはそれきり、うずくまり泰然と構えたままとなる。
(いでで。とまぁ、このように、ロボを見てくださればバーサーカーとの違いは分かってくださるかと)
「うん。…うん」
ブランカを撫でることを許す。それはマスターであるリッカにのみ許された特権だ。それが、『人間全て』を恨むバーサーカーではなく、【妻を害した者達】を憎み続けるアヴェンジャーである狼王の在り方が答えを示していた。
「うん!ありが」
「せん↓ぱぁあぁあぁーい↑!!」
バンジージャンプ堪能中のマシュに、重苦しい空気を取り払われ笑うリッカとヘシアン、ブランカ。
【…………フ】
そして、誰にも気付かれぬように笑うロボ。アヴェンジャーとは、情の深きクラス。となれば…
(サタンよりずっと、話し合いの余地はあるはずだよね!)
徹頭徹尾意味不明なサタンとは違い、きっと突破口はある。彼女は仲間達と語り、確信を得るのであった──。
レストラン
マシュ「もぐもぐ…もぐもぐ…」
アンリマユ【私からはなんか聞かねーの?】
(今更聞くことなんて、なんにもないでしょ?)
【まぁな!】
マシュ「?先輩?」
リッカ「気にしないで。私は愛に生きるよ!」
マシュ「先輩は…愛の戦士ですか!?」
リッカ「多分違うと思う!」
ロマニ『おーい!黄金、解析できたよ!戻っておいで!』
リッカとマシュは立ち上がる。次なる戦いの為に。
リッカ(また会おうね、クリームヒルトさん!)
もう迷いはない。ひとまず、目の前に全力を尽くす。
(でもやっぱり、サタンは意味不明なんだよなぁ)
なんなんだろう、あの人…人?気がかりながらも、未だに不明瞭な彼のことは…
(そのうちわかるよね!)
楽観的に思うことにする、リッカであった。
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