人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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アルク「あ!見えてきた見えてきた!千葉県夏草はあそこね!」

リッカ「どこぉーーーー!!?」

アルク「リッカ行くわよー!ディーヴァ!うたうちゃんにコーリングよろしく!」

ディーヴァ『何をする気!?』

アルク「夏草の英雄の!凱旋よーっ!!」

リッカ「ほわぁあァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァーーーーー!!!」

ディーヴァ「ぶん投げたーーー!?!?」


リッカ「我が魂はぁー!!カルデアの皆と共にありぃいぃいぃいぃーー!!!」

仮面ライダーディーヴァ『メテオにはさせません』

リッカ「うたうちゃん!?」

『キャッチ、着地します!』

リッカ「ふぉおぉおぉおぉおぉお!?」



うたうちゃん「ディーヴァから情報は貰っていました。お帰りなさい、リッカさん」

リッカ「さ、騒がしい帰宅でごめんね…あれ、アルクは…?」

アルク「空中三拾回転捻りー!!とうっ!私、参上!!」

リッカ「普通に着地してきた…」

アルク「あのジェット機硬かったわねー!何で出来てるのかしら?まぁいいわ!次はぶち抜くんだから!」

ディーヴァ『何に張り合ってるのよこの人…人?』

リッカ「規格外だからね、仕方無いね…」

うたうちゃん「こちらがラオウ市長のブラックカードとなります。夏草にいる間自由にお使いください」

リッカ「わ、ありがとう!」

アルク「よーし!遊び倒すわよー!」

リッカ「保ってね、私の気力と体力…!!」

(感想は今から返信します)




生命としてのスケールが違いすぎるとこうなるケース

「じゃーん!どうこれ!この衣装!リッカから見てバッチリ似合ってる?どうかな!」

 

「あなたに似合わない衣装など存在しません!」

 

「もー!そんな嬉しいこと言ってくれちゃってー!よーし、なら片っ端から着こなしちゃおっかなー!夏草ブティック制覇実績開放ねっ!」

 

そんなこんなで帰ってきた&やってきたリッカの故郷夏草。ハイテンション巻き散らかす真祖の姫様のパッションの赴くままに、リッカは自由自在縦横無尽に付き合わされる事となる。

 

「どうどう?チェックの柄にベレー帽とポシェット!可愛らしさアピール!」

 

「金髪と赤眼に黒とチェックがマッチしてる!靴とかインナーは白でどう?」

 

「そうしましょうそうしましょう!ガンガンわたしをコーディネートしてね!今日は着せ替えアルクなんだから!」

 

「王宮抱えの仕立て屋の気分…!あ。アルクー。ここにバカには見えない服があるんだけどー」

 

「み、見えますぅー!なんて綺麗な服なんでしょう!グランドヒロイン的に着るっきゃなーい!」

 

「わぁあぁあ脱ぎださないで試着室に行って私が悪かったからぁー!!」

 

(またリッカちゃんが愉快なお友達連れてるわぁ)

 

(凄い美人!リピーターになってほしいから初回サービスしちゃおっと!)

 

リッカ顔見知りのブティックにて、アルクの欲しがる服を片っ端から購入。試着と購入の繰り返しにて時間をかけたが、費用とカルデア送付はラオウ市長負担のロイヤル買い物が実態だ。こんな感じで、アルクェイドはリッカの首根っこを捕まえんばかりの勢いで夏草を巡り尽くす。

 

 

「この夏草であらゆる非社会的行動は許さん。極道組織や半グレの活動を見つけたなら必ず組長、リーダーまで辿り着き壊滅させる。ガサ入れは必ず証拠品を見つけ逮捕にまで漕ぎ着ける。それを繰り返してきたが故に夏草にはゴミがいない訳だ」

 

「成程ね。末端を潰していくより芋づる式でしょっぴく…効率的ね!リッカ、参考にしましょう?手を出してきた輩には必ず恐怖と報いを。結果的に無駄な戦いを避けれるようになるわ」

 

「シビアだぁ…」

 

無慙の派出所にて茶菓子を嗜みつつ、極道や半グレ潰しの秘訣を聞き及ぶ。アルクェイドのシビアな一面に目を瞠る一幕もありながら、でもやっぱりアルクェイドであるので。

 

 

「はいリッカ!あーん!」

 

「あ、あーん…?」

 

「ほらほら遠慮しない!せっかく二人で勝ち取ったお弁当でしょ?残さず味わって食べましょ!食べさせっこで!」

 

昇陽学園の屋上にて、弁当争奪戦にて勝ち取った極上カルビ弁当を二人で食べる頃には朗らかあーぱーであった。日光が強くなり始める季節の日中。しかし風は涼しげに二人の頬を撫でる。

 

「いつかWデートしましょうね、リッカ!私と彼、あなたと大切な誰か!絶対幸せで世界が揺れるわ間違いない!」

 

「大切な誰か、かぁ…グドーシに兄貴、エドモンにくろひーシャルル…誰になるのかなぁ」

 

「モッテモテー!リッカってばモッテモテー!ひゅーひゅー!」

 

「私としてはアルクを射止めた彼がすっごい気になる!教えて教えて!どうやって仲良くなったの!バラバラから始まる馴れ初めって何!?」

「知りたい〜?リッカにだけ特別教えちゃおうかな!耳貸して?実はね〜…」

 

『こら!屋上は危ないから立ち入り禁止なのよ?』

 

「ひぇえ通信で叱ってきたぁ!?」

「ごめんなさ~い!ほらリッカ、次々〜!」

 

フェンスを飛び越え、真祖ジャンプでリッカを抱え跳び回るアルクェイド。リッカはただただひたすらに振り回されながらも、文句の一つも口にせず付き合い続ける。

 

(アルクみたいな、とびきり上位の存在もこうして夏草を楽しんでくれる。嬉しい以外にないよね!お祝いだからテンション高いし!)

 

「えっとー、志貴と一緒に回るときに最初に回る場所はこことここと、ここでしょー。それからそれからー!」

 

(想い人とのデート先にまで選んでくれるなんて…こんなに嬉しいことは無いよ、アルク…!ありがとう…!)

 

「あーんもう!回りたいところ多すぎて決められないじゃないのよー!夏草楽しすぎでしょー!」

「げぅっ──!」

 

「あぁごめん首絞めちゃった!リッカしっかり!リッカー!」

 

このように物理的にもガンガンに振り回され、幾度か生死の境を彷徨いながら真祖との夏草同性デート(?)を堪能するリッカ。敵より味方に何回も殺されかけているのはご愛敬だ。

 

そして、一休み場所に夏草公園を選択する。危険との理由で遊具が全国的に制限される中、制限や危機管理は親の責任として開放されている豪気な公園のベンチにて、リッカはアルクの膝枕に預かる。

 

「今更だけど、散々振り回しちゃった。大丈夫?リッカ、迷惑じゃなかった?つまんなくなかった?」

 

「振り回されるのなんて慣れっこだよ。むしろ嬉しいかな?アルクがこんなに私を信頼してくれるのがさ」

 

「えへへー。私、好きになった人ってとことん振り回しちゃうのよね。ほら、リッカってもうオリハルコンやヒヒイロカネばりに頑丈じゃない?アダマンタイトクラスはもう、遠慮なしでいいかなって!」

 

「私で良ければいくらでも振り回してね。仰るとおり、タフなので!」

 

笑い合いながら、二人は公園で遊ぶ子連れの家族を見やる。子も親も、誰もが幸せそうな日常を享受している。当たり前の、かけがえのない幸せを。

 

「……………」

 

リッカはかつて、幸せな家族の後ろ姿を眺めることしかできなかった。自分にはないもの、自分にはありえないもの。星のように遠いものをただ見つめていた。

 

「ね、わかる?あの笑顔も、あの幸せも…全部全部、リッカが護って取り戻したものなのよ」

 

胸で顔がリッカから見えないが、穏やかな声音からアルクの想いを察する。そこには、日々や平穏への礼賛があった。そして…一抹の寂しさも。

 

「でも、残念なのは…ほとんどの人はリッカの頑張りを知らない事ね。いつの間にか滅びて、いつの間にか救われていた。そこに、リッカやカルデアの頑張りは周知されてないの。…仕方ないけど、やっぱり寂しいわね」

 

カルデアの戦いは英雄譚ではない。人理を護る人知れぬ戦いだ。表彰も勲章もあり得ない、無冠の偉業だ。アルクはそれを、やるせなく寂しいものと思ったのやもしれない。

 

「アルク。それはちょっと違うんだよね〜」

「違う?」

 

リッカは目を細める。そう、報酬や感謝はとっくに貰っているのだ。少なくとも、自分にとって。

 

「皆の当たり前の幸せが明日に続く。明日が、未来が約束されてる。それが私の、私にとっての最高の報酬なんだよ。だってそれは世界が続いてるってことだから。私を受け入れてくれた世界が、続いてくれてるって事だから」

 

リッカにとって、護りたいものは名誉や自負ではない。もっと言えば褒章や名声など興味もない。

 

ただ、明日が来る。皆が憂いなく日々を過ごせる。それだけにしてそれだけが最高の報酬なのだ。彼女にとって、当たり前に紡がれていく幸せ以上に尊いものはないのだから。例え、誰の記憶に残らなくとも。黒い龍は、笑顔の花園の中心で満足気に微睡むのだ。

 

「──じゃあ、そんな頑張り屋さんにアルクおねーさんがプレゼントをあげる」

 

その言葉を聞いたアルクはほほえみ、リッカの髪をそっと撫でる。

 

「ありがとう、リッカ。世界を救ってくれて」

 

「アルク…」

 

「人理は人だけのものじゃなくて、星に生きる全てが紡ぐものなの。だからカルデアが…リッカが救ってくれたものは人間だけじゃない。星の全てなのよ」

 

それは、アルクェイドの親愛が詰まった最大限の感謝と礼賛だ。誰のものでなくても、誰が知ることもなくても。確かにここにいる彼女という命に向けたもの。

 

「あなたがいてくれて、本当に良かったわ!忘れないで、リッカ!あなたの全てに感謝している人は確かにいるってこと!」

 

彼女の言葉は、リッカの在り方を肯定するものだ。そしてそれはリッカにとって特別な意味を持つ。

 

「…、うん!」

 

彼女はここでしか生きられない。獣ではなく、龍であり人である者として生きていられるのはこの世界が受け入れてくれたからだとリッカは考えている。

 

星は万象を織り成すもの。その頭脳体たるアルクから貰った言葉は、彼女が愛している世界からのメッセージとして見てもきっと良いはずだ。或いは彼女は、この言葉をこそ送りたかったのかもしれない。

 

「あ、もう夕方ね。皆、手を繋いで帰り始めちゃってる」

 

「帰るべき場所に、ね」

 

夕暮れどき。二人の美少女は言葉少なく帰路につく者達を見やる。

 

「ね、リッカ。行きたいとこ…最後、いい?」

 

「いいよー」

 

しんみりさを少し見せながら、アルクはお祝いの締めくくりの為にリッカの手をそっと引き、立ち上がるのであった。

 




夜 夏草ウラヌスタワー『頂上外壁』

アルク「んー!いい眺めー!風も気持ちいー!」

リッカ「高いッッッッッッッ!!!」

なんとお忍びで地上数百メートルのタワー外部にやってきたアルク。命綱も手すりもない絶景に感嘆と驚嘆がミックスされた声が響き渡るのであった──。

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