人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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ランスロット「……………」

リッカ(ぐったりぃ)


「リッカ、かぁ…」


虹の文明

『しゃあ!!皆!行くぜ!!』

 

作戦を開始し、ボルシャックはあえてボルメテウスの真正面へと顕現し翼を開く。雄々しく翼を広げ、自らの存在を誇示するかのように。

 

『クラスカード・装填!ボルシャック君、多少時間はかかるが英雄達を信じてくれ!』

 

『あたぼうよ!デカい図体はこうやって使うんだよ!』

 

ボルシャックの大柄な身体が、クラスカードの共鳴にて進化を始め輝き出す。それは誰の目にも解る程の威容、霊基再臨。それを見逃すボルメテウスでは無かった。

 

『対空砲火、来ます!主砲ではありませんが無数の光条!』

 

『ジークフリート君、ゲオルギウス!任せたよ!』

 

「勿論だ。全力を尽くそう」

 

「マシュ殿の奮戦に、続きましょう!正しき聖護を!」

 

ジークフリートが自らの聖剣、バルムンクを開放し蒼きエーテルを完全開放し、対空攻撃を一気に薙ぎ払う。ゲオルギウスの防護はボルシャックを完全に包み込み、うち漏らしに備えた盤石の守護体制を整え、ダメージを無へと抑えきる。

 

「ぐっ、これは…中々…!」

 

ジークフリートのバルムンク、それは連射に優れた宝具。強靭な肉体から振るわれる連続蒼エーテルの斬撃を無数に展開するが、それでも押し込まれるほどの規模の対空攻撃。

 

ゲオルギウスもまた、守護を高めているが…通せば甚大な被害は避けられない程の威力を有し、一度の防護を潰えさせず、守護聖人の本領を発揮する。

 

「ボルシャック殿!」

 

数分の熾烈な攻撃を乗り越えたその先…、遂に、インストールは完了する。ボルシャックの、カルデアにおける新たな姿。

 

『おぉっ!良く保ってくれた!!たった今、やってやれるぜ!!』

 

黒き刀、そして大将軍の鎧。咆哮と共に現れし、ボルシャック・ドラゴンが見出すことの無かった新たなる姿。この世界において、霊基再臨を果たした姿。

 

『ボルシャック・ドラゴン改め!ボルシャック・将軍・ドラゴン!!オレ田村麻呂とドラゴンの合せ技!強くねぇ筈はねぇ!!』

 

『そういう事だぜ!!この虹色の文明でもらった姿でぇ───!』

 

ボルシャックが手にした黒き宝剣に、灼熱の焔が込められる。それだけで、周囲が一瞬で燃え盛るほどの大豪炎が巻き起こり、一瞬で超エネルギーが余波となって巻き起こる。

 

 

『ボルメテウスホワイトドラゴン、エネルギー超高速充填!!主砲が来ます!!』

 

ボルメテウスもそれに応えるかのように、世界の全てを葬り去る白熱の主砲をボルシャックへと向ける。ソレは火文明最強のドラゴンの、最大火力の大激突。違えば、奥の手たるリッカもろとも命はない。

 

信じる他ないのだ。火文明からの来訪者。絆と友情の名を関する竜を…!

 

『ボルシャック・ドラゴン!!』

 

『勝負だぁあぁあぁあぁあぁっ!!!』

 

大激突する黒と赤の斬撃、純白の熱。軌跡にある全てを打ち晴らし、消し飛ばし、チリも残さず吹き飛ばす破滅的エーテルの交錯。

 

『オレは負けねぇ、もう失わねぇ!!それがオレの、カルデアにおける誓いだ!そしておめぇを招くためにも、負けられねぇんだ──!!!』

 

ボルシャックの気迫、カルデアの技術力、そして大将軍たる田村麻呂の霊としての格式。それら全てが、マシュの負担を補い余りある大戦果を遂げる。

 

『げ、減衰!!ボルメテウスホワイトドラゴンの火力、減衰していきます!!』

 

『『『行けーっ!!ボルシャックドラゴーン!!!』』』

 

『ウォオォオォオォりゃあぁあぁあぁっ!!!』

 

拮抗していた斬撃に、駄目押しのボルシャック・ファイヤー。それが完全に斬撃を押し出し、遂に、ボルメテウスの白熱を叩き斬る。

 

『やっ──』

 

『ボルメテウスホワイトドラゴン!!ユニット破棄、エネルギー猛烈チャージ!!』

 

悲鳴に近い職員の絶叫。喜ぶことすら許されない、ボルメテウスの再チャージ。驚異的な事に、肩のキャノンを捨て去り主砲に更なるエネルギーを追加し充填、掟破りの再砲撃を放とうとしているのだ。このままではボルシャックが、リッカが消し飛んでしまう…!

 

『もうなんなのあのドラゴンんん!?』

 

『いいや!ここまで来たならよぉ──!!』

 

ボルシャックは勝利を確信していた。エネルギーなど溜めはさせない。力の限りに振りかぶり、力を込めて──

 

『行けぇえぇえぇぇえ────!!!!!』

 

ボルシャックが、ピッチャーのように蒼き流星を投げ打ち出す。それはあらゆるものを置き去りにする、最速の飛行。

 

『ほぉおォォォォォォォーーーー!!!』

『舌噛むよ、静かに』

 

鎧を付けても尚身体が軋むようなG。ランスロットを名乗る彼女の飛行力は、ただの英雄とははるか隔絶した速度、高速にて最速。

 

『接敵するよ。どうする?ぶつかるけど──』

『投げてぇ!!』

 

『は?』

 

『投げてぇぇえぇえぇえーーーー!!!』

 

リッカの言葉の意味を理解する前に──ランスロットは更に振りかぶっていた。ボルメテウスはあまりの一瞬に、面食らい硬直を晒してしまっていた。当然だろう。リッカ以外は意味を理解していないのだから。

 

『ぉおぉおぉおぉおぉおぉおぉおッ!!!』

 

引き抜くは童子切安綱。竜を切り裂き、断ち切るには切れ味あれど刃渡りが足らず。

 

『だあぁあぁあぁあぁあぁあぁあ!!!!』

 

喉も裂けよとばかりの咆哮と共に、全身の魔力を雷として放出。それらの雷を全て母の守り刀に込め、刃渡りを何百メートル、星すら薙ぐほどの天の御柱が如き紫電の太刀へと変換する。

 

これこそは、雷位の戦士より天恵を得てこの場にて開眼せし、対幻想種一閃斬撃秘伝。『龍哮一閃・竜薙ノ稲妻』也。それをボルメテウスホワイトドラゴンへと、振り下ろす!

 

 

『チェェエェエェエェエストォオォオォオォオォオォオッッッッ!!!!』

 

竜を薙ぐ稲妻は、ボルメテウスの身体を落雷が如く撃ち抜き切り裂く。どんな防御も回避も意味を成さぬ、竜を断ち切る一撃。それを二人の竜にて何百倍にも高めた速さにて、万象を叩き斬ったのだ。

 

『ーーーー!!』

 

最初の着地では脚が接地面から跳ね跳んだ。ニ度、三度の着地にて脚のブレーキを渾身に掛け、やがて回転をかけ反動を殺しきった瞬間──

 

 

「すぅっ──はあっ………はぁぁあ───」

 

緩やかに、厳かに納刀を行い…鎧を解く。あまりにも魔力放出が激しく、極めて場面が限られる一撃ではあるが──

 

 

『オォォオォォ…………───』

 

天にて咆哮を残し、厳かに倒れ伏すボルメテウス。文字通り、もぎ取った勝利。だが、勝鬨を上げる余力すらないほどにリッカは疲労困憊を晒す。

 

「…ふぅん。藤丸リッカ、かぁ」

 

それを、静かに見やるランスロットを名乗る騎士。

 

「うん。中々悪くないね!いいガッツだ!」

 

その姿をどこか、満足そうに見やる少女。その笑顔をもって、戦いは終結する。

、戦いは終結する。

 

『なるほど…』

 

「へぇ…?」

 

『ただの…バカだったか…』

 

ボルメテウスの言葉を何一つ否定できず、リッカは笑いながら倒れ伏すのであったとさ…




ボルメテウス『………色々言いたいことはあるが…』

リッカ「はい」

ボルメテウス『人か、君は』

リッカ「ハイ!」

『そうか。…ゴルドルフといったな』

『はい』

『大変だな…』

『ハイ』

心から頷き、ボルメテウスはこの破茶滅茶極まる『虹の文明』の恐ろしさを受け入れるのであった…──

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