人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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リッカ「ドラゴンの皆に、加勢したい?」

ルゥ「うん。ホントはね?リッカの力になるのが当たり前なんだけど…あの子達、ほっとくと共倒れしそうで危なっかしいの」

温羅「死に場所を見つけたー!なんて盛り上がらられない為にもキチンと見ときたいんだ。カルデアにあるまじき選択だが…頼む!オニキュアとして、同じ世界の放浪者としてほっとけねぇんだ!」

ルゥ『この通り!お願いします!(土下座)』

リッカ「あぁそんな畏まらないで!いいよいいよ、全然いい!私達の分まで、サポートしてあげて?ね?」

ルゥ『ほんとぉ!?』

温羅「すまねぇ!首根っこひっ捕まえてでも、生かして連れて帰るからさ!」

リッカ「うん!絶対皆で、帰ってきてね!」


親孝行、始まったばかりなんだから──!




希望の黎明

『じゃ、私が道を作るね。だから皆は真っ直ぐ、あのドラゴンをぶちのめしちゃってね!』

 

無数に種子を展開させし空想龍・スサノオに対し立ち向かうはオニキュア、ミラルーツ、そして帰依の姿勢を見せしドラゴン達。一歩たりとも外へ出してはならない極限の戦いの露払いを申し出たのは、汎人類史の龍ミラルーツだ。傍らに赤と黄色の従者を従え、セイレム以来の絶対的な力を開帳する。

 

『うぉお…』

 

ボルシャックらが溜息混じりに見せるそれは、圧倒的なまでに鮮烈で、神秘的で、また根源的な畏怖を思わせる様相だった。白き純白の身体が見る間に真紅に染め上げられていき、大気を猛烈な迄の雷が跳ね跳び、溢れ出すエネルギーを否が応でも感じさせる変化を示す。

 

『道を拓け。かなり抑えめの──雷槌よ!!』

 

狂気を感じるほどの甲高い咆哮と共に、辺り一帯に目を潰さんばかりに眩く輝く雷エネルギーが解き放たれた瞬間──一同は、彼女が始原の龍、龍の中の龍と呼ばれし由縁を垣間見る。

 

『■■■■■…────■■■…………!』

 

一瞬の世界の明滅、瞬間巻き起こる天地を引き裂くかのような轟音、そして大破壊の力場。先んじて従者が安全なる力場を発さなければ、諸共に消し飛んでいたであろう大消滅にして天の神威の顕現。ゼウスの雷霆にすら匹敵する大自然エネルギーを、自らが生成し叩き付ける離れ業。

 

目の前に展開されていた種子たちは全て『薙ぎ払われ』、瞬間の明滅の後には跡形もなく消え去り果てていたのだ。地平線を覆う勢いであった、種子たる生命の萌芽を加減した状態で打ち払うミラルーツの伝承にも乗らぬ幻にして絶対的な雷の力。それはスサノオ…否、新たな世界の秩序を齎すもの、そして新しきテクスチャを展開せんとするスサノオの身体にこれ以上無いほどの甚大なダメージを刻み付けた。

 

【どうやら開花し種子を飛ばす機構にダメージを受けたようじゃな。今だ皆の衆!】

【えーと、ポエミーな言い回し…駄目だ久々だから思い浮かばん!皆様やーっておしまい!】

 

『ぐたぐだしないでぇ〜!カッコよく決めたつもりなのにぃ!』

 

本体諸共盤面をひっくり返した規格外の龍の援軍を無下にするまいと、オニキュアを筆頭にスサノオに猛進するボルシャックら虹の文明達。

 

『■■■■■■■■!!』

 

だが、それでもかの龍の力は健在である。自身らを護る近衛としてのバロム、アルカディアスは保護していた。意志なきかつての宿敵達が、空想龍の破壊を阻止せんと立ちはだかる。

 

『ぐはははははははァァァ!!かつてはボルシャックに譲ったが、此度はそうはいかん!貴様ら大将首、纏めてオレ様がもらァう!!』

 

その前に悠然と立ちはだかりしは殿堂王、ボルバルザーク。闘争と勝利の化身たる殿堂王は、かつての再演たる二体の文明との戦いにも微塵も躊躇を見せなかった。

 

『振り向かず進め!!勝利とはすぐそこにあるものだァ!!』

 

バロム、アルカディアスをその身体で受け止め、食い止め、余さず身体を貫かれながらもボルバルザークはその勢いを微塵も緩めない。今度こそ、彼は信じていた。この戦いの先にこそ、かけがえのない未来がある。故にこそ、命を懸けるに躊躇いなどありはしなかったのだ。

 

 

『■■■■■■!!!』

 

最後の防御も道連れに引き剥がされたスサノオは、それでもなお悪足掻きとばかりに無数のシールドを展開する。先にボルバルザークとボルシャックに甚大極まる被害を与えたシールド・トリガー。一枚破壊すれば戦況が傾くそれを、汎人類史への抵抗として大量展開する。再びの防衛、しかしそれらに二の足を踏む事など無かった。

 

『種さえ割れれば、容易き事なり!いざ、魔剣瞬刃が本領を見よ!!』

 

バザガジール・ドラゴンが躍り出、その神速の剣技を以て全てのシールド、10枚はあるそれを一瞬で斬滅する。全く同時に全てを斬り捨てる時空すらねじ伏せる絶技が今、満を持して放たれた。シールド・トリガーが強制的に発動する、その瞬間。

 

『見事だバザガジール!ならばこれで、チェックメイトよ!』

 

ボルメテウス・イカルガ・ドラゴンがその成果を結実させる。彼の白熱の炎は、シールド・トリガーが発動する前にそれら全てを焼き払った。シールド状態では白熱が通らぬ危険性があったものを、バザガジールの神速の剣にて打ち払う事で乗り越えた。全てのシールド・トリガーが発動することなく、焼き尽くされ消えていく。

 

『道は拓いた!後は──』

『任せるぞ!温羅、ボルシャック──!!』

 

だが、それと同時にスサノオの発動する神威の暴嵐熱波の中に消えていく2体のドラゴンと、バロム、アルカディアスを叩き潰せしボルバルザーク。彼等は命を賭して、至るべき道を繋いだ。虹の文明を、正しき道へと至らすそのために。

 

『テメェらの思い、確かに受け取ったッ───!!』

 

尚も猛進するボルシャックと温羅。全長がいくつあるかも解らぬ巨大なドラゴンの目と鼻との先に、肉薄する。

 

「ボルシャック!これだけのデカブツだ、アタシもお前さんも全力を出さにゃ釣り合わん!」

『!』

 

「お前さんが使ったっていう、世界を焼き尽くす怒りの炎!今一度燃やすのは今のはずだ!アタシも普段封じてる金棒を使う!同時攻撃で決めてやるんだ!」

 

そう、ボルシャックにも温羅にも、全てを焼き払い叩き壊す対界宝具が備わっていた。人類史を叩き壊すために鋳造した、鬼の破砕金棒。友達の犠牲と魂を怒りに変え焼き尽くす、ボルシャックの世界を終わらせし劫火。それらを重ねなくば、かのスサノオを打ち払うことは出来ないと温羅は踏んでいたのだ。このために、温羅はこちらの加勢に回ったのだ。

 

『──────』

 

ボルシャックは一瞬迷い、躊躇う。確かにあの炎は未だ魂に燻っている。二度と使うまいと、二度と燃やすまいと誓ったあの炎は確かにここにある。

 

その力は破壊と破滅、滅亡そのものだ。再び世界を燃やし尽くし、下手をすれば虹の文明すらも焼いてしまうやもしれぬ禁忌の炎だ。ボルシャックは、目を強く閉じ逡巡するも…

 

『■■■■■■■■!!!!!』

 

再び活動を再会せんと咆哮するスサノオに呼応し、目を見開く。今がきっとその時なのだ。破滅の焔を、希望の黎明にするのは今なのだと。ボルシャックは顔を上げる。

 

『…解った!オニキュアの大将!オレに力を貸してくれ!!』

 

「最初っからそのつもりでここにいるんだぜェ!!」

 

スサノオが拳を叩き付けんとする。巨大な拳を、封印を解いた大鬼破砕金棒にて相殺する。それだけで、空間と時空がぐにゃりと歪んむ程の大破壊。

 

「ぬぅうぉおァァァァァァァァァッ!!」

 

振った腕から血が噴き出るほどの勢いを、腕力と膂力のみでねじ伏せる。スサノオの拳は腕ごと粉々にひしゃげ潰れ、片方の拳も同じ様に打ち合い、両腕が温羅に叩き潰される。

 

「今だ!!行けぇボルシャック!!お前さんの焔!見せてやれぇええぇっ!!!」

 

両腕の筋肉が断裂しながらも、温羅はボルシャックを弾き飛ばしスサノオの顔面に、いや、口内目掛けて吹き飛ばした。それは、スサノオという一つの銀河に、空想存在の内側に放り込んだも同義。

 

「これでぇ───くたばりやがれぇえぇえぇえッッッッッ!!!

 

スサノオの外側からは、世界を打ち砕く黄金の金棒の一撃が顔面に叩き込まれる。ドラゴンの外郭すらも砂糖菓子のように容易く砕く、グランドバーサーカーの渾身の一撃。

 

『ボルメテウス、バザガジール、ボルバルザーク…虹の文明の全てよ!この一撃が、オレの全てだ!!』

 

ボルシャックの魂の火を、極限まで高めた内部炎上。世界を焼き尽くす、彼の命を以て焼き払う最大最強、そして──最期の劫火。

 

『破滅の劫火よ!!虹を照らす希望の黎明となれ!!うぉおぉおぉおぉおぉおぉおァァァァァァァァァァァァーーーーーーーッッッッ!!

 

『■■■■■■■■■■─────!!!!!』

 

顔面を砕かれ、そして内部から空想樹としての機能を全て焼き尽くす。その波状攻撃に、遂にスサノオは断末魔の咆哮を撒き散らし───

 

 

「よし───これで──」

『───オレたちの、勝ちだ…!!』

 

 

 

 

 

 

────スサノオの展開した空間全てを覆い尽くし、希望の黎明は、全てを焼き尽くした───




──こうして、サタンが用意した空想龍は打ち払われた。


全ての試練は打ち払われ、乗り越えられ…

竜たちが紡ぎ上げた希望の黎明は、ドラランド全域のどこからでも見えるほどに、燃え盛っていたと言う。

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