人理を照らす、開闢の星   作:札切 龍哦

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オルガマリー「ただいま戻ったわ。特異点が発生しているらしいけれど、大丈夫だったわよね皆なら…」


エル「所長!!お帰りなさい!早速ですが見てください!!」

ボルメテウス『初めまして、ボルメテウスだ』

ボルシャック『ボルシャックだぜ!』

バザガジール『バザガジールと申す』

ボルバルザーク『オレ様こそが殿堂王!!ボルバ』

ヴリトラ【ヴリトラじゃ。これから世話になるぞ。具体的には明日からのぅ。き、ひ、ひ】

オルガマリー「………………ドラゴンがいっぱいね…」

ロマニ「マリー、これには深い訳があって…」
シバ「シールドトリガー発動〜♪」

ロマニ「しまったぁ!?」

ムニエル「音響はこんな感じか!」

アカネ「サウンドエフェクトはもうすこし迫力重点で…!」

オルガマリー「今は何を?」

シオン「ドラランド運営ですね!」

オルガマリー「なるほど…」

ゴルドルフ「お帰り所長!早速手伝ってほしい!明日のスケジュール管理をだね!」
ルル「副所長!ライトアップ配線間違えてます!」

ゴルドルフ「本当にすまないねェ君達ぃ!」

オルガマリー「…大変だったのね、そちらも…」
『石丸甲児の研究レポート』


そして翌日。


変身!大明鬼神、キュアオンラ!

「というわけで、今日はアタシがつきっきりでお前さんらをガイドさせてもらうぜ!せっかくのドラランド、楽しんでいかないとな!」

 

翌日、カルデア組の貸し切りとなったドラランドに再びやってきた茨木童子とカグツチ、アマノザコに伊邪那美の四人は入り口にて温羅と合流する。それは勿論、彼女達の水先案内人を行うためだ。予想していた二人と、予想していなかった二人の反応は別々のものとなる。

 

「温羅が直々に案内だとぅ…!?なんとこうえ、いや!不安な道筋があったものだなァ!」

 

「不服かい?」

 

「そうは言っておらん!吾はよい、しかしカグツチが許すかな!」

 

『よろしくお願い致します』

 

「だそうだ!運が良かったな温羅!では遠慮なく、案内にあずかることにしようではないか!よろしく頼む!」

 

(大将はおいそれと頼んだりしない、ってところか?間違いなく鬼として一番真面目な奴だぜ)

 

『大丈夫か?お前は世界をあてもなくふらふらしていた経験のある、どちらかといえば案内されたい側だろう』

 

「あっはっはっはっ誰のせいだと思ってるんだ母ちゃんよぅ!」

 

【ま、待て待て!穏便に、伊邪那美に免じて穏便に頼むぞ皆…妾、キクリヒメほど執り成しは上手くない故に…】

 

「おっとそうだった。まぁ母ちゃんの小粋なジョークで場も和んだ事だし、早速行くとするか!目指せ全アトラクション制覇!おーっ!」

 

「『おーっ!!』」

 

険悪さの無い、じゃれ合いのような口撃を交え一行は出発する。最早この特異点はカルデアのもの。その安心感が一行の心を弾ませている。

 

こうしてパーティを組んだ一行は、温羅に肩車されおんぶされながらの愉快な珍道中の様相を持つ。遊ぶという遊興にして最後の試練が幕を開けるのであった。

 

 

「おぉーっ!もうスタンプが8割近く埋まったぞ!ちょうど正午近くにだ!」

『昨日より、ずっとはやい!』

 

歓喜の声を顕にするのは精神的ちびっ子の二人。温羅の案内と圧倒的な人ごみの少なさ(或いは全て顔なじみ)の相乗効果により、新規スタンプラリーを始めた二人の成果は一瞬で現れる事となる。そう、思うように集められなかった事が嘘のように、愉快なデザインのドラゴン達のスタンプをスムーズにコレクションできていたのだ。

 

「ふっはっはっはっ、そうだろうそうだろう!思うままに遊ぶもいいが、計画を持って楽しむも正道の一つ!やり残しはきっちり清算できてこそだからなぁ!」

 

『流石、うらねぇ。ばらきーと違ってたのもしい!』

「にゃんとカグツチぃ!?」

 

【これカグツチや!そんな本当…一理ある…当たらずとも遠からずな事を言ってはなりませぬ!】

「伊邪那美神!?」

 

『当然温羅が頼れる方だな』

「アマノザコ、貴様まで!く、比べる相手が悪すぎるだけだ!吾は大江山専門の鬼ゆえだな…!」

 

悪ノリにのっかり、笑い合う一同。そこにあるものは平和にのみ実る果実が如き平穏。異聞帯も汎人類史も関係ない、巡り合いのみが導いた奇跡の合縁奇縁が織り成す奇跡が宿っていた。

 

「ともかく!礼は告げておくぞ温羅よ。カグツチもご満悦なようだ。見ろ!」

『次どこ?母様、次どこ?』

 

【えーと、まっぷまっぷ。まっぷをまっぴんぐすることにより…ここなるや!】

 

「母よ、地図が逆だぞ」

【なぬぅ!?】

 

「あれほどわだかまりなく、伊邪那美神と語り合えているし話し合えている。日本の創世記を知るものならばそれがどれほど奇跡であるか語るまでもあるまい…!」

 

「カグツチの事、気にかけてやってるんだな」

 

温羅の言葉に、酒吞には内緒だぞと念押しし温羅に胸中を語る茨木。いつ訪ねようと、いつ聞き及ぼうと、茨木童子の在り方は鬼らしくないものだ。

 

「理屈などどうでもいい。因果や因縁など些末な事だ。ただ…」

 

『母様は、あなやって言わないの?』

【そ、それは。そのぅ、あんなにも自分の喜怒哀楽を出せるのが妾も不思議というか…】

 

「親子とは、仲睦まじくあるのが人の社会。人ごときが出来るのだ。神ができぬ筈もないしあってはなるまい。見て見ぬふりも美味くはない。一度面倒を見たなら見続ける。頭領として当たり前の事をしているだけなのだ、吾は」

 

…彼女にとって母とは、鬼としての在り方と矜持を叩き込んだ畏怖の対象である事は酒吞より聞き及んでいる。彼女は下手をすれば、家族らしい家族の温もりを知らない側の存在であろう。

 

しかし彼女はそれを知らぬと、知るところで妥協するのではなく懸命に最善に導く努力を怠らなかった。破滅願望と自殺癖のあったカグツチがあれほどまでに明るくなったのは、間違いなく茨木童子の奮闘あっての事である。

 

「吾は知りたいのかもしれぬ。幸福な家族の在り方を。神も人も、無論鬼も。誰かを思いやる心に優劣などないのだと。そう…鬼に心と、真の強さを説く鬼窮婀のように」

 

オニキュア。間違いなく茨木の人格形成を担うのはこのオニキュアであろう。彼女の心にはいつだってヒーローがいる。それが茨木の『鬼らしくなさ』に一役買っているのだと温羅は思う。

 

「ホント好きだな、鬼窮婀がよ。きっとお前さんだってなれるんじゃないか?」

 

そう、強きを挫き、弱きを助け気ままに生きる絶対強者。悪や理不尽を粉砕する圧倒的ヒーローに彼女もなれる筈だ。何よりもその心が相応しい。

 

「吾がオニキュア!?バカを言え温羅!汝や酒吞ならいざ知らず、吾がオニキュアになどなれるものか!」

 

だが彼女は勇気を出せないのか、首を振って否定する。彼女は、ヒーローは見上げて憧れるタイプであるらしい。

 

「オニキュアとは強く、孤高で決して揺るがぬことのない巌の如き鬼!そこには比類なき強さが必要となる!心技体、共にだ!」

 

『茨木童子には無いのか?』

 

「あるはず無かろう!?オニキュアはマカロンの誘惑にも負けぬし、つまみ食いもせん!吾には出来ぬ、出来ぬのだ…!」

 

どうやら人一倍こだわりがあるようで、ぶんぶんと首を振る茨木童子。どうやら彼女も、自分の価値を低く見がちなタイプであるようだ。

 

「そうか…じゃあ、これだけは覚えておいてくれないか、茨木よ」

 

「ぬ…?」

 

劇とはいえオニキュアの名を冠するものとして、温羅は茨木を諭す。そう、紛れもない鬼の仲間として。

 

「相応しいかどうか、出来るかどうかは自分では決められないもんさ。いつかお前さんにも、立派に頑張る日がくるぜ、絶対な」

「温羅…」

 

「だからそんなに卑下すんなって。鬼が卑屈になってどないするん?って酒吞に怒られんぞー?」

 

それだけは許してくれぇ!と半泣きになる茨木と笑う温羅。そのイキイキとした様子に、アマノザコが肩に手を置く。

 

『あまりいじめてやるな、温羅。大人気なかろう?』

「アドバイスだよ、アドバイス。あいつはこれから…」

 

きっとすげぇ鬼…、そう言おうとした瞬間であった。

 

「むっ!」

 

突如、5人を囲むように黒き翼を生やした蛇頭の如きドラゴンが現れる。それらは付かず離れず、温羅達を一斉に捕捉した。

 

「こいつら…なんだ!?」

 

【むふふふ、ようやく見つけたぞー。新しい可能性を持つ鬼よ!ここで会ったが100年目…そんな短かったっけ?】

 

そしてその翼竜部隊から現れる、黒ずくめで恐ろしげな仮面をした小さい存在。真っ直ぐに温羅と向かい合うその存在は、ニヤリと笑う。

 

【知らないのなら教えてあげよう!私は悪のボレアスマスク!ここではないどこか(未確定)より、神秘の生き残りである『オニキュア』をやっつけに来た!のだ!】

 

「何っ!オニキュアをだと!?」

 

茨木の百点満点なリアクションに有頂天になるボレアスマスク。隣りにいる赤いのと黄色いのの迫真のオーケストラミュージックに合わせ台詞を宣う。

 

【今日がオニキュアの命日…んーと違う。ここが貴様の墓場だぁ!(ボレアスミシマ)というわけで、オニキュアを討ち果たして!ガブラスどもよ!】

 

『あわわ…』

 

【やったれー!死の恐怖を味わいながら八つ裂きにされるがいい!ふわーはははぁー!】

 

新たなるオニキュアの敵、ボレアスマスクが立ち塞がる。茨木ファミリー、絶体絶命…!?




温羅「へっ、舐められたもんだぜ。こんな程度でアタシを…いや!『オニキュア』を獲ろうなんてよ!」

茨木「温羅!何を!?」

温羅「こーいう輩から皆を護るのが…オニキュアの使命ってもんだぜ!」

そして温羅は高々と拳を掲げる。そう──そのポーズはまさに。

カグツチ『あ…』

温羅「天地!神明───!!!」


茨木「にゃんとぉお!!?」

オニキュアのリーダー格、『キュアオンラ』への変身コールだったのだ──!

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